多角化戦略12のメリット。多角化経営が可能にすることとは
多角化・新規事業
こんにちは、山地です。
経営戦略の一つとして多角化経営がメリットの大きいものだと思っていても、多角化によりどんな良いことが起こるのか、具体的にイメージできている方は多くないかもしれません。
そこで、今回は多角化戦略の12個のメリットと多角化経営が可能にするものについてお話します。
目次
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1・経営基盤が安定する
2・多角化により可能性が広がる
3・シナジー効果が期待できる
4・社員が納得できる経営が実現できる
5・チャレンジする社風が出来上がる
6・「オートマチック経営」が実現する
7・結果につながる管理会計が実現する
8・多様な視点や考え方が身に付く
9・余裕が生まれて人生が楽しくなる
10・やる気のある社員を採用しやすい
11・「脱・孤独感経営」が実現できる
12・究極の安心経営が可能になる
多角化戦略の12個のメリットが可能にすること
多角化戦略にはこんなにもメリットがあるのか!と驚くかもしれませんが、これからお話する12のメリットは、すべて私が実際に経験して可能になったことばかりです。
それぞれ詳しく解説していきましょう。
1・経営基盤が安定する
ひとつの事業に絞るのではなく、売上規模でいえば数千万円から数億円程度の事業や会社を次々と興していく。
もちろん、コストもかかりますしリスクがゼロというわけではありません。
しかし、1本の本業という柱だけではなく、2本・3本と事業の柱を作っておくことで柔軟性が生まれ、時代の変化に対応することもできますね。
それぞれが独立採算で管理されているのでリスクヘッジにも対応できますが、こうなると組織の縦割り化が進みがち。
そこで私たちは複数社・複数事業を束ね、グループ全体が効率的かつ効果的に運営されるように統制管理する経営の手法を取っています。
異なる分野の事業でも、グループ全体をひとつの会社のように運営することで、相乗効果による業績アップも期待でき、安定した経営基盤の確立につながります。
2・多角化により可能性が広がる
事業が3本、4本、5本...と増えていっても、1つの会社のような仕組みで経営することがポイントです。
総合商社のようなイメージですね。
例えば、それぞれの事業部が業種別で人材を採用するのもアリですが、共通して採用する仕組みが持てれば合理的です。
1つの事業のみで突き進んでいくと社員の成長や昇進に上限がある、ポストが空かないといったことが起こり得ますが、複数の事業にまたがっていれば可能性が広がり、社員のモチベーションも上がります。
理念やコンセプトをもとに、複数の事業にまたがっても仕組み全体を貫くことが重要です。
3・シナジー効果が期待できる
事業Aと事業Bとの間には、それをつなぐ事業Cが存在するべきです。つまり多角化を行うと連鎖的に事業が増えていくイメージ。
だからこそ多角化経営にはシナジー効果(相乗効果)が期待できます。
既存の事業と接点のない多角化は、たとえ新規事業がうまくいったとしても成長スピードに加速がつきません。
事業同士の横のつながりがあるからこそ、シナジー効果が期待できるのです。
4・社員が納得できる経営が実現できる
自分たちで目標を設定し、自分たちで実行管理し、自分たちで結果を評価する、そして自分たちで利益を配分する。
社長からのトップダウンではなく社員が自ら対応するので、社員が納得できる経営が実現します。
誰かから与えられたものをこなす方が楽ですが、自分で決めて自分の思い通りにコントロールできる人生の方が楽しいですよね。
それをビジネスでも実現するから、社員が楽しんで取り組むことができるのです。
5・チャレンジする社風が出来上がる
「あまり成長はしていなくても、安定しているからいいや」
それでいいのでしょうか?
「ひとつのピラミッドが出来上がっているから、このままいけば部長止まりだな...」
それだと社員は面白くないですよね。
仕事や職場が楽しければ社員のモチベーションは向上し、新しいアイデアやチャレンジもどんどん湧いてくるでしょう。
もちろん楽しいだけではなく厳しさも大切。
上司や先輩から厳しい意見を投げかけられ、ビジネスの難しさを痛感することもあるでしょう。
でもその経験が社員の糧となり、新しい考える触れることで上司への刺激にもなるのです。
6・「オートマチック経営」が実現する
社員のレベルや業績が自動的に上がっていく経営のことを「オートマチック経営」とよく私は言います。
社長がアクセルとブレーキをコントロールしなくても自動的になんとなくスピードが上がっていくイメージですね。
社長の1馬力で走るのと、5人の5馬力で走るのとでは全然違いますよね。
仮に「力のある社長だから1人で3馬力だ」と言っても、社員が0.5馬力伸ばして1.5馬力を発揮できる環境であれば、社員2人だけでもう3馬力です。
10人集まれば15馬力、20人集まれば30馬力...とどんどん加速していくわけです。
7・結果につながる管理会計が実現する
税務署に納税するための会計なら年に1回の決算で十分ですよね
細かく会計を管理していくことによって毎月修正ができる。
するとなるべく早いタイミングでPDCAを回して対策を講じることができるわけです。
ここも「4・社員が納得できる経営が実現できる」でお話したことにつながりますが、社員が自ら考えて目標設定をし、実行管理していくことで会計の管理もできていくのです。
納税決算のための財務会計ではなく、得たい結果を得ることにつながる管理会計が実現します。
8・多様な視点や考え方が身に付く
上場企業であれば一般の株主がいて、執行役の社長が経営をして配当していく。
つまり株主と経営者が分かれています。
逆に一般的な中小企業の場合は、株を持っている人と経営者が共通の人物になっています。
オーナー社長ですね。
そこを上場企業のように分けましょう。
あえて分けなくても良いです。分けたフリをするでもOK。
ある時は社長の視点で、またある時は株主の視点で物事を考えるということです。
こうすることで資本(オーナーシップ)と経営(マネジメント)を分けて考える力を身につけられます。
社長自身に「社員にまかせて自分は経営から離れる」という感覚がないと、分けて考えることは難しいものです。
まかせられる社員が育つことで、社長に多様な視点が身につきます。
9・余裕が生まれて人生が楽しくなる
オーナー経営者はとにかく忙しいです。
ただでさえ忙しいのに資金繰りもして、もしかしたら営業やクレーム処理までしている人もいるかもしれません。
もちろん、仕事のことだけを考えていれば良いわけではありません。
家庭のことも考え、社員のことも考えていかなければならないのです。
これらを全てオールマイティーに対応することは出来ないでしょう。
まかせられる社員が育ったら、どんどん社員にまかせてみてください。
今まで大変な思いをしていた分、これらの対応から少しずつ解放されると余裕が生まれ社長の人生は変わっていきます。
人生が楽しくなっちゃいますよ。
社長は「社長じゃなきゃいけないこと」「社長じゃなくても良いこと」を整理して、後者を少しずつ切り離していきましょう。
10・やる気のある社員を採用しやすい
やる気がある社員は「任せられたい」「自分で成果を出して褒められたい」そう思っています。
そういう人材が採用できる仕組みは出来ていますか?
「良い人材が欲しい」「うちは人材不足だ」という社長さんに限って仕組みがワンマンだったりします。
だからやる気がなくなったり辞めていったりしてしまう。
言われたことを二つ返事でこなしていればなんとなく給料がもらえる...という仕組みであれば、それで良しという人ばかりになります。
「2・多角化により可能性が広がる」でお話したように、多角化で事業が増えるとその分ポストが増えます。
ポストが増えると、社員の成長や昇進に対するモチベーションアップが期待できる。
良い受け皿があれば良い人材が入ってきて育っていくのです。
11・「脱・孤独感経営」が実現できる
「社長は孤独だ」とよく言います。
なぜ孤独かというと、社長に権限も責任も全て集中するからです。
社内にブレーンのような存在であり、「戦友」のような幹部社員が居ることで、社長特有の孤独感を脱することができます。
しかし、あまりにも力の差がある相手、相談してもなぁ...と思うような相手なら「戦友」にはなれない。
社長に対して意見できる、深いところまで相談ができる、新たな気づきを与えてくれるような、対等に話せる存在であることがポイントです。
「こうした方が会社にとっては絶対良いですよ」「こういう対策をして一緒に乗り切りましょう」こんな話ができる相手がいれば、絶対に孤独は感じません。
そのためには社員にも様々な知識が必要です。
例えば財務の数字がしっかり読めて「この目標に対して、このように進捗している」ということが分かっている。
そうすることで毎月の経営会議で会話が成立する、段々と戦友に近づいていくことができます。
12・究極の安心経営が可能になる
私はどんなに環境の変化があっても、弊社は「なんとかなる」と思っています。
それは事業を分散しているから安心という点ももちろんありますが、それよりも「人が育っているから何とかしてくれる」という思いが土台にあるからです。
仮に自分の身に何かあっても、会社がおかしくなることはまずないでしょう。
ずっと寝込んでしまってよっぼどの重要事項以外の決裁ができない、長期間現場に行くことができないなどという事態になったとしても、むしろそのようが良い方向に動くかもしれないとさえ思います。
安心してまかせられる人が育つ環境づくりが、どのような環境の変化にも柔軟に対応できる究極の安心できる経営につながるのです。
多角化戦略のメリットは社員や社長の幸せにもつながる!
企業の成長を加速させ、なおかつ安定させるための手段のひとつが「多角化経営」です。
多角化戦略の12のメリットについて解説しましたが、多角化経営の大きなメリットは社員や社長の幸せにもつながるということです。
社員や社長が幸せだと、仕事に対するモチベーションアップ、さらには業績アップにも期待できます。
多角化には、今回お話したこと以外にも多くのメリットや期待できる効果があります。
ヤマチユナイテッドでは多角化戦略などの知識を深めるワークショップなどのイベントも随時開催しています。
新規事業への足がかりになるような情報を得たりノウハウを体感できたりすると思いますので、興味を持った方はぜひ参加してみてください。
またシリーズ《連邦・多角化経営概論》では、ヤマチユナイテッドの連邦・多角化経営の仕組みを全4回にわたって解説していますので、こちらも合わせてご参考ください。
第1回:中小企業の活路は多角化戦略に
第2回:社員全員が経営に参加できる、とっておきの仕組み「システム経営」とは?
第3回:多角化のメリットを最大限に引き出す「連邦経営」とは?
第4回:成功する会社には「良い社風」がある。「社風経営」で多角化経営を加速しよう
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Authorこの記事の著者
ヤマチ連邦多角化経営実践塾 塾長
山地 章夫
ヤマチユナイテッド代表。経営を楽しみ、社員700名、50事業・年商256億円の企業グループの舵を取る。本業を中心に事業を次々と立ち上げ、売上げを積み増す「連邦多角化経営」を実践。経営の安定化と人材育成を両立する独自の経営手法が、多くの中小企業経営者の注目を集める。