委員会活動が、多角化人材を育てる!

社員が育つノウハウ

山地 章夫
山地 章夫

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こんにちは、山地です。

「多角化したいけれど、うちには適任者がいない」という悩みの声を聞くことがあります。

確かに、経営者がすべての事業でリーダーシップを発揮することは不可能ですから、多角化が急ピッチで進めば進むほど、経営幹部の育成が急務となります。

人材育成は、多角化経営の一番の悩みどころであり、成功させるために避けては通れないポイントといえるでしょう。

では、多角化した事業を任せられる人材を育てるには、どうしたらいいのでしょう?

経営幹部には「経営者意識」をもってもらう必要がありますが、経営者が自ら経営計画をつくって「言われた通りにやればいい」という姿勢では、部下の経営感覚は磨かれません。

部門ごとあるいはチームごとに既存事業の経営計画をつくらせて、それを社長が承認するという方法をとっている会社もあるでしょう。

確かに、それも方法のひとつですが、私がおすすめしたいのは委員会活動です。

社内に「委員会」を作って、全社員に経営を分担してもらう。

上手に取り組めば、全社員に経営者意識を浸透させることも不可能ではありません。

 

目次

  1. 委員会のテーマは「重要だけれど緊急ではないもの」
    人材育成委員会
    経費削減委員会
    クリーン(社内美化)委員会
    顧客満足委員会
    ライフスタイル委員会
  2. 委員会活動がもたらす3つのメリット
    (1)人材育成が進む
    (2)間接部門の仕事が増えない
    (3)組織を超えてコミュニケーションが活性化する
  3. まずは社内満足系の委員会からスタートを! 
  4. 社員を褒める機会を設けよう
  5. まとめ

1.委員会のテーマは「重要だけれど緊急ではないもの」

私たちの会社では、全ての社員がなんらかの委員会活動に参加しています。

つまり、本業の稼ぐポジションと、委員会のポジションの一人二役を務めているのです。

委員会は5~10人のメンバーで構成されます。

取り組むテーマは、経営要素の中で「重要だけれど緊急ではないもの」が中心です。

委員会ごとに定期的に会合を開いて、会社に活動計画や改善案を提案し、承認されたものは実行に移していきます。

もちろん、必要に応じて活動予算もつけます。

私たちの会社にはさまざまな委員会がありますが、そのうちのいくつかを紹介しましょう。

◎人材育成委員会

内部の力で社員を成長せるをテーマに、内定者研修の企画・実施のほか、新卒入社・中途入社向け研修の実施、知識やスキルアップのための社内勉強会などを開催しています。

◎経費削減委員会

会社のムダをなくすことを目的に、経費削減の啓蒙活動のほか、経費削減に向けた改善アクションを行っています。ひとつの例としては、社屋の照明をLEDに変えることによって、月間3万円、年間36万円の節約を達成したという成果も報告されています。

◎クリーン(社内美化)委員会

社内外の清掃活動の推進やオフィス内のパトロールを実施しています。通常は総務部長などが社内を回って「ここが散らかっているから片づけなさい」と指導するのが一般的です。この場合、社員に「やらされ感」があるため、いくら言っても改善されず、「いたちごっこ」になりがちです。しかし、委員会が活動することによって、社員が自主的に環境の美化に努めようとしてくれます。

◎顧客満足委員会

お客さま向けのイベントを企画するほか、電話対応など接遇・サービスの向上につながる活動を行っています。たとえば、当社で住宅を購入されたお客さまを無料でバーベキュー大会やクリスマスパーティーに招待するといった取り組みも顧客満足委員会の発案で始まったものです。

一般的に、住宅会社は家やマンションは売ったらおしまいで、それ以降、お客さまとの接点はなくなってしまいます。

しかし、当社の場合は、こうした顧客満足につながるようなイベントを積極的に企画・実施してるため、家を建てたあともお客さまに喜んでいただく機会があります。イベントを通じて、お客さま同士の交流が生まれたり、お客さまが知人に「家を建てるなら面白い会社がある」と紹介してくださったりすることもあります。当然それなりのコストとエネルギーはかかりますが、顧客満足委員会では、お客さまに喜んでいただくことにフォーカスしているので、コスト以上のプラス効果をもたらしてくれます。

◎ライフスタイル委員会

当社の住宅部門は「お客さまにライフスタイルを売ろう」というキャッチフレーズを掲げて、家そのものだけではなく、住んだあとのライフスタイルを売ることをモットーとしています。

しかし、それを目指す自分たち社員のライフスタイルを振り返ってみると、「仕事をするか、お酒を飲む程度しかできていない。これではお客さまに理想のライフスタイルを提案することはできない、と。

そうした問題意識から生まれたのが「ライフスタイル委員会」です。

委員会のメンバーは農園を借りて作物を育てたり、どうすればおいしいコーヒーを淹れられるかを研究したり、楽しい人生を満喫する方法を模索しています。

仕事も大事だけれど、お客さまに満足してもらうには自分たちが楽しく過ごすことや遊びも大切だということを再認識するきっかけとなっているようです。

 

2.委員会活動がもたらす3つのメリット

こうした委員会活動を取り入れることによって、私は3つのメリットを得ることができると考えます。

(1)人材育成が進む

一番のメリットは、社員が自発的に良い会社づくりに関わることで、人材育成が進むことです。

当社では、管理職でなくても「委員長」になれるというルールを設けています。

なかには入社1~2年目の若手を委員長に抜擢するケースもあるくらいです。

若手が委員長になれば、自分より社歴が長いメンバーの上に立たなければならないため、リーダーシップやフォロワーシップを学ぶ絶好の機会になります。

委員会の立ち上げ段階に幹部やリーダークラスが委員長を務めるのは構いませんが、経営者や幹部は委員会活動に参加しないことを原則にすべきでしょう。

「顧問」「オブザーバー」という立場で相談に乗るくらいはいいですが、役員や幹部クラスが「これをしなさい」「これはNG」などと指示を始めると、途端に「やらされ感」が生まれ、メンバーはやる気を失ってしまいます。

多角化経営を進めるうえでは、関係者にきちんと根回しをしたり、積極的にアイデアを出したり、主体的に動ける人材が必要になりますが、上司から言われたことをこなすばかりでは、受け身の人材ばかり増えてしまいます。

その点、委員会での活動は、上司の指示を待つのではなく、自主的に動くのが基本なので、自分で考えて実行するような若手が次々と育っていきます。

当社の見学にいらっしゃった方々に「やる気がある社員が多いですね」と言っていただけるのは、委員会を通じてこのような「多角化人材」が育つからだと思います。

委員会は仮に失敗しても、経営に大きなダメージを与えることはありません。

だから、若手にとっては絶好の実験・訓練の場。委員会を人材育成の場として積極的に活用するといいでしょう。

(2)間接部門の仕事が増えない

委員会のしくみを取り入れると、「間接部門の仕事が増えない」というメリットもあります。

委員会では社内美化から人材育成まで、本来なら間接部門で取り組むことが多い経営課題を解決していくことになるので、直接的な利益を生まない間接部門が肥大化することを防ぐことができます。

したがって、よほど困難なテーマ以外は、委員会の仕事に落とし込んでしまうといいでしょう。

なかには「委員会の負担が増えると、利益を出すべき本業がおろそかになるのでは」と心配する方がいるかもしれません。

もちろん、本業がおろそかになっては本末転倒ですが、委員会にかける時間は業務全体の5~10%程度にすぎません。

現実的なことをいえば、100%の時間を稼ぐことだけに充てていると案外退屈するものですし、ずっと集中して仕事ができるわけでもありません。

どんなに仕事ができる人でも、ときどきボーっとする時間や集中できていない時間があるはず。であれば、全体の時間の10%くらいを委員会に充てれば良い気分転換になり、結果的に本業でも100%に近いパフォーマンスを上げられるのではないでしょうか。

(3)組織を超えてコミュニケーションが活性化する

委員会のもうひとつの大事なメリットは、組織に横串を通すことによって、横、あるいは斜めのコミュニケーションが盛んになることです。

これは多角化が進めば進むほど、大きな意味をもってきます。

多角化によって事業が分かれていけば、どうしても縦割りの組織になり、セクト化しがちです。

「自分の事業さえうまくいけばいい」「他の部門が何をやっているか知らない」

というのが当たり前になっていきます。

ところが、委員会はさまざまな事業部門から横断的に人が集まってきます。

単純に他の部署の人と交流するのは楽しいですし、お互いの部門のことも良く分かるため、グループ社員の中に全社員意識が芽生えます。

ある程度の多角化が進んだ会社なら「社内広報委員会」を立ち上げるのをおすすめします。

中小企業でも外に向けた広報を積極的にする会社は多いですが、内部向けの広報は後回しになりがち。総務部が社内広報を担っている会社もありますが、せいぜい人事情報の発表くらいしかできていないのが実状です。

そこで「こんな事業がスタートした」「こんな活動をしている人がいる」といった社内向けの情報を発信する委員会を立ち上げる。紙ベースでもイントラネットでも構いませんが、「社内で何が起きているか」を伝える仕組みがあると、多角化が進んでも、グループとしても一体感を保つことができます。

ちなみに、当社には「視える化委員会」という組織があって、業績やデータなど会社の情報やスローガンをわかりやすくポスターなどにして貼り出すといった活動をしています。

この委員会もまた、多角化したグループの一体感を醸成するのに一役買っています。

 

3.まずは社内満足系の委員会からスタートを!

初めて社内で委員会を立ち上げるという場合、テーマは経営課題の中から経営者が幹部と一緒に決めるといいでしょう。

委員会の仕組みが定着すれば、いずれは社員の間から主体的に「こんな委員会をやりたい」という声があがるようになりますが、立ち上げ段階では、経営陣主導で「こういう委員会をやってほしい」と提案するかたちで構いません。

ただし、まずは立ち上げやすい委員会からスタートするのが成功のコツです。

私がおすすめするのは、社員満足系の委員会。当社には「社員満足委員会」という委員会があって、社内イベントや交流会、懇親会などの企画と運営を担っています。

要は、飲み会や社員旅行、花見などの企画を実施させるのです。

会社の予算を使って、社員が自ら楽しめるようなイベントを企画するわけですから、自主的に関わってくれるでしょう。

大切なのは、社員に「やらされ感」を抱かせないことです。

「余計な仕事が増えた」「私はこんな仕事をするためにこの会社に入ったわけではない」という気持ちが払拭されなければ、委員会の仕組みは根づきません。

飲み会などの社内イベントの場合、各部署から「宴会部長」タイプの社員を5~10人集めれば、とりあえず委員会制度をスタートさせることができます。

このように立ち上げやすい委員会実績をつくり、その効果を実感したあとだと、そのほかの委員会も増やしやすくなるはずです。

 

4.社員を褒める機会を設けよう

委員会を通じて、良い会社づくりに自発的に関わることの楽しさを社員に知ってもらうと同時に、経営陣がその活動を評価したり、称賛してあげたりすることもメンバーのモチベーションの維持につながります。

当社では、経営幹部の前で、委員長や副委員長に1年間の活動や成果を発表してもらう場を設けて、すばらしい活動や成果は手放しで褒めます。

委員長にはわずかばかりの手当てもつきますが、私の経験からいえば、彼らのモチベーションはお金ばかりではありません。称賛や評価が原動力となるのです。

 

5.まとめ

事業が多角化すればするほど、組織は縦割りに分断されがちです。

グループ横断型の委員会活動は、そうした縦割り組織にきっと風穴を開けてくれるでしょう。

また、社員一人ひとりの当事者意識、経営参加意識の醸成にも役立ちます。

自分たちで問題を発見し、その解決に取り組むなかで、自主目標・自主管理というシステム経営の基本が自然に身につくからです。

あなたの会社が多角化を進めているなら、ぜひ委員会の導入を検討してみてください。

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