会社の委員会活動の実例とは?社内委員会の目的・役割・メリットも確認

採用・育成

山地 章夫
山地 章夫

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こんにちは、ヤマチユナイテッド代表の山地です。

「多角化したいけれど、うちには適任者がいない」という悩みの声を聞くことがあります。

確かに、経営者が全ての事業でリーダーシップを発揮することは不可能ですから、多角化が急ピッチで進めば進むほど、経営幹部の育成が急務となります。

人材育成は、多角化経営の一番の悩みどころであり、成功させるために避けては通れないポイントといえるでしょう。

では、多角化した事業を任せられる人材を育てるには、どうしたら良いのでしょう?

私がおすすめしたいのは委員会活動の導入です。

今回は、会社を活性化させるヤマチの委員会活動の実例をご紹介。

あわせて、会社における委員会活動の目的・役割から、委員会活動を行うメリットについても解説します。

目次

  1. 会社における委員会活動とは?その目的・役割から確認
  2. 会社を活性化させるヤマチの委員会活動の実例
  3. 会社の委員会活動がもたらす7つのメリット
  4. 会社で委員会を立ち上げる際のポイント
  5. 会社の委員会活動の実例を参考に導入し、多角化人材を育てよう!

会社における委員会活動とは?その目的・役割から確認

多角化した事業を任せられる人材を育てるために、経営幹部には「経営者意識」を持ってもらう必要があります。

ですが、経営者が自ら経営計画をつくって「言われた通りにやれば良い」という姿勢では、部下の経営感覚は磨かれません。

部門やチームごとに既存事業の経営計画をつくらせて、それを社長が承認する方法をとっている会社もあるでしょう。

確かにそれも一つの方法ですが、効果的な方法としておすすめしたいのが委員会活動です。

会社における委員会活動とは、部署の垣根を越えて社員が集まり、日常業務とは別の視点から会社の課題やテーマに取り組む制度です。

参加者は、緊急性は低いものの、将来的に重要となるテーマに中長期的な視点で関わり、経営への理解を深めながら組織の改善や仕組みづくりに貢献します。

ヤマチユナイテッドでは委員会活動には次のような役割があると考えています。

  • 成長機会の醸成
  • 間接部門の仕事の受け皿
  • 事業間コミュニケーションの活性化

委員会活動は単なる任意の活動ではなく、業務の一環として位置づけられています。

社員にとって成長機会となると同時に、将来の幹部人材を育てる場ともなっています。

あわせて、委員会が各部署の抱える業務の中でも、特に間接部門に関連する取り組みや全社的な課題の受け皿となる役割も果たすことで、業務効率化にもつながります。

さらに、異なる事業や部署に所属する社員同士が関わり合うことで、社内のコミュニケーションが活性化され、組織全体の連携力向上にもつながるのです。

社内に「委員会」を作って、全社員に経営を分担してもらう。
上手に取り組めば、全社員に経営者意識を浸透させることも不可能ではありません。



会社を活性化させるヤマチの委員会活動の実例

ヤマチユナイテッドにはさまざまな委員会がありますが、そのうちのいくつかの活動内容を紹介しましょう。

人材育成委員会

「内部の力で社員を成長させる」をテーマに、内定者研修の企画・実施のほか、新卒入社・中途入社向け研修、社内勉強会などを実施し、社員の知識やスキルアップに取り組んでいます。

経費削減委員会

会社のムダをなくすことを目的に、経費削減の啓蒙活動や改善アクションを行なっています。

一つの例としては、職場の照明をLEDに変えることによって、月間3万円、年間36万円の節約を達成したという成果も報告されています。

クリーン(社内美化)委員会

社内外の清掃活動を推進し、オフィス内のパトロールを実施しています。

通常は総務部長などが社内を回って「ここが散らかっているから片づけなさい」と指導するのが一般的ですよね。

その場合、社員に「やらされている感」があるため、いくら言っても改善されず「いたちごっこ」になりがちです。

しかし、委員会が主体的に美化活動を行うことによって、社員が自主的に職場環境の美化に取り組むようになります。

顧客満足委員会

お客様向けのイベントを企画するほか、電話対応など接遇・サービスの向上につながる活動を行なっています。

例えば、当社で住宅を購入されたお客様を対象に、無料でバーベキュー大会やクリスマスパーティーに招待するといった取り組みも、顧客満足委員会の発案で始まったものです。

一般的に、住宅会社は家やマンションは売ったらおしまいで、それ以降、お客様との接点はなくなってしまいます。

しかし、ヤマチユナイテッドの場合は、こうした顧客満足につながるようなイベントを積極的に企画・実施しているため、家を建てたあともお客様に喜んでいただく機会があります。

イベントを通じて、お客様同士の交流が生まれたり、お客様が知人に「家を建てるなら面白い会社がある」と紹介してくださったりすることもあります。

当然、それなりのコストとエネルギーはかかりますが、顧客満足委員会では、お客様に喜んでいただくことにフォーカスしているので、コスト以上のプラス効果をもたらしています。

ライフスタイル委員会

ヤマチユナイテッドの住宅部門は「お客様にライフスタイルを売ろう」というキャッチフレーズを掲げて、家そのものだけではなく、住んだあとのライフスタイルを売ることをモットーとしています。

しかし、社員が自分たちのライフスタイルを振り返ってみると、「仕事をするか、お酒を飲む程度しかできていない」「これではお客様に理想のライフスタイルを提案することはできない」という課題に気づきました。

そうした問題意識から生まれたのが「ライフスタイル委員会」です。

委員会のメンバーは農園を借りて作物を育てたり、どうすればおいしいコーヒーを淹れられるかを研究したり、楽しい人生を満喫する方法を模索しています。

仕事も大事だけれど、お客様により良いライフスタイルを提供し満足してもらうには、自分たちが楽しく過ごすことや遊び心も大切だということを再認識するきっかけとなったようです。


また、ヤマチユナイテッドでは、社員が社風作りに関わる「社風向上委員会」という委員会活動もあります。

詳しくは下記コラムでご紹介しているので、ぜひご覧ください。

良い社風とは?メリットや作り方を解説!「社風経営」で多角化経営の加速化を



会社の委員会活動がもたらす7つのメリット

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序盤で委員会活動には次のような役割があることを述べました。

  • 成長機会の醸成
  • 間接部門の仕事の受け皿
  • 事業間コミュニケーションの活性化

委員会活動を取り入れることによって、こうした役割から次の7つのメリットを得ることができると考えます。

委員会活動のメリット①リーダーを任せられる人材が増える

一番のメリットは、社員が自発的に良い会社づくりに関わることで、人材育成が進みリーダーを任せられる人材が増えることです。

ヤマチユナイテッドでは、管理職でなくても「委員長」になれるというルールを設けています。

中には、入社1~2年目の若手を委員長に抜擢するケースもあるくらいです。

若手が委員長になれば、自分より社歴が長いメンバーの上に立たなければならないため、リーダーシップやフォロワーシップを学ぶ絶好の機会になります。

委員会の立ち上げ段階に幹部やリーダークラスが委員長を務めるのは構いませんが、経営者や幹部は委員会活動に参加しないことを原則にすべきでしょう。

「顧問」「オブザーバー」という立場で相談に乗るくらいは良いですが、役員や幹部クラスが「これをしなさい」「これはNG」などと指示を始めてしまうと、途端に「やらされ感」が生まれ、メンバーはやる気を失ってしまいます。

多角化経営を進める上では、関係者にきちんと根回しをしたり、積極的にアイデアを出したり、主体的に動ける人材が必要になります。

上司から言われたことをこなすばかりでは、受け身の人材ばかり増えてしまいます。

その点、委員会での活動は、上司の指示を待つのではなく、自主的に動くのが基本なので、自分で考えて実行するような若手が次々と育っていきます。

ヤマチユナイテッドの見学にいらっしゃった方々に「やる気がある社員が多いですね」と言っていただけるのは、委員会を通じてこのような「多角化人材」が育つからだと思います。

委員会は仮に失敗しても、経営に大きなダメージを与えることはありません。

だからこそ、若手にとっては絶好の実験・訓練の場になります。

委員会を人材育成の場として積極的に活用すると良いでしょう。

委員会活動のメリット②重要だけど急ぎではない課題を解決できる

委員会の仕組みを取り入れると、重要だけど急ぎではない課題を解決できるというメリットもあります。

ヤマチユナイテッドでは社員全員が何らかの委員会活動に参加しているので、本業の稼ぐポジションと、委員会のポジションの一人二役を務めている事になるわけです。

委員会は5~10人のメンバーで構成されます。

取り組むテーマは、経営要素の中で「重要だけれど緊急ではない内容のもの」が中心です。

委員会ごとに定期的に会合を開いて、会社に活動計画や改善案を提案し、承認されたものは実行に移していきます。

もちろん、必要に応じて活動予算もつけます。

委員会では社内美化から人材育成まで、本来なら間接部門で取り組むことが多い経営課題を解決していくことになるので、直接的な利益を生まない間接部門が肥大化することを防ぐことができます。

したがって、よほど困難なテーマ以外は、委員会の仕事に落とし込んでしまうと良いでしょう。

「委員会の負担が増えると、利益を出すべき本業がおろそかになるのでは?」と心配する方がいるかもしれません。

もちろん、本業がおろそかになっては本末転倒ですが、委員会にかける時間は業務全体の5~10%程度にすぎません。

現実的なことをいえば、100%の時間を稼ぐことだけに充てていると案外退屈するものですし、ずっと集中して仕事ができるわけでもありません。

どんなに仕事ができる人でも、ときどきボーっとする時間や集中できていない時間があるはず。

であれば、全体の時間の10%くらいを委員会に充てれば良い気分転換になり、結果的に本業でも100%に近いパフォーマンスを上げられるのではないでしょうか。

委員会活動のメリット③セクト化を防ぎグループの全社意識が芽生える

委員会活動のもう一つの大事なメリットは、組織に横串を通すことによって、横、あるいは斜めのコミュニケーションを強化できることです。

これは多角化が進めば進むほど、大きな意味を持ってきます。

多角化によって事業が分かれていけば、どうしても縦割りの組織になり、セクト化しがちです。

「自分の事業さえうまくいけば良い」「ほかの部門が何をやっているか知らない」というのが当たり前になっていきます。

ところが、委員会はさまざまな事業部門から横断的に人が集まってきます。

単純にほかの部署の人と交流するのは楽しいですし、お互いの部門のことも良くわかるため、グループ社員の中に全社員意識が芽生えます。

ある程度の多角化が進んだ会社なら「社内広報委員会」を立ち上げるのをおすすめします。

中小企業でも外に向けた広報を積極的にする会社は多いですが、内部向けの広報は後回しになりがち。

総務部が社内広報を担っている会社もありますが、せいぜい人事情報の発表くらいしかできていないのが実状です。

そこで「こんな事業がスタートした」「こんな活動をしている人がいる」といった社内向けの情報を発信する委員会を立ち上げる。

紙ベースでもイントラネットでも構いませんが、「社内で何が起きているか」を伝える仕組みがあると、多角化が進んでも、グループとしても一体感を保つことができます。

ちなみに、ヤマチユナイテッドには「視える化委員会」という組織があって、業績やデータなど会社の情報やスローガンをわかりやすくポスターなどにして貼り出すといった活動をしています。

この委員会もまた、多角化したグループの一体感を醸成するのに一役買っています。

委員会活動のメリット④専門性を生かした判断が可能になる

委員会には多様なバックグラウンドを持つメンバーが参加するため、特定のテーマについて多角的に検討できる点も大きな利点です。

それぞれの知識や経験を持ち寄ることで、より質の高い意思決定が実現しやすくなります。

委員会活動のメリット⑤組織運営の透明性と信頼性を高める

委員会を通じた議論や決定が文書として残されることで、組織としての意思決定プロセスが明確になります。

これにより、ステークホルダーに対する説明責任を果たしやすくなり、組織の透明性や信頼性が高まります。

委員会活動のメリット⑥知識共有と学びの機会にもなる

定期的な委員会活動を通じて、部門や職種を越えた情報交換や学びの機会が生まれます。

このような交流は、組織全体の知見を深め、変化に強い柔軟な組織づくりにもつながります。

委員会活動のメリット⑦組織の持続的成長に寄与する

委員会では、目の前の業務とは別に、会社の将来に向けた中長期的な課題にも取り組むことができます。

リスクの洗い出しやルールの見直し、戦略の提言など、会社の持続的な成長に向けた基盤づくりを担う場としても、重要な役割を果たします。



会社で委員会を立ち上げる際のポイント

最後に実際に社内で委員会を立ち上げる場合のポイントについてご紹介します。

社内満足系の委員会からスタートする

初めて社内で委員会を立ち上げるという場合、テーマは経営課題の中から経営者が幹部と一緒に決めると良いでしょう。

委員会の仕組みが定着し、うまく機能すれば、いずれは社員の間から主体的に「こんな委員会をやりたい」という声があがるようになります。

立ち上げ段階では、経営陣主導で「こういう委員会をやってほしい」と提案するかたちで構いません。

ただし、まずは立ち上げやすい委員会から設置するのが成功のコツです。

私がおすすめするのは、社員満足系の委員会。

当社には「社員満足委員会」という委員会があって、社内イベントや交流会、懇親会などの企画と運営を担っています。

要は、飲み会や社員旅行、花見などの企画を実施させるのです。

会社の予算を使って、社員が自ら楽しめるようなイベント作りをするわけですから、自主的に関わってくれるでしょう。

大切なのは、社員に「やらされ感」を抱かせないことです。

「余計な仕事が増えた」「私はこんな仕事をするためにこの会社に入ったわけではない」という気持ちが払拭されなければ、委員会の仕組みは根づきません。

飲み会などの社内イベントの場合、各部署から「宴会部長」タイプの社員を5~10人集めれば、とりあえず委員会制度をスタートさせることができます。

このように立ち上げやすい委員会実績をつくり、その効果を実感したあとだと、そのほかの委員会も増やしやすくなるはずです。

委員会活動を通じて社員を褒める機会を設ける

委員会を通じて、良い会社づくりに自発的に関わることの楽しさを社員に知ってもらうと同時に、経営陣がその活動を評価・称賛する仕組みも大切です。

これはメンバーのモチベーションの維持にもつながります。

ヤマチユナイテッドでは、経営幹部の前で、委員長や副委員長に1年間の活動や成果を発表してもらう場を設けています。

そして、すばらしい活動や成果に対して、手放しで褒めます。

委員長にはわずかばかりの手当ても支給されますが、私の経験からいえば、彼らのモチベーションはお金ばかりではありません。

称賛や評価が原動力となるのです。


委員会活動の立ち上げや見直しについて詳しく知りたい方は、下記コラムもあわせてご覧ください。

委員会活動の立ち上げは社員参加型経営の第一歩!導入のコツを解説

成果につながる「社内委員会」設計のポイントって?



会社の委員会活動の実例を参考に導入し、多角化人材を育てよう!

会社における委員会活動は、経営者意識を社員に浸透させるための重要な仕組みです。

委員会活動では、部署間の壁を越えて社員が協力し、会社の課題に取り組みます。

これにより、社員は中長期的な視点で経営への理解を深め、組織の改善に貢献します。

例えば、人材育成委員会、経費削減委員会、顧客満足委員会などがあり、社員同士の交流を促進し、組織の連携力を高めます。

委員会活動のメリットには、リーダーシップの育成、重要課題の解決、セクト化の防止、専門性を生かした判断が可能になることなどが挙げられます。

委員会活動は社員の成長機会を提供し、持続的な組織の成長にも寄与します。

委員会を成功させるためには、まずは取り組みやすい社内満足系の委員会を立ち上げ、社員の自発的な参加を促すことが重要です。


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