事業多角化する理由とは?ヤマチの新規事業事例や組織定着の4段階を紹介

多角化・新規事業

山地 章夫
山地 章夫

こんにちは、ヤマチユナイテッド代表の山地です。

 

事業を多角化し、企業の成長につなげたいと考えている経営者の方は多いのではないでしょうか。

そもそも事業多角化とは、企業が既存事業の枠を超え、新たな製品やサービスを新たな市場に展開することで、さらなる成長を目指す経営戦略のことです。

 

ヤマチユナイテッドの実質的な始まりは、建材卸売会社でした。

そこから、輸入住宅事業、住宅ボランタリーチェーン事業などに挑戦し、現在に至ります。

 

今回は、中小企業が事業を多角化する理由や方法を解説。

あわせて、ヤマチユナイテッドにおける新規事業の事例や、新規事業開発を組織に定着させる4つの段階をご紹介します。

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目次

  1. 事業多角化する理由は?4つの目的を解説

  2. 事業多角化はどう進める?3つの方法を紹介

  3. 新規事業をどう形にする?ヤマチの事業多角化事例とポイントをご紹介

  4. 事業多角化に向けた新規事業開発を組織に定着させる4つの段階

  5. 事業を多角化することで、自社の強みを生かして新たな成長を目指そう

事業多角化する理由は?4つの目的を解説

ヤマチユナイテッドは多角化によって事業を広げ、規模を拡大してきました。

まずは、アンゾフの成長マトリクスを使って、事業多角化の位置付けを解説します。

アンゾフの成長マトリクスとは、「市場(既存・新規)」と「製品(既存・新規)」の組み合わせから、企業の成長戦略を4つに分類するフレームワークです。

 

4つの分類うち「多角化」は、アンゾフの成長マトリクスでいうと「新規市場」と「新規製品」を組み合わせた戦略に位置付けられます。

既存事業とは異なる市場へ、新たな商品やサービスを展開するため、4つの戦略の中では最も挑戦的な手法とされています。

一方で、新たな収益源の獲得や事業拡大につながる可能性があり、企業の成長を後押しする戦略の一つでもあります。

アンゾフのマトリクスの活用事例については「アンゾフの成長マトリクスとは?ヤマチの多角化事例や新規事業発想法を紹介」のコラムもあわせてご覧ください。

 

多角化戦略はさらに、既存事業との関連性や進出する領域によって、「水平型」「垂直型」「集中型」「集成型」の4つに分類されます。

それぞれ活用する経営資源や期待できる効果、リスクの大きさが異なるため、自社の強みや経営方針に合わせて選択することが重要です。

 

多角化戦略の基本的な考え方やメリットについては、「多角化経営とは?多角化戦略のメリットと成功へ導くポイント」も参考にしてください。

 

ヤマチユナイテッドが事業を多角化する4つの理由

では、なぜヤマチユナイテッドは「事業多角化」をするのか?

その理由として、ヤマチユナイテッドでは、事業を取り巻く課題と関係する4つの点を挙げています。

 

事業多角化する理由①規模拡大

既存事業が好調であっても、市場の成熟などによって成長曲線が緩やかになる場合があります。

まして既存事業の利益率があまり高くない場合、同じ事業を続けるだけでは業績アップを見込めません。

これから会社の規模を拡大していこうと考えるなら、既存事業の改善に加え、利益率の高い新規事業に取り組み、全体の業績を上げていかなくてはならないのです。

 

ヤマチユナイテッドの建材卸業の場合、卸売りだけでは数パーセントだった利益率を、オリジナル建材の開発や販売先の拡大などにより、十数パーセントまで引き上げることができました。

新規事業開発は、既存事業との組み合わせによって付加価値を生むことにつながり、利益率を上げる工夫の一つでもあるのです。

 

事業多角化する理由②リスク分散

新型コロナウイルス感染症の流行などを通じて、リスク分散の重要性を実感した中小企業経営者の方も多いのではないでしょうか。

かくいう私もその一人です。

企業として大きな環境変化に備える上で、単一事業への依存に不安を感じることもあります。

異なる業種、異なるビジネスモデルで事業ポートフォリオを組んでおくことで、会社を支える柱を2本、3本、4本と増やすことができるでしょう。

もしどれかの事業が打撃を受けても、ほかの事業でカバーすることが可能になります。

 

事業多角化する理由③社員のやりがい向上

事業が増えるに伴って、新たな役割やポストも増えます。

社員に早い段階から役職を付け、役割を増やして、少しレベルの高い仕事に挑戦できる環境を整えることが成長につながり、やりがいを感じて働いてくれるようになります。

 

ヤマチユナイテッドでは、介護事業から派生したフィットネスジム「O-STYLE(オースタイル)」を展開しており、1号店開業時の店長は新卒2年目の若手社員に任せるなど、若手社員が活躍。

1号店の店長は元々介護事業のスタッフでしたが、フィットネスフィットネスという新規事業ができたことによって新しい領域にチャレンジする機会を得て、やりがいを感じながら一生懸命仕事に取り組んでくれました。

事業拡大に伴って、ポストのほかに管理すべきことや思考すべきことも多くなり、チャレンジングな事案も増えます。

社員の成長のスピード感や視野の広がり方は、既存事業だけをやっているときと比べると、多角化したときのほうが確実に大きく進歩するでしょう。

また、既存事業の強みを整理しながら、これまでと違うビジネスモデルに取り組む経験は、自分たちで新しいものを生み出す力がかなり身につくはずです。

 

事業多角化する理由④権限委譲を進めて経営者の負担を減らし、本来の仕事に専念する

経営者は日々さまざまな領域にアンテナを張っており、「あんなことをやりたい」「こんなことをやりたい」と多くのアイデアを持っている方もいるでしょう。

新規事業を増やして多角化すると、業務や判断事項も増えるわけですが、経営者だけで抱え込まず、適切に役割を分担することが重要になります。

経営者のやりたいことを実現するためにも権限委譲の仕組みを整え、任せられることはどんどん社員に任せていきましょう。

経営者自身の負担を軽くした上で、経営判断や将来構想など、本来担うべき経営者の役割に時間を使えるようになるのではないでしょうか。

 

ヤマチユナイテッドでは社員全員参加型のシステム経営を取り入れているので、事業部ごとの経営計画策定は現場の社員に任せています。

多角化に伴って権限委譲を進めるには、ここがおそらくキーポイントで、仕事を任せる風土、権限の範囲、理念の共有、人材育成などの環境を整えることが重要です。

こうした条件が整っていない場合、多角化しても仕事を十分に任せられず、経営者の負担が軽減されにくくなることがあります。

事業多角化にあたっては、新規事業の開発とあわせて、権限委譲の仕組みや人材育成を進める必要があると考えています。

中小企業にとっても、多角化経営・多角化戦略は、自社の経営資源やリスクを踏まえて取り組む価値のある選択肢の一つです。

 

中小企業が多角化を検討する際の考え方については、ヤマチユナイテッドの事例とともにこちらのコラムでご紹介していますので、あわせてご確認ください。

中小企業はなぜ多角化すべきか?ヤマチの事例に学ぶ成長戦略のヒント

 

事業多角化はどう進める?3つの方法を紹介

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事業多角化では、既存事業で培った技術やノウハウ、顧客基盤などの強みを新規事業でも生かせるかが重要なポイントとなります。

既存事業とのシナジーを生み出せるほど、多角化の成功につながる可能性を高められるでしょう。

シナジー効果とは、複数の事業を組み合わせることで、単独で展開する場合よりも大きな成果が期待できる状態を指します。

シナジー効果を高めるためのグループ連携の仕組みについては、「シナジー効果を生み出す多角化企業の成長戦略!効果的なグループ連携会議の設計と運営方法」でも詳しく解説しています。

 

事業多角化の方法として、ここでは大きく3つご紹介します。

 

事業多角化する方法①フランチャイズ加盟

ヤマチユナイテッドのイベント業も、フランチャイズ加盟から始まりました。

すでに確立された事業モデルや運営ノウハウを活用できるので、事業の立ち上げに必要な仕組みを早い段階から取り入れられます。

また、仕組み化された運営ノウハウが、既存事業の改善につながることもあります。

「このやり方は良いな」と思ったら、それを既存事業にも取り入れ、自社の状況に合わせて生かすと良いでしょう。

運営ノウハウがパッケージ化されているため、既存人材を活用できるのはもちろん、新たに採用した人材も事業運営に参加しやすい場合があります。

異なる経験を持つ人材が加わることが、組織に新たな視点をもたらし、良い刺激となるでしょう。

 

ヤマチユナイテッドでは家庭用レンタル事業がフランチャイズ加盟したところから始まりました。

2022年から教育事業に参入し、英語とタイピングを組み合わせた子ども英語教室「アクティメソッド」のフランチャイズに加盟。

2022年2月にはアクティメソッド札幌初となる「札幌宮の森校」を開校し、2026年7月時点で「札幌駅北口校」「東札幌校」「札幌新琴似校」を展開しています。

 

ちなみに、自社のオリジナル事業が成功したら、そのノウハウをフランチャイズパッケージとして他社に提供し、フランチャイズ本部を運営することも、事業多角化の方法の一つです。

 

ヤマチユナイテッドでは、グループが展開する法人向けフランチャイズサービスとして、以下のフランチャイズ事業を展開し、本部を構えています。

 

直営事業とフランチャイズ本部を並行して運営するには、BtoBとBtoCの両方に対応するノウハウを確立しておく必要はあります。

一方、イチから新規事業を立ち上げる場合と比べて、既存事業で蓄積した商品や運営のノウハウを生かしながら、多角化に臨むことができます。

 

事業多角化する方法②M&A活用

ヤマチユナイテッドのM&A事例は多くありませんが、M&Aも事業多角化の手法の一つです。

M&Aは、成長戦略や企業再生に加え、後継者不在の企業から事業を引き継ぐ手段としても活用されています。

2014年5月にヤマチユナイテッドグループに参画した「株式会社沼田椅子製作所」は、2022年2月1日に「ジョンソンホームズ(インテリア事業部)」と吸収合併による経営統合を行いました。

合併後、オーダーソファ専門ブランド「blocco(ブロッコ)」の事業はジョンソンホームズが引き継いでいます。

 

M&Aによる多角化を視野に入れる場合は、専門の仲介会社に登録するほか、銀行や同業者に相談しておくことで、M&Aに関する情報が入ってくる可能性があります。

ネット上の無料情報サイトもありますから、情報収集も兼ねて一度見てみると良いでしょう。

 

M&Aでは異なる企業を統合するため、成立後に企業文化や経営方針、業務プロセスなどをすり合わせる必要があります。

期待されるシナジーだけでなく、統合に必要な負担やリスクも踏まえて検討をしましょう。

 

ヤマチユナイテッドの場合は、システム経営を一から学ぶ外部向け研修「連邦多角化経営実践塾」を用意しています。

沼田椅子製作所の幹部陣に参加してもらい、理念共有から経営手法のノウハウまでしっかり伝えることができました。

 

このように、M&A成立後の統合を進める仕組みを用意しておくことで、経営方針の違いによる混乱を抑えやすくなります。

 

また、M&Aとは別に、業務提携(アライアンス)によって他社の技術や販路を活用しながら、新たな事業へ参入する方法もあります。

M&Aは他社の事業基盤を比較的短期間で取り込める可能性がある一方、業務提携は資本関係を伴わずに他社の技術や販路を活用できる点が特徴です。

必要な投資やリスクは、契約内容や提携の範囲によって異なります。

多角化を検討する際は、それぞれの特徴を理解した上で、自社の目的に合った手法を選ぶことが重要です。

 

事業多角化する方法③新規事業の自社開発

自社で新規事業を開発する方法も有力な選択肢です。

自社が持つ経営資源やビジネスモデルを組み合わせやすく、掛け算でいろいろな事業が生まれることや、中間プロセス排除、近隣事業進出、垂直・水平展開も自由という点は、大きなメリットだと思います。

 

また、休眠資産の活用方法を考えることも新規事業につながる可能性を秘めています。

自社開発であっても、必要に応じてコンサルタントなどの外部専門家を活用することもおすすめです。

 

フランチャイズ本部を構築する場合は、フランチャイズに詳しい専門家や関連団体などに相談する方法もあるでしょう。

新規事業を立ち上げる際は、最初から大規模な投資を行うのではなく、まずは小規模にスタートして市場の反応や事業性を検証する「スモールスタート」の考え方も有効です。

初期投資を抑えながら成果や課題を確認し、手応えを得られた段階で事業を拡大していくことで、リスクを抑えながら成長を目指せます。

 

ヤマチユナイテッドでは「ジョンソンホームズ」の「COZY」「アメカジ工務店」といった各ブランドは、社員が起案して事業化してきました。

社員が新規事業を提案できる環境を作っておくことも大切です。

 

新規事業開発の進め方については、「新規事業立ち上げのプロセスとは?多角化を成功へ導くステップを解説」もあわせてご覧ください。

【コラム内設置用】連邦多角化経営実践塾.png

 

新規事業をどう形にする?ヤマチの事業多角化事例とポイントをご紹介

ヤマチユナイテッドがこれまでに立ち上げた新規事業の事例を紹介します。

※2026年7月時点の情報です

 

事例1:The JOHNSON BURGER

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ジョンソンホームズが運営するハンバーガーショップ「The JOHNSON BURGER」の事例です。

inZONE TABLE」で培った飲食事業のノウハウを生かし、「グルメバーガーを展開したい」というアイデアが、事業責任者をはじめとする現場から以前より挙がっていました。

しかし、顧客ニーズを踏まえて検討した結果、採算が見込めないことや、「inZONE TABLE」の立地条件が適していないことから、事業化が見送られていました。

それでも彼らは諦めず、「さっぽろオータムフェスト」などの食のイベントに出店する際はハンバーガーもメニューに加えて実績を重ねました。

SNSでも反響が得られ、手応えを感じていた頃、ちょうどチャンスが訪れたのです。

「札幌ステラプレイスに空きが出たから入りませんか」とお声がかかり、会社側としても「バーガーの反響が良かったからやってみようか」という流れで、ついに店舗がオープン。

運が良かったのもありますが、何度も提案が棄却になっても諦めずにイベント出店で実績を重ね、調理技術や運営人材など、事業化に必要な準備を整えていたことが大きかったと思います。

むしろ、満を持して準備を整えていたからこそ、チャンスが訪れたときにすぐ動くことができて、結果的に「運を引き寄せた」と言っても良い出来事だといえるでしょう。

 

この事例は、幹部や社員が新規事業案をいつでも出しやすい環境にしてあり、先輩のプレゼンを見ながら社員も事業を作る練習をしてきたことの賜物だろうと思います。

そして、棄却されても事業案を作り続けていたことで、出店の機会が訪れた際にこれまで積み重ねてきたものをパッとまとめて、パッと事業計画を出すことができ、具体的な提案につなげることができました。

 

【事業多角化のポイント】

既存事業の強みを生かし、シナジーを生み出した
「inZONE TABLE」で培った飲食事業のノウハウ、技術、人材を生かしたことが、新たな業態に挑戦する土台となった

現場発のアイデアを段階的に検証した
現場のアイデアを起点に、イベント出店を通じて顧客の反応を確かめながら実績を積み重ねたことで、出店の機会が訪れた際にも迅速な事業化につなげられた

 

事例2:O-STYLE

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「事業多角化する理由」でも紹介した、フィットネスジム「O-STYLE」の事例です。

ヤマチユナイテッドの主軸事業の一つである「きたえるーむ」は、機能訓練専門のデイサービスです。

「きたえるーむ」はフランチャイズ展開に加えて、直営店も運営しています。

その店舗運営のノウハウを生かし、健康分野で新たな可能性を探ろうとしたことが、「O-STYLE」誕生のきっかけの一つです。

 

もう一つは、「『きたえるーむ』とのシナジー効果が得られる事業にしたい」という考え方です。

実は「『きたえるーむ』で働く柔道整復師のマッサージ技術を強みにした事業ができないか」という構想が以前からありました。

「フィットネス、ダンス、マシントレーニングに加え、マッサージまで受けられる複合型ジムは良い形態じゃないか」ということで事業計画が動き出しました。

複合型にすることで、健康に関わるさまざまな発想やサービスを取り入れていけるところも魅力的です。

 

「きたえるーむ」と「O-STYLE」の間で人材を共有する場合は、各事業の運営に支障が出ないよう、勤務時間を調整する必要があります。

「きたえるーむ」で柔道整復師の手が空く時間に「O-STYLE」でマッサージをしてもらうという、パズルのようなスケジュール調整は必要ですが、人材の専門性や稼働時間を事業横断で生かすことができ、スタッフの時間を有効に使うことができます。

 

さらに、「きたえるーむ」は直営・フランチャイズ(FC)店舗合わせて全国140店舗以上を展開しているので、各地域で行う市場調査のノウハウを「O-STYLE」に応用しやすいメリットもあります。

このように、事業部同士が連携し、新規事業立ち上げの協力体制ができるのも、「連邦多角化経営」の良いところだと思います。

 

【事業多角化のポイント】

既存事業の強みを生かし、シナジーを追求した
「きたえるーむ」の運営ノウハウや専門的な知見、市場調査の経験などを新規事業の立ち上げに生かし、独自性のある事業づくりにつなげた

事業部間の連携体制を構築した
人材やノウハウを事業部横断で共有し、新規事業を支える仕組みを整えたことが事業化を後押しした

 

多角化の成功例・失敗例について詳しく知りたい方は、「事業の多角化戦略の失敗例・成功例とは?成功させる条件もご紹介」もあわせてご覧ください。

 

事業多角化に向けた新規事業開発を組織に定着させる4つの段階

新規事業開発は、組織として継続的に新しい事業を生み出せる体制をつくることも重要です。

 

ヤマチユナイテッドでは、社長一人が担う段階から、幹部、そして現場の社員へと主体を広げていく流れを、以下の4つの段階に整理しています。

 

1. 社長が発想し、社長自身が着手する

最初の段階では、経営者が自らのアイデアを実現するため、自ら新規事業の立ち上げに着手します。

 

2.社長が発想し、社長命令で幹部以下の社員が着手する

社長が構想した事業について、社長命令として幹部以下の社員に進めてもらいます。

※第1段階と第2段階は、経営者が主導するトップダウンで新規事業を推進する段階です。

 

3.社長が発想し、社長と幹部で相談して着手する

社長のアイデアに対して幹部に感想やアドバイスを求め、相談しながら事業化の検討を進めます。

第2段階から第3段階へ移行するのは、けっこう大変かもしれません。

それまでトップダウンで進めてきた場合、幹部に相談する形へ切り替えることで、事業に対して意見の違いから反対・反発されるケースもよくあるようです。

新規事業開発に向けた視察には、可能であれば幹部にも同行してもらい、情報や気付きを共有します。

検討の初期段階から幹部を少しずつ巻き込み、参加してもらうことで「一緒にやっているんだ」という形を取り、幹部も新規事業を自分ごととして捉えやすくなるように仕向ける...。

このように言えばずるいようですが(笑)

幹部といろいろな話を共有するにつれて、少しでも前向きな発言が出てきたら、「この案、良いんじゃないか?」「どう思う?」と話ができるようになると思うのです。

 

幹部と視察経験を共有したヤマチの「inZONE」の事例

私が「inZONE」のインテリアショップを立ち上げるきっかけとなったのは、リフォーム会社の視察時に、同行した幹部社員と隣のインテリアショップを訪れたことでした。

幹部社員と店舗の運営方法について一緒に話を聞いたことで、事業化に向けた共通認識を持ちやすくなり、「インテリアショップを出したい」という私の要望が通りやすかったのだと思います。

異業種視察で得た気付きを共有することで、幹部も新規事業を自分ごととして捉えやすくなり、「これ良いよね」と話しているうちに、幹部陣にも自分ごととして捉えてもらい、経営者のアイデアを幹部が形にしてくれるようになるのです。

 

4.幹部や社員が発想し、社長に相談して着手する

この段階が一番難易度の高いものの、ヤマチユナイテッドでは現在、幹部や社員が新規事業開発を発案し、社長に相談して進める事例が生まれています。

 

現場発のアイデアを事業化するための仕組み

会社の承認を得るためには、収益性や実現可能性を示す事業計画を立てなくてはなりません。

事業計画の作成には、下地作りが必要です。

情報収集や市場調査など、一定の時間と手間もかかります。

 

ヤマチユナイテッドでは、経営人材を一人でも多く育てるため、入社1年目から決算書の数字の読み方などを学ぶ機会を設けています。

さらに、ビジネスモデルの分析や事業計画作成を通じて、実践的に学べる研修を実施しています。

このような制度や仕組みの積み重ねにより、現場からの事業発想が進むというわけです。

 

現場発の事業提案を増やすためには、組織内で共通の価値観や言葉を持つことも重要です。

強い組織は共通言語で動く!ビジネスの言葉の統一が組織力を高める理由」もあわせてご覧ください。

 

事業を多角化することで、自社の強みを生かして新たな成長を目指そう

事業多角化の目的を明確にし、自社に合った方法を選ぶためのポイントを整理します。

 

【事業を多角化する4つの理由】

  • 規模拡大

  • リスク分散

  • 社員のやりがい向上

  • 権限委譲を進めて経営者の負担を減らし、本来の仕事に専念する

 

【事業を多角化する3つの方法】

  • フランチャイズ加盟

  • M&A活用(または業務提携)

  • 新規事業の自社開発

 

ヤマチユナイテッドの2つの新規事業開発事例から見えてきた、事業多角化を進めるポイントは以下の通りです。

  • 既存事業の強みを生かし、シナジーを生み出す
    既存事業で培ったノウハウや技術、人材を新規事業に生かし、独自性のある事業づくりにつなげる

  • 現場発のアイデアを段階的に検証する
    顧客の反応を確かめながら実績を積み重ね、事業化の可能性を見極める

  • 事業部間で連携する
    人材やノウハウを事業部横断で共有し、新規事業の立ち上げを支える体制を整える

 

ヤマチユナイテッドでは、新規事業開発の主体が経営者から幹部・社員へと広がる流れを、以下の4つの段階に整理しています。

  1. 社長が発想し、社長自身が着手する

  2. 社長が発想し、社長命令で幹部以下の社員が着手する

  3. 社長が発想し、社長と幹部で相談して着手する

  4. 幹部や社員が発想し、社長に相談して着手する

 

新規事業の発想は、あらゆるところにヒントがあります。

そのなかでも、自社の経営資源を生かし、既存事業とのシナジーが期待できる事業を検討することで、グループ全体の業績向上につながる可能性を高められるでしょう。

既存事業の成長が緩やかになったときや、自社の強みを生かせる新たな市場・事業機会が見つかったときには、事業の多角化を選択肢の一つとして検討する価値があります。

 

事業が増えれば増えるほど、セクト主義が足かせになってくるケースもあるでしょう。

ヤマチユナイテッドは「連邦多角化経営」によって事業部間の連携を促し、グループオールでの成長を目指せる環境づくりに取り組んでいます。

 

ヤマチユナイテッドでは、経営に役立つセミナー・イベントなどを随時開催。

連邦多角化経営実践塾」は「社長および幹部複数名」を参加の条件としており、全国の企業が参加しています。

「これから幹部陣を新規事業開発に巻き込んでいきたい」という経営者のみなさんにも、参加をご検討いただければ幸いです。

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