グループ全体に統一感を持たせるグループ理念とは?構築事例を紹介!

理念・社風

石崎 貴秀
石崎 貴秀

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こんにちは、ヤマチユナイテッドの石崎です。

組織運営には一定のルール作りが必要ですが、会社が大きくなり、とりわけ複数の事業、複数の法人を展開するにあたってはグループ理念の構築が重要です。

ただ、事業が多岐にわたり、その業態もそれぞれに異なる場合は「どのようにグループ理念を示したらいいのか」と悩むケースもあるでしょう。

ヤマチユナイテッドは、まさに多角化経営を実践しています。

私たちの事例をご紹介しながら、グループ理念の考え方、構築の仕方についてお伝えしていきます。

目次

  1. グループ共通理念の重要性とは?
  2. ヤマチユナイテッドのグループ理念体系
  3. グループ共通理念を構築するまでの流れ
  4. グループ理念とは会社をみんなで良くしていくための指針

グループ共通理念の重要性とは?

そもそも理念とは、単独事業、単一事業の法人であっても非常に重要です。

理念は経営の根幹であり、すべてを支えるものであるということから「経営の背骨」ともいわれます。

特にグループ経営においては、そのグループ全体に大きく傘をかけるような理念が必須。

事業が分かれていようが法人が分かれていようが一つの組織として存在している以上、個人で仕事をしているわけではないですよね。

共通の目的や目標に向かって各人の目線を合わせ、組織として力を発揮しなければなりません。

その際に、みんなで目指すゴールを示すものがグループ共通理念なのです。

グループ共通理念がなければ、どこへ向かっていけば良いかわかりません。

共通理念を幹として枝葉を付けていくことによって、理念は日々の仕事に紐づいていきます。

例えば、経営計画策定や普段の業績管理において、どのくらいの収益性を目指すのかといったことも、元をたどれば理念に結びついています。

採用基準を考えるときも、自社の価値観に沿った人材を採りたいからこそ理念にマッチする人物像を明確にしなければなりませんし、採用後の育成指針や教育制度も理念をベースに整備されています。

どんな事業、どんな業態であっても、経営マネジメントにおけるほぼすべての判断基準となるものが理念です。

理念を持たず、「何を基準に普段の仕事をするか」「どこを目指していくのか」がわからないままでは、組織としての力を発揮できないのです。

特にグループ経営においてはグループ全体で成果を出すことが前提ですから、事業法人が分かれていても共通の目標・目的に向かい、ひとつの組織として総合力で実現していかなければなりません。

時には事業法人間で協力したり、連携したりすることもあるでしょう。

グループ共通理念を持っていれば、そのようなときの相乗効果やシナジー効果が生まれやすくなります。

ヤマチユナイテッドの場合は新規事業を興し、連邦・多角化していくことでグループの規模を拡大しながら地域や社会に貢献していくビジネスを目指しています。

新規事業は何でも良いというわけではなく、事業開発の際は理念が判断基準のひとつとなります。

また、新規事業を多く立ち上げるためには経営者人材も必要ですから、経営者人材を生み出すための採用活動、育成方針、教育制度も理念に基づいて設計されています。

結局は理念がすべての施策につながっていき、各施策の優先順位や重要度といったことは、理念体系やビジョンの設定によって変わってくるのです。

そういう意味でも、グループ共通理念は最初にしっかり整備するべきものであり、もっと言えば、明文化してきちんと社員全員で共有できるようにすることが「多角化経営のスタートライン」だと考えています。

ヤマチユナイテッドのグループ理念体系

ヤマチユナイテッドのグループ理念体系は、2024年度に向けて従来のものに見直しをかけました。

体系的にどのようになっているかは、下図で見ていただくとわかりやすいと思います。

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上から、パーパス、ミッション、経営方針、経営計画、コアバリューとなっています。

パーパス【存在意義】

パーパスは、社会的な存在意義を示すものと定義します。

言い換えれば、私たちが社会にどう貢献するかということ。

これまでヤマチユナイテッドは「世の中に、幸せをばらまく」というミッションを掲げていましたが、2024年度からもう少しリアルな表現に変わり「北海道から世界を変えていく」になりました。

北海道の企業として連邦・多角化経営を進めていくにあたり、「世界」にはいろいろな意味を持たせました。

当社は既存事業として住宅、介護・健康、イベント、インテリア、飲食などさまざまな業態を展開していますが、「世界」はそれぞれの業界であったり、お客様の暮らしであったり、地元北海道の生活スタイルであったり...と広く解釈することが可能です。

このような表現であれば事業が増えていっても支障はありませんし、BtoB、BtoCどちらにも対応可能となります。

そして、「北海道から世界を変えていく」ということは「北海道に貢献する」、あるいは「北海道から全国や海外へと発信する」といった意味であっても良い。

逆に「『何らかの世界を変える』以外の事業はやりません」ということですが、グループ全体でユニークで多様な事業へのチャレンジを可能とするために、幅を持たせたパーパスとしています。

ミッション【目標】

ミッションは、パーパスを実現するために何をしなければならないのかを示す大きな目標で、定量目標として表現すると良いでしょう。

ヤマチユナイテッドのMissionは「THE 100VISION」としています。

2030年、100の事業を成功させる

私たちらしい、意義ある事業を次々と立ち上げ、成功させる

「THE 100VISION」というミッションは、グループ理念を見直す以前から期限は定めず、大きな方向性としてと掲げてきた目標です。

2024年度に向けて、ヤマチユナイテッドのグループ理念体系を見直す際に「2030年、100の事業を成功させる」と期限を切り、いっそう力を入れて取り組むことにしました。

「北海道から世界を変えていく」ために、まずは100の事業を成功させ、そのために100人の魅力あふれる経営者を生み出す。

そして1事業1億円の利益を上げて100億円の高収益企業となり、100年にわたって持続可能な会社にしようという目標です。

目標として数字が決まれば、現時点での事業数・経営者人材・利益と、目指すべき事業数・経営者人材・利益との間のギャップがはっきりします。

そこをどう埋めていくかと考えることがすべてその下の経営方針、そして経営計画に落とし込まれるという流れになるので、ミッションを定量目標として実践的に動き出せるというのが一番大切なところです。

パーパスがゴールだとすると、ミッションはそこへ向かっていくためのマイルストーンともいえるでしょう。

経営方針(ポリシー)・経営計画(プラン)

ゴールとなる「パーパス」へ到達するためのマイルストーンである「ミッション」を確実に達成するためにどうしたら良いかがこれらに落とし込まれます。

「私たちがどのような手立てでミッションをクリアしていくか」を表すのが経営方針(ポリシー)で、これらの経営方針をどのように日々の業務に反映させ、行動につなげるかを示したものが経営計画(プラン)です。

コアバリュー【価値観】

コアバリューは組織が将来にわたって持ち続ける価値基準、大切にしている独自の価値観です。

ヤマチでは以下14項目のコア・バリューを掲げています。

  1. 全員が経営感覚を持ち、経営に参加しよう
  2. 常に顧客目線で考え、最高の価値を提供しよう
  3. 高能率、高収益、高賃金な一流を目指そう
  4. 法令遵守し、誠実で正しい行動をとろう
  5. 基本動作を徹底しよう(規律、挨拶、礼儀、報連相、挨拶、PDCAなど)
  6. チームワークを重視して、みんなで大きな目標に燃えよう
  7. コミニュケーションを重視し、風通しの良い社風にしよう
  8. 自分の仕事に情熱と誇りをもって取り組もう
  9. 仕事を自ら創り出し、改革、変化に挑むチャレンジャ―でいよう
  10. 学ぶことを重要と考え、知識や人格を磨き自己成長しよう
  11. 環境や他人のせいにしないで、自責思考でいこう
  12. 得たい結果から逆算して、論理的に対策、計画、伝えよう
  13. 幸せをばらまくという利他の精神で、自分も幸福になろう
  14. 失敗を認め、素直にやり方を変えたり、止めることに躊躇しない

見ていただくと、それぞれ割と長めの文章で表現されているという印象を受けるかもしれません。

ただ、私をはじめ幹部陣としてはこれではまだ足りないと感じています。

確かに文章は短いほうが覚えやすいのですが、「言葉の意味合いをしっかり伝えたい」「誤った捉え方をしないでほしい」という思いから、現在のような表現になりました。

さらに突き詰めれば「全員が経営感覚を持ち、経営に参加しよう」でいう「経営感覚」とはどのようなことをいうのか。

「経営に参加しよう」としているが、どういう参加を求めているのか。

これらを正確に全社員に伝えるためにも一つひとつのコアバリューをより細かく紐解いていき、定義づけるための作業を同時平行で行っているのです。

皆さんがコアバリューを設定する際もそこまでしっかり示せるようにして、意図するものを社員へ正確に共有、浸透させることを心がけてください。

また、企業ビジョンを社員に浸透させる方法については以下のコラムもあわせてご確認ください。

企業ビジョンの浸透は社員のモチベーションアップを叶える!事例も紹介

グループ共通理念を構築するまでの流れ

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ヤマチユナイテッドでは社員全員参加型の経営手法をとっていますが、そもそも理念体系に限ってはボトムアップで作るものではなく、トップの思いを反映させて作るものです。

理念体系構築の流れとしては、パーパス・ミッション・コアバリューを作り、整備する。

それを掲げて伝え、共有し、浸透させる。

これらは経営者自身が手がけなければならない重要な仕事です。

経営計画を練るときのように社員を巻き込んで作るのではなく、まずは経営者が日頃から抱いている「こうありたい」「こうなりたい」という自社グループの姿を自分の言葉で書き出すことが最初の作業となります。

経営幹部に相談くらいはしても良いですが、全社員にアンケートを採るようなことではないでしょう。

仮に社員から「嫌です」と言われたとしても、最終的な判断はトップの思いにかかっています。

今回、ヤマチユナイテッドは従来のグループ理念体系をブラッシュアップする形だったこともあって一から作るよりはスピーディに進みましたが、見直しを言い出したのはやはり代表の山地 章夫でした。

山地自身はもう少し前からいろいろと考えていたようですが、私ともう一人の役員に「理念体系を変えたい」と相談があったのは2023年10月初旬。

この時点で、それまで期限を定めていなかった「THE 100VISION」の達成期限が2030年と決まっていたので、そのことも踏まえて理念体系をブラッシュアップしたかったようです。

山地が用意した素案の素案みたいなものに対して意見を求められ、「こういう要素があったほうが良いのでは」などと進言すると、だいたい2週間くらいで次の案が出てきました。

この第1案を再び私ともう一人の役員で確認し、次の段階として「経営幹部」といわれるグループ全体会議「HQ(ヘッドクォーター)会議」にはかることに。

月1回催されるこの会議には、グループ各事業のトップである事業本部長が参加します。

各事業本部長には事前に第1案を共有し、会議当日までに「意見や他の表現方法のアイデア、入れておきたいキーワード、もしくは大切にしたい思いなどがあれば聞かせてほしい」と宿題を投げておきました。

HQ会議では彼らの意見を集約して一旦預かりましたが、キーワードがたくさん出てきたので、似通ったものはまとめるといったような分類作業も必要でした。

そうしてその分類したものを山地へ渡し、これを踏まえてまた山地が考える。

その後、山地から出てきた第2案を微調整し、第3案をもう一度HQ会議で共有すると、「みんなが出してくれたキーワードがほぼ網羅されていていて良いね」と経営幹部の承認が取れ、前の項目で紹介したグループ理念体系となりました。

これは今後もし不具合があれば調整しようというフレキシブルなものとなっています。

最初に山地から相談があったのが2023年10月初旬で、最終的に幹部の承認を得たHQ会議が同年12月下旬でしたから、今回のグループ理念再構築にかかった期間は正味3カ月。

当社では元々持っていたグループ理念をブラッシュアップしたこと、また、山地が言葉での表現が得意であることもあって3カ月なので早いほうだと思いますが、単一事業から事業拡大するにあたって新しくグループ理念を整える場合はもう少し時間がかかるでしょう。

単一事業から事業拡大に着手しようとしている経営者の皆さんにおいては、今がまさに経営理念をグループ共通理念へと発展させるとき。

既存事業や新規事業の部門、あるいはそれぞれの法人でも個々の方針や計画を立てていくはずですが、先にグループ共通理念が設定されていないと、「ここからブレないように作る」という「軸」がないので枝葉の付けようもなく、バラバラの方向に向いてしまう危険性があります。

事業拡大の際には、自社で手がける可能性のあるすべての事業を包含するようなグループ共通理念を最初に設定しておくことが大切ですし、時には事業内容に応じて再構築する必要もあります。

いずれにしても理念構築はトップの仕事ですから、誰かに命じてやらせるのではなく、社長の皆さんがまず動き出すことです。

グループ理念とは会社をみんなで良くしていくための指針

理念は経営の根幹であり、すべてを支えるものであるということから「経営の背骨」ともいわれます。

経営マネジメントにおけるほぼすべての判断基準となるものが理念です。

特にグループ経営においては、そのグループ全体に大きく傘をかけるような理念が必須。

事業が分かれていようが法人が分かれていようが、組織として、みんなで目指すゴールを示すものがグループ共通理念であり、これがなければどこへ向かって進むべきかという指針がないのと同じことです。

だからこそ、グループ共通理念は最初にしっかり整備するべきものであり、もっと言えば、明文化してきちんと社員全員で共有できるようにすることが「多角化経営のスタートライン」だと考えています。

ヤマチユナイテッドの理念体系はピラミッド図で表され、上から「パーパス、ミッション、経営方針、経営計画、コアバリュー」の順となっています。

ヤマチユナイテッドのパーパスは社会的な存在意義であり、2024年度から「北海道から世界を変えていく」としています。

ミッションは大きな目標であり、「THE 100VISION」。

ミッションをマイルストーンとしてパーパスを達成するため、具体的に何をするかを示しているのが経営方針と経営計画となっています。

コアバリューは私たちが大切にしている価値観として14項目を設定し、それぞれ正しい意図が伝わるように全社員に共有し、浸透させていく作業も行います。

グループ共通理念体系構築は、パーパス・ミッション・コアバリューを作り、整備する。

それを掲げて伝え、共有し、浸透させる、という流れです。

理念体系はトップの思いを反映させて作るものですから、これらは経営者自身が手がけなければならない重要な仕事。

単一事業から事業拡大に着手しようとしている経営者の皆さんにおいては、今がまさに経営理念をグループ共通理念へと発展させるときでしょう。

グループ経営においては「会社をみんなで良くしていく」という意識と仕組み、ルール作りが大切。

組織はあくまでチームプレーであり、うまく機能するためには各人の目線合わせが必要です。

「全員で良くしよう」「全員で達成しよう」ということを一番うまくまとめているのがグループ共通理念。

グループ理念がない場合は作るべきですし、ある場合は今回のコラムを参考にブラッシュアップを考えてみても良いかもしれません。

私たちが今、広めていきたいと考えている「連邦・多角化経営」および、社員全員参加型の「システム経営」は、何はなくともこの理念構築が一丁目一番地です。

さまざまな経営マネジメントの仕組み作りを通じて「みんなで会社を良くする」経営スタイルは、きっと経営者の皆さんにとっても非常に有用なものとなることを信じています。

「こういう手法を取り入れてみたい」、もしくは「幹部も巻き込みつつ会社を良くしていきたい」と考えている経営者の皆さんは、当グループが主宰する「連邦・多角化経営実践塾」へのご参加をぜひご検討ください。

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