新規事業の立ち上げ準備のプロセスとは?成功までのステップを解説
多角化・新規事業
こんにちは、ヤマチユナイテッドの山地です。
新規事業を成功させて事業を多角化させ、企業を拡大させるためには、いくつかの条件があります。
私が考える事業多角化へのプロセスは5ステップあり、これらが成功へのカギだと考えています。
多角化で成功する!と決めたら、ぜひ今回ご紹介する新規事業の立ち上げプロセスを参考にしてみてください。
具体的な導入ステップを踏まえながら、新規事業の立ち上げ、そして多角化に失敗しないためのプロセスや成功させるポイントなどについて解説していきます。
目次
新規事業立ち上げのプロセスとは?成功させるために必要な準備
新規事業を立ち上げる際には、事業自体のビジネスモデルなどを考えるよりも先に、社内で新規事業に取り組む風土や環境をしっかり作っていくことが大切だと考えています。
具体的にどんなプロセスを踏んで新規事業に取り組むと良いのか見ていきましょう。
新規事業立ち上げのプロセス①既存事業の業績をアップさせる
新規事業を立ち上げる前に、軸となる既存事業の業績アップを目指しましょう。
既存事業の業績をアップさせるために、次の2つのことに取り組んでみてください。
組織のシステム化に着手する
私は、多角化よりもまず「組織のシステム化」を先に行うべきだと思っています。
「組織のシステム化」とは、仕組みで動く経営のこと。
私の考える仕組みは「自分たちのことは自分たちで決める」仕組みです。
幹部や社員たちが自ら経営計画を作成し、業務管理を自分たちでまわし、評価や成果分配も自分たちでルールを決めて判断する。
要するに、社長も幹部も社員も経営に参加する「全員参加型の経営」です。
当社では、組織のシステム化を「システム経営」と名付け、独自に編み出した方法で実践しています。
システム経営のメリットや成功させるポイントなどについては「社員が経営参画できる「システム経営」とは?」もあわせてご参考ください。
既存事業をテコ入れする
組織のシステム化と同時に行うべきことが「既存事業のテコ入れ」です。
特にリソースが限られている中小企業の場合、新規事業を立ち上げる際には既存事業との接点を持たせることが重要です。
企業がすでに持っているブランド力やノウハウ、生産工場などを新規事業でも活用することで、相乗効果(シナジー効果)を狙っていきます。
つまり、新しいことを始める際の軸となるのは既存事業ですから、多角化の前に既存事業を見直し、テコ入れをすることが大切となります。
既存事業のブランド化やリノベーションを行って、業績をアップさせましょう。
新規事業立ち上げのプロセス②新規事業を受け入れる社風を作る
多角化に対して、社員の反対というものは少なからずあるでしょう。
「なんでうまくいっているのにわざわざ新しいことをするのか?」
「最初の2年くらいは赤字になるようなことを始める意味はあるのか?」
そう思う社員はいるはずです。
しかしシステム経営に取り組んでいけば、社員の考え方は変わってくるはずです。
自分たちの居場所を確保するために多角化が必要だと理解しているからです。
システム経営は、複数の事業があったとしても1つの会社として仕組み化することがポイントです。
社員も、それぞれの事業部の人間ではなく1つの会社の人間として考える。
そうすると、「昇進に上限がある」「ポストが空かない」といったモチベーションを阻害する事態も起こらなくなります。
社員自身の成長のためにも多角化を行うということを理解していれば、そもそも「新しいことに意味があるのか?」という考えにはならないでしょう。
社員の意識を変える必要性やポイントなどについてはこちらもご覧ください。
新規事業立ち上げのプロセス③上層部の新規事業マインドを高める
社長や幹部などの上層部は積極的に外とコミュニケーションを図るべきです。
同業の会社にばかり目が行きがちですが、異業種や異業界の成功事例を視察に行くのも良いでしょう。
私たちヤマチユナイテッドも視察ツアーを定期的に開催しています。
既に多角化をしている企業や多角化を始めたばかりの企業の社長と話をすると、「自分のところでもやりたい!」と思うようなアイデアにも出会えるものです。
その際に「自分のところでやるなら...」とイメージして、中心となるメンバーを考えたり他の事業部とのつながりや体制を考えたりする。
そうして新規事業マインドを高めていくのです。
新規事業立ち上げのプロセス④新規事業を構想する
ここまで社内の風土や環境を整えたら、いよいよ新規事業の構想に入りましょう。
とはいえ、ぼんやりとしたビジョンのまま新規事業を構想すると多角化は失敗に終わってしまいますし、効率も良くありません。
新規事業のビジョンやコンセプトを明確に組み立てて、顧客ニーズのあるビジネスモデルと事業計画を構築していくことが重要です。
そこで活用したいのが、事業展開マトリクスに当てはめ、新規事業を企画し実行するという方法です。
今回は私がよく使う、新規事業を構想する際のフレームワークをご紹介します。
このマトリクスは、新規事業を構想する際の考え方のフレームワークを視覚化したものです。
現在の市場(ターゲット)に新しい商品(ノウハウ)を提供して新規事業を展開するのか、自社の現在の商品(ノウハウ)を使って新しい市場へ参入するのか。
このフレームワークを元に、どのケースに当てはまる事業を立ち上げるのか考えていくわけです。
新規事業を立ち上げる際の具体的なアイデアの出し方やポイントについてはこちらで詳しく説明していますので、あわせてご参考ください。
新規事業の立ち上げ、アイデアの見つけ方とは?人脈を広げる大切さ
人脈を広げて新規事業のきっかけを作った事例は「新規事業の成功例。ある出会いから生まれたinZONE事業の事例」でも紹介しておりますので、ヒントにしてみてくださいね。
また、この時に社員の採用や社員教育の強化にも着手しましょう。
「企業は人なり」という言葉があります。
人をどう大事にするか、どう成長してもらうか、どういう人を採用するかを今一度見直しましょう。
そういう意味では人が採用しやすい事業かどうかという視点で新規事業を考えることも必要です。
新規事業立ち上げのプロセス⑤連邦制を導入していく
多角化を進めていくと、会社数が増えていったり、1つの会社で事業部が増えていったりといった方法を取ることになるでしょう。
会社や事業部を合併や分社させることも出てくると思います。
タイミングを見て、持ち株会社制度を導入するのも良いですね。
弊社はグループ全体をひとつの組織とみなして統制しており、これを私は「連邦経営」と呼んでいます。
全部が縦割りでバラバラの会社だったら、お互いの関心や協力が得られず荒んだ経営になってしまいます。
みんなで寄ってたかって応援しよう、一緒に成功しようという気持ちを横軸で育てる「連邦・多角化経営」を実現することが大切です。
連邦経営については、「分社化のメリットを活かしデメリットを補う連邦経営とは?」で詳しくお話していますので、こちらもあわせてご覧ください。
新規事業の立ち上げを成功させるポイント
多角化を成功させるために、どんな新規事業を構築するかが重要なのは言うまでもありません。
新規事業を成功させるために押さえておきたいポイントをご紹介します。
自社の強みを活かす
実際に新規事業を立ち上げる際には、やみくもに手を広げるのではなく既存事業と接点を持たせることがポイント。
既存事業に対して何かしらのメリットがあること、そして新規事業は既存事業と相乗効果を生み出せる事業であることが重要です。
既存の事業と接点のない多角化は、たとえ新規事業がうまくいったとしても成長スピードに加速がつきません。
事業同士の横のつながりがあるからこそ企業の可能性が広がり、経営基盤の安定につながるのです。
新規事業のリスクを分析する方法やリスクを減らす方法などについてはこちらもご覧ください。
新規事業のリスクを減らす方法や事例を紹介!リスク分析の手法も
事業撤退のタイミングを決めておく
新規事業がすべて成功するとは限りません。
立ち上げからしばらくの間は黒字部門の資金を新規事業につぎ込むことになると思いますが、成功する見込みのない事業にコストをかけても会社全体の経営を圧迫するだけです。
そうならないためにも、新規事業から撤退するか否かを決断するタイミングや基準などをある程度決めておきましょう。
必要以上の損失を回避することができます。
撤退すべき時にはスパッと退き、また次の新規事業にチャレンジすることが大切です。
多角化を成功させるポイントなどについては、こちらもあわせてご覧ください。
事業の多角化戦略の失敗例・成功例とは?成功させる条件もご紹介
新規事業立ち上げの準備はプロセスの積み上げが成功のカギ
多角化戦略で失敗しないためには、システム経営や連邦経営による社内の風土づくりや、上層部のマインドの向上など、環境を整えていくことがまず大切です。
その後、多角化の方向性を考えて新規事業のビジネスモデルなどを練っていきましょう。
新規事業は自社の強みを活かしたものを構築し、撤退のタイミングや基準などをあらかじめ決めておくことが重要です。
今回お話した新規事業準備の5ステップはそれぞれ単独の要素ではなく、つながっています。
新規事業の実現に向けてステップを1つずつ積み上げていくことが、事業多角化の成功のカギだと私は考えています。
事業多角化で行き詰まった際には、ぜひ参考にしてみてください。
ヤマチユナイテッドではワークショップなどのイベントも随時開催しています。
多角化のノウハウを体感できると思いますので、興味を持った方はぜひ参加してみてください。
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Authorこの記事の著者
ヤマチ連邦多角化経営実践塾 塾長
山地 章夫
ヤマチユナイテッド代表。経営を楽しみ、社員700名、50事業・年商256億円の企業グループの舵を取る。本業を中心に事業を次々と立ち上げ、売上げを積み増す「連邦多角化経営」を実践。経営の安定化と人材育成を両立する独自の経営手法が、多くの中小企業経営者の注目を集める。