新規事業の立ち上げ成功例。偶然の出会いから生まれたinZONE事業

多角化するノウハウ

山地 章夫
山地 章夫

IMG_7896.JPG

こんにちは、山地です。

そもそも多角化したくても「ネタがない」という方は少なくないはずです。
どんな事業から手をつけたらいいのか、見当がつかないのだと。

そんな時はまず行動です。めぼしい企業へ視察へ行く。セミナーや交流会に参加する。取引先の企業とアイデア交換をする。

とにかく人に会い積極的に情報収集をしましょう。

そのうえで、次のポイントを大切にしてみてください。

(1)自社の強みや課題を把握しておくこと。

(2)自社で展開できる仕組みであること。

(3)現場の社員の声をきくこと。

今回は実際に私がどのように新規事業を立ち上げたのか、このポイントをふまえて具体的にご紹介します。その中で、

・情報収集に動くうちに、思いがけない出会いから新規事業のアイデアが生まれた!

・ひとつの成功から連鎖し、事業がどんどん増える!

そんな体験を共有できればと思います。ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 新規事業の成功例〜偶然の出会いから生まれたinZONE事業〜
  2. 新規事業成功への一歩は自社の強みや課題を把握すること
  3. 自社展開できる仕組みで得意分野への事業展開
  4. 現場の声は成功へのヒントやアイデアがたくさん!
  5. 現場の社員だからこそわかる、顧客視点のアイデア
  6. 新規事業の成功が連鎖する仕組み
  7. 新規事業を成功させるためのポイントまとめ

1.新規事業の成功例〜偶然の出会いから生まれたinZONE事業〜

10数年前のことです。

私は遊休資産である古い倉庫をどう活用すべきか、常々考えていました。

国道沿いでアクセスに優れ、高級住宅街が近く、立地のよい場所だったからです。

そんなとき、大阪でショールーム型のリフォームビジネスのセミナーがあると知り、出かけてみたのです。

そこで知り合ったのが福島県のリフォーム会社。視察ツアーに参加して、郡山にあるショールームを見に行きました。

見学を終えて外に出ると、隣になにやらおしゃれなインテリアショップがある。私もインテリアは大好きですから、どうしても気になって、塀をまたいで隣の店に入ってみました。

たまたま社長がお店にいらしたので「北海道から来ました」と自己紹介して、いろいろ質問しました。

聞くと、「隣でリフォームしたあとに家具を買ったり、家具を見に来た人が立ち寄ってリフォームの契約をしたり、隣接してることで相乗効果がある」と言います。

ビビッときました。

そこはインテリアチェーン「アクタス」の代理店でしたが、社長が言うには「札幌でも代理店を探している」とのこと。それで、札幌に戻ってすぐにアクタスに電話してみたんです。

つまり、リフォームのショールームの話を聞きに行って、インテリアショップに出会ってしまったわけです。

当時、北海道のインテリアショップは、超高級なラインか、低価格の量販店クラスに二極化されていて、中間のラインナップがありませんでした。

アクタスの中高級路線の家具はニーズがあると思いました。

さっそく、遊休資産の倉庫を取り壊してインテリアショップの店舗を新築。2007年、札幌初の本格的ライフスタイルショップ「inZONE with ACTUS」としてオープンしました。

商品構成もニッチだったからでしょう、「こういうお店を待っていた」と、全道からお客さんが来てくれるようになりました。

ただ、私はこのとき既に次の構想を抱いていたんです。

_MG_1371.jpg

2.新規事業成功への一歩は自社の強みや課題を把握すること

以前、輸入家具の小売店を手掛けたことがあったので、インテリアショップだけでは大きな利益にならないのは初めから分かっていました。

当初から店は集客装置と割り切って、住宅の受注につなげようと考えていたのです。

オープンに先立って、全国のアクタス店舗をいくつか見学したのですが、その中にインショップで住宅会社が入っているケースがありました。

店舗で住宅の受注ができれば、ボリュームのあるビジネスになると気付いたのです。

3.自社展開できる仕組みで得意分野への事業展開

そこで、オープンして間もなく、インテリアと一緒に考える「インゾーネの家(inZONE DESIGN LABO)」をスタートさせました。

 

すると、インゾーネで雑貨を買ったお客さまが、お店のファンになってくれて、そのあと高価なソファを買ってくれたり、ソファを気に入ったお客さまがほどなく住宅を契約してくれたり、そんな事例が増えてきました。

それまでは家を建ててから家具を買うのが一般的だったのですが、まるきり逆パターン。お気に入りのソファや雑貨が映える家を建てたいというニーズもあるんじゃないか、という仮説が当たったわけです。

こだわりの強いお客さまが多いのでインゾーネの家は、すごく変わっています。窓は小さくして壁面を広くしたいとか、これまでの常識とは違う設計を頼まれることもあります。それでも年間30〜40棟の契約があり、売り上げ10億円のパッケージになりました。

_D4A0012.jpg

4.現場の声は成功へのヒントやアイデアがたくさん!

そのうち現場からマンションのリノベーションを事業化できないかといういう声が上がってきました。

インゾーネの顧客にはマンションユーザーも多く、家具に合うようにおしゃれに改装したいという声が多いというのです。

それでマンションの中古物件を骨格だけのスケルトンにして、3LDKを1LDKにするようなリノベーション事業を始めました。これが「M+(エムプラス)」です。

kita_01.jpg

今はマンションリノベーションを扱う会社は数多くありますが、当社はその先駆け。inZONEの店舗に相談カウンターを設けて、リノベーション事業をスタートさせると、40代の独身女性にニーズが高いことが分かってきました。

これまで仕事をバリバリ頑張ってきたキャリアの女性がマンションを購入し、一人暮らし用にリノベーションするケースが意外に多い。現場の声を聴くことで、予期せぬ顧客が見えてきたのです。

5.現場の社員だからこそわかる、顧客視点のアイデア

もうひとつ、現場からのアイデアで始まったのが、インテリアショップがつくるレストラン「inZONE TABLE」です。

インゾーネの家具や雑貨でコーディネートした飲食店をつくり、お茶やお食事を楽しみながら、使い心地の良さやおしゃれな空間のつくり方を体感してもらいたいという、社員のアイデアでした。

そこで、古い2階建ての民家をリノベーションして、インゾーネの家具をリアルディスプレイしたレストランをオープンさせたのです。

通常は飲食店として営業していますが、当社のセミナーやワークショップ、パーティーなどでは貸し切りにしてイベント会場としても利用しています。

メニューにも特色をつけ、クラフトビールとストウブ料理をメインに揃えました。

当社のお客さまには割引制度を用意し、気軽に足を運んでもらえるようにしています。

レストランのソファや照明を気に入って、同じものをショップに買いに来てくださる方もいるようです。

6.新規事業の成功が連鎖する仕組み

こうしたインゾーネの展開は、当社の多角化の代表例です。

当初はリフォームのショールームを考えていたのに、偶然の出会いからインテリアショップとしてオープンさせ、それが集客装置となって、住宅事業につながり、さらにマンションのリノベーション事業、飲食事業へと発展していく。成功が連鎖していくのです。

こうした展開が可能になったのは、インテリアショップを「inZONE」という自社ブランドで育てたことが勝因です。

アクタスとの契約の際、店舗名をアクタスにするライセンスショップと、自社のブランドネームをつけるパートナーショップの2種類が選べました。

ライセンスショップにすると、仕入れ値が安くなる代わりにさまざまな制約も出てきます。

私はインテリアショップ単体で終わらせるつもりはなかったので、仕入れ値が多少高くても、自社のブランドネームで勝負することに決めました。

inZONEは、インテリアのインと空間を表すゾーンをあわせた造語です。

イタリアっぽくインゾーネという読み方にしました。

もしアクタスのブランド名に頼っていたら、住宅やレストランへの展開は困難だったはずです。

7.新規事業を成功させるためのポイントまとめ

インゾーネの事業は、偶然の出会いから始まりました。こうした偶然を必然に変えるには、いくつかのポイントがあると思います。

まずは、何はともあれ積極的に行動すること。

私の場合でいえば、視察に行った先で、目的外の隣のショップへ足を伸ばしたことが運命的な出会いを呼び寄せました。用事が済んだらすぐ帰るのか、好奇心を持ってさらにもう一歩を踏み出すのか、そこが新規事業アイデアを得られるかどうかの大きな差になります。

その他に、最初にも書きましたが、次の三つのポイントは意識してほしいところです。

(1)自社の強みや課題を把握しておくこと。

うちの場合は遊休資産の倉庫をどうしようか、というのが始まりでした。自社の強みや解決したい経営課題を常に意識していれば、役に立ちそうな情報がアンテナに引っかかりやすくなります。反対に、それらが漠然としたままでは、素晴らしい出会いもスルーしてしまうことになるでしょう。

(2)自社で展開できる仕組みであること。

アクタスのライセンスショップにせず、自社で他事業へ展開可能なパートナーズショップを選択したことが、インゾーネ事業を成功へ導きました。もちろんリスクはありますが、(1)で自社の強みや課題を把握していれば、より拡大可能な道へ踏み出すこともできるのです。

(3)現場の社員の声をきくこと。

マンションリノベーションとレストランは、現場の声からスタートしたボトムアップ式の事業です。社員の提案に耳を傾ける姿勢がトップにあれば、社員は現場で得た貴重な情報をビジネスチャンスへつなげてくれるはずです。

さて、インゾーネの多角化エピソードは、あなたのヒントになったでしょうか。

企業視察やワークショップなどのイベントでもきっとたくさんのヒントが見つかります。興味があるイベントがありましたら、ぜひご参加ください。


また、当社にはもうひとつ、偶然の出会いから始まった高齢者向けのデイサービス「きたえるーむ」というフランチャイズ事業もあります。

こちらは、ゴルフ場での雑談から生まれた事業です。

詳しくは「経営者が「情熱」を持てない新規事業は成功しない【きたえるーむ編】」をご覧ください。

SHARE! この記事を共有する