新規事業の成功例を紹介!偶然の出会いから生まれたinZONE事業の軌跡
多角化・新規事業

こんにちは、ヤマチユナイテッド代表の山地です。
ヤマチユナイテッドでは、多角化戦略のもと新規事業を次々に立ち上げ、事業の幅を広げてきました。
その過程で、売上や利益を拡大することに成功しています。
これまでに立ち上げた新規事業の中には、情報収集に動くうちに思いがけない出会いからアイデアが生まれた事例や、一つの成功をきっかけに関連事業がどんどん増えた事例もあります。
今回は、実際に私がどのように新規事業を立ち上げたのかに始まり、成功例や成功させるポイント、新規事業のアイデアを出す方法などについて具体的にご紹介します。
ヤマチユナイテッドの新規事業の成功例として「inZONE(インゾーネ)」事業をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
ヤマチの新規事業の成功例「inZONE事業」はこうして生まれた
ヤマチユナイテッドが展開する多角化事業の中でも、代表的な成功例がinZONE事業です。
偶然の出会いから始まった新規事業のきっかけ
inZONE事業が誕生する前のことです。
私は遊休資産である古い倉庫をどう活用すべきか、常々考えていました。
国道沿いでアクセスに優れ、高級住宅街が近く、立地の良い場所だったからです。
そんなとき、大阪でショールーム型のリフォームビジネスのセミナーがあると知り、出かけてみました。
そこで知り合ったのが福島県のリフォーム会社。
視察ツアーに参加して、郡山にあるショールームを見に行きました。
見学を終えて外に出ると、隣になにやらおしゃれなインテリアショップがある。
私もインテリアは大好きですから、どうしても気になって、隣の店舗にも足を運んでみました。
たまたま社長がお店にいらしたので「北海道から来ました」と自己紹介して、いろいろ質問しました。
相乗効果というヒント
聞くと、「隣のリフォーム会社でリフォームしたあとに家具を買ったり、家具を見に来た人が隣に立ち寄ってリフォームの契約をしたり、隣接していることで相乗効果がある」と言います。
ビビッときました。
そのインテリアショップは、インテリアチェーン「ACTUS(アクタス)」の代理店でした。
社長が言うには「アクタスは札幌でも代理店を探している」とのこと。
それで、札幌に戻ってすぐにアクタスに電話してみたんです。
つまり、リフォームのショールームの話を聞きに行って、インテリアショップに出会ってしまったわけです。
当時、北海道のインテリアショップは高価格帯と低価格帯に分かれている傾向があり、中間価格帯の選択肢が限られていました。
そのため、アクタスのミドルクラスからハイクラスのインテリアは、ニーズがあると思いました。
inZONEの新規事業化への決断と挑戦
さっそく、遊休資産の倉庫を取り壊してインテリアショップの店舗を新築。
2007年9月、札幌初の本格的ライフスタイルショップ「inZONE with ACTUS」として宮の森店をオープンしました。
商品構成もニッチだったからでしょう、「こういうお店を待っていた」と、北海道各地からお客様が訪れるようになりました。
2026年4月現在、宮の森本店と大通店の2店舗で「inZONE with ACTUS」を展開しています。
事業の多角化戦略の成功例や成功条件などについてもっと知りたい方は、こちらのコラムもあわせてご覧ください。
事業の多角化戦略の失敗例・成功例とは?成功させる条件もご紹介
異業種コラボが注目されている理由とは?成功例やメリット・デメリットを紹介
事業拡大のメリットとは?拡大方法・リスク・成功事例を知って成功へ
ヤマチの事例から学ぶ!新規事業を成功に導いた3つの共通ポイント
「inZONE with ACTUS」がオープンし、多くのお客様が足を運んでくださるようになったとき、私はすでに次の構想を抱いていました。
新規事業を成功に導いた共通のポイント
新規事業を成功に導いた共通のポイントは次の3つ。
自社の強みや課題・経営資源を起点にする
得意分野・既存事業とのシナジーを生かす
ブランドを育てながら中長期で展開する
それぞれ、新規事業の成功事例とともに見ていきましょう。
ポイント①自社の強みや課題・経営資源を起点にする
新規事業を成功させるには、自社の強みや弱み、解決したい課題、その課題を解決する手段があるかを分析・調査した上で、どのような事業を展開できるのかを考える必要があります。
加えて重要なのが、「顧客が何を求めているのか」という視点です。
表面的なニーズだけでなく、暮らし方や価値観といった背景まで捉えることで、事業の方向性はより具体的になります。
以前、輸入家具の小売店を手掛けたことがあったので、インテリアショップだけでは大きな利益にならないのは初めからわかっていました。
当初から店は集客装置と割り切って、住宅の受注につなげようと考えていたのです。
家具を見に来るお客様の多くが暮らし全体をイメージしていることを踏まえると、住宅との親和性は高いと考えました。
オープンに先立って、全国のアクタス店舗をいくつか見学したのですが、その中に住宅会社がインショップ形式で展開しているケースがありました。
店舗で住宅の受注ができれば、ボリュームのあるビジネスになると気付いたのです。
こうした先行事例の確認は、市場ニーズやビジネスの成立性を見極める上でも有効でした。
ヤマチユナイテッドの場合は、「遊休資産の倉庫をどうしようか」というのが始まりでした。
自社の強みや解決したい経営課題を常に意識していれば、役に立ちそうな情報がアンテナに引っかかりやすくなります。
同時に「誰にどんな価値を届けるのか」という仮説を持ち、小さく検証していくことも重要です。
それらが漠然としたままでは、素晴らしい出会いもスルーしてしまうことになるでしょう。
ポイント②得意分野・既存事業とのシナジーを生かす
多角化戦略といえども、自社とは遠い業界で新たな事業を立ち上げるのは現実的ではありません。
自社の得意分野に絡めた事業展開が、新規事業を成功させるカギの一つとなります。
ヤマチユナイテッドのinZONE事業の場合、アクタスのライセンスショップではなく、自社で他事業へ展開しやすいパートナーショップを選択したことが成功へ導きました。
もちろんリスクはありますが、自社の強みや課題を把握していれば、より拡大可能な道へ踏み出すこともできるのです。
新たに事業を始める際は、自社の得意分野にマッチした業界への参入を考えることが大切です。
ヤマチユナイテッドの場合、「inZONE with ACTUS」をオープンして間もなく、インテリアと一緒に考える家づくりを提案する「インゾーネの家(inZONE DESIGN LABO)」をスタートさせました。
すると、インゾーネで雑貨を購入したお客様が、お店のファンになってくださいました。
雑貨だけでなく、高級なソファを購入していただいたり、ソファを気に入ったお客様がほどなく住宅を契約してくださったりと、そんな事例が増えてきたのです。
それまでは「家を建ててから家具を買う」のが一般的だったのですが、まるきり逆パターン。
「お気に入りのソファや雑貨が映える家を建てたい」というニーズもあるんじゃないか、という仮説が当たったわけです。
住まいへのこだわりを持つお客様が多く、インゾーネの家では一般的な住宅とは異なるご要望をいただくこともあります。
例えば、窓を小さくして壁面を広くしたいなど、従来の発想とは異なる設計を求められるケースもありました。
ニッチなマーケットではありますが、年間30〜40棟の契約があり、売上10億円のパッケージになりました。
ポイント③ブランドを育てながら中長期で展開する
inZONE事業はさらに展開して、マンションのリノベーション事業やレストラン事業も成功させています。
こうしたインゾーネの展開は、ヤマチユナイテッドの多角化戦略の代表例です。
当初はリフォームのショールームを考えていたのに、偶然の出会いからインテリアショップとしてオープン。
それが集客装置となって、住宅事業につながり、さらにマンションのリノベーション事業、飲食事業へと発展していく。
成功が連鎖していくのです。
こうした展開が可能になった背景には、インテリアショップを「inZONE」という自社ブランドで育ててきたことがあります。
アクタスとの契約の際、店舗名をアクタスにするライセンスショップと、自社のブランドネームをつけるパートナーショップの2種類が選べました。
ライセンスショップにすると、仕入れ値が安くなる代わりにさまざまな制約も出てきます。
私はインテリアショップ単体で終わらせるつもりはなかったので、仕入れ値が多少高くても、自社のブランドネームで勝負することに決めました。
ちなみに「inZONE」とは、インテリアのインと空間を表すゾーンをあわせた造語です。
イタリアっぽくインゾーネという読み方にしました。
もしアクタスのブランド名に頼っていたら、住宅やレストランへの展開は困難だったはずです。
なぜ新規事業を成功させることが企業にとって重要なのか?
新規事業の立ち上げは「市場の変化についていく」という生き残り戦略においても、社員の成長を促す人材育成という点においても、企業にとって重要です。
既存事業だけに依存せず、収益源を分散させることで、経営の安定性を高めることにもつながります。
さらに、「事業を多角化して会社の規模を大きくしたい!」という場合にも、新規事業の立ち上げが必要ですよね。
多角化戦略の大きなメリットは、利益アップはもちろんのこと、不測の事態で経営環境が大きく変化してもフレキシブルな対応ができるようになることも挙げられます。
市場や顧客ニーズの変化に対しても、複数の事業を持つことで柔軟に対応しやすくなります。
不採算部門から別の部署へ人員を異動させたり、事業を再編成したりすることも可能となるでしょう。
また、新規事業に取り組む過程そのものが、社員の挑戦や成長の機会となり、結果として組織全体の力を底上げしていくことにもつながります。
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新規事業を成功に導く進め方とアイデア発想のヒント
新規事業を立ち上げたいと考えたとき、事業のアイデアをどこから持ってくるかは多くの経営者の悩みではないかと思います。
ここからは、ヤマチユナイテッドでどのように新規事業のアイデアを出しているのかご紹介します。
新規事業を成功に導く進め方
新規事業は、思いつきだけで進めても成果にはつながりません。
次の基本のステップを押さえながら進めることが重要です。
目的をはっきりさせる:何のために取り組むのか、どこを目指すのかを明確にする
市場や顧客を知る:ニーズや競合を把握し、自社の立ち位置を見極める
小さく試す:アイデアを形にして、実際の反応を確かめる
改善を重ねる:フィードバックをもとに、内容をブラッシュアップする
アイデア発想のヒント
新規事業のアイデアは、特別なひらめきだけで生まれるものではありません。
日々の視点や工夫の積み重ねが重要になります。
枠にとらわれず考える:既存のやり方や常識に縛られず、まずは数を出すことを意識する
外からヒントを得る:異業種の事例や新しい知識に触れ、発想の幅を広げる
課題から考える:日常や業務の中の「不便」に目を向け、解決策を探る
組み合わせてみる:既存のアイデアや要素を掛け合わせ、新しい形にする
新規事業のアイデアがないときこそ積極的に行動を
そもそも事業を多角化したくても「何もネタがない」という方は少なくないはずです。
どんな事業から手をつけたら良いのか、見当がつかないというケースもあるでしょう。
そんなときは、まず行動です。
下記のように、とにかく人に会い積極的に情報収集をしましょう。
めぼしい企業へ視察へ行く
セミナーや交流会に参加する
取引先の企業とアイデア交換をする
私の場合でいえば、視察に行った先で、目的外の隣のショップへ足を伸ばしたことが運命的な出会いを呼び寄せました。
用事が済んだらすぐ帰るのか、好奇心を持ってさらにもう一歩を踏み出すのか、そこが新規事業アイデアを得られるかどうかの大きな差になります。
新しい事業のアイデア発想法については、下記コラムもご覧ください。
新規事業のアイデア発想法とは?ヤマチの成功事例・決断のポイントも
新規事業が思いつかないのはなぜ?ビジネスアイデアの見つけ方と人脈活用の発想法
また、新規事業の立ち上げプロセスに関しては、下記コラムもご覧ください。
新規事業立ち上げのプロセスとは?多角化を成功へ導くステップを解説
新規事業の立ち上げを成功に導く4つのフレームワークとは?発想~実行までの型を作る方法
成功へのヒントやアイデアは現場の声から見つかる
先ほどご紹介したマンションのリノベーション事業やレストラン事業は、実は現場から上がってきたアイデアを事業化したものなのです。
社内から出た提案に耳を傾ける姿勢がトップにあれば、社員は現場で得た貴重な情報を新たなビジネスチャンスへつなげてくれるはずです。
社員の意識改革については、「社員の意識改革を促すタイミングやポイントは?ヤマチの成功事例も確認」もご覧ください。
inZONEの顧客にはマンションユーザーも多く、家具に合うようにおしゃれに改装したいという声が多いというのです。
それでマンションの中古物件を骨格だけのスケルトンにして、3LDKを1LDKにするようなリノベーション事業を始めました。
これが「M+(エムプラス)」です。
今はマンションリノベーションを扱う会社は数多くありますが、当時はまだ珍しい取り組みで、ヤマチユナイテッドはその先駆けでした。
inZONEの店舗に相談カウンターを設けて、リノベーション事業をスタートさせると、40代の独身女性にニーズが高いことがわかってきました。
これまで仕事をバリバリがんばってきたキャリアの女性がマンションを購入し、一人暮らし用にリノベーションするケースが意外に多い。
現場の声を聞くことで、予期せぬ顧客が見えてきたのです。
もう一つ、現場からのアイデアで始まったのが、インテリアショップがつくるレストラン「inZONE TABLE」です。
インゾーネの家具や雑貨でコーディネートした飲食店をつくり、お茶やお食事を楽しんでもらう。
その中でインゾーネの家具の使い心地の良さやおしゃれな空間のつくり方を体感してもらいたいという、社員のアイデアでした。
そこで、古い2階建ての民家をリノベーションして、インゾーネの家具をリアルディスプレイしたレストランをオープンさせたのです。
現在は、札幌駅にある商業施設に場所を移転していますが、家具やおしゃれな空間づくりにこだわるというコンセプトは変わっていません。
レストランにあるソファや照明を気に入って、同じものをショップに買いに来てくださる方もいらっしゃるようです。
スモールスタートと仮説検証の重要性
新規事業を軌道に乗せるためには、「小さく始めること」と「検証を繰り返すこと」が重要です。
いきなり大きな投資を行うのではなく、まずは小規模に試すことでリスクを抑えながら進めることができます。
また、早い段階で市場に出すことで顧客の反応を得られ、その結果をもとに方向性を柔軟に見直すことも可能になります。
さらに、アイデアが本当に市場や顧客のニーズに合っているかを確かめるためには、仮説検証のプロセスが欠かせません。
実際のデータをもとに判断し、試行と改善を繰り返していくことで、事業の精度は徐々に高まっていきます。
こうしたサイクルを回し続けることが、新規事業の成功確率を高めるポイントといえるでしょう。
ヤマチのinZONE事業の成功例を参考に、新規事業の一歩を踏み出そう
「市場の変化についていく」という生き残り戦略においても、人材育成という点においても、企業にとって重要な新規事業。
ヤマチユナイテッドのinZONE事業は、遊休資産である倉庫の活用を検討する中で生まれた新規事業です。
リフォーム会社のショールーム視察で訪れた郡山で、隣接するインテリアショップとリフォーム会社の相乗効果に着目し、インテリアと住宅を組み合わせたビジネスの可能性に気づきました。
当時の北海道では中高価格帯のインテリア市場が手薄だったこともあり、需要を見込んで事業化を決断。
2007年9月に「inZONE with ACTUS」をオープンし、多くの来店客を集める拠点となりました。
さらに、家具と住宅の相性に着目し、住宅事業、リノベーション、飲食事業へと展開。
自社の強みを生かしながら顧客ニーズを捉え、ブランドとして育てたことが、多角化戦略の成功につながっています。
新規事業のアイデアに行き詰まったら、現場の声を聞いたり、気になったことに対してとにかく行動したりすることも大切です。
さて、ヤマチユナイテッドの新規事業の成功事例の一つ「inZONE」事業は、あなたのヒントになったでしょうか。
ヤマチユナイテッドでは、経営に役立つ経営セミナー・イベントなども随時開催していますので、きっと新規事業や多角化経営のヒントが見つかります。
興味があるイベントがありましたら、ぜひご参加ください。
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Authorこの記事の著者
ヤマチ連邦多角化経営実践塾 塾長
山地 章夫
ヤマチユナイテッド代表。経営を楽しみ、社員820名、50事業・年商258億円の企業グループの舵を取る。本業を中心に事業を次々と立ち上げ、売上げを積み増す「連邦多角化経営」を実践。経営の安定化と人材育成を両立する独自の経営手法が、多くの中小企業経営者の注目を集める。





