経営者が「情熱」を持てない新規事業は成功しない【きたえるーむ編】

多角化するノウハウ

山地 章夫
山地 章夫

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見込みのある新規事業をいかに見つけ出すか?前回のコラム(インゾーネ編)で、新規事業成功のポイントを3つ、ご紹介しました。

(1)自社の強みや課題を把握しておくこと

(2)自社で展開できる仕組みであること

(3)現場の社員の声をきくこと

今回はこの3点に加えて

(4)あきらめず食らいつく情熱を持つこと

の大切さをお伝えしたいと思います。

事例として、当社が初めて介護分野へ進出した「きたえるーむ事業」についてご紹介しましょう。

目次

  1. 機能訓練専門デイサービス「きたえるーむ」とは
  2. ゴルフ場の雑談が新規事業のヒントに
  3. 事業提携(コラボレーション)までの道のり
  4. FC(フランチャイズ)で全国に展開
  5. まとめ

 

1.機能訓練専門デイサービス「きたえるーむ」とは

機能訓練専門のデイサービス施設「きたえるーむ」は、当社が初めて手掛けた介護分野の事業です。

要介護状態になるのを防ぎ、自立した生活を送りたいと願う高齢者の方々を対象に、ウォーキングマシンや平行棒を使用したリハビリや、身体に負担の少ないマシンを使ったトレーニングプログラムを提供しています。

最近は競合他社も増えていますが、うちの特長は国家資格を持つ「柔道整復師」によるマッサージやストレッチの施術をプラスしている点です。

リハビリやトレーニングだけだとつらく感じてしまう方も、マッサージで痛みやしびれを緩和できるとあって支持を集めているのです。

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2.ゴルフ場の雑談が新規事業のヒントに

これまで建材、住宅、イベントなどで事業展開してきた当社が、なぜ全くの異業種である介護分野に進出したのか?

きっかけは、ゴルフ場での雑談でした。

少子高齢の時代ですから、もともと介護の分野には関心を持っていました。

知り合いのコンサルの方にも「これから伸びるのは機能訓練専門のデイサービスだ」と聞いていました。

そんなとき経営者仲間とゴルフがあって、雑談の最中に「機能訓練専門のデイサービス事業に興味がある」と話したところ、たまたまリハビリ用マシーンの販売をしている方がいたんです。

詳しく話を聞きたいと、後日、会社に来てもらったら「機能訓練専門のデイサービスにマッサージのサービスを追加して、すごく繁盛している整骨院がある」と言うんです。

さっそく紹介してもらい、その整骨院の経営者に会いに行ったのが始まりでした。

3.事業提携(コラボレーション)までの道のり

整骨院の院長は、いわゆるゴッドハンド。柔道整復師の国家資格を持つ人気の施術家でした。

「いくらリハビリといっても、デイサービスでただ運動させて帰すだけなら、疲れるし、つらいし、来なくなってしまう。だから、疼痛管理するマッサージをプラスして通ってもらっている」と言います。

確かにそうだと思いました。

それで、単刀直入にお願いしたんです。

「このサービスをパッケージにして、フランチャイズで全国展開したいから協力してほしい」と。

でも、院長にはにべもなく断られました。

「マッサージには柔道整復師の質の高い技術が必要で、そう簡単に多店舗展開はできない。自分でも2〜3店舗の展開で限界」だと。

新規事業に困難はつきものですから、ここで諦めてはなにも始まりません。

私も熱く語ります。

「こんなに喜ばれる事業は全国に広めるべきです」

「先生と同じ技量を持つ人を育てるのは難しくても、その7割程度の技術を数週間で身に付ける教育プログラムをつくれないでしょうか」

「顧問として事業提携というかたちなら可能でしょうか」

結果、なんとかOKをいただいて、「きたえるーむ」が誕生したのです。

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4.FC(フランチャイズ)で全国に展開

2010年、まず直営店で様子を見ようと、札幌市北区に第一号店をオープン。

順調に利用者が増えたことから、FC化を図りました。

当社では以前からインターデコハウスという輸入住宅のブランドをFC化していて、全国に加盟店があります。

これは当社の経営資源であり、大きな強みです。

「きたえるーむ」の新事業は、そもそも加盟店になってくれている工務店へ事業の多角化を提案したいという狙いがありました。

住宅会社や工務店にとって介護事業は全くの異業種ですが、顧客のライフスタイルを把握しなければならない業界ですから、ある意味、介護事業も親和性があるのではないか。開業資金もモデルハウス1棟分程度なので、ハードルは高くないはずだ、と考えたのです。

既存の本業だけではなく、2本・3本と事業の柱を作っておくと、時代の変化に対応できる。「きたえるーむ」は会社を支える柱になると加盟店に紹介し、おかげさまで、どんどんと拠点ネットワークが広がりました。

最近は異業種からの加盟も増えて、いまは直営店とフランチャイズを合わせて全国140店舗まで増えています。

デイサービス施設はそもそも送迎エリアが限られているため、商圏が小さく、出店の余地はまだまだあります。高齢化の進展でニーズはますます大きくなっていくでしょう。

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5.まとめ

デイサービスの介護事業は、当社にとってまったく新しい市場でした。

専門的なノウハウを持った会社とコラボレーションして、当社が持つフランチャイズのノウハウと組み合わせることで、短期間で全国に拡大させることができたのです。

とはいえ、新しく事業を始めようとすると、賛成する人ばかりではありません。

必ず反対する人がいます。予想しなかった困難にもぶつかります。

しかし「必ず成功させる」と強く信じることで、そうした反対や困難を乗り越える情熱が生まれてくるのではないでしょうか。

自社の強みやノウハウを把握して、それらを発揮できる市場がほかにないか、常にアンテナを張っておくこと。そして、冷静に市場を分析し、将来性を判断できる理性があること。周囲を巻き込む、行動力があること。

経営者にはこうした資質が欠かせませんが、それら以上に大切なのは「なんとしても、この事業を成功させたい」という情熱です。

経営者の情熱こそが、周囲を巻き込み、事業推進の大きな原動力となる。

あなたもぜひ、情熱を傾けられる新規事業を探してみてください。

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