デイサービス経営を成功させるコツとは?「きたえるーむ」の成功事例も
多角化・新規事業
こんにちは、ヤマチユナイテッドの山地です。
見込みのある新規事業をいかに見つけ出すか?
「新規事業の成功例をご紹介!偶然の出会いから生まれたinZONE事業」では、新規事業を成功に導いたポイントを3つ、ご紹介しました。
(1)自社の強みや課題を把握しておくこと
(2)自社の得意分野で展開できる仕組みであること
(3)自社ブランドを育てること
今回は、上記3点に加えて「あきらめず食らいつく情熱を持つこと」の大切さについて、お伝えしたいと思います。
新規事業の成功事例として、当社が初めて介護分野へ進出した「きたえるーむ事業」についてご紹介しましょう。
当社のデイサービス事業の成功体験をもとに、デイサービス経営のコツや成功させるためのポイントをあわせてお話しますので、ぜひご確認ください。
目次
- デイサービスの経営はなぜ厳しいといわれる?介護業界がおかれている環境とは
- デイサービス経営のコツや成功させるためのポイントは?「きたえるーむ」の成功事例
- デイサービス経営の成功事例を知り、情熱を傾けられる新規事業を探そう
デイサービスの経営はなぜ厳しいといわれる?介護業界がおかれている環境とは
高齢者人口が増加し、介護分野へのニーズが高まる中、「デイサービスの経営は厳しい」といわれることもあります。
デイサービスの経営がなぜ厳しいのか、その理由として現状の介護業界がおかれている環境から見ていきましょう。
介護報酬の改定の影響を受ける可能性がある
デイサービス事業は、介護保険制度において支払われる「介護報酬」が収益の大部分を占めており、介護報酬が減れば収益も少なくなります。
介護報酬とは、事業者が利用者(要介護者、または要支援者)に介護サービスを提供した対価として、事業者に対して支払われる報酬(サービス費用)です。
介護報酬の基準額は、3年ごとに見直しをされます。
介護保険法により改訂されるため、国の財政状況などの影響を受けて増減することも。
企業や施設の努力のほかに、このような介護報酬の改定の影響を受けて収益が減ってしまう可能性があることも、デイサービスの経営が厳しいといわれる理由の一つでしょう。
スタッフが定着しにくい
介護業界全体の課題ですが、スタッフの離職率が高くなかなか定着してくれないこともデイサービスの現状の悩みです。
単純に人手不足になり充実したサービスを提供できなくなるだけでなく、新たに求人するための広告費や教育費などのコストもかかり、経営の厳しさに拍車をかけることもあります。
管理者が育たない
デイサービスには介護従事者や事業所運営をサポートする管理者の存在が必要ですが、管理者の育成も課題となっています。
管理者の役割には、人材マネジメントやマーケティング、行政書類の作成・管理などが挙げられます。
デイサービスのスタッフが働きやすいようにケアしたり、利用者を増やしたりと、事業をサポートするのに重要な役割です。
この管理者が育っていなかったり、育成しても離職してしまったりする場合、デイサービスの安定した経営は難しくなることもあります。
差別化ができていない
デイサービスは比較的参入しやすい事業です。
施設数が増えるほど競争も激しくなっているため、他施設との差別化がうまくできていないと利用者に選ばれません。
デイサービス経営のコツや成功させるためのポイントは?「きたえるーむ」の成功事例
デイサービスの経営を成功させるにはどのようなポイントを抑えておく必要があるでしょうか。
当社のデイサービス事業「きたえるーむ」の成功体験をもとに、デイサービス経営のコツについてご紹介しましょう。
専門的なノウハウを持った会社とコラボレーションしつつ、独自のサービスを加えることで差別化
デイサービスの経営を成功させるためには、他社との差別化や独自のブランディングは必須でしょう。
自社だけで明確な差別化を図ることが難しいなら、専門的なノウハウを持った会社とコラボレーションすることも検討するのがおすすめです。
新規事業の成功事例として紹介する「きたえるーむ」は、機能訓練専門のデイサービス施設として当社が初めて手掛けた介護分野の事業です。
短時間の通所型のデイサービスで、機能訓練・機能回復に特化したデイサービス施設です。
「きたえるーむ」では、要介護状態になるのを防ぎ、自立した生活を送りたいと願う高齢者の方々を対象に、ウォーキングマシンや平行棒を使用したリハビリや、身体に負担の少ないマシンを使ったトレーニングプログラムを提供しています。
もちろん競合他社もありますが、「きたえるーむ」の特長は国家資格を持つ「柔道整復師」によるマッサージやストレッチの施術をプラスして差別化している点です。
リハビリやトレーニングだけだとつらく感じてしまう方も、マッサージで痛みやしびれを緩和できるとあって支持を集めているのです。
このようなデイサービス施設はそもそも送迎エリアが限られているため、商圏が小さく、出店の余地はまだまだあります。
高齢化の進展でニーズはますます大きくなっていくでしょう。
マッサージやストレッチの施術は、柔道整復師の国家資格を持つ人気の施術家である整骨院の院長とコラボレーションすることで実現した、「きたえるーむ」独自の特長となっています。
あきらめず食らいつく情熱を持つ
この整骨院の院長は少し先行して、機能訓練専門デイサービスに注目し、自ら施設を2店舗運営しており、利用者も順調に増えていると聞いて、さっそく話をしに行きました。
院長にお話を伺った際、「いくらリハビリといっても、デイサービスでただ運動させて帰すだけなら、疲れるし、つらいし、来なくなってしまう」
「だから、疼痛(とうつう)を管理するマッサージをプラスして通ってもらっている」と言われていて、確かにそうだと思いました。
それで、単刀直入にお願いしたんです。
「このサービスをパッケージにして、フランチャイズで全国展開したいから協力してほしい」と。
しかし、「マッサージには柔道整復師の質の高い技術が必要で、そう簡単に多店舗展開はできない。自分でも2〜3店舗の展開で限界」だと、にべもなく断られました。
新規事業に困難はつきものですから、ここで諦めてはなにも始まりません。
私も熱く語ります。
「こんなに喜ばれる事業は全国に広めるべきです」
「先生と同じ技量を持つ人を育てるのは難しくても、その7割程度の技術を数週間で身に付ける教育プログラムをつくれないでしょうか」
「顧問として事業提携というかたちなら可能でしょうか」
情熱を持って説得した結果、なんとかOKをいただいて「きたえるーむ」が誕生したのです。
デイサービスの経営には、さまざまな資質が欠かせません。
自社の強みやノウハウを把握して、それらを発揮できる市場がほかにないか、常にアンテナを張っておくこと。
そして、冷静に市場を分析し、将来性を判断できる理性があることが挙げられます。
しかし、それら以上に大切なのは「なんとしても、この事業を成功させたい」という情熱です。
新しく事業を始めようとすると、賛成する人ばかりではありません。
必ず反対する人がいます。
予想しなかった困難にもぶつかります。
しかし「必ず成功させる」と強く信じることで、そうした反対や困難を乗り越える情熱が生まれてくるのではないでしょうか。
経営者の情熱こそが、周囲を巻き込む行動力となり、事業推進の大きな原動力となります。
自社が持つノウハウと組み合わせて展開
「きたえるーむ」は、当社が持つフランチャイズビジネスのノウハウと組み合わせることで、短期間で全国に展開させることができました。
2010年に、まず直営店で様子を見ようと、札幌市北区に第1号店(札幌麻生店)をオープン。
順調に利用者が増えたことから、フランチャイズとして全国展開を図りました。
ちなみに、当社では以前から輸入住宅のブランドをフランチャイズ化していて、全国に加盟店があります。
これは当社の経営資源であり、大きな強みです。
「きたえるーむ」の新事業は、そもそも加盟店になってくれている工務店へ事業の多角化を提案したいという狙いがありました。
住宅会社や工務店にとって介護事業は全くの異業種ですが、顧客のライフスタイルを把握しなければならない業界ですから、ある意味、介護事業も親和性があるのではないか。
開業資金もモデルハウス1棟分程度なので、ハードルは高くないはずだ、と考えたのです。
既存の本業だけではなく、2本・3本と事業の柱を作っておくと、時代の変化に対応できる。
「きたえるーむ」は会社を支える柱になると加盟店に紹介し、おかげさまで、どんどんと拠点ネットワークが広がりました。
今は直営店とフランチャイズを合わせて全国に120店舗以上を展開するほど成長しています。
フランチャイズ展開は、新規事業のリスクを減らす手法として効果的です。
詳しくは「新規事業のリスクを減らす方法や事例を紹介!リスク分析の手法も」をご覧ください。
デイサービス経営の成功事例を知り、情熱を傾けられる新規事業を探そう
デイサービスの経営が厳しいといわれる理由としては、介護報酬改定の影響を受ける可能性がある、スタッフが定着しにくい、管理者が育っていない、他施設との差別化できていない、などが挙げられます。
当社のデイサービス事業「きたえるーむ」の成功体験から得た、デイサービス経営のコツや成功させるポイントは、以下の3点です。
- 専門的なノウハウを持った会社とコラボレーションして差別化
- あきらめず食らいつく情熱を持つ
- 自社が持つノウハウと組み合わせて展開
これまで建材、住宅、イベントなどで事業展開してきた当社にとって、デイサービスの介護事業はまったく新しい市場でした。
専門的なノウハウを持った会社とコラボレーションして他施設との差別化を図り、情熱を持って成功に向けて取り組み、当社が持つフランチャイズのノウハウと組み合わせることで、短期間で全国に拡大させることができたのです。
しかし、新しく事業を始めようとすると、賛成する人ばかりではなく、反対されてしまったり、予想もしなかった困難にぶつかったりもするでしょう。
そんなときこそ「必ず成功させる」と強く信じ行動することで、反対や困難を乗り越える情熱が生まれてきます。
この経営者の情熱こそが、周囲を巻き込み、事業推進の大きな原動力となる。
ぜひ、情熱を傾けられる新規事業を探してみましょう!
ヤマチユナイテッドでは、会社経営に役立つセミナーやイベントを随時開催しています。
参加を検討してみたい方は、ホームページでスケジュールをご確認ください。
SHARE! この記事を共有する
Authorこの記事の著者
ヤマチ連邦多角化経営実践塾 塾長
山地 章夫
ヤマチユナイテッド代表。経営を楽しみ、社員700名、50事業・年商256億円の企業グループの舵を取る。本業を中心に事業を次々と立ち上げ、売上げを積み増す「連邦多角化経営」を実践。経営の安定化と人材育成を両立する独自の経営手法が、多くの中小企業経営者の注目を集める。