新規事業が思いつかないのはなぜ?ビジネスアイデアの見つけ方と人脈活用の発想法
多角化・新規事業
こんにちは、ヤマチユナイテッド代表の山地です。
「百聞は一見にしかず」という格言は有名ですが、実はこの言葉には続きがあることをご存知ですか?
「百見は一考にしかず。百考は一行にしかず」
つまり、「聞くことよりも、見ることよりも、考えることよりも、行動(体験)することが大切だ」という教えです。
私自身もこれまで、体験をなにより重視してきました。
今回はそんな私の経験をもとに、新規事業が思いつかない理由やアイデアが出ない企業に共通する構造的な原因を整理した上で、人脈を広げてビジネスアイデアを見つける方法、発想に役立つフレームワークまでご紹介します。
「新規事業が思いつかない場合、どのように発想したら良いのか」
「ビジネスにつながる人脈をどうつくるのか」
このような疑問へのヒントになると思います。
目次
新規事業が思いつかない理由とアイデアが出ない企業に共通する構造的原因
新規事業が思いつかないのには理由があります。
また、アイデアが出ないと悩む企業には共通する原因があるのです。
新規事業が思いつかない・アイデアが出ない理由とその背景
まずは、新規事業が思いつかない理由やその背景を整理していきましょう。
新規事業=まったく新しいビジネスと考えてしまう
新規事業アイデアが思いつかない理由として多いのは、「これまでにない新しい事業」を考えようとするからではないでしょうか。
「新規」とありますが、まったく新しいオリジナルの事業やビジネスモデルを開発する必要はないと私は考えています。
今までにない事業やビジネスモデルはそう簡単に思いつくものではありませんし、思いついたとしても認知度が低いため事業をスケールさせていくのに必要な時間も長いでしょう。
私の経験からいうと、多角化に成功している経営者はいわば「真似の達人」で、他社の事業を自分流にアレンジすることに長けている方がたくさんいます。
自社にない発想で直感的に「いいな」と思ったものを積極的に取り入れて自己流にアレンジすることで、新規事業のリスクを減らすことにもつながります。
「新規事業のリスクを減らす方法や事例を紹介!リスク分析の手法も」もあわせてご覧ください。
新規事業のアイデアが生まれにくい構造になっている
新規事業のアイデアが出ない企業は「発想力がない」のではなく、アイデアが生まれにくい構造になっているケースが多く見られます。
代表的な要因として以下のようなものが考えられます。
思考が内向きになっている(固定観念・既存依存)
意思決定と組織連携に時間がかかる
挑戦よりもリスク回避が優先される
これらはそれぞれ独立した問題に見えますが、実際には相互に影響し合い、アイデアが生まれにくい状態をつくっています。
まず、思考が内向きになっている企業では、過去の成功体験や業界の常識が前提となり、新しい発想が入り込む余地が小さくなります。
新規事業であっても既存のビジネスモデルに当てはめて考えてしまい、結果として発想の幅が広がりません。
さらに、意思決定の遅さや組織内の連携不足も大きな障害です。
承認プロセスの多さや部門間の分断により、せっかくのアイデアが前に進まないケースもよく見られます。
スピードが求められる新規事業において、この遅れは致命的です。
失敗を恐れる社風では新しいアイデアは生まれない
そして、こうした状況に拍車をかけるのがリスク回避の姿勢です。
失敗を避ける文化が強いほど、前例のない取り組みは敬遠され、小さな検証すら実行されにくくなります。
社内での反対意見や失敗することを恐れて、新規事業のアイデアを出せないこともあるかもしれません。
これは積極的にアイデアを出せるような社風になっていないことが原因だと考えられます。
優れた事業やビジネスモデルがあったとしても、優秀な人材が揃っていたとしても、失敗をひどく叱責するような社風なら、社員は新しいことに挑戦したいと思わないでしょう。
その結果、やらない理由が積み重なり、アイデア自体が表に出てこなくなります。
こうした社風の影響力を端的に表しているのが、経営学者のピーター・ドラッカー氏の言葉として広く知られている「Culture eats strategy for breakfast(企業文化は戦略に勝る)」という有名なフレーズです(出典は諸説あります)。
だからこそ、新規事業アイデアを会社として考えるときに大切なのは、若手社員が上司に提案や意見を発言できるポジティブな社風作りです。
社風作りについて詳しくは「良い社風の作り方とは?「社風経営」で多角化経営を加速」をご参照ください。
人脈を広げて新規事業のビジネスアイデアを見つける方法
人脈が新規事業のアイデアにつながる理由は、主に次の3つです。
外部の視点によって発想が広がる
実践的な知見が手に入る
ビジネスチャンスと検証の場が得られる
これらが組み合わさることで、単なる思いつきではなく「実行につながるアイデア」が生まれやすくなります。
まず、人とのつながりは、自社の中だけでは得られない視点をもたらします。
異なる業界や立場の人と関わることで、これまで前提としていた考え方がほぐれ、新しい切り口に気づきやすくなります。
発想が広がるきっかけは、多くの場合こうした「外の視点」にあります。
また、人脈を通じて得られるのは、表面的な情報ではなく、現場で培われた具体的な知見です。
成功・失敗の両方の経験に触れることで、アイデアの解像度が上がり、実現性の高い形へと落とし込みやすくなります。
さらに、人とのつながりは、そのままビジネスチャンスの広がりにもつながるでしょう。
顧客やパートナーとの接点が生まれるだけでなく、アイデアを試したり意見をもらったりできる環境も得られるのです。
こうした「機会」と「検証の場」が揃うことで、アイデアは具体化していきます。
では、具体的に人脈を広げて新規事業のビジネスアイデアを見つける方法を見ていきましょう。
自ら体験してみる
多角化のアイデアを求めているなら、積極的に外へ出ていくことが重要です。
それが、多角化のタネになることも少なくありません。
テレビを見たり雑誌や書籍を読んだりしていると「この会社のやっていることは面白い」「あの経営者の発想は新規事業の参考になりそうだ」という情報に出会うことがあるでしょう。
このようなときは、迷うことなく「体験する」ことをおすすめします。
まずは、その会社の商品を実際に買ってみたり、サービスを受けたりと、「体験」してみる。
聞いたり、見たり、頭の中で考えたりしているだけではわからなかったことに気づいたり、新しい発想が生まれたりするものです。
気になる人の講演会に参加する
私の場合、「この経営者は面白い!」「この会社の事業は参考になりそうだ!」と思ったら、書籍が出版されていないかチェックし、購入します。
そして、その会社の経営者やキーマンの講演会があるかどうかを確認し、近々開催されるようであれば、すぐに申し込んで話を聞きにいきます。
テレビを見たり、本を読んだりしただけで、そのアイデアやノウハウを自社の事業に取り入れるのは、かなりの高等テクニックです。
実際に本人の話を直接聞いたり、質問をしたり、つまり「体験」することによって、アイデアが深堀りされて、自分流にアレンジすることが可能になるものです。
講演会に参加する際は、ただ足を運ぶだけではもったいない。
参加する際のコツを押さえて、より有意義な時間にしてみてください。
講演会に参加する際のコツ①講師には積極的にアプローチを
講演会に参加したら、熱心に話を聞き質問をすることも大切ですが、「顔と名前を覚えてもらう」「仲良くなる」という段階まで踏み込めたら最高です。
お互いに意見交換もできますし、将来的にはコラボレーションに発展する可能性もあります。
そのきっかけとして、例えば、講演している経営者の書籍を10冊くらいまとめて買ってみる。
「すばらしいお話だったので友人にも本を配りたい」と言われたら、講演している側はとても嬉しいですし、その人の名前を覚えるでしょう。
「もっと教えたい」という気持ちにもなります。
少なくとも私が講演する立場であれば、そう思います。
書籍を出版していなかったら、講演者の会社が売っている商品やサービスを実際に購入しても良いでしょう。
講演会に参加する際のコツ②講演会後の懇親会は出会いのチャンス
講演会のあとに懇親会があるなら、必ず参加するという心がけも必要です。
「講演会で話だけ聞ければ十分、懇親会には出ない」という人もいますが、私は興味のある人の懇親会には必ず参加するようにしています。
そして、できるかぎり講演者の正面の席や隣の席をキープする。
そうすれば「私の業界の場合、どうしたら良いでしょうか?」など、より突っ込んだ質問もできます。
お酒の席なので適当な返答をされる可能性もありますが、多角化の参考になるような話を聞けたり、その講演者との親交が深まったりと、メリットのほうが多いはずです。
講演会や懇親会は、参加する側の心がけ一つで、コストパフォーマンスがぐんと高くなるのが大きな魅力です。
通常「この経営者に会いたい。教えてもらいたい」と正面からアポイントメントをとろうとしても「忙しいから」と断られるのが普通です。
しかし、講演会であれば、たった数千円から数万円のコストで、さまざまな情報を仕入れ、人間関係を構築できます。
事業の多角化をうまく進めている経営者は、講演会や懇親会などの機会を情報収集の場、コラボレーションのきっかけの場としてうまく活用しています。
講演会に参加する際のコツ③地方の経営者ほどチャンスも大きい
フットワーク良く講演会に参加したり、会社見学に行ったりする方法は、特に地方の経営者にとってはチャンスでもあります。
「わざわざ北海道から来てくれたんですか」となれば、教えるほうは期待に応えたくなります。
また、事業を展開する地域がバッティングせず、ライバルになる心配がなければ、惜しみなく情報を出してくれるでしょう。
講演会に参加する際のコツ④講師としてお呼びする
少しレベルの高い方法になりますが、「この経営者は面白い!」と思ったら、自分で講演会を開催して、講師として呼ぶ方法もあります。
謝礼をお支払いすれば、「イエス」と言ってもらえる可能性は高まりますし、経営者仲間を集めて謝礼を割り勘にすれば、それほど多額の予算も必要ありません。
何よりこの方法がすばらしいのは、主催者の立場を使って、特等席で講演者の話を聞ける点です。
主催者であれば、懇親会などでも突っ込んだ話を聞けるチャンスがありますし、それをきっかけに交流が深まる可能性もあります。
経営者ネットワークに参加する
私は講演会以外に、「多角化経営者クラブ」のような異業種、もしくは同業種のネットワークに参加し、事業に生かすことも積極的に行なっています。
懇親会やネットワークに参加する場合、自分のことや事業についても、丸裸になってオープンに話す姿勢が大切です。
自分からは情報を出さずに、一方的に「聞き出してやろう」という姿勢の人とは、誰も交流を深めたいとは思いませんよね。
自分から積極的に情報を発信する人のもとに、質の高い情報は集まってくるものです。
交流会ではオープンマインドを心がけましょう。
経営者ネットワークでは、新規事業のヒントだけでなく、企業同士のコラボレーションが生まれることもあります。
コラボレーションのメリットや成功事例については、こちらのコラムもご覧ください。
企業コラボレーションとは?メリットや成功のポイント、成功例も
異業種コラボが注目されている理由とは?成功例やメリット・デメリットを紹介
多角化研究会を主催する
既存の異業種交流会に参加するのももちろん良いのですが、自ら異業種交流会を企画してみるのも良いでしょう。
私もかつて地元で異業種交流会を立ち上げて、毎月例会を開催していたことがあります。
30分ほどの勉強会と飲み会がセットになった交流会を、毎月1回開くということを3年間ほど続けていましたが、この会がきっかけでいくつものコラボレーションが生まれました。
皆さんのお住まいの地域でも仲間の経営者を募り、「多角化研究会」のような交流会を主催してみてはいかがでしょうか。
経営者は基本的に新しいビジネスのタネを探していますから、きっとコラボレーションにつながる出会いがあるはずです。
特に「多角化経営者クラブ」のような組織は、多角化をしたい経営者の集まりですから、コラボレーションがいつ起きてもおかしくありません。
実際にヤマチユナイテッドでも、こうした人との出会いをきっかけに新規事業が生まれています。
偶然の出会いから誕生した新規事業の事例については、こちらのコラムも参考にしてください。
新規事業の成功例を紹介!偶然の出会いから生まれたinZONE事業の軌跡
新規事業のビジネスアイデアが思いつかないときの見つけ方
新規事業のアイデアは、どこから発想するかによって方向性が大きく変わります。
代表的な切り口を押さえておくことで、考えやすくなります。
顧客課題から考える
顧客の不満や課題を出発点に事業を考える方法です。
日常の不便や顧客の声をもとにニーズを捉え、それを解決する形でサービスや商品を構想していきます。
ペルソナを設定し、具体的な利用シーンまでイメージすることで、より実現性の高いアイデアにつながります。
自社の強みから考える
技術・顧客基盤・ブランドなどを活用する考え方です。
自社が持つ強みや資産を整理し、それを別の用途や市場に展開できないかを検討します。
既存の強みを起点にすることで、競争優位性のある事業を設計しやすくなります。
社会課題から考える
高齢化やDX、環境問題といった社会課題を起点に事業を考える方法です。
社会の変化に目を向け、その解決に貢献する形でアイデアを検討します。
将来的なニーズが見込まれる領域であるため、継続性のあるビジネスにつながりやすい点が特徴です。
他業界の成功事例を参考にする
他業界のビジネスモデルを自社業界に応用するアプローチです。
異なる分野の成功事例を分析し、その仕組みや考え方を自社に置き換えて検討します。
既存のモデルを組み合わせることで、新しい価値を生み出すヒントが得られます。
新規事業が思いつかないときの発想フレームワーク
新規事業アイデアが思いつかないときには、フレームワークを使って考えを可視化することが大切です。
新規事業の考え方を可視化したものとして有名なものが「アンゾフの成長マトリクス」です。
ヤマチユナイテッドでも利用している「事業多角化のマトリクス」について簡単にご紹介しましょう。
引用:山地章夫.『新規事業と多角化経営』.クロスメディア・パブリッシング.2021年6月25日
縦軸を「技術(ノウハウ)」、横軸を「市場(顧客)」として、既存の事業(現在の市場や顧客)を深掘り発展させるか、新規に開拓・開発するかという観点で方向性を示しています。
この中でも③の「異業種進出戦略での多角化」は、ハードルが高い傾向があります。
FC加盟や他社からノウハウを買う、あるいはM&Aによって新しい技術などを取り入れるといったことを検討しないと難しい領域です。
そのため、①の「商品開発戦略での多角化」や、②の「市場開拓戦略での多角化」のうち、自社の強みを生かせるところを探っていくのが、発想しやすい方向性となります。
アンゾフの成長マトリクスについては、こちらのコラムでも詳しくご紹介しています。
ヤマチユナイテッドでは、他にも「新事業発想 3大ポイントとZONE」の図などを使って新規事業のポイントを絞っていきます。
詳しくは「新規事業のアイデア発想法とは?ヤマチの成功事例・決断のポイントも」をご覧ください。
ここからは、新規事業アイデアを生み出すフレームワークと、新規事業の立ち上げを成功に導くフレームワークを、具体的に見ていきましょう。
新規事業アイデアを生み出す主なフレームワーク
まずは、発想を広げるための代表的なフレームワークです。
視点を強制的に増やすことで、アイデアの幅を広げることができます。
SCAMPER
既存のサービスやアイデアに対して「置き換え・組み合わせ・応用」などの視点で問いを立て、新しい発想を引き出す
ブレインストーミング
複数人で自由にアイデアを出し合い、量を重視して発想を広げる
マンダラート
3×3のマスを使い、テーマから連想を広げていくことで、発想を構造的に展開する
ビジネスモデルキャンバス
ビジネスの構造を9つの要素に分解し、アイデアを整理・可視化する
新規事業の立ち上げを成功に導くフレームワーク
アイデアを具体化し、成功確率を高めるためのフレームワークです。
発想だけでなく「実行できるか」を判断する際に役立ちます。
3C分析(顧客・自社・競合)
市場・自社・競合の3つの視点から状況を整理し、勝てるポジションを明確にする
SWOT分析
強み・弱み・機会・脅威の4つの観点で、自社の現状と外部環境を整理する
PEST分析
政治・経済・社会・技術の観点から、外部環境の変化や将来のリスク・機会を把握する
フレームワークについては、こちらのコラムもあわせてご覧ください。
新規事業の立ち上げを成功に導く4つのフレームワークとは?発想~実行までの型を作る方法
中小企業が勝つための経営戦略フレームワークの使い方は?ヤマチの事例も確認
【プレゼント】新規事業を成功に導く4つのフレームワーク
「新規事業を成功に導く4つのフレームワーク」のフォーマットをご用意しております。
以下のリンク先からダウンロードして、ぜひご活用ください。
新規事業を思いつかないときは、自ら動いてビジネスアイデアと人脈を広げてみよう
新規事業を思いつかない背景には、いくつかの共通した要因があります。
まず「新規=まったく新しいもの」と捉えすぎることで、発想のハードルを自ら上げてしまうケースが多く見られます。
実際には、他社事例を自社流にアレンジすることが有効です。
また、アイデア不足は個人ではなく組織構造の問題であることが多く、固定観念による内向き思考、遅い意思決定、失敗を許容しない過度なリスク回避が重なることで発想が停滞します。
一方で、人脈を広げることで外部の視点や実践的な知見が得られ、ビジネスチャンスや検証の場も広がります。
実際に体験したり、講演会や交流会に参加することで、アイデアは具体化しやすくなります。
気になる人が講演会を開くなら積極的に出かけたり、経営者ネットワークに参加したり、自ら多角化研究会といった交流会や勉強会を主催してみるのもおすすめです。
どうしても新規事業のアイデアが思いつかないときには、フレームワークを使って発想する方法も試してみましょう。
私はそうした中から人脈を広げ、新規事業のアイデアを見つけてきました。
ビジネスのタネは、どこに転がっているかわかりません。
自分から動けば、思わぬところでタネが見つかることが多いものですよ。
ヤマチユナイテッドでは会社経営のノウハウやミッションの導入方法などの経営セミナー・イベントを随時開催しています。
気になる方はぜひチェックしてみてください。
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Authorこの記事の著者
ヤマチ連邦多角化経営実践塾 塾長
山地 章夫
ヤマチユナイテッド代表。経営を楽しみ、社員820名、50事業・年商258億円の企業グループの舵を取る。本業を中心に事業を次々と立ち上げ、売上げを積み増す「連邦多角化経営」を実践。経営の安定化と人材育成を両立する独自の経営手法が、多くの中小企業経営者の注目を集める。




