新規事業が思いつかない時の発想法。人脈を広げてアイデアに繋げる
多角化・新規事業
こんにちは、ヤマチユナイテッドの山地です。
「百聞は一見にしかず」という格言は有名ですが、実はこの言葉には続きがあることをご存知ですか?
「百見は一考にしかず。百考は一行にしかず」
つまり、聞くことよりも、見ることよりも、考えることよりも、行動(体験)することが大切だという教えです。
私自身もこれまで、体験をなにより重視してきました。
今回はそんな私の経験から、新規事業アイデアの発想法や体験から始まる人脈の広げ方をご紹介しましょう。
「新規事業が思いつかない場合、どのように発想したら良いのか」
「ビジネスにつながる人脈をどうつくるのか」
このような疑問へのヒントになると思います。
目次
新規事業が思いつかない理由
新規事業アイデアが思いつかない理由として多いのは、これまでにない新しい事業を考えようとするからではないでしょうか。
「新規」とありますが、まったく新しいオリジナルの事業やビジネスモデルを開発する必要はないと私は考えています。
今までにない事業やビジネスモデルはそう簡単に思いつくものではありませんし、思いついたとしても認知度が低いため事業をスケールさせていくのに必要な時間も長いでしょう。
私の経験からいうと、多角化に成功している経営者はいわば「真似の達人」で、他社の事業を自分流にアレンジすることに長けている方もたくさんいます。
自社にない発想で直感的に「いいな」と思ったものを積極的に取り入れて自己流にアレンジすることで、新規事業のリスクを減らすことにもつながります。
「新規事業のリスクを減らす方法や事例を紹介!リスク分析の手法も」もあわせてご覧ください。
また、社内での反対意見や失敗することを恐れて新規事業のアイデアを出せないこともあるかもしれません。
これは積極的にアイデアを出せるような社風になっていないことが原因だと考えられます。
優れた事業やビジネスモデルがあったとしても、優秀な人材が揃っていたとしても、失敗をひどく叱責するような社風なら、社員は新しいことに挑戦したいと思わないでしょう。
経営学者のピーター・ドラッカー氏も「Culture eats strategy for breakfast(企業文化は戦略に勝る)」という言葉を残しています。
新規事業アイデアを会社として考えるときに大切なのは、若手社員が上司に提案や意見を発言できるポジティブな社風作りです。
社風作りについて詳しくは「良い社風の作り方とは?「社風経営」で多角化経営を加速」をご参照ください。
新規事業が思いつかないときの発想法
新規事業アイデアが思いつかないときには、フレームワークを使って考えを可視化することや、実際に行動してみることが大切です。
新規事業の発想法にはどんなものがあるかご紹介します。
フレームワークを活用する
新規事業の考え方を可視化したものとして有名なものが「アンゾフの成長マトリクス」です。
当社グループでも利用している「事業多角化のマトリクス」について簡単にご紹介しましょう。
引用:山地章夫.『新規事業と多角化経営』.クロスメディア・パブリッシング.2021年6月25日
縦軸を「技術(ノウハウ)」、横軸を「市場(顧客)」として、既存の事業(現在の市場や顧客)を深掘り発展させるか、新規に開拓・開発するかという観点で方向性を示しています。
この中でも③の「異業種進出戦略での多角化」はハードルが高い傾向があります。
FC加盟や他社からノウハウを買う、あるいはM&Aによって新しい技術などを取り入れるといったことを検討しないと難しい領域です。
①の「商品開発戦略での多角化」や、②の「市場開拓戦略での多角化」のうち、自社の強みを生かせるところを探っていくのが発想しやすい方向性となります。
当社では、他にも「新事業発想 3大ポイントとZONE」の図などを使って新規事業のポイントを絞っていきます。
詳しくは「新規事業のアイデア発想法とは?決断するための具体的なポイントを紹介」をご覧ください。
自ら体験してみる
多角化のアイデアを求めているなら、積極的に外へ出ていくことがポイントです。
それが、多角化のタネになることも少なくないからです。
テレビを見たり雑誌や書籍を読んだりしていると「この会社のやっていることは面白い」「あの経営者の発想は新規事業の参考になりそうだ」という情報に出会うことがあるでしょう。
このようなときは、迷うことなく「体験する」ことをおすすめします。
まずはその会社の商品を実際に買ってみたり、サービスを受けたりと、「体験」してみる。
聞いたり、見たり、頭の中で考えたりしていただけではわからなかったことに気づいたり、新しい発想が生まれたりするものです。
気になる人の講演会に参加してみる
私の場合、「この経営者は面白い!」「この会社の事業は参考になりそうだ!」と思ったら、インターネットで書籍が出版されていないかチェックし、購入します。
そして、その会社の経営者やキーマンの講演会があるかどうかを確認し、近々開催されるようであれば、すぐに申し込んで話を聞きにいきます。
テレビを見たり、本を読んだりしただけで、そのアイデアやノウハウを自社の事業に取り入れるのは、かなりの高等テクニックです。
実際に本人の話を直接聞いたり、質問をしたり、つまり「体験」することによって、アイデアが深堀りされて、自分流にアレンジすることが可能になるものです。
講演会に参加する際は、ただ足を運ぶだけではもったいない。
参加する際のコツを抑えて、より有意義な時間にしてみてください。
講演会に参加する際のコツ①講師には積極的にアプローチを
講演会に参加したら、熱心に話を聞き質問をすることも大切ですが、「顔と名前を覚えてもらう」「仲良くなる」という段階まで踏み込めたら最高です。
お互いに意見交換もできますし、将来的にはコラボレーションに発展する可能性もあります。
そのきっかけとして、たとえば講演している経営者の書籍を10冊くらいまとめて買ってみる。
「すばらしいお話だったので友人にも本を配りたい」といわれたら、講演している側はとても嬉しいですし、その人の名前を覚えるでしょう。
「もっと教えたい」という気持ちにもなります。
少なくとも私が講演する立場であれば、そう思います。
書籍を出版していなかったら、講演者の会社が売っている商品やサービスを実際に購入しても良いでしょう。
講演会に参加する際のコツ②講演会後の懇親会は出会いのチャンス
講演会のあとに懇親会があるなら、必ず参加するという心がけも必要です。
「講演会で話だけ聞ければ十分、懇親会には出ない」という人もいますが、私は興味のある人の懇親会には必ず参加するようにしています。
そして、できるかぎり講演者の正面の席や隣の席をキープする。
そうすれば「私の業界の場合、どうしたらいいでしょうか?」など、より突っ込んだ質問もできます。
お酒の席なので適当な返答をされる可能性もありますが、多角化の参考になるような話を聞けたり、その講演者との親交が深まったりと、メリットのほうが多いはずです。
講演会や懇親会は、参加する側の心がけひとつで、コストパフォーマンスがぐんと高くなるのが大きな魅力です。
通常「この経営者に会いたい。教えてもらいたい」と正面からアポイントメントをとろうとしても「忙しいから」と断られるのが普通です。
しかし、講演会であれば、たった数千円から数万円のコストで、さまざまな情報を仕入れ、人間関係を構築できます。
事業の多角化をうまく進めている経営者は、講演会や懇親会などの機会を情報収集の場、コラボレーションのきっかけの場としてうまく活用しています。
講演会に参加する際のコツ③地方の経営者ほどチャンスも大きい
フットワーク良く講演会に参加したり、会社見学に行ったりする方法は、特に地方の経営者にとってはチャンスでもあります。
「わざわざ北海道から来てくれたんですか」となれば、教えるほうは期待に応えたくなります。
また、事業を展開する地域がバッティングせず、ライバルになる心配がなければ、惜しみなく情報を出してくれるでしょう。
講演会に参加する際のコツ④講師としてお呼びする
少しレベルの高い方法になりますが、「この経営者は面白い!」と思ったら、自分で講演会を開催して、講師として呼ぶ方法もあります。
謝礼をお支払いすれば、「イエス」と言ってもらえる可能性は高まりますし、経営者仲間を集めて謝礼を割り勘にすれば、それほど多額の予算も必要ありません。
何よりこの方法がすばらしいのは、主催者の立場を使って、特等席で講演者の話を聞ける点です。
主催者であれば、懇親会などでも突っ込んだ話を聞けるチャンスがありますし、それをきっかけに交流が深まる可能性もあります。
経営者ネットワークに参加してみる
私は講演会以外に、「多角化経営者クラブ」のような異業種、もしくは同業種のネットワークに参加し、事業に活かすことも積極的に行っています。
懇親会やネットワークに参加する場合、自分のことや事業についても、丸裸になってオープンに話す姿勢が大切です。
自分からは情報を出さずに、一方的に「聞き出してやろう」という姿勢の人とは、誰も交流を深めたいとは思いませんよね。
自分から積極的に情報を発信する人のもとに、質の高い情報は集まってくるものです。
交流会ではオープンマインドを心がけましょう。
多角化研究会を主催してみる
既存の異業種交流会に参加するのももちろん良いのですが、自ら異業種交流会を企画してみるのも良いでしょう。
私もかつて地元で異業種交流会を立ち上げて、毎月例会を開催していたことがあります。
30分ほどの勉強会と飲み会がセットになった交流会を、毎月1回開くということを3年間ほど続けていましたが、この会がきっかけでいくつものコラボレーションが生まれました。
皆さんのお住まいの地域でも仲間の経営者を募り、「多角化研究会」のような交流会を主催してみてはいかがでしょうか。
経営者は基本的に新しいビジネスのタネを探していますから、きっとコラボレーションにつながる出会いがあるはずです。
特に「多角化経営者クラブ」のような組織は、多角化をしたい経営者の集まりですから、コラボレーションがいつ起きてもおかしくありません。
新規事業を思いつかないなら自ら動いてアイデアと人脈を広げよう!
新規事業を思いつかない理由は、まったく新しい事業やビジネスモデルを考えようとしていたり、社内からアイデアが出てくる社風になっていなかったりとさまざまです。
どうしても新規事業のアイデアが思いつかないときには、フレームワークを使って発想する方法や、気になるサービスや商品があればすぐに体験してみる方法を試してみましょう。
また、気になる人が講演会を開くなら積極的に出かけたり、経営者ネットワークに参加したり、自ら多角化研究会といった交流会や勉強会を主催してみるのもおすすめです。
私はそうした中から人脈を広げ、新規事業のアイデアを見つけてきました。
ビジネスのタネは、どこに転がっているかわかりません。
自分から動けば、思わぬところでタネが見つかることが多いものですよ。
人脈を広げて新規事業のきっかけを作った事例は「新規事業の成功例をご紹介!偶然の出会いから生まれたinZONE事業」でも紹介しているので、ヒントにしてみてくださいね。
ヤマチユナイテッドでは会社経営のノウハウやミッションの導入方法などワークショップやセミナーなどのイベントを随時開催しています。
気になる方はぜひチェックしてみてください。
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Authorこの記事の著者
ヤマチ連邦多角化経営実践塾 塾長
山地 章夫
ヤマチユナイテッド代表。経営を楽しみ、社員700名、50事業・年商256億円の企業グループの舵を取る。本業を中心に事業を次々と立ち上げ、売上げを積み増す「連邦多角化経営」を実践。経営の安定化と人材育成を両立する独自の経営手法が、多くの中小企業経営者の注目を集める。