企業コラボレーションとは?メリットや成功のポイント、成功例も
多角化・新規事業
こんにちは、ヤマチユナイテッドの山地です。
多角化に向けて新規事業を立ち上げたくても、どのような分野が良いのか、考えあぐねている企業も多いことでしょう。
そのようなときは、企業コラボレーションがヒントになるかもしれません。
企業コラボレーションとはどんなものか、メリット、コラボネーション成功の秘訣やノウハウ、当社での企業コラボレーションの成功事例などについてお話します。
目次
企業コラボレーションとは?
企業コラボレーションとは、自社の経営資源と他社の経営資源を組み合わせることで、新規事業を生み出すこと。
最近ではさまざまなシーンで「コラボレーション(コラボ)」という言葉を耳にします。
そもそもコラボレーションとは「共同作業」「共同制作」という意味を持つ言葉です。
しかし、ひとくちに企業コラボレーションといっても、そのスタイルはさまざまです。
相手の会社と資本を出し合って、がっちり手を組むというスタイルもありますし、お金でノウハウを買って経営の主体は自分たちが握るというスタイルもあります。
どのようなコラボレーションの形がベストかはケース・バイ・ケースですが、大切なのは、こちらが主体となってコラボレーションを進めていくこと。
「なんとなく一緒にやったら面白そうだ」というライトな感覚だと、新規事業はなかなか前に進みませんし、経営責任もあいまいになりがちです。
それよりも、こちらから「このような形でコラボレーションをしたい」と相手に提案して、主導権を握ったほうがうまくいきます。
企業コラボレーションのメリット
企業コラボレーションをするメリットについて見ていきましょう。
メリット①異業種の新規事業でも成功率がアップする
なんといっても他社とのコラボレーションの最大の魅力は、「異業種進出」の成功確率を高めてくれる点にあります。
実際、私の会社でもコラボレーションによってまったく新しい分野への進出を果たした例はいくつもあります。
異業種へのチャレンジはハードルもリスクも高いものですが、コラボレーションならそれが一気に小さくなる、そこが強みなのです。
コラボレーションはさまざまなスタイルが考えられるので、取り組みやすいものから挑戦してみると良いでしょう。
多角化へのアプローチ方法やコラボレーションについては「経営の多角化をかなえる、3つのアプローチにコラボレーションが有効なワケ。」でもお話しています。
ぜひあわせてご覧ください。
メリット②新規顧客や新たな収益構造の獲得につながる
異業種進出に成功すると、新しい市場での顧客や収益構造を獲得することができます。
これまで自社のサービスや製品に関心がなかった顧客にも興味を持ってもらえる可能性も出てきます。
顧客層の広がりだけでなく、企業コラボレーションでうまく連携することによって広告や流通などの負担の軽減も期待できます。
メリット③新たなアイデアや経験を得ることができる
新規事業には新しいアイデアが必要ですが、経営者だけ、社内だけで考えていると斬新なアイデアは尽きてくるでしょう。
企業コラボレーションでは異業種に在籍している人とコミュニケーションを取ることになるため、普段とは別の視点からの意見やアイデアを得ることで刺激をもらえるはずです。
その刺激が別の新規事業のタネになることもあるでしょう。
また、万が一企業コラボレーションが想定通りにいかなかったとしても、それは企業や社員の経験値となります。
その経験は必ず未来の業務や新規事業で活かされるはずです。
企業コラボレーションを成功させるポイント
企業コラボレーションを成功させるためのポイントを、当社の成功例も交えてご紹介していきましょう。
ポイント①相手企業のノウハウを買う
異業種に進出する際にネックとなるのが、その業界でのノウハウがないことです。
自社だけで一からノウハウを育てるのは時間もコストもかかりスピード感に欠けるため、企業コラボレーションで「相手企業のノウハウを買う」ことをおすすめします。
当社が近年立ち上げたレストラン事業も、まったくの異業種参入でした。
レストラン経営のノウハウは持っていなかったので、すでに成功を収めているレストランとコラボレーションをして、新しいレストランを立ち上げたのです。
コラボレーション先のレストランは「新規事業を立ち上げるのはリスクが高いので、経営責任をとりたくない」というスタンスでした。
そこで当社が主体となって事業を立ち上げることになりました。
コラボレーション相手にはメニュー開発や運営マニュアルの提供、仕入先の紹介などで協力してもらい、その代わり、当社がコンサルティング料を支払うかたちで落ち着きました。
おかげさまで目標売上高を上回り、初めての飲食事業も軌道に乗っています。
「お金でノウハウを買う」という方法は、どんな会社でも気軽に取り組みやすいコラボレーションのスタイルだといえるでしょう。
もちろん、自社が経営の主導権を握らず、相手のビジネスに乗っかるというコラボレーションのスタイルもありです。
いずれにしても、どちらかが主導権を握って、責任を持って経営の舵取りをしたほうが、コラボレーションはうまくいくと考えたほうが良いでしょう。
ポイント②競合しないエリアの経営者にノウハウを学ぶ
私にも経験がありますが、まったく違うエリアで商売をしている人に「ノウハウを教えてほしい」と頼むと、案外すんなりとノウハウを出してくれるものです。
私は拠点が北海道ですから「北海道から学びに来ました」といえば「わざわざ聞きに来てくれてありがとう」と感謝されるほど。
逆に、北海道にある私の会社まで「ノウハウを教えてほしい」と遠くから来てくれたら、私ももったいぶらずに教えたくなるものです。
私の知り合いの経営者は「カフェを経営する」プランをずっと温めていましたが、完全な異業種でカフェ経営のノウハウを持っていませんでした。
そこで、他県で成功しているカフェまで出かけて行って「カフェ経営の経験はありませんが、自分でもやってみたいんです。謝礼として200万円支払いますので、カフェ経営のノウハウを教えてくれませんか」と、カフェの経営者に直談判したそうです。
すると、カフェの経営者は、自分のカフェが評価されたのがうれしかったのでしょう。
まるでコンサルタントのように、手取り足取りカフェ経営のノウハウを教えてくれたといいます。
「当たって砕けろ」の精神で飛び込んだ経営者のバイタリティーは素晴らしいですが、実際、このような話はよくあることなのかもしれません。
ポイント③下手に真似するより正面からお願いする
新規事業を立ち上げるとき、多くの経営者は、うまくいっている他社の事業を観察して、自社で真似をしようと考えるはずです。
しかし、見よう見まねで新規事業を始めても、核となるノウハウまで取り入れるのは難しいので、表面的な真似に終始して、あまりうまくはいきません。
それよりも「お金を出すので、ノウハウを教えてほしい」と正面からお願いしたほうが、うまくいく可能性が高くなります。
「そんなに簡単に教えてくれるだろうか?」と思うかもしれませんが、事業を行う地域が違えば競合になることはないので、教えるほうの警戒心もとけ、案外あっさりとノウハウを教えてくれます。
企業コラボレーションの成功例
当社で行っている企業コラボレーションの成功事例について見ていきましょう。
成功例①インテリア事業「inZONE with ACTUS」
当社の代表的な事業の一つであるインテリアショップ「inZONE with ACTUS」は、ちょっとした行動力と出会いと学びの姿勢から生まれました。
十数年前、「遊休資産の倉庫をどう活用しようか」と考えたことが始まりです。
そんなときに出かけた大阪のショールーム型のリフォームビジネスのセミナーで知り合ったのが、福島県のリフォーム会社。
福島県郡山市にあるリフォーム会社のショールーム見学を終えて外に出ると、隣におしゃれなインテリアショップがありました。
そこはインテリアチェーン「アクタス」の代理店で、社長がいうには「札幌でも代理店を探している」とのことだったので、札幌に戻ってすぐにアクタスに電話しました。
この出会いがきっかけとなり、倉庫を取り壊してインテリアショップの店舗を新築。
札幌初の本格的ライフスタイルショップ「inZONE with ACTUS」としてオープンしました。
「inZONE with ACTUS」が誕生するまでのお話について詳しくは「新規事業の成功例をご紹介!偶然の出会いから生まれたinZONE事業」で紹介しています。
新規事業を成功に導いたポイントについても紹介していますので、ぜひご確認くださいね。
成功例②デイサービス施設「きたえるーむ」
「きたえるーむ」は、機能訓練専門のデイサービス施設です。
「自立した生活を送りたい」と願う高齢者の方々に、リハビリやトレーニングだけでなく、国家資格を持つ「柔道整復師」によるマッサージやストレッチの施術を提供しているところが特徴です。
リハビリやトレーニングだけだとつらく感じてしまう方も、マッサージで痛みやしびれを緩和できるとあって支持を集めています。
この事業が生まれたきっかけは、ゴルフ場での雑談でした。
経営者仲間とのゴルフ会で、雑談の最中に「機能訓練専門のデイサービス事業に興味がある」と話したところ、たまたまリハビリ用マシーンの販売をしている方がおり、詳しい話を聞くことができました。
「機能訓練専門のデイサービスにマッサージのサービスを追加して、すごく繁盛している整骨院がある」と紹介してもらい、その整骨院の経営者に会いに行ったのが始まりです。
しかし、整骨院の院長に最初は「マッサージには柔道整復師の質の高い技術が必要で、そう簡単に多店舗展開はできない。自分でも2〜3店舗の展開で限界」だと、にべもなく断られました。
新規事業に困難はつきもの。
諦めず私は熱く語り、なんとか事業提携の許可をいただいて「きたえるーむ」が誕生しました。
この後「きたえるーむ」が成功するまでの道のりや成功のポイントなどについては「デイサービス経営を成功させるコツは?「きたえるーむ」の成功事例」をご覧ください。
企業コラボレーションで異業種の新規事業を成功に導こう
企業コラボレーションとは、自社の経営資源と他社の経営資源を組み合わせることで新規事業を生み出すこと。
企業コラボレーションをすることによって、異業種の新規事業の成功率をアップさせ、新規顧客や新たな収益構造を得ることができるというメリットがあります。
さらに、社内にはない新たなアイデアや経験が会社や社員にもたらされるでしょう。
企業コラボレーションをする際には、相手企業の異業種でのノウハウを買うことがおすすめです。
競合しないエリアであれば、相手は警戒を解いてノウハウを提供してくれるもの。
外から観察して下手に真似するよりも、正面からお願いして成功の秘訣を学びましょう。
当社の企業コラボレーションの成功例も参考にしてください。
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Authorこの記事の著者
ヤマチ連邦多角化経営実践塾 塾長
山地 章夫
ヤマチユナイテッド代表。経営を楽しみ、社員700名、50事業・年商256億円の企業グループの舵を取る。本業を中心に事業を次々と立ち上げ、売上げを積み増す「連邦多角化経営」を実践。経営の安定化と人材育成を両立する独自の経営手法が、多くの中小企業経営者の注目を集める。