社員の意識改革を促すタイミングやポイントは?ヤマチの成功事例も確認
採用・育成

こんにちは、ヤマチユナイテッドの川田です。
社員にどうも活気がなく、業績も思うように上がらない。
そんなときに、「意識改革を促す必要がある」と考える経営者は多いと思います。
とはいえ「意識を変えろ」と言ってすんなり変わるものなら良いですが、そう簡単なことではないのが現実です。
今回は、社員の意識改革が必要な理由や、意識改革を促すタイミングなどをご紹介します。
当社で行なった社員の意識改革の成功事例とあわせてお話していきますので、ぜひご覧ください。
目次
- 社員の意識改革を促すことはなぜ必要なのか?
- 社員の意識改革を促す流れとベストなタイミング
- 社員の意識改革は経営側の意識改革を促すことから!ヤマチの成功事例も
- 意識改革を促す7つのポイントとヤマチの成功事例
- 社員の意識改革を促すためのポイントや成功事例を知り、段階的に進めよう
社員の意識改革を促すことはなぜ必要なのか?
社員(従業員)の意識改革を促すことは、なぜ必要なのでしょうか。
そもそも意識改革とは、業務を進めていく際の「考え方」「価値観」「態度」を変えていくことを指します。
昨今、さまざまなシーンで耳にすることが増えた「社員の意識改革」。
特に、大企業だけでなく、中小企業にとっても重要な経営課題の一つとして世の中で認知されてきている「働き方改革」がスタートしてからは、さらに耳にする場面が増えてきていると感じます。
社員一人当たりの労働生産性の向上、離職率の低下、社員の満足度の向上など、企業に求められる改革は多岐に渡り、それを解決する一つの手段として「社員の意識改革」に注目が集まっているということでしょう。
ジョンソンホームズでも、「働き方改革」への取組みだけでなく、会社規模の変化により、社内の価値観の多様化を受け、社員一人ひとりの意識改革なくして組織の発展はないと考えています。
これまでの常識や習慣にとらわれることなく、新しい思考や考え方などを取り入れていくために「社員の意識改革」は必須と言えるでしょう。
社員の意識改革を促す目的
企業が社員の意識改革を促す目的には、次のようなものがあります。
- 働き方改革の推進
- 業務効率化と生産性向上
- 社員(従業員)の活躍機会の創出
- 企業理念の浸透
社員(従業員)の長時間労働や休暇取得に対する意識を変え、定時退社や有給休暇の取得を促進することが目的の一つです。
また、無駄な業務を見直し、新たな視点で効率化を進めることで生産性を向上させることや、社員が積極的に管理職を目指す意識を持つことで、活躍の場を広げる目的もあります。
企業理念が日々の業務に結びつくように意識改革を促すことで、理念を社内に浸透させることにもつながるでしょう。
当事者意識がない社員の意識を高めるポイントについては、下記コラムで詳しくご紹介しています。
当事者意識がない部下をゼロに!社員の当事者意識を上げるポイント
意識改革を促すメリット・デメリット
企業が意識改革を実施することには、メリットとデメリットがあるため、実施前に把握しておくことが大切です。
メリット①業務のムダ削減と生産性向上
意識改革によって業務フローや仕事内容が見直され、効率的な働き方が可能になります。
これにより、業務のムダが削減され、生産性が向上します。
メリット②ワーク・ライフ・バランスの改善
労働時間や有給休暇の取得に対する意識改革により、社員が定時退勤しやすくなったり、有給休暇を取得しやすくなったりします。
その結果、ワーク・ライフ・バランスが向上し、働きやすい職場環境が整います。
メリット③優秀な人材の確保
働きやすい環境が整うことで、企業の外部評価が高まり、優秀な人材を引き寄せることができます。
これにより、採用活動が有利に進み、必要な人材の確保が期待できるでしょう。
メリット④人材育成と離職率低下
意識改革により、社員が成長できる環境が整うと、離職率が低下します。
また、優秀な社員の確保、新卒・中途採用の向上にもつながります。
デメリット①モチベーションの低下
意識改革が経営陣からの強制的なものになった場合、社員のモチベーションが低下し、反感を買う可能性があります。
その結果、優秀な人材が流出することも。
デメリット②自発的な意識改革が必要
意識改革は社員自らが参加することが重要です。
強制的な改革ではなく、社員が自発的に意識を変えることが大切です。
そのために、経営陣は対話を通じて目的意識を持たせるようにしましょう。
社員の意識改革を促す流れとベストなタイミング
社員の意識改革を促すには、どのような流れで進めれば良いでしょうか。
また、ベストなタイミングはいつなのでしょうか。
それぞれ、詳しくみていきましょう。
社員の意識改革を促す流れ
企業が社員の意識改革を進める流れは、以下のステップに沿って行われます。
- 現状把握
意識改革の最初のステップは、現状を把握することです。
現場の状況を調査し、改善すべき点と理想的な状態を明確にします。
これにより、改革の方向性が決まります。 - 具体的な行動目標の設定
次に、現実的で達成可能な行動目標を定めます。
単に理念を掲げるのではなく、具体的な手順や行動計画を社員に提示し、行動に移しやすくすることが重要です。 - 管理職による率先実行
管理職や経営層が率先して目標に向けた行動を示すことで、社員はその姿勢に触発されて意識改革を実行に移しやすくなります。
- モニタリングとPDCAサイクル
実行後は進捗を観察し、必要に応じて調整を加えます。
定期的な振り返りを行い、PDCAサイクルを回しながら改善を繰り返していくことで、意識改革はより確実に定着していきます。
PDCAサイクルについては、下記コラムもあわせてご覧ください。
PDCAサイクルを効果的に回す、中小企業のためのKPI管理法とは?
社員の意識改革を促すベストなタイミング
社員の意識改革のタイミングは、いつ実践するのが良いのでしょうか。
当社で起こった2つの事例をもとに、意識改革を行うタイミングについて見ていきましょう。
事例①社員が相次いで離職してしまった
以前、新卒で採用して2年目を迎えた社員が3人同時に辞めるという事態に直面したことがあります。
僕を含めた幹部は「何があった!?」と緊急会議を召集。
どの企業でも、若手社員が何人も辞めるとなると、会社組織のあり方を見直す転機となります。
会議では組織改革の必要性を巡って議論を重ねましたが、組織というよりも「社員一人ひとりが同じ目標へ向かって取り組めるような環境を整えることが重要である」という結論に至り、環境作りを実践しました。
事例②社員の不満を聞く機会があった
高校卒業後にアルバイトとして入社した女性が「あまり楽しそうに仕事をしていないな」と感じ、話を聞いたことがありました。
「楽しく働いてほしい」という僕の言葉に対し、前向きな返答はなし。
その後も何度か対話するうちに、当時所属していた部署の主力メンバーの平均年齢が30代半ばで、19歳の彼女がうまくなじめないという背景が見えてきました。
やがて、同年代の社員が入ってくると本人の雰囲気は徐々に変わり、さらに彼女が得意とする事務が業務の中心となる部署へ転属させたことで、以前とは見違えるように生き生きと働いてくれるようになりました。
ヤマチの2つの事例から見る意識改革のタイミング
事例①は組織の課題を見直すために環境を整えようという話、事例②は環境が変わった結果、社員の意識も変わった話でした。
若い社員がそろって辞めてしまうような事態はもちろんですが、一人ひとりが何かしら抱えている不満や、働きにくさを察知したときこそ、意識改革のタイミングです。
社員の意識改革は経営側の意識改革を促すことから!ヤマチの成功事例も
最初にお話しておきますが、社員の意識を変えるために経営側が直接的に行えることはありません。
できるとすれば、自分自身の意識を変え、それを行為・行動で示すこと。
そもそも、社員の意識改革の必要性を論じるとき、現在の「意識」を形成するまでの環境を作ってきたのは経営側です。
自分たちの思い通りにやってきたことがうまくいかないのを「社員の意識」のせいにしていませんか?
経営側の意識改革がなぜ重要なのか、ここでもヤマチユナイテッドの事例とともにご説明しましょう。
意識改革を阻む課題と要因
企業の社員の意識改革を進める際には、いくつかの課題が存在します。
経営側と現場の意識の不一致
経営側が「意識改革が必要」と考えても、現場の社員がその重要性を理解していない場合があります。
このようなギャップがあると、改革がスムーズに進まないことが多いです。
また、意識改革を経営側が一方的に指示すると、社員は「やらされている」と感じ、意識が変わらない場合があります。
より効果的な改革には、社員が主体的に関与することが必要です。
部門ごとの文化の違い
各部門の文化や業務の特徴によって、意識改革が一部の部署にしか浸透せず、組織全体の変革が進まないことがあります。
これが改革の広がりを阻む原因となります。
また、意識改革を現場で実行するには、管理職の理解と協力が重要です。
管理職が改革に賛同しないと、現場の社員を巻き込むことができません。
現状維持の心理
社員は変化を避け、現状を維持しようとする傾向があります。
この「現状維持バイアス」が意識改革を遅らせる要因となることが少なくありません。
しかし、社員主導で改革を進めることで、意識の変化を加速させることができます。
経営側の意識を変えたことで主体性が高まったヤマチの成功事例
僕が常務取締役を務める「ジョンソンホームズ」では、新築住宅ブランド「COZY」が長らく好調でした。
しかし、やや不振に陥り、僕自身が介入したり、営業担当者たちとさまざまな対策を講じたりと努力しましたが、一向に成果が上がらない時期がありました。
その中で僕が感じたのは「川田さん(僕)が言った通りにできているか」に主眼が置かれていて、社員それぞれに「自分がどうしたいか、どう思うか」という視点が抜けているということでした。
そこで、「チーム自治」を取り入れました。
チーム自治のルールは次の2つ。
- 社員を数人のチームに分け、現時点での課題と対策、目標達成のためになすべきことなどを、新卒1年目を含めたメンバー全員で話し合うこと
- 僕たち上層部は干渉しないことを約束し、それぞれが良いと思うやり方を選んで進めること
例えば、課題が「集客」なら、以前は集客イベントの企画立案をマーケ室という部署に頼り切っていたために、決まったことをこなすだけの「与えられる仕事」になってしまっていました。
チーム自治では、「どのようなイベントを、どのように行い、集客するか」をメンバー全員で模索させるのです。
チーム自治を取り入れた結果、業績がアップ!
チーム自治を取り入れた結果、業績は上がり、社員みんなが楽しそうに取り組んでいるのが目に見えてきました。
これまでは僕たちが「これで良いだろう」と判断した業務を的確にこなすことが仕事だったのですが、自分たちが熟慮した案を実行することに楽しさを見出し、結果も出ています。
社員からは「絶対成功するイベントを考えました!」、もし失敗しても「必ずお客様は来るからもう1回やらせてください!」など、前向きな発言が多くなってきたと実感します。
また、最後の踏ん張りも効くようになったと思います。
これこそ「意識が変わった」ということではないでしょうか。
経営側の意識改革がもたらした変化
チーム自治を取り入れる前の僕は、社員たちに対して「なぜ僕の言ったことを自分の言葉で理解してから実行に移さないのか」とやきもきし、「主体性がない」「意識が低いのでは」と評価していました。
それが、ふと思い立って始めたチーム自治を通じて社員の様子を見ているうちに、僕が伝えたいと思っていたことは、彼らにきちんと伝わっていたのだと気が付きました。
今まで教えたことはしっかりと彼らのベースになっていて、その上で自主的に動けるように環境を変えたことでやりがいが増し、結果につながったのです。
主体性を求めながら、それを発揮する場所を与えていなかった。
実は、意識を変えなければならないのは「変えろ」と言っている僕のほうだったのだと思い至りました。
意識改革を促す7つのポイントとヤマチの成功事例
社員の意識改革を効果的に進めるためには、段階的かつ戦略的に進めることが求められます。
ここでは、意識改革を促進・成功するためのポイント7つと事例を紹介します。
ポイント①意識改革の必要性をしっかりと伝える
改革を成功させるためには、まずその目的と背景を明確に伝えることが不可欠です。
単に「改革を進める」といっても、理由が不明確では社員にとって納得できません。
例えば、コスト削減により利益率が上がり、ひいては社員の給料アップや福利厚生向上につながるといった、具体的なメリットを示すなどして、改革が自分たちにどう影響するかを理解してもらうことが大切です。
ポイント②経営側と社員が一緒に取り組む
意識改革は経営側や人事部門だけでなく、全員が共通の目標に向かって進むべきものです。
経営側自らが実践し、その行動が組織全体に伝わることが改革を推進します。
経営側の意志が見える形で示されることで、社員も積極的に取り組む意識が高まります。
ポイント③小さなステップで始める
改革は一度に大きな変化を求めるのではなく、まずは小さな目標から始め、段階的に進めることが効果的です。
最初に簡単な目標を達成し、成功体験を積み重ねることで、モチベーションを維持しつつ、次第に大きな目標にも取り組んでいけます。
ポイント④継続的なサポートとフィードバック
社員の取り組みを継続的にサポートし、必要に応じてフィードバックを行うことが欠かせません。
改革に対するサポートが欠如すると、途中で挫折しやすくなるため、組織全体で励まし合いながら進めることが求められます。
ポイント⑤理解促進のための啓発活動
意識改革の進展を妨げる原因のひとつは、改革の目的や内容が十分に理解されていないことです。
社員が改革の意味を正しく理解しない限り、期待した成果にはつながりません。
そのため、定期的な研修や情報共有を通じて、改革の意義を繰り返し伝え、全員の理解を深めていくことが必要です。
ポイント⑥時間をかけて取り組む
意識改革は一朝一夕で実現するものではありません。
企業の文化や社員の習慣を変えるには、相応の時間を要します。
改革を急ぐのではなく、長期的な視点で進めることが成功への鍵です。
目標に向けた継続的な努力が最終的に成果を生み出すのです。
ポイント⑦主役を交代する
会社組織を舞台に例えると、3つのステージで考えることができると思います。
- 主役のステージ
業務の最前線で試行錯誤する若手世代 - 渡すステージ
脇役として主役をサポートする中間管理職 - 退くステージ
幹部クラスになれば裏方として土台を支える側に回り、適切なタイミングで世代交代を図る
当社とお付き合いいただいている、とある会社では、社長が10年で交代する制度を導入されているそうです。
社長就任から10年で後継者を指名し、次の10年は会長職に就くこともできます。
ですが、それが終わったら退任し、株も放棄するというシステムです。
その会社の現社長がよく「これはいけない」とおっしゃっているのが、いわゆる「老害」。
古参がいつまでも若手の活躍の場を奪っていては良くないということです。
「10年で交代」と決めてしまう必要はないかもしれませんが、時流にそって「これからは若手世代が活躍するステージ」と感じたら、世代交代を図ることも大切です。
社員の意識改革に主役交代が必要な理由がわかるヤマチの事例
社員の意識改革に主役交代が必要なのはなぜか、COZY事業部での事例を挙げてみましょう。
前述したチーム自治を始める前は、僕からのアドバイスは全部特定のマネージャーを通して伝えていました。
このマネージャーの世代は「COZY」ブランドを飛躍的に伸ばし、ずっと主役として活躍してきたメンバーです。
一方で、後輩に対して「COZYのコンセプトを理解していない」と言ってしまうようなこともありました。
一時代を築いた世代ですから気持ちはわからなくもないですが、後から入ってきた社員からすれば、COZYを「自分のもの」「自分の仕事」と捉えるより前に、先輩のやり方に従うしかなくなってしまっていたのです。
チーム自治を取り入れたことで、これまで主役だった世代が「渡す世代」へとステージチェンジをするきっかけになったと思います。
経営者側が重視すべきは、引き継ぎ方と会社の方向性の伝え方
経営者の皆さんが「自分の会社は自分が主役」と考えるのは無理のないことですが、組織が大きくなればなるほど、役割分担と引き継ぎが重要になってきます。
逆に、ここを乗り越えることができるかどうかで、会社を大きくできるかどうかが決まると言っても良いでしょう。
経験から言えば、経営側に回ると「これは僕ではなく次の世代にやらせないと」と思うことがどんどん出てきます。
部下には直接的な指示せず、会社としての思いや方向性を伝えて下地を作り、極力自分の頭で考えさせる。
ただし、伝えたことが経営陣の行為・行動に反映されないと信頼関係が崩れ去ります。
当グループ代表の山地 章夫は「任せるよ」と言ってくれるタイプ。
それも信頼関係があるからこそできることで、ダメ出しばかりでは僕もやる気をそがれていたと思います。
社員の意識改革を図る前に、会社として目指すゴールはどこか、どのような形で社員に伝えていくかを初めに考えてみてください。
なお、新しい挑戦をできる会社にするには、それを受け入れる社風づくりも重要です。
詳しくは下記コラムでご紹介していますので、あわせてご覧ください。
新しいことに挑戦する会社にするには?変化を受け入れられる社風を作る
社員の意識改革を促すためのポイントや成功事例を知り、段階的に進めよう
社員の意識改革とは、業務を進める際の考え方、価値観、態度を変えることを指します。
特に、働き方改革が進む中で、企業は労働生産性向上や離職率低下を目指し、意識改革の必要性が高まっています。
社員の意識が変わることで、業務効率や生産性の向上、ワーク・ライフ・バランスの改善、優秀な人材の確保が期待できます。
ただし、強制的な改革はモチベーションの低下を招く恐れがあるため、社員による自発的な意識改革が重要です。
意識改革を進める際は、まず現状を把握し、具体的な行動目標を設定します。
その上で、管理職が率先して行動を示すことが大切。
また、社員の離職が続いたときや、社員一人ひとりが抱えている不満・働きにくさを察知したときこそ、意識改革のタイミングです。
そして、意識を変える必要があるのは社員だけではありません。
経営側の意識改革も、社員の意識改革を促進する重要な要素となります。
企業文化や社員の習慣を変えるには時間がかかるため、段階的に進めることが成功の鍵となるでしょう。
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Authorこの記事の著者

株式会社ジョンソンホームズ|常務取締役|グループ常務
川田 新平
ジョンソンホームズを陣頭指揮。企業ミッションの明文化、共有・浸透を図るとともに社員が輝き主体的に経営参加する組織づくりを通して、新たな成長軌道に導く。現在はグループで展開する多様な事業にコミット。社員皆をよくするために、毎月500名の社員の話を聴くことを自ら実行している。