インセンティブで、社員の底力を引き出す! システム経営の3本柱−(3)自主分配

組織運営ノウハウ

石崎 貴秀
石崎 貴秀

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これまでシステム経営の3本柱のうちの自主計画」「自主管理についてご説明してきました。

今回は最後の「自主分配」についてです。

これは、社員が自分たちで作成した経営計画を自ら管理し、目標を達成した場合、利益の一部を還元分配する仕組みのことです。

どのような仕組みで社員に分配するのか、社員の貢献度をどう測り、人事考課に反映するのか。

当社の実例を交えてご紹介しましょう。

目次

  1. 業績に応じて、通常賞与にプラス決算賞与を支給
  2. 超過利益と分配原資を確定する基準づくり
  3. 社内配分もシステム化してオープンに
  4. 社員に成功体験を植え付ける
  5. 成果分配は大きなモチベーションになる
  6. まとめ

1.業績に応じて、通常賞与にプラス決算賞与を支給

社員が自分たちで計画をつくり、進捗を管理する。そして、その結果は良くても悪くても自分たちで評価して受け止める。

これが「自主分配」の原則です。

成果の分配なので、利益が出なければ分配はありません。

反対に、利益が大きければ大きいほど、自分たちの処遇に反映されます。

表現はよくないかもしれませんが、鼻先の人参、つまりインセンティブです。

 

当社の場合は「決算賞与」がこれにあたります。

夏・冬・期末と年に3回、通常賞与、いわゆるボーナスがあります。

それとは別に、決算期に業績の一部から成果分配として支出するのが「決算賞与」。年度末決算の業績に応じて支給するプラスアルファの賞与です。

2.超過利益と分配原資を確定する基準づくり

成果分配は、給与や通常賞与とは異なり、超過利益という成果に対する報酬です。

大事なのは、超過利益の基準となる予定利益の設定です。

少し頑張れば達成できるような、ほどよい基準を設定できるかどうかがキモになります。

基準の設定バーが高すぎても低すぎても、社員はやる気を失ってしまうからです。

そして、予定利益をクリアしたら、超過分のどのくらいが還元されるのか、年度が始まる当初に発表しておくことも大切です。

後出しジャンケンをしたら、社員からの信用を失います。

会社の内部留保と成果分配の割合をあらかじめ明確にしておけば、たとえ基準の利益率に達しなかったとしても社員は納得するはずです。

  

では、当社を例に分配原資を具体的にシミュレーションしてみましょう。

一人当たりの営業利益100万円を基準バーに設定しているので、それを超えた場合が成果分配の対象になります。
※利益目標の設定方法については、前々回の「自主計画」の記事で説明しましたので、ぜひご覧ください。

たとえば社員が100人いたら×100万円で1億円が基準バー。

決算で1億円を超えたときは、超過分の約3割が成果分配の原資になります。

たとえば5000万円オーバーしたとすると、その3割の1500万円を決算賞与として100人で分配するルールです。

  

ちなみに、残りの7割、3500万円は半分が税金で、半分が会社の内部留保です。

基準バーとして設定していた1億円の利益も半分が税金で、半分が会社に残るので、5000万円と3500万円の半分1750万円の内部留保ができる計算です。

3.社内配分もシステム化してオープンに

分配原資から各社員への配分の仕方には、その会社ごとの考え方を反映させていいと思います。

業績のよい事業や部門には分配原資を大きく割き、どかんと支給することもできます。

部門内では貢献度を加味して支給額を増減させるといった調整も必要になります。

当社の場合、立場によって還元率が違います。上位階級を100としたら、その下は50%、そのまた次の下位職はその50%と、職階級ごとに、責任の度合いの高い人が多くもらえる設計になっています。

いずれにしてもトップのさじ加減で決めてしまうのは絶対NG頑張って成果を出しても報われないという不信感につながってしまいます。

なので成果分配の基準づくりや支給割合は、各社・各部門の部門長、役員が協議して、役員会で審議、トップは承認するかたちにするといいでしょう。もちろん、この基準をきちんと社員に公表することが前提なのは、上述しました。

 

そもそも人事考課は気が重いと感じている経営者は少なくありません。

公平に評価したつもりでも、部下の不満が募り、やる気を大きくそいでしまう危険性もあります。

その点、賞与の支給額決定もシステムに任せてしまえば、経営者の心理的負担は大幅に軽減できます

社員のやる気や自主性もアップし、生産性や業績の向上につながる優れた仕組みだといえるでしょう。

4.社員に成功体験を積んでもらう仕組み

導入時は、基準バーの設定がポイントだとお伝えしました。

会社の財務状況にもよりますし、業種や業態によっても違うでしょう。

ただ従業員の立場からすると、成果分配の仕組みだけあって、ずっと支給がないというのは萎える原因。新規事業などは最初は基準を低く設定し(業種や形態によっては赤字がスタートラインということもありえますよね)、分配原資の割合を少なくしてスタートし、徐々に基準を上げていく方法もいいかもしれません。

自分たちで計画をつくって、自分たちで進捗を管理し、目標を達成して成果分配をもらえた、という成功体験させてあげることが、次の年度の努力につながります。

 

経営者の観点からは、成果分配は単年度精算で年収を上げることができる制度です。

固定の基本給をどんどん上げると、経営的にきつくなりますが、賞与で出す分には単発経費変動費をうまく利用して処遇をアップできるのは、経営的にもいい対策だと思います。

5.成果分配は大きなモチベーションになる

これまでは計画づくりから進捗管理、成果分配まで社長ひとりでやっていた会社もあるでしょう。

「利益が出たから少し賞与を増やしてやるか」と、社長の一存で支給していた会社なら、社員は「よく分かんないけどボーナスが出た」という印象にしかなりません。

反対に、結果が出ないときは「社長のせいでボーナスが出ない」という感覚に陥りがちです。

 

その点、自主分配の仕組みは、社員の関与度が違います。

中間決算で「このままだと成果分配がない」「賞与カットの危機」となれば、一人ひとりが真剣に売上アップを考えるようになります。

所属部門が基準バーを達成していなければ、現場で「もう少し増やさないとヤバイ」「じゃあどこで増やす?」という話し合いも始まります。

 

社員にとって決算賞与のインセンティブは大きなモチベーション。

制度の設計の仕方はさまざま考えられますが、営業個人で競わせるのではなく、チームで協力できる関係づくりに活かしたほうが有意義です。

自分だけ、自分の部署だけではなく、みんなで達成するとご褒美があるという仕掛けにすると、いつも以上の底力が発揮できるはずです。

6.まとめ

ここまで、3回にわたってシステム経営の3本柱についてお話してきました。

何度もしついこいようですが、システム経営の3本柱、自主計画自主管理、自主分配は、必ずセットで導入してください。

社員参加で計画づくりをさせておきながら、評価や成果分配はトップが行うのなら「どうせ社長の一存で決まる」と、社員のモチベーションは下がってしまいます。自律した社員を生み出すどころではありません。

もうひとつ、絶対に忘れてはいけないのは、権限は委譲しても最終責任は社長がとるということです。

業績が上がらないのは部下のせいではなく、社長をはじめ経営幹部が判断を誤ったからです。

部下は権限を委譲され、計画遂行と報告の義務を負います。

そして報告を受ける上司は、その責任を持つ。

責任の対価こそ成果分配の割合の大きさだと自覚しなければなりません。

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