新規事業のリスクを減らす方法や事例を紹介!リスク分析の手法も
多角化・新規事業
こんにちは、ヤマチユナイテッドの山地です。
経営多角化を目指す経営者にとって、最大の悩みどころは「新規事業をどうやって始めるか」かもしれません。
しかし、新規事業の始め方については、実はそんなに難しく考えることはないと思っています。
今回は、新規事業のリスクを分析する重要性や分析方法をご紹介し、私がこれまでに取り組んできた事例から、リスクを極力減らしつつ新規事業を始める方法をお伝えします。
目次
- 新規事業におけるリスク分析の重要性と分析方法
- 新規事業のリスクを減らす方法①フランチャイズ、総代理店からはじめる
- 新規事業のリスクを減らす方法②他社の事業を参考し、自己流にアレンジ
- 新規事業はリスクを恐れるよりもフットワーク良く行動を!
新規事業におけるリスク分析の重要性と分析方法
新規事業は成功すれば会社・組織の発展や利益アップにつながる重要な施策ですが、うまく軌道に乗らず失敗するリスクもあります。
新規事業を始める際にはどんなリスクが起こりえるのか分析し、あらかじめ対策を講じておくことが、リスクを回避して失敗を防ぐことにつながります。
冒頭で「新規事業を始めるのは難しくない」と書きましたが、多くの場合で問題となるのは「新規事業を始めた後に進められる人材がいるかどうか」です。
当社では、熱意のある社員に新規事業を「丸投げ」することで、人材の早期育成につなげています。
詳しくは「新規事業を立ち上げて人材を育てる!人材育成のポイントとは?」をご参照ください。
また、新規事業を始める際には経営やマーケティングなどの戦略リスク、資金調達や価格変動などの財務リスク、政治・経済などの外部環境によるリスクなど、さまざまなリスクがつきもの。
これらの問題に対応するために、事前に新規事業のリスクを洗い出して、発生確率や事業に与える影響度などを分析します。
リスク分析の手法としては、リスクマップを作成する方法などが挙げられます。
ただし、リスクマップを作成して満足していては意味がないため、リスクへの対応が検討・実装されているか確認しながら進めるようにしましょう。
私個人としては、リスクを恐れ進まないよりも「小さく始めて大きく育てる(時には小さいうちに撤退する)ことを目指す」のをおすすめします。
新規事業の立ち上げにはお金も人も動きますから簡単とはいいませんが、繰り返すうちに成功の勘所がつかめてきます。
当社が考える新規事業のリスクや対策については、こちらのコラムで詳しくご紹介していますので、あわせてご確認ください。
事業拡大のメリットとは?拡大方法・リスク・成功事例を知って成功へ
新規事業のリスクを減らす方法①フランチャイズ、総代理店からはじめる
新規事業で異業種に進出する際、最もシンプルかつ手っ取り早い方法は2つあります。
ひとつはフランチャイズ加盟。
メリットとデメリットを天秤にかけてよく考える必要はありますが、完成されたビジネスモデルなので、まったくの異業種であっても成功する確率は高くなるでしょう。
もうひとつは、他社の代理店になることです。
例えば、日本で売れそうな海外製品を見つけた場合に、その製品を作る海外メーカーにアプローチして、日本の総代理店になって販売するという方法が考えられます。
総代理店になれば最低限の設備投資で始めることができるなど、リスクを抑えられます。
その分、利益は小さくなりますが、仮に売れなかったとしても在庫を処分すれば撤退も比較的容易です。
もし日本市場で製品が売れて「これならいける!」と確信が持てるなら、海外企業にライセンス料を払って自社で作ることを検討すれば良いでしょう。
まずは小さく始めて、失敗のリスクを回避する。
これも多角化で成功する秘訣の一つです。
当社の具体的な事例をご紹介
当社でも、海外の見本市や展示会で見つけた商品を日本で売るために、総代理店の契約をした経験が何度かあります。
例えば、「グラベル・フィックス・プロ」というオランダの会社の商品。
砂利を安定させるための砂利地盤安定材(砂利舗装材)で、歩行が楽になるほか、砂利の沈下や飛散防止にも効果的です。
日本にはない製品なので販売を始めると、砂利敷きのアプローチや庭、屋上庭園、駐車場などに用いられるようになり、今も順調に売り上げを伸ばしています。
日本で売れそうな海外製品を見つけたからといって「真似して日本で作って売ろう」という安易な考え方は、リスクコントロールという観点からみるとかなり危険。
設備投資をして失敗した場合、ダメージが大きくなるからです。
それよりは、その製品を作る海外メーカーにアプローチして、日本の総代理店になることを提案したほうが良い。
海外の中小企業であれば、目が欧米の市場に向いていて、日本市場まで手がまわっていないことも多いでしょう。
日本企業が「総代理店になりたい」といってくれば、だいたいは「渡りに船」とばかりに歓迎してくれるはずです。
新規事業のリスクを減らす方法②他社の事業を参考し、自己流にアレンジ
私の会社には「事業の参考にしたい」という経営者が全国から大勢見学に来て、非常に熱心に視察し、たくさん質問をして帰っていきます。
そのなかで、半年後くらいには私の会社のビジネスモデルやサービス、社員教育などを参考にして、その会社流にアレンジして成功しているケースがよくありました。
なかには「山地社長、私の会社のビジネスモデルを教えましょうか」とおっしゃる経営者もいるほどです。
私からすれば「うちのやり方を参考にしたのに...」と思うのですが、多角化に成功するには、それくらいのフットワークの良さが必要なのも事実かもしれません。
当社の具体的な事例をご紹介
私自身、他の会社や人がやっていることを自己流にアレンジして新規事業の参考にすることも少なくありません。
実際に自己流にアレンジした事例を見てみましょう。
例えば、当社が手がけた機能訓練専門のデイサービス施設「きたえるーむ」という介護分野のデイサービス事業も、そうしたアレンジのたまものです。
きたえるーむの新規事業立ち上げに関しては「デイサービス経営を成功させるコツは?「きたえるーむ」の成功事例」でも詳しくお話していますので、あわせてご覧ください。
デイサービス施設「きたえるーむ」では、自立した生活を送りたいと願う高齢者に向けて、身体機能の維持・回復を目的とした機能訓練プログラムを短時間制で提供しています。
マシントレーニングや歩行訓練、マンツーマンのストレッチなども提供していますが、特にお客さまに好評なのが、国家資格を持つ「柔道整復師」によるマッサージです。
マッサージによって痛みやしびれをコントロールしながら、機能訓練に取り組めるため、「訓練するだけではつらい」というお客さまに高く支持されています。
この「短時間制のデイサービス」というアイデア自体は私がもともと持っていたものですが、そこに「マッサージ」を取り入れるという発想は、ある整骨院の経営を参考にしたものでした。
最近はライバル企業も増えているのですが、「マッサージ」という要素で差別化できていることもあって、売り上げは右肩上がり。
今ではFCの施設も含めて、全国に約100拠点を展開するほどに成長しています。
自己流にアレンジするためのアイデアは身近なところに転がっている
上記のようにプラスアルファのアイデアを取り入れるきっかけとなったのは、私が経営者仲間とゴルフをしていたときのことです。
一緒にコースをまわっていた経営者に「短時間制のデイサービスを始めようと思っている」と話したところ、「知り合いの整骨院はマッサージを組み込んだ機能訓練で人気を集めている」と教えてくれました。
直感的に「面白そうだ!」と興味を持った私は、さっそく紹介してもらい、整骨院を経営する整体師の先生とお会いすることに。
直接お話を聞いて「私の考えていたアイデアよりも、マッサージ付きのほうが断然いい!」という思いを強くしました。
整体師の先生は自分の整骨院を広く展開するという考えを持っていませんでしたが、「一緒にやりませんか」とコラボレーションによる全国展開を提案し、現在に至っています。
もしも「マッサージ」という差別化要素を取り入れていなかったら、参入企業の勢いに押され、今ほど事業は伸びていなかったかもしれません。
「あのとき整体師の先生に会いに行っていなかったら...」と考えると、ゾッとするほどです。
新規事業立ち上げのリスクを減らすアイデアは意外と身近に転がっているもの。
「これは!」と思ったアイデアは積極的に活用して、ぜひ自己流にアレンジしてみてください。
新規事業を成功させるためのステップについてはこちらもご覧ください。
新規事業の立ち上げ準備のプロセスとは?成功までのステップを解説
新規事業はリスクを恐れるよりもフットワーク良く行動を!
どんな新規事業にも失敗のリスクはつきものですが、新規事業のやり方によっては小さく始めて、失敗のリスクを回避することが可能です。
まったく異業種の新規事業を立ち上げる際には、フランチャイズや総代理店から始めることで成功率を高くすることができるでしょう。
また、フットワーク良く行動し、「これはいい!」と直感したものを取り入れ、自己流にアレンジすることもポイントです。
当社が優れた海外製品を紹介する総代理店になれたのも、他社とのコラボレーションで新規事業が生まれたのも、積極的にアイデアを求めてきたからこそ実現できたこと。
もちろん、他社の商品やビジネスモデルをそのまま真似するのは問題がありますし、芸がないですが、自社にない発想を取り入れて自己流にアレンジする力は欠かせないものだと考えます。
私からいえば、多角化に成功している経営者はいわば「マネの達人」。
純粋にオリジナルな事業は少なく、実際には他社の事業を自分流にアレンジすることに長けているだけのような気もしています。
自社の強みを活かしたアレンジを考えることが、新規事業立ち上げのリスクを減らすための手札となります。
良いと思ったアイデアはどんどん取り入れてみましょう!
当グループが主催する経営セミナーや研修・ワークショップなどのイベントでも、新規事業を成功させるたくさんのヒントが見つかると思います。
興味のある方はぜひ参加してみてください。
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Authorこの記事の著者
ヤマチ連邦多角化経営実践塾 塾長
山地 章夫
ヤマチユナイテッド代表。経営を楽しみ、社員700名、50事業・年商256億円の企業グループの舵を取る。本業を中心に事業を次々と立ち上げ、売上げを積み増す「連邦多角化経営」を実践。経営の安定化と人材育成を両立する独自の経営手法が、多くの中小企業経営者の注目を集める。