社員が自主的に業績アップを目指す組織風土づくりとは?

理念・社風

山﨑 舞
山﨑 舞

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こんにちは、ヤマチユナイテッドの山崎です。

「経営者として会社のために一生懸命やっているつもりだが、業績がなかなか上がらない」

「社員にも自主的に業績を上げる努力をしてもらえないものだろうか」

中小企業の経営者の皆さんの中には、こういったお悩みをお持ちの方も少なくないと思います。

ですが、そもそも社員の皆さんは会社の業績を十分に把握しているでしょうか。

社員は「売り上げが伸びずボーナスが少ない」と文句は言うけれど、「会社の業績が上がらない=自分たちの日々の行動が業績に結び付いていない」ということに、実は気が付いていないのかもしれません。

社員が自主的に業績アップを目指すようになるためには、会社組織全体で意識を変え、組織風土づくりをすることが必要です。

そのために何をするべきか、いつでも誰でも取り組みやすい方法をご紹介します。

目次

  1. なぜ業績が上がらない?業績が上がりやすい組織とは?
  2. 社員が自主的に業績アップを目指す組織風土づくりの進め方
  3. 社員が自主的に業績アップを目指す!ヤマチユナイテッドの事例
  4. 社員が自主的に業績アップを目指すための仕組みづくりを整えよう

なぜ業績が上がらない?業績が上がりやすい組織とは?

業績が上がらない会社のパターンを2つあげていきましょう。

トップと社員の意思統一ができていない

業績が上がらない会社のパターンの一つとして「トップと社員の意思統一ができていない」ことが挙げられます。

企業としてのビジョンやミッションは、単に言葉だけでなく、それらの真意が社員に伝わっていないと意味がありません。

トップが「ここへ持っていきたい」と思っているゴールに対して、社員がどれだけのことをやらなければならないか。

ビジョンやミッションが社内に浸透していないと、温度差が生じてしまいます。

逆にいえば、ビジョンやミッションが明確に共有され、社員みんなが同じ方向を向いて動ける組織は、おのずと業績が上がりやすい体制になっていると考えられます。

ビジョンやミッションは、いわば会社という船の向かうべきところを指し示す方位磁針のようなものなのです。

業績責任のありかが曖昧になっている

業績が上がらない会社のもう一つのパターンとして、業績責任のありかが曖昧になっている会社もなかなか難しいです。

例えば、管理会計を導入していない会社は部門別の営業利益管理ができず、利益責任が見えてきません。

現場の社員としては何をどう頑張れば良いか、自分が頑張った結果がどれくらい出ているのかといったことがわからず、頑張りようがありません。



どちらのパターンも、社員が会社の業績を「自分ごと」として捉えることができず、自主的な行動をとれない原因につながっています。

だからといって社員ばかりを責めるわけにはいきません。

元はといえば、会社全体が「自主的に業績アップを目指す」雰囲気になっていないのです。

では、どうすれば社員が自主的に動けるようになるか、次の項目で解説していきます。

社員が自主的に業績アップを目指す組織風土づくりの進め方

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社員が自主的に業績アップを目指すにはどのようにしたら良いのか、組織風土づくりの進め方についてポイントをご紹介します。

ハイパフォーマーの育成より個々の売り上げアップを目標に

「会社の業績を上げたい!」と皆さんおっしゃいますが、そのために社員をどんな風に育てたいかと聞くと「ハイパフォーマーに」と答える方がほとんどだと思います。

確かにハイパフォーマーな社員は頼もしいですし、もちろん目指していきたいところ。

ですが、ハイパフォーマーと呼ばれる人には元々持っているセンスがあるため、そのノウハウはなかなか真似しにくいもの。

それなら「1人で500万円売り上げるハイパフォーマーな人」を育てるのに注力するより、「全社員が今よりもプラス10万円売れるように教育し、100万円の利益を出した方が良い」と考えてみませんか。

そうすると「若手もベテランも関係なく、誰でもできる『型』みたいなものを作っていかなければならない」というマインドを持って、仕組みづくりに取りかかるようになります。

では「誰でも真似しやすい型」とは...と考えた時、主軸になるのは再現性と生産性。

「この人でなきゃできない」というものは再現性がないし...というような検討を繰り返しながら、「いつでも誰でも、年次も関係なく」という観点から業務プロセスやワークフローの組み立て方を現場の社員で話し合っていくのが良いと思います。

行動を評価して従業員エンゲージメントを向上させよう

社員の行動を評価して「従業員エンゲージメント」を向上させることも、社員が自主的に業績アップを目指すには必要なポイントです。

従業員エンゲージメントとは、会社に貢献したいという従業員の自発的な意欲のこと。

「愛社精神」「会社への愛着」と言い換えることもできます。

従業員エンゲージメントを向上させるには、きっかけが必要です。

まずは、社員が日々の業務でやっていることを、きちんと見てもらえていると実感できる環境づくりを行いましょう。

例えば、当グループでは「MVP表彰」と銘打って、週次の業績発表の場で事業部ごとに「MVP」を選出しています。

MVP表彰は、単に営業成績だけで選ぶのではなく、上司が部下の行動管理をしっかりした上で、できたこと・できなかったことをチェックしながら正当に評価するという取り組み。

「社員一人ひとりの努力を見てる」と示す機会であるところが重要なポイントです。

MVP表彰を始めた当初は、行動管理しているようでしていない、上司が部下をよく見ていないため、MVPを選べない...ということもありました。

今では成果だけでなく、プロセスも評価してあげるというところが社員のモチベーションになり、従業員エンゲージメントの向上につながっています。

おそらく皆さんの会社にも、数字がなかなか上がらず悩んでいる社員の方がいらっしゃると思います。

でもプロセスを見ていれば、もうちょっと頑張れば上がるのがわかる。

だからそこを拾って「頑張れ」と言ってあげることが大事なんです。

結果を出したら褒めるまでがセットですね。

社内SNSの活用で他部署とも気軽に情報共有

「社内で情報共有をしましょう」というと、何か大層なことを用意しないといけないような気がしますが、社内の情報共有は気軽でOKです。

「大したことじゃないけれど」と気軽に発信したことの中に意外と「これはみんなが簡単に取り組める!」というようなノウハウがあったりします。

会議で提案しようとすると大ごとになるようで腰が引けるけれど、社内SNSなら「こんなことやってみました」と投稿するだけで良いので、情報共有のハードルが低くなるのが最大のメリットです。

ただ、最初はどうしても投稿に慎重になりがちなので、まずは役職者が簡単にお手本として2つ3つ書き込むのがおすすめです。

社内SNSに何を書いたら良いか迷う人もいるでしょう。

例えば「こういう広告が良かった」「こんな取り組みをしてみた」「ちょっとしたお役立ち情報」など「こんなことを書いてくれるといいな」ということも示しておくと良いですね。

社内の情報共有については「社内の情報共有は何からやるべき?会社全体に効果をもたらす情報BEST3」もぜひご確認ください。

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社員が自主的に業績アップを目指す!ヤマチユナイテッドの事例

ヤマチユナイテッドでは、自主的に業績アップを目指す社員、自律型人材を育てるために、「自主計画」「自主管理」「自主分配」を三本柱とする「システム経営」を採用しています。

大まかにいえば、自分たちで立てた経営計画に基づいて行動し、自分たちで進捗管理や分析を行い、その結果が良くても悪くても自分たちで受け止めるという全社員参加型の経営方式です。

「自分たち」というのは社員一人ひとりですから、経営計画を立てるためには会社の財務状況を全社員に明らかにしていないといけません。

だからシステム経営と、管理会計、オープン経営はワンセット。

どれが欠けても、社員を経営者に近い目線に立たせること、つまり経営に参画させることは難しくなります。

管理会計、オープン経営についてはこちらのコラムもあわせてご覧ください。

「管理会計」を導入するメリット 〜全員参加型経営の基礎:前編〜

全員参加型経営に必須の「オープン経営」のメリットと導入のコツ 〜全員参加型経営の基礎:後編〜



「業績を上げろ」「とにかく何かやれ」といくら指示を出したところで、情報を与えないままだと社員が辛いだけ。

会社の業績を上げるための行動をを自分ごととして考えることはできません。

ですから、まずは社員の目線合わせを初めにやってあげないと自主性も培われませんし、業績を上げるというマインドも生まれないのです。

このほか、ヤマチユナイテッドが実施している具体的な事例をいくつか挙げてみます。

事例①週次管理

システム経営の「自主管理」に相当する業務の一つ。

当グループでは、年間目標に対する中間指標の達成度を週次で振り返ります。

自分たちで設定した中間指標の達成度が数字で確認できるため、行動の結果が目に見えることで、張り合いが出たり、反省材料になったりします。

また、上から指示された指標ではなく、自ら決めた現場の指標ですから「頑張って達成しよう」とモチベーションも上がるのです。

事例②オンライン朝会

週1回、各事業部の中間指標達成度をオンラインで全社にライブ配信します。

各事業部では、分析と対策立案もその都度行わざるを得ないので、実質的にPDCAサイクルが勝手に回っていくというところもメリット。

前項に書いたMVP表彰もこの配信の中で行っています。

PDCAサイクルについて詳しくは「PDCAサイクルを効果的に回す、中小企業のためのKPI管理法とは?」でもご紹介しています。

事例③社内SNSの活用

当グループは、社内SNSでナレッジ(情報・知識)を共有することによって、実際に「社内SNSがあったから業績上がったよね」のような事例もけっこう出てきています。

部署が違っても書類のひな形を共有しあったり、投稿内容を見てSEO対策に詳しそうな人に相談したりということも行われています。

社内のナレッジの共有は、時間の節約や経費の削減にもつながっています。

事例④委員会活動

一般的に「プロジェクト」と呼ばれるものを、うちでは「委員会」と呼んでいます。

経営課題の中で比較的難易度の高くないものを、社員のチームに任せるという仕組み。

「誰でもできる〇〇業務」「効果的な営業の仕方」だけでなく、先述した「誰でも真似しやすい型づくり」を委員会に任せるのも良いと思います。

週次管理の中心になっている「KPI管理」は通常マネージャーが担当しますが、数字に追われてマネジメントに手が回らなくなることもあるので、数字管理は委員会にやってもらうこともおすすめです。

KPI管理について詳しくは「KPI管理は社員巻き込み型で自主性&徹底力アップ!」をご確認ください。

KPI管理以外にも、ロールプレイング動画の取材・撮影、教育ツールの製作なども委員会にやってもらえると良いですね。

社員が自主的に業績アップを目指すための三本柱をチェック

会社の業績は瞬間最大風速的にバッと上がれば良いわけでなく、継続的に上がるようにしていきたいもの。

そのためには、ヤマチユナイテッドの事例も踏まえて、以下の3つを「社員が自主的に業績アップを目指すための三本柱」として実行してみてください。

  1. 週次管理の仕組み:立てた目標に対して、高速でPDCAを回す

  2. ナレッジの共有:業務を可視化し、「型化」の兆しを見つける

  3. 業務の型化:ノウハウを整理し、習得しやすくする

新しい取り組みを始めるにあたって、大がかりなシステムを導入しなければならないのでは?と考える方も多いのですが、この三本柱については初期投資はほぼ不要。

必要なものといったら配信用の「Zoom」や「YouTube」、オフィスソフトの「Excel」くらいですから、システムにコストをかけられない企業でも簡単に始められます。

今回ご紹介した方法は、どんな規模、どんな業態の会社でも取り組みやすい事例になっていますので、ぜひ一度試してみてください。

大手企業ならハイパフォーマーをスカウティングする体力もあるでしょうが、われわれ 中小・中堅企業にはなかなかそこまでできません。

ですが、この仕組みづくりをしていけばどんな人でも業績が上がるような組織になりますし、イニシャルコスト(初期費用)もほとんどかけずに取り組めます。

新人を採用した時にも立ち上がりが早くなるので、中小・中堅企業にぴったりの方法だと思います。

社員が自主的に業績アップを目指すための仕組みづくりを整えよう

会社の業績が上がらないパターンは、社員にビジョンやミッションが浸透しておらず、トップと社員との意思統一ができていないケースと、業績責任のありかが曖昧で社員の頑張りどころがわからないケースがあります。

いずれにしても、社員が会社の業績アップを自分ごととしてとらえていないため、自主的な行動ができないのです。

そんな状況を打破するためには、まず組織の意識を変えること。

ハイパフォーマーを求めるより、個々の営業成績を伸ばす方向性で考えていく方が現実的です。

次に社員の頑張りが承認される機会を設けること。

結果だけでなくプロセスを評価してあげることで、従業員エンゲージメントが向上します。

あとは、社内SNSで気軽にナレッジ共有ができる環境を作りましょう。

気軽に発信した「お役立ち情報」がノウハウとして蓄積されていく可能性があります。

ヤマチユナイテッドでは、システム経営とオープン経営、管理会計を組み合わせた上で、さらに「週次管理」「オンライン朝会」「社内SNSの活用」「委員会活動」といった、さまざまな取り組みを実施することにより自律型人材を育成する仕組みを作ってきました。

社員が自主的に業績アップを目指すための三本柱もチェックしておきましょう。

  1. 週次管理の仕組み

  2. ナレッジの共有

  3. 業務の型化

週次管理はオンライン朝会のような機会を設けることでPDCAサイクルを高速で回し、ナレッジ共有で誰もが取り組める「型」の兆しを見つけ、委員会を活用しながら業務を型化して習得しやすくする。

この三本柱をうまく機能させることで、会社の業績が継続的に上がっていくはずです。

システム経営や業務の型化については当グループが主催する「連邦・多角化経営実践塾」をはじめ、各種講座やセミナーで詳しくご紹介する機会もあります。

ホームページでスケジュールを公開していますので、ご興味がありましたら参加をご検討ください。

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