「管理会計」の導入が、経営を変える!【社員参加型経営の基礎:前編】

業績アップのノウハウ

石崎 貴秀
石崎 貴秀

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こんにちは、ヤマチマネジメントの石崎です。

連邦・多角化経営実践塾で「システム経営」の講座を担当しています。

「システム経営」というと、なにやらむずかしそうに聞こえるかもしれませんが、ひとことでいうと社員参加型の経営のことです。

よくあるトップダウンの経営はスピード感があって効率的ですが、社員が一定数を超えると、逆に成長性が損なわれます。

指示待ち人間が増え、責任を他人に押しつけがちになるからです。

その点、「システム経営」は、トップダウンとボトムアップをミックスさせ、幹部社員に権限を委譲し、責任を分化していく仕組みです。

会社を大きくしようと思ったら、トップダウン型の経営から「システム経営」への移行を考えなければなりません。

今回と次回で、システム経営を支える二つの仕組み、「管理会計」と「オープン経営」についてじっくりとお話しします。

目次

  1. システム経営を導入する前に
  2. 税務会計と管理会計の違い
  3. 管理会計の手法
  4. 最大の難関は原価の仕分け
  5. 管理会計のメリット
  6. まとめ

1.システム経営を導入する前に

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まず、システム経営の全体像からご説明します。

システム経営とは、経営に必要な項目を細分化して、経営幹部や社員に分担してもらう経営手法です。

なかでも要になるのが「経営計画システム」「業績管理システム」「成果分配システム」の三大自主システムです。

これらの詳細は別項に譲りますが、早い話、社員が業績を把握し、自ら計画を立てて管理し、納得した上で給与を決める、という仕組みです。

このシステム経営に挑戦したいと考える経営者の方は、たくさんいらっしゃいます。

ただし、導入の前提として必要な条件があります。

「管理会計」と「オープン経営」です。

この二つは、いわば、システム経営をうまく機能させる土台。

今回はこのうち「管理会計」について、くわしく解説したいと思います。

2.税務会計と管理会計の違い

あなたの会社では、どのような会計処理をしているでしょうか。

年に一度の決算期に税金を計算するための「税務会計」が一般的だと思います。

期間中の収入と支出、利益などから納税額を割り出すための会計なので、極端な話し、年に一度、決算期に全社一本の決算申告ができればいいのです。

一方、「管理会計」は経営判断をするための会計処理です。

部門別、月別に集計したり、さらには商品別、サービス別、得意先別などで計算することもできます。

なぜこんな面倒なことをやるのかというと、事業別の営業利益を明確にしたいからです。

それぞれの事業がちゃんと収益を生んでいるのか、会社全体の利益に対してどのくらい貢献してるのか、部門の利益を人員で割った「一人当たりの利益」は高いのか低いのか、を判断するためです。

3.管理会計の方法

売り上げや利益は部門別に出していても、経費は会社全体でしか計算していないという会社が大半でしょう。

だから、各部門では利益が出てるのに、本社の経費を差し引くとマイナスという場合も...。社員は利益が出ていると思っているから、経営陣と温度差が生じます。

ですから当社では、本社や総務の経費も各部門に振り分けて按分しています。

たとえば事務所の家賃も3部門で使ってるなら、3分の1ずつ負担するようにします。

このとき大事なのは、特定の部門を優遇しないこと。グループの事業部を並べたときに同じ目線で比較検討ができるよう、同じ基準、同じルールで行うこと。

公平に計算される仕組みでなければ、経営判断を誤ってしまいます。複数事業を同時に走らせる連邦多角化経営では特に重要な考え方です。

4.最大の難関は原価の仕分け

管理会計の導入時、最もハードルの高いのが原価の仕分けです。

税務会計なら、どこから何をいくつ買ったかだけで十分ですが、管理会計ではどこの部門の発注かまで仕分けなくてはなりません。

仕入れ先に協力してもらい、納品書や請求書はどの部門の誰の発注か分かるような仕様にします。

たとえば、発注番号にIS−105番と書いてあれば「ISだから石崎さんのチームの原価だな」と分かるようにしておくのです。

細かい作業が増えるので、大変は大変です。でも、それさえできれば、人件費は明確ですし、営業で発生した経費は部門別で分かります。あとは総務など共通経費をグループ内でどう振り分けるかだけです。

5.管理会計のメリット

管理会計を導入すると、経理業務は煩雑になります。

「やってられない」と社内の反発があるかもしれません。

ですが、人員を増やしてでも、たとえ会計事務所に外注してでも、取り組む価値があると私は思います。

多少コストは高くなりますが、成果は何十倍、何百倍にもなって戻ってくるはずです。

「管理会計」と「オープン経営」、この二つが実現できれば、これまで指示待ちだった社員が自ら業績を管理し自主的に動くように変貌します。その理由は次回くわしく説明しましょう。

6.まとめ

日本は長時間働いているわりに、労働生産性が低いといわれます。

あなたの会社では、社員に売り上げの目標だけ与えて、原価も営業利益も教えないまま、追い立ててはいないでしょうか。

社員に「やらされ感」のあるうちは、業績は大きく伸びません。

社員一人ひとりが自ら考え、自主的に動くようになってはじめて、数字に対する意識が高まるのです。

自分のチームがどれだけ営業利益を出しているのか、会社にどのくらい貢献しているのか、生産性は高いのか低いのか、そこまで把握できるようになれば「もっとこうしてみよう」というアイデアも自然と出てくるはずなのです。


次回(7/18更新予定)は、システム経営のもう一つの土台、オープン経営についてお話しします。

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