コアバリューこそ理念経営の最重要ポイント。経営理念との違いや行動につながるヤマチの実例を紹介

理念・社風

石崎 貴秀
石崎 貴秀

こんにちは。ヤマチユナイテッドの石崎です。


「経営理念はあるが、社員の判断や行動が揃わない…」

「コアバリューが重要だと聞くが、何をどう定めれば良いのかわからない」

こうした声を、経営者の方からよく伺います。

 

理念は掲げているのに、現場では判断がばらつく。

その結果、「せっかく理念があるのに現場につながっていない、機能していない」と感じてしまう。

これは、決して特別なケースではありません。


今回は、コアバリューとは何か、経営理念との違いはどこにあるのかを、わかりやすく整理してご紹介。

ヤマチユナイテッドがどのようにコアバリューを設計し、組織の行動に結びつけているのか実例として解説します。

 

コアバリューをスローガンで終わらせず、現場の意思決定に直結する価値観をどうつくるか。

その具体像をお伝えしますので、ぜひご確認ください。

目次

  1. コアバリューとは?経営理念との違いもご紹介

  2. ヤマチユナイテッドが大切にしているコアバリューの考え方と実例

  3. コアバリューが組織に与える影響は?得られる効果を確認

  4. 行動につながらないコアバリューに共通する課題

  5. コアバリューとは理念と行動をつなぐ「自社らしさ」と「判断軸」!ヤマチの実例も参考に

コアバリューとは?経営理念との違いもご紹介

企業の根幹を支える言葉として「経営理念」「コアバリュー」が語られることが増えました。

しかし、この二つは似て非なるもので役割が異なるため、混同したまま設計すると、どちらも形骸化しかねません。

コアバリューは、業務での日々の行動や意思決定における「判断軸・価値観・信条」を指します。

一方、経営理念とは、何のために企業活動するのか、どんな価値を社会に提供するのかを示す「経営哲学・思い」や「経営の在り方」「目指す姿」です。

 

ヤマチユナイテッドでは、経営理念を「パーパス」というものに置き換えて整理していますが、それは我々が「どこに向かうか」を示す北極星のようなものだと表現しています。

常に一定の位置にあって、向かう方向えを指し示し、届かないほど遠くにあるが、そちらに向かって進んでいくためのブレない座標。

そして、向かう際に「これを守り、実践しながら向かっていく」という規律、会社の憲法のようなものがコアバリューだと考えています。

理念やパーパスが「どこへ向かうか」を示すのに対し、コアバリューは「どんな姿勢や考え方で向かうか」を規定します。

 

なお、近年上場企業を中心に注目されてきている「パーパス」は、経営理念に近い概念で「自社は何のために存在するのか」「自社はなぜこの事業をしているのか」という社会的な存在意義や目的を示すものです。

コアバリューはこれとも異なり、日常の判断に直接結びつく行動基準という点で独自の役割を持ちます。

理念だけでは現場の判断・行動が揃わない

経営理念はその性質上、抽象度が高いもので、理念だけを掲げていても、社員によって解釈や行動の方向がばらつく可能性があります。

理念という大きな方向性を、現場レベルの判断・行動に落とし込むための橋渡し役がコアバリューです。

コアバリューが組織に根付いていない状態では、社員が判断に迷うたびに上長や経営者に確認が発生し、経営者は細かい判断に追われ続けます。

逆にコアバリューが共有されていれば、現場レベルで価値観に照らして議論や自己判断ができるようになり、組織の自走につながっていくのです。

 

ヤマチユナイテッドの連邦経営における理念体系の全体像については、以下のコラムも参考にしてください。

理念経営とは?ヤマチの会社経営の歴史をご紹介

理念経営とは?「楽しく儲かる社風」をつくるヤマチユナイテッドの事例

グループ全体に統一感を持たせるグループ理念とは?構築事例を紹介!

組織が大きくなるほど、コアバリューが判断を支える

人数が増え、部署が増え、事業が多角化していくほど、理念だけでは価値観の統一が難しくなっていきます。

上場企業が経営理念だけでなく、パーパスやコアバリューの重要性に目を向け始めているのも、まさにこの点からです。

組織が複雑化するほど、明文化された判断基準がなければ、理念は現場で機能しなくなります。

反対にコア・バリューがあって判断基準が揃っていれば、任せる経営が可能になります。

コアバリューは、成長した組織が「統制の取れた拡張」をしていくための土台なのです。

ヤマチユナイテッドが大切にしているコアバリューの考え方と実例

ヤマチユナイテッドのコアバリュー設計の起点は、「自社らしさ」や社風の言語化です。

会社の歴史を振り返り、どんな局面をどんな考え方で乗り越えてきたか、どのような意思決定をしてきたか、何をずっと大切にしてきたか、経営者が折に触れて口にする言葉は何か、そういった「自社に脈々と受け継がれているもの」を、まず挙げていきます。

このプロセスで出てくる言葉は、価値観として残すべきもの、パーパス的なもの、目標に近いものが混在します。

それらを仕分けしながら、「これはうちの価値観だよね。これまでも一本筋が通っているし、これからも大事にしていこう」というものを選んでいく。

コアバリューは「こうありたい」という願望ではなく、「今までこうやってきて、これからもこうやっていく」という、すでに自社の中に存在するものを整理・言語化したものです。

そのプロセスを経て、「うちの事業の一番の存在理由はこれだ」「この価値観があるからこそ、この方向に向かっているのだ」という軸が見えてきます。

そして、コアバリューを整理することで、パーパスや経営理念の輪郭もあわせて明確になっていきます。

つまり、価値観の言語化が、理念体系全体の土台をつくるのです。

コアバリューの根本的な価値観は、社長が変わっても時代が変わっても引き継がれていくものです。

「経営者が最大限の力を注いで真剣につくるべきもの」だとヤマチユナイテッドが考えているのは、それだけ組織の意思決定の根幹にかかわるものだからです。

ヤマチユナイテッドの14のコアバリュー

ヤマチユナイテッドでは、「判断と行動の拠り所」として次のコアバリューを設定しています。

  • 01. 全員参加型経営 全員が経営感覚を持ち、経営に参加しよう

  • 02. 顧客第一 常に顧客目線で考え、最高の価値を提供しよう

  • 03. 高賃金への道 高能率、高収益、高賃金な一流を目指そう

  • 04. 誠実・正義 法令遵守し、誠実で正しい行動をとろう

  • 05. 凡事徹底 基本動作を徹底しよう

  • 06. 全体最適 チームワークを重視して、みんなで大きな目標に燃えよう

  • 07. 対話の社風 コミュニケーションを重視し、風通しの良い社風にしよう

  • 08. 使命感 自分の仕事に情熱と誇りを持って取り組もう

  • 09. 挑戦者集団 仕事を自ら創り出し、改革、変化に挑むチャレンジャーでいよう

  • 10. 自己研鑽 学ぶことを重要と考え、知識や人格を磨き自己成長しよう

  • 11. 自責習慣 環境や他人のせいにしないで、自責思考でいこう

  • 12. 論理的思考 得たい結果から逆算して、論理的に対策、計画、伝えよう

  • 13. 利他の心 幸せをばらまくという利他の精神で、自分も幸福になろう

  • 14. 失敗は学習 失敗を認め、素直にやり方を変えたり、やめることに躊躇しない

 

14項目の中には、「顧客を大切にする」「法令遵守」「基本動作の徹底」など、どの会社でも掲げそうな基本的な内容も含まれています。

これはあえて入れているもので、当たり前だから省くのではなく、だからこそ明文化して忘れないという姿勢の表れです。

その一方で、「全員が経営感覚を持ち、経営に参加しよう」は、ヤマチユナイテッドらしさが色濃く出た項目です。

 

また、ヤマチユナイテッドは「THE 100VISION」というグループミッションを掲げています。

100の事業を作ることを目指す多角化・連邦経営において、全員参加の経営こそが自社の強みであり達成のためには不可欠なのだという確信が込められています。

コアバリューが実際の意思決定・行動にどう表れているか

コアバリューは額に飾るものではなく、日々の判断や行動に反映されてこそ意味があります。

ヤマチユナイテッドでは、次のような形でコアバリューが実際の業務と結びついています。

「全員経営」の実践

「全員が経営感覚を持ち、経営に参加しよう」を体現するため、経営数値や会社情報をグループ全体にオープンにしています。

各事業部が自主運営できるよう権限移譲を進め、トップダウンではなく現場が自分で考えて動ける環境を整えることが、このコアバリューの日常的な実践です。

チャレンジと失敗への向き合い方

「仕事を自ら創り出す」は新規事業や新サービス開発を指します。

100の事業を生み出すというミッションを掲げているからこそ、チャレンジを奨励するこの価値観は経営の根幹です。

失敗しても単純なマイナス評価にはならず、チャレンジしたこと自体が評価される。

うまくいかなければ素直に反省し、やり方を変えることをポジティブに捉える。

変化することを恐れる、避ける、面倒がるという価値観は、ヤマチユナイテッドのコアバリューとは相容れないということを明示しています。

数字とロジックで動く習慣

「得たい結果から逆算して、論理的に対策・計画・伝えよう」は、目標の立て方から日常のコミュニケーションまで広くかかわる価値観です。

KPI設定においては目標から逆算して具体的な施策を導き、その根拠や計画を相手にわかりやすく伝える。

感覚や経験則ではなく、数字とロジックを業務の基本に置くスタイルがここに集約されています。

コアバリューは、ヤマチユナイテッドにとって、判断に迷ったときの物差しであり、日々の行動を支える灯台でもあります。

全員がこの価値観を正しく理解し、仕事に向き合うことが、連邦経営を機能させる出発点だと位置づけています。

 

ヤマチユナイテッドの連邦多角化経営の背景や歩みについてはこちらのコラムをご覧ください。

ヤマチの連邦多角化経営と自主自律型の経営はいつから始まった?

コアバリューが組織に与える影響は?得られる効果を確認

コアバリューが浸透すると、組織にはどのような変化が起きるのでしょうか。

「価値観を掲げる」ことの効果は抽象的に語られがちですが、実際の変化は非常に具体的です。

意思決定の軸ができ、事業判断、現場の判断スピードが上がる

最初に変化が表れるのは、「現場で判断できる範囲が広がる」という点です。

共通の判断基準が浸透することで、社員や幹部が自分の判断に自信を持って動けるようになります。

経営者や上長に確認するたびに業務が止まるという状況が減り、組織が自走し、そのスピードが上がっていきます。

会議の質と参加姿勢が変わる

コアバリューが共通言語として機能すると、会議での議論の中身も変わります。

判断基準が揃っているため的外れな発言が減り、自分ごととして参加する姿勢が整い、建設的な議論が増えていきます。

あらかじめ価値観に照らして考えて、準備してから参加するようになることで、「その場で初めて考える」という時間のロスも減り、議論のスピードも上がっていきます。

会議をより活性化させるには?マンネリ化の改善方法と設計方法を紹介」も、ぜひご覧ください。

組織文化の統一ができ、部門間の連携と一体感が生まれる(インナーブランディング効果)

事業部や部署が増えると、タコツボ化して横の連携が取れなくなるのはよくある課題です。

しかし全社共通のコアバリューで結ばれているという意識が根付けば、部門を超えた連携が自然に進みやすくなります。

「同じ価値観で動いている仲間」という感覚が、組織の一体感を生み出す土台になるのです。

こちらのコラムでも、詳しく解説しています。

部門間連携の成功事例に共通する3つの前提条件は?中小企業の課題やポイント

採用ブランディングの向上

採用活動におけるPRポイントが明確になることに加え、価値観に共感してくれる人を採用する。

採用可否の判断基準として使うなど、価値観に基づく採用ができるようになります。

幹部・ミドルマネジメントが育ちやすくなる

価値観を理解し、自分で判断できる幹部・社員が増えると、組織としての持続性が高まります。

判断の質が上がり、サービスの改善もポジティブに進むようになれば、結果として業績にも反映されていきます。

また、評価制度の基準設計にも連動させることもできます。

こちらのコラムも、あわせてご確認ください。

ミドルマネジメント育成はなぜ難しい?中間管理職を経営の担い手に育成する方法

行動につながらないコアバリューに共通する課題

コアバリューを設定しても「絵に描いた餅」になってしまう企業は少なくありません。

機能しないコアバリューには、共通した問題があります。

言葉が抽象的すぎて行動に落ちていない

最も多い失敗は、言葉の抽象度が高すぎることです。

「誠実」「信頼」「挑戦」など、耳当たりの良い言葉を並べても、それが具体的にどんな行動を指すのかが共有されていなければ、人によって解釈がバラバラになります。

例えば、「信頼」一つとっても、約束を破らないことなのか、責任の範囲を明確にして任せることなのか、クレームに正面から向き合うことなのか、といったように意味の解釈は多様です。

コアバリューは、行動レベルに落とし込まれて初めて機能します。

ヤマチユナイテッドでは、14項目それぞれの背景にある具体的な意味を丁寧に解説し、伝え続ける仕組みを設計しています。

わかりやすさは、コアバリュー設計における最重要の要素の一つです。

「ホームページに掲載してカードを配れば終わり」という形だけの「額縁経営」では、何も変わりません。

評価制度・業務・事業と連動していない

コアバリューが形骸化するもう一つの原因は、評価制度や日常業務との接続が設計されていないことです。

価値観を体現できているかどうかは測りづらいからこそ、業務の中で具体的に使われる仕組みとの連動が必要です。

ヤマチユナイテッドでは、コアバリューに含まれる価値観をグループ共通の評価項目として設計し、日常業務の中でコアバリューが実際に参照・活用される仕組みを整えています。

また、事業の選択や運営スタイルにもコアバリューが反映されている必要があります。

「高能率・高収益・高賃金」を掲げるなら、生産性の低い事業構造は見直す。

「法令遵守・誠実な行動」を掲げるなら、クレームには徹底して真摯に向き合う。

コアバリューがサービスや事業の方針にまで一貫して反映されているかどうかが、本当に問われる点です。

浸透させるためのプロセス・仕組みが設計されていない

コアバリューは一度つくって終わりではなく、伝え続けること・使い続けることが最も重要です。

経営計画発表会や会議・研修を通じて繰り返し伝え、判断の機会があるたびに意識的にコアバリューを参照していく仕組みがなければ、言葉はただのスローガンになってしまいます。

 

コアバリューだけでなく、ビジョン・理念が組織に浸透するプロセスについて知りたい方は、こちらのコラムをご参考ください。

ビジョンとは?会社も社員も前向きになれるビジョンの作成方法と事例を紹介

なぜビジョンが浸透しない?企業ビジョンの重要性とヤマチの成功事例

コアバリューとは理念と行動をつなぐ「自社らしさ」と「判断軸」!ヤマチの実例も参考に

コアバリューとは、社員一人ひとりの日々の行動や意思決定を支える「具体的な判断基準・価値観」です。

理念が「どこへ向かうか」を示すなら、コアバリューはその方向へ「どんな姿勢で向かうか」を規定する、組織の憲法といえます。

ヤマチユナイテッドのコアバリューの実例のように、設計の出発点は願望ではなく「自社らしさの言語化」です。

会社の歴史や経営者の哲学を振り返り、一本筋の通っている価値観を言葉にするところから始まります。

その上で、商品やサービス、日常業務や評価制度と連動させ、経営計画発表会や会議・研修を通じて伝え続けることで、コアバリューは初めて「生きた判断基準」として機能します。

「理念はあるのに現場の行動が変わらない」と感じているなら、コアバリューの設計と浸透こそが、その課題を解くカギになるはずです。

 

コアバリューの設計や組織への浸透に取り組みたい経営者の方は、ぜひヤマチユナイテッドの「連邦・多角化経営実践塾」をご活用ください。

多角化・連邦経営を実践してきたヤマチユナイテッドが、理念体系の構築から組織づくりまでを体系的にお伝えしています。

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