ビジョンとは?会社も社員も前向きになれるビジョンの作成方法と事例を紹介

組織・給与制度

石崎 貴秀
石崎 貴秀

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こんにちは、ヤマチユナイテッドの石崎です。

皆さんの会社のビジョンは何ですか?

そのビジョンは社員の一人ひとりに浸透しているでしょうか?

「どうかなぁ」と首を傾げてしまう経営者の方は、今がビジョンを見直す機会かもしれません。

これから新しくビジョンを作りたい経営者の方も、今回のコラムをご確認いただき、会社を活性化するビジョンの作成方法や事例を参考にしてください。

目次

  1. 企業におけるビジョンの考え方とその重要性とは
  2. ビジョン作成のための7ステップとは?
  3. 経営計画策定はビジョンとの一貫性を重視
  4. ビジョンの効果とは?事例を交えて解説
  5. ビジョンとはより良い会社を作るための指針

企業におけるビジョンの考え方とその重要性とは

企業における「ビジョン」とは、大きな意味で「会社のあり方」「存在理由」「存在目的」を表すもの。

「何のために事業をしているのか」「何のために会社を興したのか」を突き詰めて考えた時に、意欲や情熱も含めて「我々はこういうあり方で事業を進めていくのだ」という会社としてのマイルール、いわゆる「憲法」だと思うのです。

さらに、将来的に会社として進んでいきたい方向を指し示す指針でもあります。

だからこそビジョンはオリジナリティがあって当然で、独自のものであるべき。

どこかから持ってきてポンと据えるものではなく、自分たちの内にあるものから生み出し、明示するべきです。

ビジョンなしに経営計画を立てて「これだけの利益を上げよう」としたところで、そもそもその利益は何のために必要なのか、何のために頑張るのかというところがすっぽ抜けていると、社員にとっても、地域にとっても、社会にとってもなかなか受け入れられません。

特に社員は頑張る理由もわからないまま何かをしなければいけないのですから、私からしてみれば「それは経営といえるのだろうか」と疑問を呈すところです。

「理念なき経営は滅ぶ」

私たちはそう考えています。

この考え方の背景には、当グループ代表・山地 章夫の苦い経験があります。

20年ほど前、山地は自社を経営するかたわら、長年の友人たちと共同で会社を作って海外で特定分野の飲食事業を始めました。

出店先は決まっていて、現地で店舗運営を経験した人材も確保。

当時はまだ日本の企業がその分野の専門店を出す事例が少なく、先駆者となれる可能性を秘めていると見て、軌道に乗れば自社へ還元できるとも考えていたようです。

それでも自社に迷惑をかけないようにと山地の独断で始めたため、私も含めて社員は「海外で飲食事業をやっている」というほか詳しい内容は知らず、会社、グループとして何か協力するということもありませんでした。

そうしていざ海外で飲食事業を始めてみると、戦略はしっかり練っていたはずですが、共同経営であったがゆえに「業績を上げるための計画を立てても責任の所在が明らかでない」「課題が発生した時に現地のマネジメントやオペレーションの対応がうまくいかない」といった問題がありました。

進出するには時期が早すぎたことも理由の一つにあったかもしれませんが、頑張ってはみたものの、最終的には撤退することに。

資金もパートナーも人材もノウハウも計画も、悪くなかったはずなのに...と、この経験を省みて、山地は「失敗の一番の理由はビジョンがなかったことだ」と思い至りました。

「何のため、誰のために海外で成功しようとしているのか」という柱が抜けていたと気付いたのです。

業績を上げるためには、会社組織全体、社員一人ひとりが同じ方向を目指していくべき。

その際に「このためにやっている」ことが指針となり、「うちの会社のあり方はこうである」という骨格となるのがビジョンです。

ビジョンをしっかり定めて社内で共有すると、そのビジョンに基づいて戦略や戦術が組まれ、自然と足元にある日々の業務に結びついていきます。

経営計画の判断軸になるということですから、そこにビジョンの重要性があると私たちは考えています。

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ビジョン作成のための7ステップとは?

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会社のビジョンを作成するにあたり、各段階で重要なポイントを「7ステップ」としてご紹介します。

  1. ビジョン作成の目的を明確にする
  2. 自分・自社の価値観を整理する(キーワードを出す)
  3. コアバリュー・パーパスを言語化、明文化する
  4. ミッション(定量目標)を設定する
  5. 体系的に整理して一貫性をチェックする
  6. ビジョンを達成するための経営戦略(経営改善計画)を立てる
  7. 経営計画の策定と実行(戦術)、幹部や社員への共有、社内浸透

それぞれ詳しく解説していきます。

ステップ①ビジョン作成の目的を明確にする

ビジョンを作成する、あるいは見直す際の第一歩として、まずは「なぜ今ビジョンを作成、あるいは整理、再設定するのか」、理由や目的を明確にしましょう。

ビジョンを作ることによってどのような問題を解決し、どのような目的でどのような目標を達成したいか。

例えば、次のように感じている時はビジョンを見直すタイミングかもしれません。

  • 「なんとなく作った中期経営計画がしっくりきていない」
  • 「幹部や部下が共感していない」
  • 「情熱をもってビジョンに向かいたい」
  • 「書き起こして飾ってあるがそれだけになっている」
  • 「古くて時代に合わない」 など

トップの代替わりがビジョン作成のきっかけになることもあるでしょう。

自分たちの代にはもう少し自分らしい思いを乗せたいとか、リブランディングしたいという目的もあるかもしれません。

どんなにパワフルな社長でも、組織が大きくなってくると、物理的に力が末端まで行き渡らなくなることもあります。

「船乗りが北極星を目印にするように、指針となるものがあるといいな...」こんなことがきっかけとなっても良いです。

目的や理由を明確にすることで、社内に「だから今、ビジョンを作成するのだ(見直すのだ)」と説明できます。

ビジョン作成には社員を巻き込むことも必要です。

のちのちビジョンを社内に浸透させるためにも、初めに社員にきちんと説明し、出発点を確認することが大切。

目的が決まったら、自分も社員もワクワクするビジョン作りの始まりです!

以下の3つを念頭に置き、次のステップへ進みましょう。

  1. 社員みんながワクワクし、誇りに思うような、燃えるようなビジョンか?
  2. 既存事業全てがそのビジョンのオンラインにあるか?
  3. 覚えやすく、他人に説明しやすいか?

ステップ②自分・自社の価値観を整理する(キーワードを出す)

経営者の「経営理念」「経営観」「経営哲学」「信念」を明確にします。

価値観を整理し、自分自身の人生と一体感があるか、過去と向き合っていくのです。

歴史のある会社だと、先代や創業者が掲げてきた経営理念や経営観、経営哲学、信条などを受け継いできていることでしょう。

歴代の思いを生かしつつ、自分の人生をこれからどうしていきたいか、その中で会社をどうしていきたいか、どんな仕事をしたいのか。

いずれの場合にも、社長の価値観だけではなく「組織としてどうありたいか」という観点で検討していくことが大事です。

具体的には、普段からよく言っている言葉や、何か迷ったときに拠り所にしていた心の中にある考え方、自社の強みや良さ、価値観や理念を書き出す作業を行います。

品質、信頼性、創造性、社会貢献、プロフェッショナリズム、柔軟性、安全性、チャレンジ精神、楽しさ、クリエイティビティ、ユニークなど...

社長であればいつも内にあるものが必ず出てくるので、50個ほどのキーワードを挙げていくのは難しくないはず。

その中から優先的に、絶対譲れないもの、自社をよく言い表しているもの、忘れてはいけないものを10個から20個ほどピックアップして、次のステップへ進みます。

キーワード出しのポイントは「こうありたい」「こうあるべきだ」を挙げるのではなく、すでに心の中にある、自分たちが大切にしてきたもの、大切にしているものを出し切るというところです。

ステップ③コアバリュー・パーパスを言語化、明文化する

先ほどピックアップした10個~20個のキーワードをもとに「コアバリュー」となる価値観を言語化・明文化していきます。

これこそ、一言でいえば「憲法」。

自分たちはどうあり続けるのか、根本的な価値観を表現するのですが、絶対にこれは守っていくものだという原理原則をそこへ落とし込んでいきます。

コアバリュー

コアバリューは会社の指針となる原則と信条の体系であり、基本的な価値観であり、会社を導く哲学でもあります。

どれだけ環境が変わっても、社長が代々変わっていっても守ることができるもの、時代を超えて不変のカルチャーを表すものです。

この先、ITやAI(人工知能)をはじめさまざまな技術革新が起きますから、例えば現在の目線で「今持っている技術で勝負する」というコアバリューにしてしまうと、新しい技術が出てきたときに使えない表現になってしまいます。

表現の仕方の問題なのですが、だったら「常に最新の技術で勝負する」とするほうが良いですね。

そして、コアバリューを定めたら「ここから外れるようなことは基本的にしません」と、会社の姿勢が決まります。

一つの例として、ヤマチユナイテッドのコアバリューを紹介します。

  1. 仕事と人生をとことん楽しむ
  2. 変化こそ常道
  3. 新規事業は価値創造
  4. グローカル思考
  5. 北海道からウェーブメイク
  6. 常に学び続け、成長し続ける
  7. 主体性を発揮し全員が輝く
  8. 直球で伝え、素直に聞く
  9. 仲間と成果を出すのがやりがいだ
  10. やりたいことを、やるべきことに

パーパス

「パーパス」は「意義、目的」ですから、「何のために会社が存在しているのか」を明確にします。

一般的な言葉で良いので、「世の中」でも「人間」でも、ターゲットのニーズをどう満たすのか、どう影響を与えるのかを、広い視野で考えてみてください。

当グループのパーパスは「世の中に、幸せをばらまく」です。

お客様を事業で幸せにすることはもちろん、社員が幸せにならないとうまくいかないし、会社が高い利益を上げ続けないと続きません。

グループ全体のパーパスなのでどんな事業でも包含(ほうがん)できるような抽象的、概念的な表現ですが、「幸せを提供しない事業はしません」ということを示しています。

1つの企業、1つの事業に絞っていくと、もっと尖ったパーパスになるでしょうね。

パーパスは基本的にロングスパンの存在目的ですから、組織の行方を照らす星のように、常に追い求める対象でありながら、なかなか決して手に入らないもの。

長きにわたって会社の指針となるもの=例えば100年経っても変わらないものです。

表現のコツは1〜2文で簡潔にまとめること。

パーパスはすでに自社の中に存在していますから、探し出して言語化するだけ。

5回の「なぜ」を繰り返すと見えてきます。

他社と差別化するために必ずしもユニークである必要はありません。

ステップ④ミッション(定量目標)を設定する

「こうありたい」という基本的な価値観と存在目的が明確になってきたら、そこへ向かうために何をするかを設定するのが「ミッション」(定量目標)。

「目標」ですから、ある程度達成度合いが測れるものであることが必要です。

1年、3年、5年単位ではなく、10年から25年程度の時間軸で達成を目指すような大きな目標、社運を賭けた大胆で説得力ある野心的な目標を立ててください。

できれば明確なゴールと期限を設定すると、具体的な計画を立てて会社を動かしていけるのでより良いと思います。

現在、当グループのミッションは「THE 100VISION」。

100の事業を作り出し、100人の経営者を生み出すことで、幸せのばらまき度合いを増やしていきたいという展望です。

THE 100VISIONは元々「ビジョン」と位置付け、達成期限を決めていませんでしたが、当社も組織としてある程度成熟し、幹部も育ってきたため、2023年度初めに「2030年までに達成しよう」と決めてビジョンから「ミッション」に切り替えました。

皆さんがミッションを設定するなら、例えば「業界内でどんなポジションを取りたいか」「地域一番店になるんだ」などでもOKです。

そこに売上や利益をいくら達成したいと入れてもいいのですが、数字至上主義にはならないように注意してください。

商品開発、商品刷新、採用などの原資は利益ですから数字はもちろん大事ですが、あまり数字にとらわれると「何のために」が抜けてしまいがち。

そもそも正しい仕事で良い商品・サービスを売っていれば、基本的には売りたい値段で売れて、獲得したい利益が出るはずなんです。

もし利益が出ないのであれば、その商品・サービスが顧客に受け入れられていない、もしくは社内の管理が悪い、つまり企業努力が足りないということですから、見直しをしなければなりません。

現場の社員も、数字だけでは頑張れません。

だからこそ、そのミッションに社長自身と社員がワクワクするか、楽しいか、わかりやすいかといったところがチェックポイントになります。

そして、実現できたら「会社としての存在意義や目的」は達成されるか、誇りに思えるかといったところも確認しましょう。

私たち社員は今、とてもワクワクしながらTHE 100VISION達成を目指して日々の業務に取り組んでいます。

会社のミッションの重要性と、ミッションを浸透させる方法などについては「会社におけるミッションの意味とは?ミッションは浸透させることが重要」もあわせてご覧ください。

ステップ⑤体系的に整理して一貫性をチェックする

会社のビジョンを作成するために、これまで考えてきたコアバリュー(価値観)、パーパス(目的)、ミッション(目標)がしっかり連動しているか、理念体系として整理し、俯瞰しながら既存のものとの整合性や関係性、一貫性のチェックを行います。

コアバリュー、パーパス、ミッションの3つを合わせたものが会社としての方向性を指し示す「ビジョン」です。

理念ツリーにする、ピラミッドに落とし込むなど、図を使って視覚化するとわかりやすくなります。

長々とした文章を見せられて「これがミッションだ」と言われても覚えられないので、端的で短い文章で表現するのがベスト。

代わりに、どうしてそういう表現になったのか、バックグラウンドを知ってもらうための解説文があっても良いでしょう。

創業時から受け継いでいるような理念を生かしたビジョンであるならば、新たな価値観との関係性もわかるようにしておくと良いですね。

ここで加えるチェックポイントは「社会貢献性はどうか」「採用も意識しているか」。

いったん整理したら少し時間をおいて、後日改めて考えてみた時に感情が揺さぶられるかどうかという点も重要です。

あとで微調整したり、幹部や社員に相談したりしても良いですし、短く端的に表現することが難しく思えるならプロのライターやライティングの得意な社員に頼んでも良いと思います。

ステップ⑥ビジョンを達成するための経営戦略(経営改善計画)を立てる

ここからご説明するステップ⑥⑦は、ビジョンを達成するための具体的な行動を戦略、戦術に落とし込んでいく作業となります。

ステップ⑥の「経営戦略」とは中期計画のこと。

3カ年計画として経営改善計画を立てていくのです。

非常に大きな目標であり、方向性である「ビジョン」達成のために、これから3年間、業績目標に加え、会社にはどのような課題があってどう改善していくか、何に取り組まなければいけないのかを洗い出していきましょう。

ここは会社によってさまざまで、事業開発であったり社員教育であったりするでしょう。

弊社の「連邦・多角化経営実践塾」では、ビジョンから考える中期経営改善計画書の策定を軸に、会社の組織体制や経営のしくみを整え、経営戦略と戦術の実践へとつなぐカリキュラムを用意しています。

ステップ⑦経営計画の策定と実行(戦術)、幹部や社員への共有、社内浸透

最後に、ステップ⑥で作成した中期経営戦略に基づいて、まず1年間何をするかを検討します。

すぐに実行できることは何か、研究開発、新規事業展開、社員教育制度の整備など具体的な行動が「戦術」になってくるのかなと思います。

それから幹部や社員へビジョンを共有し、社内に浸透させる。

ここまでくると、ビジョンがようやく日々の仕事につながってくるのです。

ビジョンの浸透について、詳しくは「企業ビジョンの浸透は社員のモチベーションアップを叶える!事例も紹介」もご確認ください。

経営計画策定はビジョンとの一貫性を重視

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経営計画を立てる際は、ビジョンと一貫性が保てているか、ブレていないかということは必ずチェックしておきたいところです。

「ビジョン作成のための7ステップ」でいえば、ステップ⑥⑦で紹介した戦略・戦術から逆算し、日々の行動がビジョンに結び付いているか、今の経営計画の延長線上にビジョンがあるかということをしっかり確認してください。

そこに間違いがなければ「今はここを目指してこれをやっている」ということが自動的に仕事に落とし込まれていきます。

せっかくビジョンを作成しても「社内で共有し、社員に浸透させるのが大変」だという話はよく聞きますが、7ステップに沿って経営計画を作っていけばうまく共有・浸透していくはずです。

できあがったビジョンを朝礼の場で読み上げるだけでは、なかなか浸透しなくて当たり前。

一番のポイントは、社長が一人で経営計画を作って社員に与えるのではなく、幹部や社員を巻き込んで計画を立てるということ。

このプロセスを大切にしてください。

それが「自主計画」「自主管理」「自主分配」を三本柱とする、当グループの「システム経営」につながっていくよう設計されています。

ビジョンの効果とは?事例を交えて解説

1997年に北海道拓殖銀行、山一証券が破綻して金融危機が訪れた翌年、当グループ代表の山地章夫は現職に就任しました。

それまで徐々に上がってきていた売上高は落ち込み、当社としても厳しい時期が数年続いたのを、当時若手社員だった私自身もよく覚えています。

その後、事業再構築でどうにか回復基調に向かった2000年代初頭、山地は「これから先をどうしていこう」と大変悩んだようです。

そうして「ビジョン」として打ち出したのが「THE 100VISION」。

大きな目標ができたことで明るい未来を作っていこうという方向に会社が動くようになり、そこからは勢いがついてV字回復。

2008年のリーマンショックには一時的に影響を受けたものの、近年のコロナショック、ウクライナショックでも売上高を落とすことなく、毎年前年を上回る売上を上げ続けています。

この事実、経験から、ビジョンはやはり業績アップや業務改善に効果があると思えるのです。

ビジョンの効果として、山地は以下の6つを挙げています。

効果①経営や生き方に誇り、自信が持てた

「経営や生き方に誇り、自信が持てる」ということが、ビジョンの効果だといえます。

山地自身も経営観や思い、やりたいことがビジョンによって表現できるので自信が持てたそうです。

効果②経営計画との一貫性ができた

ビジョンを作成することにより軸ができたので、先ほど説明したように経営計画と一貫性を保つことができます。

効果③経営課題発生時に迷わない

ここからブレてはいけないという「コアバリュー」があり、課題や問題が発生しても迷わず判断できるようになりました。

効果④自動的に会社が成長し始めた

実際行うには難しいことかもしれませんが、ビジョンを作ったらそれで終わりではなく、きちんと運用してビジョンに近づけていくことが一番重要です。

大きな目標を掲げることになりますから、例えば「THE 100VISION」なら「幹部を育成しなければ」「事業開発の方法を探らなければ」といった、足りないものが見えてくるので、社長をはじめ会社が成長し始めるのです。

実際にうちでは今2023年現在、7年後の「THE 100VISION」達成に向けて人事制度を見直したり、事業責任者の賃金設定を高くするなど賃金制度を再考したりして、責任者を目指したくなるようにしようといった取り組みを行っています。

もちろん経験やスキルも必要ですから研修制度も整備しないと...というように、逆算の経営計画を作ることで自動的に成長していくという流れです。

効果⑤採用活動や企業PRのコアができた

採用活動においてビジョンを示すことで「うちの会社はこういう性格で、こういうことを目指していて、こういう方向でやっています」ということが、志望者にわかりやすく明確に伝わるようになりました。

「そこに共感してくれる人は来てください」と、欲しい人材に響く「コア」もできたと考えています。

効果⑥就職人気企業にランクインした

ヤマチユナイテッドグループは就職企業人気ランキングで、10年以上ランク内に入っています。

THE 100VISION」を設定した頃には「100人の経営者の1人になりたい」と入社を志望する新卒者が現れ、最近は「リーダーは向いていないけれどトップを支える仕事がしたい」というタイプの新卒者も来てくれるようになっていて、良い状態だと思っています。

ビジョンとはより良い会社を作るための指針

企業における「ビジョン」とは、大きな意味で「会社のあり方」「存在理由」「存在目的」を表すもの。

もっと言えば、意欲や情熱も含めて「我々はこういうあり方で事業を進めていくのだ」という憲法であり、将来的に会社が向かっていきたい方向を指し示す指針でもあります。

ビジョンをしっかり定めて社内で共有すると、そのビジョンに基づいて戦略や戦術が組まれ、自然と足元にある日々の業務に結びついていきます。

経営計画の判断軸になるということですから、そこにビジョンの重要性があります。

ビジョン作成の方法として、7ステップを紹介しました。

  1. ビジョン作成の目的を明確にする
  2. 自分・自社の価値観を整理する(キーワードを出す)
  3. コアバリュー・パーパスを言語化、明文化する
  4. ミッション(定量目標)を設定する
  5. 体系的に整理して一貫性をチェックする
  6. ビジョンを達成するための経営戦略(経営改善計画)を立てる
  7. 経営計画の策定と実行(戦術)、幹部や社員への共有、社内浸透

経営計画を立てる際は、ビジョンと一貫性が保てているか、ブレていないかということは必ずチェックしておきたいところ。

ここに間違いがなければ、ビジョンは自動的に戦略・戦術に反映され、日々の仕事に落とし込まれ、浸透していきます。

2000年代初頭、拓銀(北海道拓殖銀行)ショックを乗り越えて住宅事業のFC展開を始めた頃、会社の将来をどうしていくか、当グループ代表・山地はとても悩んだと言います。

その時に作成したビジョンが「THE 100VISION」。

これによって大きく6つの効果を実感したそうです。

  1. 経営や生き方に誇り、自信が持てた
  2. 経営計画との一貫性ができた
  3. 経営課題発生時に迷わない
  4. 自動的に会社が成長し始めた
  5. 採用活動や企業PRのコアができた
  6. 就職人気企業にランクインした

最後にもう一度お伝えしたいことは、せっかくビジョンを作っても共有・浸透しないと宝の持ち腐れで、もったいないということ。

ビジョンを作ったならしっかり社内で共有して、それを軸に会社が経営、運営されるように社内の意識を変えていかなければなりません。

そのためには、やはり社長がトップダウンで何もかも決めてしまって、ビジョンも経営計画も作って社員に与えるのではなく、特に戦略と戦術のところは社員参加型で作っていくのがベスト。

社員みんなで会社を良くして改善していくという意識で全員参加の経営計画作りをしていくことが、本当の意味での共有・浸透につながると思います。

当グループの連邦・多角化経営システム経営が、そこで十分に機能すると考えています。

ビジョンを実現していく自律的で理想的な組織を作るためにも、ぜひセミナーへのご参加を検討してみてください。

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