ビジョンとは?会社も社員も前向きになれるビジョンの作成方法とヤマチの事例
組織・給与制度
こんにちは、ヤマチユナイテッドの石崎です。
皆さんの会社のビジョンは何ですか?
そのビジョンは、社員の一人ひとりに浸透しているでしょうか?
「どうかなぁ」と首を傾げてしまう経営者の方は、今がビジョンを見直す機会かもしれません。
これから新しくビジョンを作りたいと考えている経営者の方も、今回のコラムをご確認いただき、会社を活性化するビジョンの作成方法やヤマチユナイテッドの事例を参考にしてください。
目次
会社(企業・組織)におけるビジョンとは?考え方と重要性
一般的にいわれる会社(企業・組織)における「ビジョン」とは、「将来どのような姿を目指すのかを示した理想の将来像や方向性のこと」です。
社員やステークホルダーが共有する「行き先」として、日々の行動や意思決定の指針になります。
また、経営戦略や長期的な成長の土台となり、組織に一体感と共感を生み出す役割を担います。
ビジョンは「会社のあり方」を示す指針となる
企業における「ビジョン」とは、大きな意味で「会社のあり方」「存在理由」「存在目的」を表すもの。
「何のために事業をしているのか」「何のために会社を興したのか」を突き詰めて考えたときに、意欲や情熱も含めて「我々はこのようなあり方で事業を進めていくのだ」という会社としてのマイルール、いわゆる「憲法」だと思うのです。
さらに、将来的に会社として進んでいきたい方向を指し示す指針でもあります。
だからこそビジョンはオリジナリティがあって当然で、独自のものであるべき。
どこかから持ってきてポンと据えるものではなく、自分たちの内にあるものから生み出し、明示するべきです。
ビジョンなしに経営計画を立てて「これだけの利益を上げよう」としたところで、「そもそもその利益は何のために必要なのか」「何のために頑張るのか」がすっぽ抜けていると、社員にとっても、地域にとっても、社会にとってもなかなか受け入れられません。
特に社員は頑張る理由もわからないまま何かをしなければいけないのですから、私からしてみれば「それは経営といえるのだろうか」と疑問を呈すところです。
「理念なき経営は滅ぶ」
私たちはそう考えています。
ミッション・理念・目標とビジョンの違い
ビジョンは、企業が将来どのような姿を実現したいのかを示す「理想の未来像」で、組織が進む方向を指し示す役割を担います。
一方ミッションは、そのビジョンに向かう中で「なぜその企業が存在するのか」「社会にどんな価値を提供するのか」を表す、現在の活動の軸となる考え方です。
理念は、企業が大切にする価値観や信念を示すもので、意思決定や行動の基準として、時代や状況が変わっても組織を支え続けます。
そして目標は、ビジョンやミッションを実現するために設定される、期限や数値を伴った具体的な到達点であり、日々の行動を現実的に導く指標となります。
ビジョンなき経営が招いた失敗から学んだこと
「理念なき経営は滅ぶ」という考え方の背景には、当グループ代表・山地 章夫の苦い経験があります。
2000年代初頭、山地は自社を経営するかたわら、長年の友人たちと共同で会社を作って海外で特定分野の飲食事業を始めました。
出店先は決まっていて、現地で店舗運営を経験した人材も確保。
当時はまだ日本の企業がその分野の専門店を出す事例が少なく、「先駆者となれる可能性を秘めている」と見て、「軌道に乗れば自社へ還元できる」とも考えていたようです。
それでも自社に迷惑をかけないようにと山地の独断で始めたため、私も含めて社員は「海外で飲食事業をやっている」というほか詳しい内容は知らず、会社、グループとして何か協力するということもありませんでした。
そうしていざ海外で飲食事業を始めてみると、戦略はしっかり練っていたはずですが、共同経営であったがゆえに「業績を上げるための計画を立てても責任の所在が明らかでない」「課題が発生したときに現地のマネジメントやオペレーションの対応がうまくいかない」といった問題がありました。
海外に進出するには時期が早すぎたことも理由の一つにあったかもしれませんが、頑張ってはみたものの、最終的には撤退することに。
「資金もパートナーも人材もノウハウも計画も、悪くなかったはずなのに...」と、この経験を省みて、山地は「失敗の一番の理由はビジョンがなかったことだ」と思い至りました。
「何のため、誰のために海外で成功しようとしているのか」という柱が抜けていたと気付いたのです。
なぜ今、企業にビジョンが必要なのか
今、企業にビジョンが求められるのは、変化の激しい時代の中で進むべき方向を明確にする必要があるからです。
ビジョンがあることで、社員は共通の目標を持ち、組織としての一体感が生まれます。
また、日々の判断や行動の拠り所となり、意思決定に一貫性をもたらします。
企業が目指す未来を外部に示すことで、顧客や社会からの信頼や共感を得ることにもつながるのです。
さらに、仕事の意義が明確になることで、社員の主体性やモチベーションが高まります。
不確実性の高い環境においても、ビジョンは変化に対応しながら成長し続けるための指針となる重要な存在です。
業績を上げるためには、会社組織全体、社員一人ひとりが同じ方向を目指していくべき。
その際に「このためにやっている」ことが指針となり、「うちの会社のあり方はこうである」という骨格となるのがビジョンです。
ビジョンをしっかり定めて社内で共有すると、そのビジョンに基づいて戦略や戦術が組まれ、自然と足元にある日々の業務に結びついていきます。
経営計画の判断軸になるということですから、そこにビジョンの重要性があると私たちは考えています。
ビジョン作成のための7ステップとは?実践的ビジョンの作り方を解説
会社のビジョンを作成するにあたり、各段階で重要なポイントを「7ステップ」としてご紹介します。
ビジョン作成の目的を明確にする
自分・自社の価値観を整理する(キーワードを出す)
コアバリュー・パーパスを言語化、明文化する
ミッション(定量目標)を設定する
体系的に整理して一貫性をチェックする
ビジョンを達成するための経営戦略(経営改善計画)を立てる
経営計画の策定と実行(戦術)、幹部や社員への共有、社内浸透
それぞれ詳しく解説していきます。
ステップ①ビジョン作成の目的を明確にする
ビジョンを作成する、あるいは見直す際の第一歩として、まずは「なぜ今ビジョンを作成、あるいは整理、再設定するのか」、理由や目的を明確にしましょう。
ビジョンを作ることによって、どのような問題を解決し、どのような目的で、どのような目標を達成したいか。
例えば、次のように感じているときはビジョンを見直すタイミングかもしれません。
「なんとなく作った中期経営計画がしっくりきていない」
「幹部や部下が共感していない」
「情熱をもってビジョンに向かいたい」
「書き起こして飾ってあるがそれだけになっている」
「古くて時代に合わない」 など
トップの代替わりがビジョン作成のきっかけになることもあるでしょう。
「自分たちの代にはもう少し自分らしい思いを乗せたい」「リブランディングしたい」という目的もあるかもしれません。
どんなにパワフルな社長でも、組織が大きくなってくると、物理的に力が末端まで行き渡らなくなることもあります。
「船乗りが北極星を目印にするように、指針となるものがあると良いな...」という思いがきっかけとなっても良いです。
目的や理由を明確にすることで、社内に「だから今、ビジョンを作成するのだ(見直すのだ)」と説明できます。
ビジョン作成には社員を巻き込むことも必要です。
のちのちビジョンを社内に浸透させるためにも、初めに社員にきちんと説明し、出発点を確認することが大切となります。
目的が決まったら、自分も社員もワクワクするビジョン作りの始まりです!
以下の3つを念頭に置き、次のステップへ進みましょう。
社員みんながワクワクし、誇りに思うような、燃えるようなビジョンか?
既存事業全てがそのビジョンのオンラインにあるか?
覚えやすく、他人に説明しやすいか?
ステップ②自分・自社の価値観を整理する(キーワードを出す)
経営者の「経営理念」「経営観」「経営哲学」「信念」を明確にします。
価値観を整理し、自分自身の人生と一体感があるか、過去と向き合っていくのです。
歴史のある会社だと、先代や創業者が掲げてきた経営理念、経営観、経営哲学、信条などを受け継いできていることでしょう。
歴代の思いを生かしつつ、自分の人生をこれからどうしていきたいか、その中で会社をどうしていきたいか、どんな仕事をしたいのか。
いずれの場合にも、社長の価値観だけではなく「組織としてどうありたいか」という観点で検討することが大事です。
具体的には、普段からよく言っている言葉や、何か迷ったときに拠り所にしていた心の中にある考え方、自社の強みや良さ、価値観や理念を書き出す作業を行います。
例えば、品質、信頼性、創造性、社会貢献、プロフェッショナリズム、柔軟性、安全性、チャレンジ精神、楽しさ、クリエイティビティ、ユニークなど...
経営者(社長)がいつも考えている、内にあるものが必ず出てくると思いますので、50個ほどのキーワードを挙げるのは難しくないはず。
その中から優先的に、絶対譲れないもの、自社をよく言い表しているもの、忘れてはいけないものを10個から20個ほどピックアップして、次のステップへ進みます。
キーワード出しのポイントは「こうありたい」「こうあるべきだ」を挙げるのではなく、すでに心の中にある、自分たちが大切にしてきたもの、大切にしているものを出し切るというところです。
ステップ③コアバリュー・パーパスを言語化、明文化する
ステップ②でピックアップした10個~20個のキーワードをもとに「コアバリュー」となる価値観を言語化・明文化します。
これこそ、一言でいえば「憲法」。
自分たちはどうあり続けるのか、根本的な価値観を表現するのですが、絶対にこれは守っていくものだという原理原則をそこへ落とし込んでいきます。
コアバリュー
コアバリューは会社の指針となる原則と信条の体系であり、基本的な価値観であり、会社を導く哲学でもあります。
どれだけ環境が変わっても、社長が代々変わっても守ることができるもの、時代を超えて不変のカルチャーを表すものです。
この先、ITやAI(人工知能)をはじめ、さまざまな技術革新が起きますから、例えば現在の目線で「今持っている技術で勝負する」というコアバリューにしてしまうと、新しい技術が出てきたときに使えない表現になってしまいます。
表現の仕方の問題なのですが、だったら「常に最新の技術で勝負する」とするほうが良いですね。
そして、コアバリューを定めたら「ここから外れるようなことは基本的にしません」と、会社の姿勢が決まります。
一つの例として、ヤマチユナイテッドのコアバリューを紹介します。※2026年1月時点
1.全員が経営感覚を持ち、経営に参加しよう
2.常に顧客目線で考え、最高の価値を提供しよう
3.高能率、高収益、高賃金な一流を目指そう
4.法令遵守し、誠実で正しい行動をとろう
5.基本動作を徹底しよう(規律、挨拶、礼儀、報連相、PDCAなど)
6.チームワークを重視して、みんなで大きな目標に燃えよう
7.コミュニケーションを重視し、風通しの良い社風にしよう
8.自分の仕事に情熱と誇りをもって取り組もう
9.仕事を自ら創り出し、改革、変化に挑むチャレンジャーでいよう
10.学ぶことを重要と考え、知識や人格を磨き自己成長しよう
11.環境や他人のせいにしないで、自責思考でいこう
12.得たい結果から逆算して、論理的に対策、計画、伝えよう
13.幸せをばらまくという利他の精神で、自分も幸福になろう
14.失敗を認め、素直にやり方を変えたり、止めることに躊躇しない
パーパス
「パーパス」は「意義、目的」ですから、「何のために会社が存在しているのか」を明確にします。
一般的な言葉で良いので、「世の中」でも「人間」でも、ターゲットのニーズをどう満たすのか、どう影響を与えるのかを、広い視野で考えてみてください。
ヤマチユナイテッドのパーパスは「北海道から色んな世界を変えていく」です。
これは地域貢献を軸に、北海道のため・北海道から価値を発信する事業を展開し、事業を通じて多様な「世界」に良い変化を与えることを目指すというもの。
独自性を大切にしつつ、連携による多角化経営で成長し、パーパスの明確化により事業の方向性がより見えやすくなりました。
パーパスは基本的にロングスパンの存在目的ですから、組織の行方を照らす星のように、常に追い求める対象でありながら、なかなか決して手に入らないもの。
「長きにわたって会社の指針となるもの=例えば100年経っても変わらないもの」です。
表現のコツは1〜2文で簡潔にまとめること。
パーパスはすでに自社の中に存在していますから、探し出して言語化するだけ。
5回の「なぜ」を繰り返すと見えてきます。
他社と差別化するために、必ずしもユニークである必要はありません。
ステップ④ミッション(定量目標)を設定する
「こうありたい」という基本的な価値観と存在目的が明確になってきたら、そこへ向かうために何をするかを設定するのが「ミッション」(定量目標)。
「目標」ですから、ある程度達成度合いが測れるものであることが必要です。
1年、3年、5年単位ではなく、10年から25年程度の時間軸で達成を目指すような大きな目標、社運を賭けた大胆で説得力ある野心的な目標を立ててください。
できれば明確なゴールと期限を設定すると、具体的な計画を立てて会社を動かしていけるのでより良いと思います。
ヤマチユナイテッドのミッションは?
2026年1月現在、ヤマチユナイテッドのミッションは「THE 100VISION」。
100の事業を作り出し、100人の経営者を生み出すことで、幸せのばらまき度合いを増やしていきたいという展望です。
THE 100VISIONは元々「ビジョン」と位置付け、達成期限を決めていませんでした。
しかし、当社も組織としてある程度成熟し、幹部も育ってきたため、2023年度初めに「2030年までに達成しよう」と決めて、ビジョンから「ミッション」に切り替えました。
ミッションを設定する際のポイント
皆さんがミッションを設定するなら、例えば「業界内でどんなポジションを取りたいか」「地域一番店になるんだ」などでもOKです。
そこに売上や利益をいくら達成したいと入れても良いのですが、数字至上主義にはならないように注意してください。
商品開発、商品刷新、採用などの原資は利益ですから数字はもちろん大事ですが、あまり数字にとらわれると「何のために」が抜けてしまいがち。
そもそも正しい仕事で良い商品・サービスを売っていれば、基本的には売りたい値段で売れて、獲得したい利益が出るはずなんです。
もし利益が出ないのであれば、その商品・サービスが顧客に受け入れられていない、もしくは社内の管理が悪い、つまり企業努力が足りないということですから、見直しをしなければならないでしょう。
現場の社員も、数字だけでは頑張れません。
だからこそ、そのミッションに社長自身と社員がワクワクするか、楽しいか、わかりやすいかといったところがチェックポイントになります。
そして、実現できたら「会社としての存在意義や目的」は達成されるか、誇りに思えるかといったところも確認しましょう。
私たち社員は、とてもワクワクしながらTHE 100VISION達成を目指して日々の業務に取り組んでいます。
会社のミッションの重要性と、ミッションを浸透させる方法などについては「会社におけるミッションの意味とは?ミッションは浸透させることが重要」もあわせてご覧ください。
ステップ⑤体系的に整理して一貫性をチェックする
会社のビジョンを作成するために、これまで考えてきたコアバリュー(価値観)、パーパス(目的)、ミッション(目標)がしっかり連動しているか、理念体系として整理し、俯瞰しながら既存のものとの整合性や関係性、一貫性のチェックを行います。
コアバリュー、パーパス、ミッションの3つを合わせたものが会社としての方向性を指し示す「ビジョン」です。
理念ツリーにする、ピラミッドに落とし込むなど、図を使って視覚化するとわかりやすくなります。
長々とした文章を見せられて「これがミッションだ」と言われても覚えられないので、端的で短い文章で表現するのがベスト。
代わりに、どうしてそのような表現になったのか、バックグラウンドを知ってもらうための解説文があっても良いでしょう。
創業時から受け継いでいるような理念を生かしたビジョンであるならば、新たな価値観との関係性もわかるようにしておくと良いですね。
ここで加えるチェックポイントは「社会貢献性はどうか」「採用も意識しているか」。
いったん整理したら少し時間をおいて、後日改めて考えてみたときに感情が揺さぶられるかどうかという点も重要です。
あとで微調整したり、幹部や社員に相談したりしても良いですし、短く端的に表現することが難しく思えるならプロのライターやライティングの得意な社員に頼んでも良いと思います。
ヤマチユナイテッドのビジョン体系については、下記コラムもあわせてご覧ください。
理念経営とは?「楽しく儲かる社風」をつくるヤマチユナイテッドの事例
ステップ⑥ビジョンを達成するための経営戦略(経営改善計画)を立てる
ここからご説明するステップ⑥⑦は、ビジョンを達成するための具体的な行動を戦略、戦術に落とし込んでいく作業となります。
ステップ⑥の「ビジョンを達成するための経営戦略」とは中期計画のこと。
3カ年計画として経営改善計画を立てていくのです。
非常に大きな目標であり、方向性である「ビジョン」達成のために、これから3年間、業績目標に加え、会社にはどのような課題があってどう改善していくか、何に取り組まなければいけないのかを洗い出していきましょう。
ビジョンを達成するための経営戦略は会社によってさまざまで、事業開発であったり社員教育であったりするでしょう。
ヤマチユナイテッドの「連邦・多角化経営実践塾」では、ビジョンから考える中期経営改善計画書の策定を軸に、会社の組織体制や経営のしくみを整え、経営戦略と戦術の実践へとつなぐカリキュラムを用意しています。
ステップ⑦経営計画の策定と実行(戦術)、幹部や社員への共有、社内浸透
最後に、ステップ⑥で作成した中期経営戦略に基づいて、まず1年間何をするかを検討します。
すぐに実行できることは何か、研究開発、新規事業展開、社員教育制度の整備など、具体的な行動が「戦術」になってくるのかなと思います。
それから幹部や社員へビジョンを共有し、社内に浸透させる。
ここまでくると、ビジョンがようやく日々の仕事につながってくるのです。
ビジョンの浸透について、詳しくは「なぜビジョンが浸透しない?企業ビジョンの重要性とヤマチの成功事例」もご確認ください。
経営計画はビジョンとの一貫性が重要!その理由は?
ビジョンが明確にあることで、次のような効果が生まれます。
判断の基準が明確になり、意思決定の迷いが減る
組織の進む方向が共有され、行動に一体感が生まれる
経営戦略や投資に一貫性が生まれ、長期的な成長につながる
仕事の意義が伝わり、社員の主体性やモチベーションが高まる
このように、ビジョンは企業の判断と行動を支える重要な拠り所となります。
ここでは、経営計画とビジョンの関係について、ご説明します。
ビジョンとの一貫性がない経営計画が機能しない理由
経営計画を立てる際は、ビジョンと一貫性が保てているか、ブレていないかということは必ずチェックしておきたいところです。
ビジョンとの一貫性のない経営計画は、ビジョンとして明確化した目標や方針が共有されず、戦略と現場の行動が噛み合わないため、実行力を失います。
その結果、環境変化にも対応できず、組織の共感力や推進力が弱まり、計画が形骸化してしまいます。
今回ご紹介した「ビジョン作成のための7ステップ」でいえば、ステップ⑥⑦で紹介した戦略・戦術から逆算し、日々の行動がビジョンに結び付いているか、今の経営計画の延長線上にビジョンがあるかをしっかり確認してください。
そこに間違いがなければ「今はここを目指してこれを行なっている」ということが自動的に仕事に落とし込まれていきます。
せっかくビジョンを作成しても「社内で共有し、社員に浸透させるのが大変」だという話はよく聞きますが、7ステップに沿って経営計画を作っていけばうまく共有・浸透していくはずです。
できあがったビジョンを朝礼の場で読み上げるだけでは、なかなか浸透しなくて当たり前。
一番のポイントは、社長が一人で経営計画を作って社員に与えるのではなく、幹部や社員を巻き込んで計画を立てるということ。
このプロセスを大切にしてください。
それが「自主計画」「自主管理」「自主分配」を三本柱とする、当グループの「システム経営」につながっていくよう設計されています。
ビジョンとは会社にどんな効果をもたらすのか?ヤマチの事例・6つの効果をご紹介
ビジョンを作成する前に、そもそもビジョンはどのような効果を会社にもたらすのかを知っておくことが大切です。
ヤマチユナイテッドの事例とともにご紹介します。
ビジョンが会社を立て直した転機「THE 100VISION」
1997年に北海道拓殖銀行、山一証券が破綻して金融危機が訪れた翌年、当グループ代表の山地 章夫は現職に就任しました。
それまで徐々に上がってきていた売上高は落ち込み、当社としても厳しい時期が数年続いたのを、当時若手社員だった私自身もよく覚えています。
その後、事業再構築でどうにか回復基調に向かった2000年代初頭、山地は「これから先をどうしていこう」と大変悩んだようです。
そうして「ビジョン」として打ち出したのが「THE 100VISION」。
大きな目標ができたことで「明るい未来を作っていこう」という方向に会社が動くようになり、そこからは勢いがついてV字回復。
2008年のリーマンショックには一時的に影響を受けたものの、近年のコロナショック、ウクライナショックでも売上高を落とすことなく、毎年前年を上回る売上を上げ続けています。
この事実、経験から、ビジョンはやはり業績アップや業務改善に効果があると思えるのです。
ヤマチユナイテッドの歴史については、下記コラムもあわせてご覧ください。
ヤマチの連邦多角化経営と自主自律型の経営はいつから始まった?
ヤマチユナイテッドが実感した「ビジョンの6つの効果」
ビジョンの効果として、代表の山地は以下の6つを挙げています。
効果①経営や生き方に誇り、自信が持てた
「経営や生き方に誇り、自信が持てる」ということが、ビジョンの効果だといえます。
山地自身も経営観や思い、やりたいことがビジョンによって表現できるので自信が持てたそうです。
効果②経営計画との一貫性ができた
ビジョンを作成することにより軸ができたので、先ほど説明したように経営計画とビジョンの一貫性を保つことができます。
効果③経営課題発生時に迷わない
ここからブレてはいけないという「コアバリュー」があり、課題や問題が発生しても迷わず判断できるようになりました。
効果④自動的に会社が成長し始めた
実際行うには難しいことかもしれませんが、ビジョンを作ったらそれで終わりではなく、きちんと運用してビジョンに近づけていくことが一番重要です。
大きな目標を掲げることになりますから、目標達成のために必要な要素が自然と明確になってきます。
例えば、ヤマチユナイテッドの「THE 100VISION」なら「幹部を育成しなければ」「事業開発の方法を探らなければ」といった、足りないものが見えてくるので、社長をはじめ会社が成長するのです。
実際にうちでは「THE 100VISION」の2030年達成に向けて、人事制度を見直したり、事業責任者の賃金設定を高くするなど賃金制度を再考したりして、責任者を目指したくなる取り組みなどを行なっています。
もちろん経験やスキルも必要ですから「研修制度も整備しないといけない」というように、逆算の経営計画を作ることで自動的に成長していくという流れです。
効果⑤採用活動や企業PRのコアができた
採用活動においてビジョンを示すことで「うちの会社はこんな性格で、こんなことを目指していて、こんな方向を目指しています」ということが、志望者にわかりやすく明確に伝わるようになりました。
「そこに共感してくれる人は来てください」と、欲しい人材に響く「コア」もできたと考えています。
効果⑥就職人気企業にランクインした
ヤマチユナイテッドグループは2021年の北海道新卒就職人気企業ランキングで第10位となりました。
その他、北海道の就職企業の人気ランキングでもランク内に入っております。
「THE 100VISION」を設定した頃には「100人の経営者の1人になりたい」と入社を志望する新卒者が現れ、最近は「リーダーは向いていないけれどトップを支える仕事がしたい」というタイプの新卒者も来てくれるようになっていて、良い状態だと思っています。
ビジョンとはより良い会社を作るための指針!作成のステップや事例も確認
企業における「ビジョン」とは、大きな意味で「会社のあり方」「存在理由」「存在目的」を表すもの。
もっといえば、意欲や情熱も含めて「我々はこういうあり方で事業を進めていくのだ」という憲法であり、将来的に会社が向かっていきたい方向を指し示す指針でもあります。
企業にビジョンが求められるのは、変化の激しい時代の中で進むべき方向を明確にする必要があるから。
ビジョンがあることで、社員は共通の目標を持ち、組織としての一体感が生まれます。
ビジョンをしっかり定めて社内で共有すると、そのビジョンに基づいて戦略や戦術が組まれ、自然と足元にある日々の業務に結びついていきます。
経営計画の判断軸になるということですから、そこにビジョンの重要性があります。
ビジョン作成の方法として、7ステップを紹介しました。
ビジョン作成の目的を明確にする
自分・自社の価値観を整理する(キーワードを出す)
コアバリュー・パーパスを言語化、明文化する
ミッション(定量目標)を設定する
体系的に整理して一貫性をチェックする
ビジョンを達成するための経営戦略(経営改善計画)を立てる
経営計画の策定と実行(戦術)、幹部や社員への共有、社内浸透
経営計画を立てる際は、ビジョンと一貫性が保てているか、ブレていないかということは必ずチェックしておきたいところ。
ここに間違いがなければ、ビジョンは自動的に戦略・戦術に反映され、日々の仕事に落とし込まれ、浸透していきます。
2000年代初頭、拓銀(北海道拓殖銀行)ショックを乗り越えて住宅事業のFC展開を始めた頃、会社の将来をどうしていくか、当グループ代表・山地はとても悩んだと言います。
その際に作成したビジョンが「THE 100VISION」。
これによって大きく6つの効果を実感したそうです。
経営や生き方に誇り、自信が持てた
経営計画との一貫性ができた
経営課題発生時に迷わない
自動的に会社が成長し始めた
採用活動や企業PRのコアができた
就職人気企業にランクインした
最後にもう一度お伝えしたいことは、せっかくビジョンを作っても共有・浸透しないと宝の持ち腐れで、もったいないということ。
ビジョンを作ったならしっかり社内で共有して、それを軸に会社が経営、運営されるように社内の意識を変えていかなければなりません。
そのためには、やはり社員参加型でビジョンを作っていくのがベスト。
社長がトップダウンで何もかも決めてしまって、ビジョンや経営計画を作って社員に与えるのではなく、ビジョンを達成するための具体的な行動を戦略と戦術に落とし込むことを、幹部や社員を巻き込んで行うプロセスが重要です。
「社員みんなで会社を良くして改善する」という意識で全員参加の経営計画作りをしていくことが、本当の意味での共有・浸透につながると思います。
ヤマチユナイテッドの連邦・多角化経営、システム経営が、そこで十分に機能すると考えています。
ビジョンを実現していく自律的で理想的な組織を作るためにも、ぜひヤマチユナイテッドが主催する経営セミナー・イベントへのご参加を検討してみてください。
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Authorこの記事の著者
株式会社ヤマチマネジメント|取締役 |グループ執行役員
石崎 貴秀
1996年入社。営業課から国際課を経て、総務部チームリーダーへ。その後グループ経営推進会議事務局にて経験を積み、2009年(株)ヤマチマネジメントを設立、移籍。グループ管理本部の統括マネージャーとして采配を振るう。2017年(株)ヤマチマネジメント取締役就任。
連邦・多角化経営実践塾」の開塾にも携わり、2014年以降、第1期~現在までシステム経営のメイン講師として活躍。
入塾した企業約70社にシステム経営を指導してきた。現在はシステム経営のコンサルティングも担当。




