部門間連携の成功事例に共通する3つの前提条件は?中小企業の課題やポイント

組織・給与制度

石崎 貴秀
石崎 貴秀

こんにちは。ヤマチユナイテッドの石崎です。


「もっと他部署同士で協力して進めてほしい」

「もっと部門間の連携を強くしたい」

経営者なら誰もが思うことではないでしょうか。


号令をかけても現場は動かず、結局は社長が調整役として疲弊しているケースも珍しくありません。


しかしそれは、社員の意識不足ではなく、実は組織の仕組みに起因しているケースが多いのです。


今回は、ヤマチユナイテッドが実践してきた成功事例から、部門間連携が自然に生まれる3つの前提条件を紹介します。


一つずつ実装していくことで、あなたの組織にも変化をもたらすことができる、再現性のある内容です。

ぜひ最後までご覧ください。

目次

  1. 部門間連携がうまくいかない中小企業の共通課題

  2. 部門間連携を強化し、成果につながったヤマチの成功事例

  3. ヤマチの部門間連携の成功事例に共通する3つの前提条件をご紹介

  4. 中小企業が部門間連携を成功させるために意識したいポイント

  5. 部門間連携は「仕組み」が決める!ヤマチの成功事例を参考に、3つの前提条件を整えよう

部門間連携がうまくいかない中小企業の共通課題

中小企業の多くが部門間連携の課題を抱えています。


「縦割りになってしまい、横のつながりがうまくできていない」

「営業部とバックオフィスで情報が共有されず、協力体制が築けない」

こうした悩みを聞くことが多いのですが、実はこの問題は社員の意識や相性の問題ではなく、経営の仕組みに起因しているのです。


縦割り、情報分断、責任の押し付け合いが生まれる背景には、経営の構造そのものに原因があります。


具体的には、責任範囲と評価軸の設定が、各部門だけを見るようになってしまっていることです。


多くの場合、「あなたはこの部署のこの数字を達成してくれれば良い」という責任範囲の指示と、その数字だけで評価する仕組みが構築されてしまっています。


こうした構造の下では「社員は自分の部門さえ売上が上がっていれば良い」という意識になってしまうでしょう。


隣の部門の手伝いをすれば、そちらに手を取られて自分の仕事の効率が落ちる。

自分の売上が下がったことでマイナス評価になるだけなら、そのマイナスを背負うメリットがない。


当然、他部署への興味関心も薄れ、情報を取りに行こうともしません。

知る必要がない状態になってしまいます。


単一事業の時代には機能していた構造も、複数事業に広がった時点で見直す必要があったのに、そのままになってしまっているのです。


厄介なのは、この状況にハマってしまうと、いくら経営層が「連携しろ」と指示をしても、社員にはそうするメリットがないと感じてしまうことです。


「そもそも協力するための情報も持っていない」という、負のスパイラルが形成されてしまうでしょう。


「何のために協力する必要があるのか」という根本的な理由が、部門の最適化という目線の下に埋もれてしまっているのです。


つまり、この部門間連携の課題は多くの場合、構造や仕組みの問題なのです。


部門間連携を強化し、成果につながったヤマチの成功事例

では、部門間連携が実際に機能している組織では、何が異なっているのか。


まずはヤマチユナイテッド自身が実践する部門間連携の成功事例と仕組みから、その秘訣を紹介していきます。


【成功事例①】グループビジョンの明文化と価値観の統一

ヤマチユナイテッドが部門間連携を成功させた最初の一歩は、グループビジョンを明文化し、全社員で共有することでした。


「何のために、この組織は存在するのか」

「我々は何を目指しているのか」

ここが曖昧では、連携する理由が生まれません。


社員が増え、事業が増えていく中でも、「会社全体として成果を上げ、利益を残し、成長発展していく」という根本的な価値観を全員で理解することが重要であると判断したのです。


同時に、定量的な利益目標や売上目標、その進捗や達成率をグループ全体で共有する仕組みを作りました。


各部門の目標の合計がグループ全体の目標となることを明確にし、進捗を可視化したことで、全社員が「自分たちは一つの利益共同体である」「みんなで全体利益を達成する必要がある」という認識を持つようになったのです。


さらに、幹部層が業績の振るわない部門をカバーし、他部門を応援する姿勢を率先して示しました。


社長が幹部教育を通じて「うちの会社は利益共同体だ」「全員で利益をつくるのだ」という考え方を繰り返し伝えることで、組織全体にこうした価値観が浸透していったのです。


会社にビジョンを浸透させる重要性やそのコツについては、こちらのコラムでも詳しく解説しています。

ビジョンとは?会社も社員も前向きになれるビジョンの作成方法とヤマチの事例

なぜビジョンが浸透しない?企業ビジョンの重要性とヤマチの成功事例


【成功事例②】部門をつなぐ役割と情報の通り道の設計

共通ゴールが理解されても、実現するには「誰がつなぐのか」という役割が明確になっていなければなりません。


ヤマチユナイテッドでは、社長が「横連携が必要だ」という方針を繰り返し打ち出し、幹部や現場の意識を変えることから始めました。


ただし、社長一人で全ての調整を行うことは現実的ではないため、社長の代わりに部門を束ねる統括責任者を置きました。


この統括責任者が各部門の状況を把握し、必要な連携を促す責任を持つことで、組織全体の調整機能が効率化されていきました。


同時に、横をつなぐための具体的な仕組みも整備。


価値観教育、社員満足、行事企画、環境整備といった部門をまたぐテーマを扱うグループ横断の委員会を設置することで、部門間の接点が自然に生まれます。


また、社内SNSやポータルサイトなどのグループウェアを整備することで、情報が属人化せず、タイムリーに共有される通り道が設計されました。


委員会活動の機能や、その立ち上げについて詳しく知りたい方は、以下のコラムもぜひ参照ください。

会社の委員会活動の実例とは?社内委員会の目的・役割・メリットも確認

委員会活動の立ち上げは社員参加型経営の第一歩!導入のコツを解説


【成功事例③】部門間連携を強化する会議の仕組み

各部門に「好きなようにやってください」と任せるだけでは、その部門がブラックボックス化し、他部門が状況を把握できなくなってしまいます。


そのため、ヤマチユナイテッドでは、基本的なスタンスとしてオープンな情報流通とオープンな会議設計を心がけています。


具体的には、グループ全体のオンライン朝会で日常的に全社の進捗を共有し、事業本部長や役員が集まるヘッドクウォーター(HQ)会議(グループ経営会議)で複数部門からの情報を集約。


全社キックオフ(経営計画発表会)で経営方針と重点テーマを全社員と共有しています。


こうした多層的な会議体を整備することで情報共有がスムーズに機能し、全社員が組織全体の状況を常に把握できる環境が生まれます。


その結果、他部門の課題が見えて応援する気持ちが湧き、HQ会議の中からはコラボ企画も自然と提案されるようになったのです。


さらに、会議や業績管理のフォーマットを統一し、予算編成からKPI設定、管理のサイクル、報告形式まで、全てを標準化することで、部門間の比較可能性が生まれ、相互理解が深まりました。


オンライン朝会の効果や、会議体の設計についてさらに詳しく知りたい場合は、こちらのコラムもぜひご参照ください。

縦横斜めの連携がシナジーを生む!オンライン朝会がグループ経営の連携を強化

会議の見直し方を解説!社員エンゲージメントを高めよう


ヤマチの部門間連携の成功事例に共通する3つの前提条件をご紹介

ヤマチユナイテッドが実践してきたこれらの取り組みを分析すると、部門間連携が生まれるためには、必ず整っていなければならない、下記3つの前提条件があることがわかります。

  1. 部門を超えた「共通のゴール設定」

  2. 縦・横・斜めをつなぐ「役割・仕組みの明確化」

  3. 連携を促す「会議・業績管理の型」


これらが揃うことで、部門間連携が自然に機能するようになるのです。


①部門を超えた「共通のゴール設定」

連携が進まない企業の多くは、目標が「部門最適」で止まっています。


各部門が自分たちの数字だけを見ていては、協力体制は生まれません。


ここに共通ゴールを設定することで、部門間連携が「善意」ではなく「必然」に変わります。


会社全体として成果を上げることが、全ての部門の利益・ゴールであると全員が理解したとき、協力は自然に生まれるのです。


グループビジョンの明文化、グループ全体の利益目標の設定と共有、進捗状況の定期的な確認。


これらを通じて、「自分たちは一つの利益共同体だ」という認識が組織全体に浸透していきます。


②縦・横・斜めをつなぐ「役割・仕組みの明確化」

社長と統括責任者が方針を打ち出し、グループ横断の会議や委員会を設置し、グループウェアで効率的に情報を共有する。


こうした「仕組み」があることで、上司部下の関係(縦)、部門同士の関係(横)、部門と管理部門の関係(斜め)が明確になり、連携が自動的に進むようになります。


文化に頼るのではなく、構造で連携を設計することが大切です。


「部署をまたぐ問題は、どの部署の誰に言えば良いのかわからない」という状況を作らないために、役割と導線を明確にする。

この取り組みにより、部門間の相互理解が深まっていくのです。


③連携を促す「会議・業績管理の型」

会議や業績管理が部門単位で閉じていると、部門間の相互理解は深まりません。


連携は一度の施策では終わらず、日常的に継続されるものである必要があります。


オンライン朝会、グループ経営会議、全社キックオフなど、階層別の会議体を整備することで、全社員が組織全体の状況を常に把握できるようになります。


また、業績管理のフォーマットを統一することで、部門間の進捗が可視化され、比較・理解しやすくなり、自然と支援の手が伸びるようになるのです。


「型」を揃えることは、連携を一過性の取り組みではなく、組織の日常として定着させるカギになります。


中小企業が部門間連携を成功させるために意識したいポイント

部門間連携の成功は、社員の意識や仲の良さでは決まりません。


それを決めるのは、経営の仕組みと、その目的をどれだけ繰り返し伝え続けるかです。


多くの経営者は「何から始めたら良いのかわからない」という段階で留まっています。


答えは、部門間連携の成功事例に共通する3つの前提条件を整えることです。

  • 共通ゴール

  • つなぐ役割・情報導線

  • 連携を日常化する会議・管理の型


なお、進める際にはこの順番が大切です。


共通ゴールを明確にし、次に役割と仕組みを設計し、最後に会議と業績管理の型を統一していく。

この流れで進めることで、組織の構造がスムーズに整備され、連携が自然に生まれるようになります。


全てを一気にやる必要はなく、1つずつ前提条件を整えることで部門間の連携は確実に進んでいくことを覚えておいてください。


部門間連携は「仕組み」が決める!ヤマチの成功事例を参考に、3つの前提条件を整えよう

部門間連携の成功事例から見えてくるのは、連携とは「人の善意」ではなく「仕組みの力」で生まれるということです。


共通ゴールの明確化、つなぐ役割の設定、会議と業績管理の型の統一。

この3つの前提条件を整えることで、確実に部門間連携は進みます。


大切なのは、社長がその必要性を認識し、組織設計に着手することです。


何をどう始めるかを最終的に決めるのは、社長自身です。


自らの考えを整理して「このような組織設計にしよう」と決めることが、全ての第一歩になります。


一つずつ前提条件を整えていくことで、全社視点を持った組織への変革は十分に可能です。


連邦・多角化経営実践塾では、部門間連携を実現するための組織設計やビジョン構築について、実践的にご支援していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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