業務標準化のメリットとは?個人的なスキルに頼らない仕組みづくり

業績管理・経営計画

山﨑 舞
山﨑 舞

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こんにちは、ヤマチユナイテッドの山崎です。

事業を多角化する、あるいは世代交代の時を迎えている会社では、人員補充や新卒採用枠の拡大を検討することもあると思います。

その際、業務の引継ぎがスムーズにいかないケースも多々ありますよね。

営業部門ではベテランと新人の成績に差が付き、彼らを支援する間接部門では特定の人でなければわからない仕事がある...そんな状況ではないでしょうか。

組織の中で働くからこそ、誰がやっても同じような効果が期待できる仕組みを作っておくことが大事で、それが「業務の標準化」です。

今回は、業務標準化に取り組んでいるヤマチユナイテッドの事例を含め、皆さんの会社でもすぐに始められる仕組みづくりについてご紹介していきます。

目次

  1. 業務標準化のメリットとは?なかなか標準化できない背景に注目!
  2. 業務標準化の流れとは?個人的なスキルに頼らない仕組みづくり
  3. 業務標準化したヤマチユナイテッドの事例
  4. 業務標準化の取り組みを停滞させないために。ヤマチの委員会制度の活用方法を解説
  5. 業務標準化のメリットを知り組織の成長を図ろう

業務標準化のメリットとは?なかなか標準化できない背景に注目!

「業務標準化」によって、誰もが同じレベルで仕事を進められるようになることには大きなメリットがあります。

業務標準化ができていない会社はどうしてできていないのでしょう。

それ以前に、業務標準化は会社規模によって要不要もあると思うんですよね。

従業員数が少なく、目に見える範囲の人同士でコミュニケーションが十分に取れる環境で、変更・修正・決定までのプロセスも見えているような状態であれば、個人の裁量に任せて業務を進めていってもそこまで問題はないと考えられます。

しかし、会社の規模が大きくなり、だんだん人数が増えてくるとそうもいきません。

それまで少数精鋭で業務をうまく進めていても、人が多くなることによって個人のスキルレベルに高低差が目立つようになれば業務標準化の必要性が感じられてきます。

業務標準化ができない背景を推測してみましょう。

例えば、営業部門であれば売上が人についていて属人的な営業が多く、新人を入れても定着しない、もしくは独り立ちできない状況があるとして、その営業も創業時からいるベテランだとか、中小企業であれば社長、副社長、専務といった役職レベルの高い人が現役でプレイヤーとして活躍しているからかもしれません。

なおかつ、顧客開拓も自分たちでやってきているので、お客様も会社というより営業個人に付いていて、後進に引き継ごうにもなかなか手放せなかったり、お客様側も手放されることに対して不安を感じている場合もあるでしょう。

さらに、新人が定着しない、独り立ちしないということは以下の3つの原因があると考えられます。

原因①業務フローが明確になっていない

新人自身、業務フローが明確になっていないので、自分がやるべきことのスタートからゴールが見えていない段階のまま現場に赴いているのではないでしょうか。

原因②営業ツールがうまく活用されていない

商談をスムーズに進めるための営業ツールがないと、自分で資料を作るなどして対応するしかありません。

また、せっかく営業ツールが用意されていても更新されていなければ修正の手間がかかりますし、共有されていなければ無いのと同じです。

原因③必要なスキルや知識が明文化されていない

むやみに「売上を上げてこい」と言っても、何をどうすれば良いか理解するまでには非常に時間がかかります。

新人には営業トークであったり、業界の動向に関する知識であったり、活躍のために必要なスキルや知識をあらかじめ示してあげると成長スピードが上がるはず。

これらの原因により、新人が定着しない、なかなか独り立ちしない、ということが考えられます。

業務標準化するための旗振り役がいない

現役プレイヤーである先輩方が手取り足取り教えるには忙しくて手が回らず、コミュニケーションも希薄になりがちなので、その間に新人は孤立感、孤独感を深めて辞めていく流れとなってしまいます。

そこまで想像がついてもなぜ業務の標準化ができないかというと、旗振り役がいないからではないでしょうか。

「これは、業務フローを明確にしたほうが良さそう...」

「最新の営業ツールを用意したら良さそう...」

「ステップを踏んで、成長できる仕組みを作ったほうが良いよな...」

などと、誰もが「やった方が良いよな...」と思っているのに、取りまとめをする人がいない。

上の人は忙しすぎるし、下の人は情報不足で初めから自分がやろうとも思わないし、自ら旗振り役を買って出るような余裕と能力がある人はハイパフォーマーとして売れていく。

結局「個」で動いてしまっているので、本来は組織全体を見る目線を持っている人、全体の売り上げや業務効率を見ている人が旗振り役を務めてくれるのが一番良いのですが、うちもそうですが、中小企業では実際そういった立場にある人は手が回らないのが実情ではないかなと思います。

そこで、中小企業でも取り組める業務標準化の仕組みづくりについて、次の項目から説明していきたいと思います。

業務標準化の流れとは?個人的なスキルに頼らない仕組みづくり

業務標準化の仕組みづくりにあたり、もっとも必要とされるのがベテランの皆さんのノウハウです。

順を追って、流れを説明していきます。

1.業務プロセスを整理する

各部署・部門の業務活動を書き出して順番に並べます。

業種によって異なりますので、以下のようなイメージで作ってみてください。

<BtoB営業、飲食店(接客)のプロセス事例>

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見直しを兼ねて、業務の流れに過不足はないか、プロセスの順序は適切かといったことも併せて見ていきましょう。

2.業務フローを書き出す

業務活動の各プロセスを掘り下げた業務フローを書き出します。

営業部門を例にして、図でご説明します。

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例えば、「顧客リストを作成する」というプロセスの中には、「WEB調べ、優先順位付け、担当割り振りというフローがある」のように順番にまとめていくとわかりやすいと思います。

この中で他部署と連携するようなフローもあると思います。

うちであれば住宅販売の事業部がありますが、新築住宅を売る部門と建材や設備を仕入れる部門とが万一連携していないと、納期の確認に時間がかかった結果、お客様が他社へ流れてしまうこともあり得ます。

こういった他部署との連携部分も見直して改善していくことが大切です。

3.ノウハウの収集

ここでベテランの皆さんの出番です。

営業部門を例に挙げると、プレーヤーを兼任しているのであれば社長、副社長といった役職の方々も含めたベテランやハイパフォーマーを集め、「契約を受注するまでにどのようなことをしているか」を書き出してもらいます。

こういった方々にありがちなのが、ある種の「思い込み」。

「自分がやっていることはそんなに特別なことじゃない」と思っている方が多いのです。

でも、実際に書き出してもらってまとめる作業をしてみると、ものすごく細かい部分だけれども「ここは人と違うから、やっぱりあなたは売れるんですね」と感じるところが出てくるもの。

顧客へのちょっとした気遣いであるとか、自分なりのツールを作って持っているとか、実績を裏付ける理由が何かしら見つかると思います。

ちなみに、店舗や支店がある会社の場合は店舗ごと、支店ごとでノウハウを出してもらうと取り組みが全然違うこともあって面白いです。

地域性や顧客ニーズが違えば営業のポイントも変わってくるので、そのようなところも参考になるはずです。

4.効率化と標準化

例えば、営業部門でアポ取りの顧客リストを作る時に、昔だったらタウンページを見て片っ端から電話するということをしたかもしれませんが、今だったらWEBで調べたほうが早いし、専門業者に依頼するほうが費用対効果を考えてもメリットが大きい場合があるかもしれません。

実際にアポ取りをする段になれば、営業トークスクリプトがあると新人でもしっかり話ができますし、サンプルなどを持っていく必要があれば資料一式がそろっていると迅速にお客様の元へ向かうことができます。

商談ではお客様の要望をマニュアルに沿って聞き取るようにすれば、新人でも聞き漏らしなく、その後別な部署へつなぐにもスムーズです。

トークスクリプトや資料、マニュアルのようなツールに生きてくるのがベテランの方々のノウハウです。

事前に準備することを業務フローに落とし込む

BtoBの「できる営業」は相手方の稟議フローの確認までしてきますから、担当者からの提案ルート、決定までの期日などをきちんと聞いてきて「ではこの日にまたお電話差し上げます」として帰ってきます。

新人の場合はここまで確認が及ばず、せっかく商談までこぎつけたのに話が流れてしまったり、その間に競合他社に取られてしまったりすることもあるでしょう。

だからこそ「ここまで聞いてくるんだよ」とベテランのやり方をマニュアルとして示してあげれば、契約に至る確率を上げることができると思うのです。

資料についても各々が自分のためだけに作成しているケースは多いですが、同じ作業をそれぞれにやることほど効率の悪いことはありません。

きちんとした資料を1つ作って共有しつつ、必要に応じて更新していくのがベストです。

クロージングで見積もりを差し上げる際も、相手方の担当者が決裁を取りやすいような補足資料を用意します。

その稟議補足資料自体、ただ金額と商品名だけ記載するより、詳細説明や写真がちょっと入っているほうが通りやすいなどという話も聞きますね。

本当に細かいことですが、そのような工夫を取り入れていくのが業務フローの見直しにもつながります。

一例として、BtoB営業のフローにおいてできる工夫は下図のようにいろいろありますので、ご参考ください。

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部署内に分散して蓄積されているノウハウをまとめて1つにし、共有することで業務標準化がかなり進みます。

業務標準化したヤマチユナイテッドの事例

業務標準化の事例として、当グループの事業部で実際に行ったことをご紹介したいと思います。

イベントの企画運営や関連機材のレンタルを主な業務とする「アンカー」は、BtoBのビジネスモデルで事業展開しています。

うちは多角化経営なので会社説明もなかなか難しく、さらにアンカーが手がけるイベント事業もお客様の要望に沿ってさまざまなやり方がありますから、内容や予算規模についてヒアリングすることが多く複雑であるという課題がありました。

札幌だけでもイベント会社はたくさんある中、うちを選んでいただくためにどこが決め手になるか、そこをいかにシンプルに提案できるかが勝負どころです。

お客様が商談に割いてくださる30分、長くてせいぜい60分という短い時間で「会社説明から商品概要、強みや実績のアピールをしつつご要望を伺って、不安や疑問を解消していく...」と、やることは盛りだくさん。

そういったこともあって、業務標準化の作業に着手することにしました。

初回の商談を業務標準化する

当時の営業担当は5人、うち1人は新卒で入った新人で、この子がすぐ売れるようにしたいという狙いが一つ、それと、ヤマチユナイテッドが外部向けに主宰するオンライン講座「KATAKA」の教材を作成することがもう一つの目的でした。

ここで最初に行ったのが初回商談のロールプレイング。

イベントは内容によって難易度が変わりますが、このときはオンライン配信のイベントを受注すると仮定し、お客様の設定も細かく決めて行いました。

商談の提案ツールの見直し

このプロセスで「型化」したのは、提案ツールの見直しと、お客様の元へ伺った時のトークスクリプトヒアリングシートの作成です。

営業担当らによると、イベントごとに決まったパッケージをただ提案するわけではないのでお客様からいろいろと質問をいただく場面が多いとのことでした。

それでは、例えばどんな質問があるのかということで、これまで寄せられた質問を集め、さらにFAQを作っておこうということに。

イベントは経験値がモノをいう分野ではありますが、あらかじめFAQを整えておくことで新人でも聞き取りのポイントを押さえ、お客様から質問を受けたときにも「確認して後ほど回答します」ではなく、自分でFAQを見てすぐ回答できるよう、レスポンスの速さを意識した対策です。

具体的には、先ほど業務プロセスと業務フローを書き出したように、まずは商談をプロセスに分け、それぞれにどのくらいの時間をかけているかを各人に書き出してもらいました。

課題は人によって紹介の仕方が違うこと

それぞれの商談のプロセスを確認すると、会社説明、業績紹介、サービス説明...と出てきますが、人によって順番もボリュームもバラバラ。

結局、営業同士でほかのメンバーの商談を見学することもないし、新人が先輩に付いていくことも一度現場に入ってしまうとなかなか定期的にはできないので各々自分なりのやり方でやっていたという状態だったのです。

私自身も「KATAKA」の教材作成のためにその場にいたのですが、例えば「アンカー」という社名に加えて「ヤマチユナイテッド」の名前も出したほうが地元のお客様には響きやすいし、そこも利用しながら会社紹介をしたほうが良いのでは...と感じる場面もあったりして、「人によって会社紹介の仕方もずいぶん違うなあ」といった感想を抱きました。

その点、さすがと感じたのはゼネラルマネージャーの会社紹介。

会社沿革に触れ、「こういう歴史があって、こういうところを得意としてきたから、今こういう実績があって強みとなっています」という説明にとても説得力がありました。

やはりお客様の側としてはイベントを確実に成功させたい、絶対に失敗したくないという思いが強いので、「この人に任せて安定運用できるのか」が一番心配なのだろうと想像がつきます。

そこへ安心感を持たせてくれるところが一番の決め手になるはずです。

私だったら、A社とB社で多少価格差があっても確実性を感じるほうへ依頼するでしょうし、加えて自分たちが思いつかないようなパターンの提案をしてくれる営業にお願いしたいと考えるでしょう。

そうすると、お客様が求めていることとは...とみんなで話し合っていくうちに「会社に対する信頼感」「今までの実績のバリエーション」「安定運用の担保」「営業との信頼関係」といった要素がだんだん見えてきました。

その上で商談に要する30分ないし60分をどう使うか考えていくと、各プロセスの時間配分は以下でどうかという話に当時はなりました。

商談する上での時間配分

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これを踏まえて、会社紹介や実績は動画で見せたほうがわかりやすいだろうと話がまとまり、イベントを手がける事業部だけあって動画はすぐに完成。

会社紹介は「ヤマチユナイテッドのここから派生して、このような経緯で『アンカー』となり、今までにこのような実績があります」とダイジェスト版にまとめ、これまでのお客様に許可をいただいた上で以前のイベント映像を使って実績紹介とし、およその金額を提示すれば規模に対する予算感も伝わりやすい内容になりました。

商談の前段となる部分を動画にすることで人が違ってもクオリティに差がつかず、誰でも同じ所要時間で自社の概要を伝えることが可能となり、お客様側にとっても「アンカー」のサービスをイメージしやすいという利点が生まれました。

このほか、提案ツールに関しては各メンバーが使っているパンフや資料などを全部出してもらって活用できるものは活用し、一つのツールに統合するという作業も行っています。

ヒアリングシートの作成

次に、オンライン配信であれば「現場にも観客を入れるハイブリッドタイプか、配信のみか」といったように、お客様の要望をお尋ねしていく際のヒアリングシートを作成しました。

商談内の時間配分としては10分程度を想定し、その中で聞き取らなければならないことをA4用紙1枚程度にまとめます。

イベント事業部でいえば営業部のほかに現場作業にあたる施工部、図面を書いたり、見積もりを出すなどする制作部門があり、それぞれがスムーズに連携するためには聞いてくるべきことがいろいろあります。

聞き漏らしがあると部門間の関係がギスギスしたり、他社に遅れを取ったりする可能性もあるので「後からまた聞けば良い」ということでももちろんありません。

また、見込み営業に出た新人がお客様のところから帰ってくると、先輩社員と一緒にアポの振り返りをすることは皆さんの会社でも行われていると思いますが、「ここを聞いてこなかったのか」ということって『あるある』ではないでしょうか。

指摘される新人も、指摘する先輩も良い気持ちはしないですよね。

ヒアリングチェックシートとトークスクリプトを使うことによって聞き漏らしなく帰ってくれば新人の自信にもつながりますし、聞いてきたことをベースに「じゃあこんな提案もできるね」などと、先輩とさらに深い話もできるようになります。

提案のアイデアやクロージングの決め手のアドバイスをもらえれば商談がよりまとまりやすくなり、実績にもつながるのです。

私はこのときお客様役になっていろいろと質問していたのですが、やはりベテラン営業マンは勘が良いというか、「そこを聞いてほしかった」というところを良いタイミングで聞いてくれるんですよね。

やはりそこは経験値の差で、ヒヤリハットを繰り返してきて「こういうところを聞き取らないと危ない」というのが身にしみているのでしょう。

これは新人には難しいし、お客様の安心にもつなげるためにももう一つ、FAQを作成することにしました。

FAQの作成

営業担当には産みの苦しみがあったと思いますが、営業担当それぞれからお客様によく聞かれる質問を20個ずつ書き出して提出することをノルマとしました。

それを私が「会場について」「配信ツールについて」「予算について」のようにカテゴリー分けし、似ているものをつぶしていってExcelの表にまとめました。

あとは回答をセットで書き込んでいけば、キーワード検索で質問とそれに対する回答が出るようになり、これでFAQは完成。

ツールといっても何も特別なものではありません。

FAQ作成の流れをわかりやすく図にしてみました。

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集約する作業はそれなりに大変ですが、私の場合は営業担当5人分のFAQをまとめるのに1時間くらいで済みましたし、一旦作ってしまえば追加や更新にそれほど手間はかかりません。

みんなでやるなら、付箋に書き込んでどんどん出し合っていく方法でも良いでしょう。

のちのち、作成したFAQをホームページに掲載し、お客様にメールでURLを送れば、不安や疑問を軽減できると思います。

BtoB営業の場合、各フローと活用できそうなツールを図示すると以下のようになります。

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みなさんの会社でも、業務プロセス、業務フローを整理するところから業務標準化を始めてみませんか?

業務標準化の取り組みを停滞させないために。ヤマチの委員会制度の活用方法を解説

何でもそうですが、せっかく業務標準化の仕組みを作ったのなら継続的に活用しなくては意味がありません。

私が普段お付き合いしている中小・中堅企業のみなさんにお聞きすると「定着しない」ことが課題となっているケースが案外多いようです。

市場が変わったり世代が移り変わったりした場合、特にベテランばかりだった営業組織が若手中心に刷新したりすると、スキルレベルも悩みどころも違うためにやり方を変えないとならなくなることもありますよね。

ここで仕組みの見直しと更新をうまくやらないと、定着しないということになるのだと思います。

では、その見直し・更新をする人=コラムの最初のほうで出てきた「旗振り役」を据えないとならないのですが、これは社長、副社長、専務といった役職者はやらないでください、というところがキモです。

上の人が動いてしまうと、下の人はいつまでも待ってしまうからです。

本来は一番現場に近い人が一番お客様にも近いし、一番市場ニーズをつかんでいるはず。

だったらこの人たちをプロジェクトメンバーとしてアサインし、どのタイミングで誰がどうやって見直しをするのかだけ決めておけば、あとはくるくる回すだけ。

そのための場が、各部署から現場社員を出してもらって構成する「委員会制度」です。

委員会は目的に応じて複数あって良いと思います。

  • 顧客アンケートを分析する「顧客満足度委員会」
  • 抽出されたお客様の声を営業シーンや商品・サービスに活かす「ヒアリング委員会」
  • 現場のニーズを拾ってツールを作る「ツール整備委員会」
  • 効率をより上げる工夫をする「業務効率化委員会」 など

営業ツールは使い方を間違えると事故につながる場合もありますので、「ツール研修委員会」もあると安心です。

自分の部署以外のところや上層部へ掛け合うような場面も出てくるでしょうし、何かのシステムを導入するなど予算を動かすケースも想定されますから、役職者はオブザーバーとして入り、仲介役として動いてあげると良いですね。

このほかには「目安箱」としてメールで集約できるフォームを作っておいて、「こんなツールがあったら良いな」というものを投稿できるようにしておくのも有効です。

もちろん「できるorできない」とその理由といったように定期的なフィードバックがセットですが、こういった取り組みが個ではなく組織でできるようになると、いろいろな人からいろいろなアイデアが出てくる建設的な組織になっていきます。

これは営業部門に限らず、間接部門も同様です。

むしろ間接部門こそ業務が属人化しがちなところがあり、長くいる人がほとんどの業務をやっていて、その人が入院したら大変なことになった、なんてよくある話。

属人化している業務の外部委託やシステム導入も視野に入れつつ、「何かできないか」と組織で話ができるようになっていくと、人によって仕事量や残業時間が違うといった問題も改善されると思います。

委員会活動を通じて無駄やムラを解消すれば、時間や手間を短縮するだけでなく社員も次のステップへと成長することができます。

業務標準化を検討するなら、ぜひ委員会制度も取り入れてください。

経営層と現場との間に生まれがちなギャップについて知りたい方は、こちらのコラムもあわせてご確認ください。

経営層と現場でなぜギャップが生まれる?戦略をやり切るためのポイント

業務標準化のメリットを知り組織の成長を図ろう

業務標準化のメリットは、誰もが同じレベルで仕事を進められるようになること。

それができないのは、旗振り役がいないからではないでしょうか。

上の人は忙しすぎるし、下の人は情報不足で初めから自分がやろうとも思わないし、自ら旗振り役を買って出るような余裕と能力がある人はハイパフォーマーとして売れていく。

結局「個」で動いてしまっているので、本来は組織全体を見る目線を持っている人、全体の売り上げや業務効率を見ている人が旗振り役を務めてくれるのが一番良いのですが、中小企業では実際そういった立場にある人は手が回らないのが実情ではないかなと思います。

実際に業務標準化を行うには次のような手順で進めます。

  1. 業務プロセスを整理する
  2. 業務フローを書き出す
  3. ノウハウの収集
  4. 効率化と標準化

近年、ヤマチユナイテッドでも業務標準化に取り組んでいますが、例えばBtoB営業のある部門では商談をプロセスに分け、それぞれのフローで使えるツールを見直したり整備したりといったことで、新人でも売上インパクトを出せるような仕組みを整えました。

業務標準化の仕組みがある程度整ったら、委員会制度を通じて定着させていくのがおすすめです。

現場の社員をプロジェクトメンバーとして、下記のような委員会を目的に応じて立ち上げ、活用しましょう。

  • 顧客満足度委員会
  • ヒアリング委員会
  • ツール整備委員会
  • 業務効率化委員会 など

どのタイミングで誰が仕組みの更新・見直しをするかを決めておけば、あとは回すだけ。

役職者は「旗振り役」にならず、オブザーバーとして各委員会を他部署や上層部とつなぐ役割を担ってあげると良いでしょう。

委員会活動を通じて無駄やムラを解消すれば、時間や手間を短縮するだけでなく社員も次のステップへと成長することができます。

コラム内でも少し触れましたが、当グループのオンライン講座「KATAKA」では「型化」、つまり型に沿って誰もが同じレベルでできる業務管理体制構築のノウハウをご紹介しています。

アンカー」の事例でお話しした業務標準化の教材も活用していますので、ご興味があればホームページで概要をご確認の上、受講をご検討ください。

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