企業ビジョンの浸透は社員のモチベーションアップを叶える!事例も紹介
採用・育成
こんにちは、ヤマチユナイテッドの石崎です。
「自分は何のために働いているか。」「自分は組織の中でどのような人間になりたいか。」
あなたの会社には、このようなことを考えながら目的意識を持って働いてくれている従業員がどれくらいいるでしょうか。
与えられた業務をただこなすだけの集団では、組織としての成長は見込めません。
幹部は、社員一人ひとりが仕事の意義を理解できるよう、企業としての方向性や目的を明確に示す必要があります。
これが「企業ビジョンを浸透させる」ということ。
社員のモチベーションアップにもつながる話ですので、ぜひご一読ください。
目次
- 企業ビジョンは会社としての「理想像」を叶える道しるべ
- 企業ビジョンが浸透しづらい・社員の士気向上につながらない原因は?
- 企業ビジョンは「ビッグビジョン」をゴールに、中期的な視点でも考えよう
- 企業ビジョンを浸透させるには階層ごとにビジョンの設定を!
- 企業ビジョンを浸透させるには社員に具体的に伝え続けることが大切!
企業ビジョンは会社としての「理想像」を叶える道しるべ
企業ビジョンの話をする前に「企業理念」「ミッション」「企業ビジョン」の違いについて触れておきます。
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企業理念:その企業の「基本的な考え」のことであり、その企業なりの"哲学"とも言えるもの。
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ミッション:「使命」ですから、事業を通じて何かを成し遂げる、社会貢献するなどという意志を示すもの。
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企業ビジョン:いずれこうなりたいという「理想像」を表現するもの。
それぞれこういった位置づけになると思います。
こうしてみると「企業理念」と「ミッション」は年月を経てもあまり変わることはありませんが「企業ビジョン」は変わっても良い。
自分たちの成長の度合いに応じて「次はこうなりたい」という姿は変わっていくからです。
実際の経営において、企業ビジョンは会社の方向性の指針となります。
「社員みんなでここへ向かっていくよ」というゴールを明確にし、そこに会社の理念や価値観をのせて進んでいくための、いわば道しるべ。
道しるべがないと、地図を持たず、ゴールもわからず個人個人で好き勝手に歩き始めるようなものですから、組織を一つにまとめるという意味でも企業ビジョンはとても重要なのです。
企業ビジョンが浸透しづらい・社員の士気向上につながらない原因は?
企業ビジョンを掲げていても、社員がそれを知っているかどうかと問われると、自信がないという経営者は意外と多いかもしれません。
また、社員みんながその企業ビジョンを念頭に置いて業務に励んでいるかと考えるとどうでしょう。
企業ビジョンが浸透していない、あるいは社員の士気向上やモチベーションアップにつながっていないと感じるのであれば、以下のような3つの原因が考えられます。
原因①表現が具体的でなく漠然としているから伝わらない
将来の理想像として、例えば「大きな会社になろう」と言ったところで、何だかふわっとした感じで、具体的に何をしたら良いかがまったく伝わらない。
企業ビジョンを定める際には、漠然とした表現を避け、しっかりイメージが伝わるようにするべきです。
当グループでいえば「THE 100 VISION」=「100の事業を創出し、100の経営者を育成する」というのが現在の企業ビジョンとなっています。
原因②作っただけで満足し、社員に伝えていない
企業ビジョンをポスターにして社内に貼った張ったことで満足し、社員に周知したと思い込んでしまうのはよくあるケース。
社員の目には入るかもしれないけれど、その企業ビジョンに込められた思いや目的がしっかりした説明と共に語られなければ実になりません。
だからといって、長い文章で回りくどい書き方をすると覚えにくい。
「THE 100 VISION」のような短い言葉か、あるいは「100の事業を創出し、100の経営者を育成する」というような短文でキャッチーに表現するのが良いのではないかと思います。
多くの会社では企業ビジョンを社員に覚えてもらうため、朝礼などで暗唱したり、大声で読み上げるなんてこともしていますね(当社ではやらないのですが)。
そうすれば忘れないでしょうけれど、大事なのは企業ビジョンを覚えさせることではなく、意図を伝えて目的意識を育て、なりたい姿を叶えるための行動を業務に落とし込むこと。
そこまでやって初めて「企業ビジョンが浸透した」と言えるのです。
原因③実情にあっておらず、一貫性がない
一番問題になるのはこのパターンですね。
「社員を大切にする会社」なんて企業ビジョンでうたっていても、全然大切にしていないのが実情であれば、いっていることとやっていることが違い、一貫性がないというものです。
当グループが「THE 100 VISION」を掲げていながら「いや、多角化していないし、新規事業なんてやっていないじゃん!」と社内で言われるような状況なら、企業ビジョンが浸透するどころか社員の士気も下がるでしょう。
一貫性を持つということは「企業ビジョン(長期ビジョン)」→「中期ビジョン」→「中期戦略」→「中期計画」→「単年度計画」のように、業務に落とし込んでいくプロセスの上でも非常に重要なのです。
また、ずいぶん昔に作られた企業ビジョンだと、内容が古くて時代にあわないケースもありますから、ある程度定期的に見直す機会があっても良いと思います。
「企業ビジョンはあるのに、どうも浸透していないんだよな...」と悩んでいるなら、もう一度企業ビジョンを見直してみてはいかがでしょうか。
また社員教育については「社員教育の4つの方法。社員が育つ環境づくりのポイントは?」で詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください!
企業ビジョンは「ビッグビジョン」をゴールに、中期的な視点でも考えよう
企業ビジョンを考える上で、まず「ビッグビジョン」と「何年後ビジョン」という2つの視点を持っていてもらえると良いと思います。
ビッグビジョンは、いわゆる大きな「夢」としてのビジョン。
「ドリームビジョン」とでもいいましょうか。
「いつまで」と期限を定めず大きな方向性として掲げるもので「THE 100 VISION」はこれに当たります。
何年後ビジョンというのは、経営計画を立てる時と同じように、3年後や5年後といった中期的な期間で区切って考える"リアル"なビジョンです。
企業ビジョンを超長期的に見ることは理念経営の核ともいえますし、経営計画上で中期計画を立てるには中期ビジョンも欠かせません。
そういう意味でも、企業ビジョンはとても重要ですので、この機会に自社の企業ビジョンを見直してみるのはいかがでしょうか。
見直しのポイントとしては「具体性があるか」「自分たちらしさが表現されているか」そしてそれがちゃんと「行動につながっているか」というところが大事。
むしろこの中でクリアできていないポイントが、経営上うまくいっていない部分につながってくるのではないかと思います。
当社でいえば、ビッグビジョンは「THE 100 VISION」という「事業多角化の路線」。
これをもって事業を100個創出するくらい増やしていき、そうなると100人の経営者が必要になるから人材も育てていくという方向性を打ち出しています。
何年後ビジョンについては、事業別に3年後ビジョンを作り、そのすべてが最終的に「THE 100 VISION」の夢を叶えるところへつながっていくという建て付けになっています。
「企業ビジョン(長期ビジョン)」→「中期ビジョン」→「中期戦略」→「中期計画」→「単年度計画」と、ある程度見通しのきく未来への指針とするには、先の項目でも述べたように一貫性が重要です。
また、企業ビジョンを設定するにあたっては、トップダウンより経営幹部などの社員を巻き込んで作る方法がおすすめです。
当グループ代表の山地 章夫は「経営者個人の夢ではなく、会社としてどう大きくなっていきたいかという観点で、私の思いのレベルの先を行ってほしい」というようなことをよく口にします。
経営者の思いを伝えながら幹部に感想を聞き「どんな会社にしていこうか」と会話のキャッチボールを繰り返していくと夢が広がり、ワクワクする企業ビジョンができ上がるのではないかと思います。
また「THE 100 VISION」がグループビジョンとして決まってから、山地は「採用を意識するように」と、ロゴやマークの作成を指示しました。
企業ビジョンは通常社内向けに作成されますが、会社の価値観を表現するものであるだけに、社外向けのツールとしても使えるのです。
採用の場面では「こういう考えの会社だよ」「これに共感する人は来てください」と、会社の方向性を端的に伝える機能を発揮します。
実際に「自分で事業を立ち上げるのは面白そう!」と思ってヤマチユナイテッドを選んだという社員もおり、ここは「THE 100 VISION」が就職志望者に響くポイントの一つかなと思っています。
企業ビジョンを浸透させるには階層ごとにビジョンの設定を!
しっかりと会社の方向性を示す企業ビジョンができ上がったら、次は社員一人ひとりに浸透させていかなくてはなりません。
当グループのように複数事業を展開している企業であれば「事業部ビジョン」も考えてみると良いでしょう。
うちは事業の数が多く多岐にわたっているので「グループビジョン」「会社ごとのビジョン」「事業ごとのビジョン」というように階層ごとにビジョンを設定しています。
規模の大きな会社はこうして区切ることで、各事業・各部門においてより具体的な指針を示すことができるはず。
事業ごとにとるべき行動が違っても、最終的に目指すところが同じであれば良いのです。
各事業部でビジョンを設定する際は、やはり社員の声を集めた方がリアリティが増します。
ビジョン作成に参加したという経験があれば、作成後も無関心でいられず「自分ごと」として考えられるため、社員一人ひとりにビジョンを浸透させるためにも有効であることはいうまでもありません。
そして、事業部単位で作ったビジョンのたたき台はその上の会議で検証し、企業ビジョンとブレが生じないように点検することも必要です。
さらに、経営者はキックオフミーティングや経営計画発表会など、ことあるごとに企業ビジョンを伝え続けることが大事。
経営計画に「企業ビジョン」や「事業ビジョン」を入れ込んでも良いです。
各事業部では、事業責任者も同じように"伝え続ける"ことを意識しましょう。
日々の業務で数字に追われたりしているうちに、ビジョンのことを忘れがちになるのは仕方ありません。
企業ビジョンのことを忘れないためにも、毎月の会議のアジェンダに取り込んで、事業部ビジョンの実現に近づく行動ができたかどうか、振り返りの機会を設けると効果的です。
そこで「できたね」という事例が出てくると、社員のモチベーションアップややりがいにもつながっていくのではないでしょうか。
業務に圧迫されて苦しい時「目指すところにこれがあるんだ」という明るい話題を提供できるのも、企業ビジョンを持つことのメリットです。
企業ビジョンを浸透させるには社員に具体的に伝え続けることが大切!
企業ビジョンは、会社として「将来こうありたい」という理想像へ向かっていくための道しるべのようなもの。
この道しるべを追うことで、社員みんなが同じ目標を持って進むことができるから企業ビジョンは重要なのです。
また、企業ビジョンが浸透しないと悩んでいるなら、具体性がなく「伝わらない」ビジョン、社員に何を求めているか「伝えていない」ビジョン、実情と異なる「一貫性がない」ビジョンになっていないか、見直してみてはいかがでしょうか。
そして、企業ビジョンを考える上で知っておきたいのが、いつか叶えたい大きな夢である「ビッグビジョン」と、そこへ近付くために中期的に設定した「何年後ビジョン」。
この2つの視点を持つことで、企業ビジョンの実現をよりリアルにイメージできるようになります。
多角的に事業を展開している企業であれば「グループビジョン」「会社ビジョン」「事業部ビジョン」というように階層的にビジョンを設定すると、社員に対してより具体的に方向性を示すことができます。
企業ビジョン、事業部ビジョンはことあるごとに伝え続け、実現につながる行動を業務内でできたかどうか振り返ることによって全社員への浸透を図りましょう。
企業ビジョンが浸透すれば社員のモチベーションアップが期待でき、採用の場面では就職志望者に対して企業の姿勢をアピールする社外向けツールとしても使うことができます
ヤマチユナイテッドでは定期的に開催する「連邦・多角化経営実践塾」をはじめ、セミナーやワークショップでも経営のヒントを発信しています。
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Authorこの記事の著者
株式会社ヤマチマネジメント|取締役 |グループ執行役員
石崎 貴秀
1996年入社。営業課から国際課を経て、総務部チームリーダーへ。その後グループ経営推進会議事務局にて経験を積み、2009年(株)ヤマチマネジメントを設立、移籍。グループ管理本部の統括マネージャーとして采配を振るう。2017年(株)ヤマチマネジメント取締役就任。
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「連邦・多角化経営実践塾」の開塾にも携わり、2014年以降、第1期~現在までシステム経営のメイン講師として活躍。
入塾した企業約70社にシステム経営を指導してきた。現在はシステム経営のコンサルティングも担当。