トップの実況中継つきで情報共有してみたら、 全社がスルーしていた業績情報の共有に革命が起こった話

KATAKA

川田 新平
川田 新平

5108086_m.jpg

企業が成長するにあたり、全社への情報共有はとても大切なことです。

私が、20年以上組織のマネジメントをしてきた中で強く実感しているのは、業績情報はオープンにして社員に伝えるべきだし、情報共有はやり方次第で、本当に得られるメリットが本当に多い!ということです。

「情報共有」と検索エンジンをたたくと、社内報、日報、チャット...たくさんの情報共有ツールの広告ページが出てきますね。
このコラムにたどり着いた方は、きっとこうした情報共有について何かしらの関心があることと推察します。

そして、社内の情報共有についての疑問や課題を抱えているのではないでしょうか。

―情報共有の重要性はあちこちで叫ばれているが、そんなに効果があるものなのか? とその効果を信じきれていない。

―業績情報を共有することの重要性は理解しているが、上手なやり方がわからない。
 世の中にある情報共有ツールは種類が多すぎるし、どれか一つでも社内で活用でき るイメージがわかない。

―すでに社内での情報共有を実施しているが、このままで良いのかわからない。 期待していた効果を見出せずにいる ...

などなど。
そのような皆さんに、本日は私がマネジメントの中で実体験として成果を出すことができた"トップの実況中継つき"の業績情報の社内共有についてお話しできればと思います。

目次

  1. 【失敗談】全員スルー?!業績情報に無関心な社員たち
  2. 【成功の一手】社員の動き方を変えた「オンライン×実況中継付き業績共有」
  3. 情報共有のコツ①業績情報は"数字の意味"を添えて伝える
  4. 情報共有のコツ②「経営情報はプロセスで見せる」
  5. 情報共有のコツ③ 感情を込めて褒める
  6. "経営トップの実況中継付き"情報共有の秘訣3点

1.【失敗談】全員スルー?!業績情報に無関心な社員たち

改めまして、川田と申します。
ヤマチユナイテッドという企業グループの常務とし て、従業員700人規模の組織をマネジメントしています。

当グループでも、かねてから業績共有は毎月行っていました。

具体的には、単月の業績結果表をexcelデータにおこし、社内SNS掲示板で全社員が見られるように共有していました。
正直なところ、この業績共有は意味をなしていないも同然だったと思います。

というのも、この共有された情報を誰も読んでいなかったからです。
(耳をふさぎたくなりますが、業績を共有していた事実を知らなかったという社員も...)

経営層からすると、社員に経営の情報を公開することはとても意義のあることだから共有していたわけですが、そうした意図を知らない社員にとっては「エクセルのシートが共有されている」くらいの感覚だったのかもしれません。

確かに、社内の掲示板を開いて、エクセルシートをダウンロードし、確認するというやり方は少し手間だったかもしれません。

さらには内容を確認しても、数字の読み方がわからない、情報の活用の仕方がわからない、自身の業務と結びつきを見出せない。

そんな状況であれば、業績情報に関心を向けるよりも、目の前にある自分の仕事に集中するのは当然かもしれません。
データを掲示することで業績を共有した気になっていただけで、情報を受け取る社員 側の視点が欠けていたと振り返っています。

2.【成功の一手】社員の動き方を変えた「オンライン×実況中継付き業績共有」

そんな弊社でしたが、コロナショックをきっかけに、私が業績進捗を実況中継する形で全社員に共有することとなりました。

この経緯や詳細は、別のコラムで詳しく話しているので割愛しますが、簡単に説明すると、集合型の朝会ができなくなってしまったためにMicrosoftのteamsというツールを使ってオンライン上で再開しようとなりました。

私はこれを「オンライン朝会」と名付けました。

朝会は全社員に方針を示すために始めたものですが、このオンライン朝会では週次の業績進捗、営業マン別の成績のランキング、週間MVPの発表...と徐々に共有する情報が増えていきました。

イメージとしては、週に2回、朝9時から30分間の配信で、社員は各々の席や自宅から参加する中、私が資料を共有しながら、 実況中継のごとく、社員がその時そのときの業績進捗を手に取るように理解することができるよう、リアルタイムの情報を伝えています。

また、私の捉え方や考えを添えながらその時々の数字を共有するようにしています。

このオンライン朝会を実施しての一番の大きな気づきは、情報共有の持つ可能性です。それは、社員に業績情報を共有して、数字の意味さえ教えてしまえば社員は自分から動くようになる、ということです。

3. 情報共有のコツ①業績情報は"数字の意味"を添えて伝える

これは、社員に業績情報を公開する際には事実だけではなくトップがこの数字をどう考えているのかを付け加えて、社員に開示することがなにより大事なのだということです。

それに気づくことができたのは、ある社員が「オンライン朝会は喋る業績資料。

数字だけ見てもそれが良いのか悪いのか正直よくわからなかったが、川田さんが意味を付けてくれるから、どう捉えるべきなのかがきちんとわかるようになった」という一言。
彼女のように、事実だけを与えられてもそれをどう取り扱って良いのかはわからないという社員がほとんどです。

経営層に立つ幹部と違って、数字の読み方を知らなければ、会社全体の動きを見ているわけではないので当然かもしれません。

だからこそ、全体を見ることが出来ている人がその数字の意味や今ある現状を伝えてあげることで、どの社員でも何をすれば良いかがわかるようになるのです。

そうすることで社員は事実を見ておのずと自分で考え、うごくことができるようになる。
逆に言うと、社員は共有される情報に興味がないのではなく、情報の捉え方・活用の仕方を知らないだけだったのだと気付くことができました。

実際に、経営の実況中継を始めてからは社員の動き方がみるみる変化したことに私自身も驚いています。

一番印象的だったのは、ある日の朝会で「もっと顧客管理のアクションに重点を置くことが必要だ」と話した時のこと。
その年に入社した新入社員が「その週はずっと電話がけに励んでいた、そしてその件数は責任者からみても大したものだった」と後日報告を受けました。

経営の状況も、伝え方しだいで新人までもを動かすことができるのかと実感し、とても嬉しかったものです。

4.情報共有のコツ②「経営情報はプロセスで見せる」

さらに言うと、経営情報はプロセスがわかるように見せてあげることが理想です。

キーとなるのは、重要指標を設置することと、その意味を伝えてあげること。

一例をあげるとすると、これはハウスメーカーであるジョンソンホームズの重要指標です。
集客から受注までのマーケティングフローの中で、追うべき指標やボトルネックを特定し、重要指標としています。

10.21    共感セミナー.png

「集客から受注までの流れで、今足りていないのはこの部分とこの部分です。だから電話と訪問の回数を増やしましょう」

オンライン朝会では資料を見せながらこのように伝えてあげることで、トップからのメッセージの背景を理解することができ、さらには業績を作り出すメカニズムを社員に周知することができるようになります。

5.情報共有のコツ③ 感情を込めて褒める

また、社員の頑張りはなるべく応援してあげるようにしています。

業績帳票だけを見ていると、どうしても「あれが足りない、もっとできないのか」と言いたくなる気持ちにもなるものです。

ですが、そこはグッとこらえます。

逆に、その中でも頑張っている社員、手本となる動き方をした社員を見つけ出し、全社員の前でほめたたえるようにしています。
(もちろん、例外がないわけではありませんが)

そうすることで、聞いている社員は「あの人はそんなことをしているんだ」「自分たちも頑張らなきゃ」と、一種のジェラシーに近い感情を抱くのか、よく頑張ってくれるようになります。

「そんな単純なものか」と思う方もいるかもしれませんが、私のこの"悪魔的法則"は毎回効果抜群なので、オススメしています。

当たり前ですが、怒るよりも褒める方が、双方にとってポジティブで、且つ、良い結果を生むのです。

6."経営トップの実況中継付き"情報共有の秘訣3点

このように、オンライン朝会での情報共有で全社員の動きが変わる様子を実感し、「社員は無能であり、やる気がない」なんて考えは一切起こらなくなりました。

そう見える社員も、行動を起こすための情報がないだけ。

何をどうすればよいのかという手掛かりがないから、考え方も動き方もわからず、空回りしているのだ...と自分の中の考え方も激変しました。

トップや経営層は能力的に優秀なのではなく、情報が集まっているからその状況に応じた戦略を考え実施に移すことができるだけなのです。

一般の社員でも情報を手にすれば同じように考えることができます。
私に至っては、もはや自分を凌ぐ社員も現れるのでは...とすら考えるほどです。

おさらいとはなりますが、社員への情報共有の秘訣は3つ。

■トップの見方を添えて共有すること

■業績指標はプロセスとともに説明すること

■気持ちを込めて社員を褒めること

業績の進捗に対するトップの意味付けがあることで、社員たちは今ある状況を理解することができるようになります。

重要指標はプロセスと共に意味をきちんと伝えれば、自分たちでもなにをすれば良いかを理解し動いてくれるようになります。

社員の頑張りはみんなの前で褒めることで、褒められた本人は喜び、それを見ている周りの社員はモチベーションをあげる。

結果、全社員かテンションよく仕事を続けられる...実況形式での情報共有には、こんなに素晴らしいことが沢山あるのです。

オンライン朝会について詳しく説明しているコラムもありますので、興味がありましたら是非ご覧ください。

▼オンライン朝会についてのコラムはこちら▼
第1話:オンライン朝会① DXって、このこと?!
第2話:オンライン朝会② 共有情報の中身
第3話:オンライン朝会③ 週間MVP発表 社員成長の2つの法則
第4話:オンライン朝会④ 週間MVP発表がもたらす波及効果
第5話:オンライン朝会⑤ ランキング発表


オンライン朝会等ヤマチの経営のリアルをFacebookで毎日更新中!

川田さんFacebookバナー.png


SHARE! この記事を共有する