ヤマチ流デジタルトランスフォーメーションを公開 〜オンライン朝会① DXって、このこと?!〜
KATAKA

こんにちは、川田です。
ここ数年、デジタルトランスフォーメーション(DX)というワードを、さまざまな場面で見聞きします。
新型コロナウイルスの蔓延を機にスタートした、当グループの取り組みの実践から、図らずも良さを実感することが数多く出てきました。
そこで、"ヤマチ流DX"を公開し、考え方、取り組みの中身、そのなかでの気づきなど、週1回ペースで連載していこうと思います。
目次
1.入り口はコロナ禍で直面した課題への対応
DX推進が叫ばれるなか、ビジネス界隈では「よくわからないけれど、必要だといわれているから何かやらなければ」といった空気が流れているように感じていました。
DXに取り組むために大枚をはたいたとして、どんな成果が得られるのか。
そこが不明瞭なことから、DXの言葉に踊らされず、成果につながる型が見つかれば進めようというのが、当グループのスタンスでした。
2020年が明けて間もなく、新型コロナウイルス感染拡大という不測の事態が発生しました。
あらゆる環境がめまぐるしく変わるなか、グループ各社で組織や事業面の課題に直面しました。
そこで、抱えていた課題への対応として、デジタル機器を使った取り組みをスタートさせ、継続してきたところ「DXってこのことでは?!」というものが見えてきたのです。
ちなみに、世の中でいわれるDXの成果をシンプルに捉えると、業務効率が飛躍的に向上することと、情報共有のレベルが格段に向上することの2点だろうと思います。
これから数回に分けて、私がお話しするデジタルを使った当グループの取り組みでは、情報共有からマネジメント、人材育成へとつながりが生まれています。
第1話となる今回は、スタートから現在に至るまでの取り組みとその進化、起こった変化についてお話しします。
2.グループ2社でオンライン朝会をスタート
振り返ると共有する情報の幅は狭かったのですが、ジョンソンホームズでは15年以上にわたり、本社出社の社員が集まる朝会で情報共有をしていました。
それだけなく、朝会は全員で同じ方向を見るための、私からのメッセージを伝える装置でもあったのです。
ところがコロナ禍となり、密を避けるため2020年3月、朝会を休止しました。
朝会が休止となり、テレワークや時差出勤も始まり、社員同士の会う機会が減っていくと、次第に見ている方向がバラバラに。
他部署と協調しない、それぞれが自分だけがもつ思いを強くしていくといった状態に陥っていました。
私もメッセージを発信できていませんでした。
このままではまずいと思い、7月上旬からオンラインで朝会を始めてみることにしたのです。
もともと朝会には参加できていなかったインテリアや飲食部門の社員も、オンラインなら参加できます。
また、アーカイブ化することで、いつでも見ることができます。
以前の集合朝会よりも情報やメッセージを届けられる社員の数と時間が増えたことは、うれしい効果でした。
3.オンライン朝会での情報共有がもたらしたもの
他方、ヤマチコーポレーションでは、何が起こっていたか。
ヤマチコーポレーションには、建材事業部、介護分野のライフサポート事業部、イベント事業部の3つの事業部があります。
イベント事業部は、コロナ禍によって甚大な影響を受け、また、ライフサポート事業部にもデイサービスの利用控えなどによる影響が出ていました。
分野が異なる事業部間でシナジーを創出するのは難しいことから、それまでメンバーは自部署の目標達成に注力していました。
しかし、極度の有事です。
"オールコーポレーション"で赤字回避の戦略をとり、走り出したのです。
8月上旬、コーポレーション朝会をスタートさせました。
業績情報を共有し、開示する情報の幅を広げていくと、業績を上げるための増やすべき行動量が明確になっていきました。
業績に貢献しようと、職域を超えて社員が動き出しました。
結果として、赤字は回避できました。
3事業部が"一枚岩化"したのですが、熱く一体感が高まったのは、情報共有が機能したことが大きかったのではないかと感じています。
4.情報共有からマネジメント、人材育成へと発展
オンライン朝会の情報共有では、業績の数字を開示するだけではなく、私がその数字をどう思っているか、意味づけをしています。
状況が悪かったとしてもポジティブな言葉をかけることで、社員は考え、良い方向へ動き出す。
応援することから、良い効果や一体感が生まれています。
結果として、このことはマネジメントとイコールなのかなと思っています。
数字や行動に意味づけをすることについて加えると、デジタルを使った情報共有で、いつでも誰でも情報にアクセスできたとしても、その資料に並んだ数字を社員がそれぞれの受け取り方をしては意味がないと思うのです。
そもそも、誰もアクセスしないことも考えられます。
また、ジョンソンホームズのオンライン朝会を続けていくうちに、朝会のコンテンツが増えました。
ランキングを出してみると、コロナ禍という厳しい状況下でも、うまくいっている営業マンが多数いることがわかりました。
その営業マンになぜうまくいっているかのインタビューを行い、ノウハウを動画化し、研修動画として共有しています。
動画であることで、うまくいっていない営業マンが自分のタイミングで繰り返し見て参考にできるのが利点だと思います。
さらに、アプローチブック(住宅商品の特徴や会社の思いなどをまとめたツール)を使った、営業マン全員の商談シーンのロープレ動画を撮影しました。
仲良く見えても、座席が隣同士でも、やり方は営業マンそれぞれまったく違っていました。
できていない社員は、できている社員と自分を見比べ、課題や改善点を具体的に把握して修正ができる。
口頭のみの指導よりも有効だと感じています。結果として、社員の成長につながる人材育成のひとつの形になりました。
ジョンソンホームズも厳しい業績でしたが、後半挽回し、営業利益は前年並みを確保できました。今期は100棟オーバーまでいけそうです。
直面した課題を解決しようと始めたオンライン朝会が、この先会社がより成長していくためのキーワードとなるであろう情報共有にはじまり、マネジメント、人材育成にまでつながりました。
「これこそDX」と思うと同時に、とても良い取り組みだと実感しています。
次回2話目からは、オンライン朝会の中身を掘り下げていきます。
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【コラム】ヤマチ流デジタルトランスフォーメーションを公開 は毎週金曜日に連載中!ヤマチでの変容を時系列に沿って知りたい方は、こちらのシリーズをご覧ください。
第1話:オンライン朝会① DXって、このこと?!(この記事)
第2話:オンライン朝会② 共有情報の中身
第3話:オンライン朝会③ 週間MVP発表 社員成長の2つの法則
第4話:オンライン朝会④ 週間MVP発表がもたらす波及効果
第5話:オンライン朝会⑤ ランキング発表
第6話:社内での動画活用
第7話:部下育成は「自社流DX」で効果爆上がり
第8話:全社員を自主的に行動させる「行動量」の重要性
第9話:型化① 型づくりの経緯
第10話:型化② 3種類の型
第11話:型化③ トップとしての重荷が軽くなった!? 型づくりのメリットについて
第12話(最終回):9億円の赤字を回避し、業績2倍を実現した「3つの取り組み」とは
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Authorこの記事の著者

株式会社ジョンソンホームズ|常務取締役|グループ常務
川田 新平
ジョンソンホームズを陣頭指揮。企業ミッションの明文化、共有・浸透を図るとともに社員が輝き主体的に経営参加する組織づくりを通して、新たな成長軌道に導く。現在はグループで展開する多様な事業にコミット。社員皆をよくするために、毎月500名の社員の話を聴くことを自ら実行している。