中小企業が採用で苦戦する理由は?採用力を高める多角化戦略で差別化を!
採用・育成
こんにちは、ヤマチユナイテッドの山﨑です。
会社の成長と事業規模の拡大を図る中小・中堅企業にとって、採用活動は大切な勝負どころです。
しかしながら経営者や採用担当者の皆さんにおいては、「採用が思うように進まない」「求めている人材を獲得することができない」と悩んでいる方も非常に多いですよね。
今回は、中小企業が採用で苦戦する理由についてご説明します。
あわせて、多角化戦略が採用活動において有利に働く理由についても解説。
多角化を企業戦略の一つとして掲げている、あるいはこれから多角化していこうと動き始めている会社であれば、他社と差別化することが可能となり、多角化自体が採用活動の強力な武器になり得るでしょう。
私たちヤマチユナイテッドの事例を交えながら、多角化を採用活動に上手に活かす方法もご紹介します。
目次
- 中小企業が採用で苦戦する理由は?
- 中小企業は多角化戦略で差別化を!採用活動において有利に働く理由を解説
- 中小企業の多角化は求職者にもメリットが!
- 多角化を活かしたヤマチの採用活動成功事例について解説
- 採用で苦戦している中小企業は「多角化」で他社と差別化を!
中小企業が採用で苦戦する理由は?
資金やマンパワーが不足している、採用専門の部署がないなど、中小・中堅企業が採用活動を行うにあたって苦戦する理由にはさまざまなことがあげられます。
中小企業が採用で苦戦する理由は3つです。
①集客不足
中小・中堅企業の採用活動がうまくいかない根本的な理由は、基本的に集客の少なさにすべてが集約されるのではないかと私は思っています。
集客は、自社に適した人材や優秀な人材を採用するために重要なポイントです。
1回の集客で数十人単位の学生さんが集まるのなら、やりようはいくらでもあります。
「欲しいと思う人材がいない」「内定までほとんど残らない」ことが問題なら分析も対策もできますが、そもそも集客ができないと分析のしようもありません。
②大手企業との差別化ができていない
なぜ集客ができないかというと、大手企業に比べて知名度と条件面で見劣りしてしまうことが一つ。
次に、他社と自社を差別化するだけのポイント訴求がうまくできておらず、学生さんたちに見つけてもらえない、選んでもらえないこともあるでしょう。
③採用活動における体制の弱さ
採用のノウハウやリソースも、やはり大手企業に比べると少ないことが考えられます。
経営者の皆さんが本当に必要だと思えばきっと、採用活動にお金も人も使いますよね。
ですが、確実に人材が採れるかわからないので、思い切り使えないことが現状でしょう。
この3点が採用における主な課題の要因になっていると思います。
中小企業は多角化戦略で差別化を!採用活動において有利に働く理由を解説
中小・中堅企業の採用活動の不振が集客不足によって引き起こされているならば、私は「多角化」をアイキャッチとして利用することを提案します。
ここしばらくは売り手市場が続いており、学生さんにとっては選択肢が多数あって内定も複数持っているという現状。
採用活動を行なっている企業側からすれば、他社との違いや優位性をいかにして見つけてもらい、選んでもらえるかが大きな課題となっています。
中小・中堅企業は知名度や条件面で大手企業に見劣りしてしまうことから、そもそも母集団形成ができない、集客ができないといったことがあって、せっかくの魅力が埋もれてしまいがちです。
採用戦略を組むといっても、まず学生さんが集まらないことにはどうにもならないと困っている方も多いのではないでしょうか。
そこで「多角化」をどう利用するかをお話ししていきます。
もちろん単一事業が悪いわけではありませんが、それのみで採用活動を進めるとなると、エリア内でトップである、上位に位置づけている会社でないと、なかなか学生さんの目に留まりにくい側面もあると思います。
学生さん自身、早い段階で「どうしてもこの業種の会社へ」と絞って就活を進めている人は実はあまり多くありません。
複数事業を手がけている会社であれば「どの業種が自分に合っているのか」と悩んでいる人へ多様な選択肢を提示できるというアドバンテージがあるのです。
また、就活生へのアピールとして「挑戦的な会社です」「多様性を重視する会社です」「成長できる会社です」と自社のイメージを提示する会社はたくさんありますが、果たしてそれは学生さんにとって納得できるでしょうか?
言葉だけでは根拠に乏しいところがありませんか?
その点、「多角化しています」というメッセージは明確な事実です。
「多角化」という言葉から「色々なことに挑戦する風土がありそうだ」「多様なタイプの人材を受け入れてくれるのではないか」「新しいことをあれこれ経験させてもらえて自分も成長できるかも」と、企業風土を想像することができます。
事業の多角化に成功しているヤマチの魅力
例えばうちだと、住宅販売やライフスタイル提案といった「B to C」の事業もあれば、建材卸など「B to B」の事業もありますから、「ヤマチユナイテッド」の中だけでも業種の選択肢が複数あります。
さらに「多角化×地域密着・地元貢献」とアピールしているので、「地域社会に浸透し、地元貢献でやりがいがある」「そのために姿形を変えながらいくつもの事業を展開している」ということもイメージしやすく、学生さんの心理としてはより共感しやすいだろうと思うのです。
条件面で競合他社や大手企業と張り合おうとした場合、例えばシンプルに給料を上げれば注目されやすくなりますが、そこしか見てない人が増えてしまうかもしれません。
その中で優秀な志望者が増えたとしても、青天井で給料を上げ続けるわけにはいかないし、新卒の給料を増額するなら既存の社員の賃上げもしなければならないし...と考えると、すぐにできることではありません。
それなら、会社側でも「仕事のやりがいや成長の機会を与え、多様性を受け入れる風土に共感してくれる人」に狙いを定め、集客していくほうが良いのではないでしょうか。
私は「風土=理念」だと考えています。
「企業理念に共感してくれる人」に絞って集客すれば、例え母集団が数人と少なかったとしても、自社が求めている人材がその中に含まれている確率は高くなります。
給与などの条件面だけ上げて一本釣りするよりも、のちのちを見据えるなら経営幹部になるような生え抜きの人材を獲得することにもつながるはずです。
以上の理由から、採用活動において「多角化している」という事実は学生さんにも魅力的に映ると思いますし、企業としても過不足なく欲しい人材に訴求できるポイントではないかと思うのです。
Instagramを活用した採用活動で効果的なアピールを!
最近は、知名度の向上を図る意味でもInstagramを活用する会社も増えていますよね。
ヤマチユナイテッドも新卒採用専用のアカウントを開設し、2つの意図をもって運用しています。
ヤマチユナイテッド新卒採用Instagram(@yamachiunited)
ヤマチが新卒採用Instagramを運用する2つの目的
1つ目は、ヤマチユナイテッドの情報を求める学生さんに入口として活用してもらうこと。
今の学生さんにとってSNS、特にInstagramは手軽かつ重要な情報源です。
企業のWEBサイトを見たり、電話をかけたり、資料請求するより前の「どんな会社だろう」という段階でInstagramをチェックすることはもう当たり前のように行われています。
その際、ただ投稿内容を見るだけではなく、タグ付けやそれに対する投稿件数もチェックしているので、これらを調べたときに何もないとややマイナスのイメージに。
そういう意味でも、採用専用のInstagramアカウントを持ち、日々発信していることが企業に対する信頼感につながるのではないかと思っています。
2つ目は、学生さんへ発信したメッセージに確実に目を通してもらうこと。
合同企業説明会や各種メディア、情報サイトなどを通じて集客した場合、個人情報を取得する際には連絡先としてメールアドレスを教えてもらうことが多いのですが、ほかのメールに埋もれてしまって見てもらえないことも少なくありません。
学生さんたちが毎日頻繁に見ているのがInstagramですから、集客したらまずは自社のInstagramアカウントをフォローしてもらったほうが新しい情報が伝わりやすいので、これを集客のフローとして入れておくべき。
現在の就活のスケジュールは、4年制大学だと3年生の春頃から就業感形成のためのインターンシップの募集がスタートしていたり、早いケースでは2年生から就活に入ったりすることもあります。
そのため、学生さんが情報収集する期間と、エントリーシートを提出するなど実質的な活動を始める期間との間に時間が空くんですよね。
それも半年以上、1年以上と長いので、その間にいかに学生さんとのリーチを増やすかが採用活動において重要です。
このとき、Instagramを入口として定期的に自社の情報を発信していくことによって、学生さんを飽きさせない、学生さんの注意を逸らさない工夫をすることです。
皆さんの中には「メールアドレスへDMを送ったが見てもらえなかった」という経験があるのではないでしょうか。
InstagramやSNSに投稿する内容にも意識を!
企業の方々からは「InstagramなどのSNSに何を投稿したら良いかわからない」という声もよく聞きますが、自社ならではの魅力が伝わる内容がおすすめです。
多角化を採用活動に利用するのなら、会社の成長性、多様性が感じられるところを意識して投稿すると良いですよ。
いわゆる「社風」をわかりやすく伝えることを心がけましょう。
例えば、内定式やキックオフミーティングのようなイベントの様子を投稿すると、うちではみんなでポーズをとって記念撮影するので、「ヤマチユナイテッドはフランクな会社だな」というように社内の雰囲気が伝わります。
また、多角化していることはポストがたくさんあるということ。
ポストがたくさんあるからこそ早いうちから役職につける可能性もあるし、その席も多いのです。
それこそ新事業がスタートしたという発信は、学生さんたち自身の将来を考える上でもポジティブに映ることでしょう。
皆さんの会社の魅力は多角化以外にも、企業スタンス、仕事のやりがい、人事制度、事業や商品・サービスの特徴、待遇や制度、経営陣や社員の人となり、経営基盤など、それぞれたくさんありますよね。
この中で何を訴求するのが良いか、これもまたそれぞれです。
うちではまず「社風」を大きなテーマとし、次に小テーマとして「多角化」「成長性」「若手中心」「グループ代表・山地 章夫の人的魅力が表れる就業観」といったことをあげており、これらの小テーマにマッチする内容を投稿しています。
「イベントがあったから投稿しよう」と漠然と情報発信するのではなく、「これらのテーマにマッチする年間行事をしっかり伝えよう」といった観点で内容を吟味しています。
このほか、若手社員の1日のスケジュールを紹介すれば学生さんが働き方をイメージしやすくなりますし、うちなら山地のインタビュー記事などを多めに発信することで、うちの社風がよく伝わると思っています。
あらかじめ小テーマを2つか3つ決め、「この時期はこれを発信しよう」と年間スケジュールにしておくと、ネタに困らず楽に続けることができるはず。
「知名度が上がらない」「他社との差別化が難しいために集客ができない」ところが中小・中堅企業の採用活動の課題であるとお話ししましたが、Instagramは費用をかけずに知名度を高め、他社と差別化することを可能とするツールですので、利用しない手はないですよ。
採用担当者が押さえておきたい求人媒体については、こちらのコラムでご紹介しています。
求人媒体のメリット・デメリットは?活用方法とポイントを知ろう!
中小企業の多角化は求職者にもメリットが!
学生さんは、多角化している企業に対して「挑戦的」「多様性受容」といったイメージを抱くでしょうし、このほかに「多角化」という言葉からは「安定感」も連想することができると思います。
最近の学生さんは給与だけでなくやりがいや働きがい、社会貢献度も重視する傾向にありますが、安定志向は根強く残っています。
そこだけ重視して来られても厳しいのですが、「多角化を戦略として打ち出している企業は経営が安定しているだろう」という安心感を得られることは、求職者にとってもメリットであると考えられます。
確かに、私たちも次々と事業を立ち上げていくためには内部留保を毎年残して無借金経営、黒字経営を続けていかなければならないので、基盤はしっかり整えています。
また、「多角化」はさまざまな局面をイメージしてもらいやすいので、求職者にとって「選択肢が広がる」というメリットも。
企業研究に着手する時点で自分の軸が定まっていない学生さんは非常に多く、「この業種が良い」と言ってはいても「なぜその業種が良いのか」「どんな働き方をしたいのか」「本当は何が大事なのか」ということは就職活動の中で徐々に見つけていく人が大半です。
さまざまな企業を知るにつれて考えが変わり、最初に希望していた業種とはまったく違う仕事を選ぶ人もたくさんいます。
採用活動においては、こうして迷っている段階の人を早めに獲得するのが成功の秘訣です。
就職活動が実質的にスタートする2月や3月に自社の魅力を訴求してももう遅いので、その前の軸が定まらない段階で「この会社、良いかも」と思わせるのがポイント。
多角化している企業は色々な要素を含みながら割とポジティブな情報発信がしやすく、前向きな印象を与えることが可能です。
多角化経営ならではの強みは?ヤマチの事例をご紹介
ヤマチユナイテッドのある事業部に応募してくれた学生さんの話です。
インターンシップなどに参加するうちに思考が整理されて軸が定まったようで、「志望先をグループ内の別の事業部に変更したい」ということがありました。
別の事業部で就職試験を受けられるかどうかはその時々の状況にもよりますが、ヤマチユナイテッドのグループ内で志望先の変更があっても、根幹となる考え方や価値観、人的魅力、行動特性はグループ共通です。
経営理念、経営方針もグループオールで共有していますから、志望業種が変わったとしても、学生さんがヤマチユナイテッドに対して魅力を感じてくれた部分はどの事業部、どの法人に属しても変わりません。
あとは、「この中で何をやりたいか」という細かい部分の確認を進めていけば良いのです。
グループの根幹である理念に共感さえしてくれていたらどの事業部でも活躍できるし、学生さん自身も選びやすいのではないかと思います。
そもそも多角化を進めるにあたっては自社の理念に基づいて新規事業を開発するはずですから、それらに共通する考え方として理念を表出しやすいのも魅力となるでしょう。
ヤマチユナイテッドは50事業ほどを展開していますが、皆さんの会社においての事業数は2つでも3つでもかまいません。
「複数の事業を手がけている」「これから増やしていきたいと思っている」ところだけクリアできれば、「多角化企業」に「地域密着」などのキーワードをかけ合わせて自社の魅力を打ち出していくことでそれ自体が強みとなり、他社との差別化ポイントにもなって集客しやすくなると思います。
多角化を活かしたヤマチの採用活動成功事例について解説
多角化戦略を採用活動に活用した事例としては、複数事業を展開することによる差別化ポイントを出せることがあります。
このほかにも採用活動に「多角化」が活かされた事例をご紹介します。
事例①迷っている段階の学生さんを獲得できる確率が高まった
どの会社を受けようかと悩んでいる学生さんにとっては、インターンシップに複数のコースがあることは参加の動機になるようです。
率直に言って、うちのインターンシップは「練習」のつもりで受けに来てもらってかまわないと思っています。
インターンシップは就業感を形成するため、働くことをイメージしてもらうためのものなので、「色々な職種、業種のあるヤマチユナイテッドにまず行ってみようかな」と、数ある選択肢の一つとして気軽に参加してもらえれば良いという感覚です。
学生さんの中には、うちで用意しているインターンシップのコースの一つに参加した結果、「やっぱりこっちかな」とリピートする形で別のコースを受けてくれる人も一定数います。
どちらにしてもグループ内の話なので、ヤマチユナイテッドとしては多角化のおかげで人材を逃さずキャッチできる可能性が高いのです。
顕在化しているニーズよりも、潜在的に迷っている層を獲得しやすいのが多角化の良いところだと思います。
事例②「B to C」の事業を持つことで認知度がアップ
「B to B」がメインの会社でも、「B to C」の事業を持つと屋号の認知度が高まるメリットもあります。
ヤマチユナイテッドは建材卸、つまり「B to B」を創業事業とし、住宅販売やインテリア、飲食など「B to C」の周辺事業を開発することで規模を拡大してきました。
「B to B」の事業で対企業の認知度は高くても、直接の顧客でない一般ユーザーに対しては認知度がまだまだ低い状態ということはよくあります。
これが「B to C」の事業を持っていることによって、例えばライフスタイルショップ「The JOHNSON STORE」や、機能訓練専門のデイサービス施設「きたえるーむ」などの形で一般ユーザーにも認知されるようになります。
学生さんが就職活動を通じて「あの店を経営しているのがヤマチユナイテッドなのだ」と知ってくれると親近感が湧くでしょうし、親御さんに対しても安心感を与えることができると思います。
Instagramアカウントの運用においても同様で、うちでは「B to B」の事業でもアカウントを持っていますが、投稿時に「ヤマチユナイテッド」のハッシュタグを付けることによって、学生さんが「#ヤマチユナイテッド」で検索したときに色々な窓口があることを知ってもらえるのです。
事例③採用活動の中に自社の活動支援を盛り込むことができる
カフェなどの飲食事業を持っている会社なら、ぜひ参考にしていただきたい事例です。
当グループが運営する「The JOHNSON STORE」はインテリアや家具、カフェなどライフスタイルを複合的に提案するショップです。
店内には一般のお客様を集めてワークショップなどを行うためのワークスペースがあるので、会社説明会をここで行うこともできます。
その際、学生さんたちに室内のインテリアを見てもらいながら店舗立ち上げの経緯なども話したりするのですが、おしゃれで開放的な空間が好評です。
また、内定者懇親会には当グループが飲食事業として手がけるカフェダイニング「inZONE TABLE」を利用します。
就業体験とは別に、お客様に近い目線で現場を体感してもらうことができるのも良いところだと思いますし、グループに所属する現場社員とも交流する機会を持つことができます。
学生さんには「こんな事業もやっているんだ」と自社を知ってもらい、安心感を与えることができるため、大きな相乗効果が生まれます。
新卒採用のコツについて詳しく知りたい方は、こちらのコラムもあわせてご覧ください。
新卒採用を成功させる7つのコツ!採用担当の仕事内容や心構えも
事例④採用活動に張り合いが出た
複数の職種、複数の業種を募集することによって、各事業部の採用活動に張り合いが出てくるようになりました。
隣の事業部が頑張って新卒者を獲得しているのを見ると「よし、うちも!」と発奮するようです。
採用活動には現場の協力を仰ぐ場面が多々ありますが、一般的には「業務が忙しくて...」と言われてしまい、うまく進まないケースもよくあると聞きます。
ヤマチユナイテッドでは代表自ら「採用も重要な業務の一つである」と社員に明言しているので、基本的には好意的に協力してもらえますが、各事業部の張り合いが生まれたことにより採用活動に対する積極度がさらに高まったように思います。
また、ヤマチユナイテッドでは多角化と同時に連邦経営も推進しているので、異なる事業部同士で協力して採用活動を進めることもあります。
前項のインターンシップのお話のように、学生さんの求めている働き方が自分の事業部のそれとは違うようだと感じた場合、「でも隣の事業部なら合うかも」と別な選択肢を提示することができるのです。
「ヤマチユナイテッドが好きだ」という根底の部分さえクリアしていれば、自分の事業部で採用できなくても、隣の事業部に「そちらで就職試験を受けさせてもらえないだろうか」と交渉する手もあります。
グループオールで考えると母集団の人数は減りませんし、どの事業部、どの法人においても理念を共有していることで貴重な人材を漏れなく採れる確率が高まることもこの事例が示しています。
事例⑤人材育成と事業拡大が連動する
ヤマチユナイテッドでは新入社員全員を幹部候補生とみなしています。
私たちは多角化することによって成長する企業であり、多角化を進めるためには各事業を任せられる人材の育成も必須。
だからこそ、新入社員はいずれ事業責任者となるべき人材として育てていこうという考え方です。
これはやはりポストがないとできないことです。
ポストもただ用意すれば良いものではなく、ある程度の責任を持たせる、つまり権限移譲ができるかどうかがポイント。
例えば、業績に関する数字をオープンにする、それに基づいて現場の社員たちに経営計画を立ててもらうなど、ある程度の権限を与えた上で「任せる」環境を整える必要があります。
当グループの経営手法の一つとして「システム経営」がありますが、これは自主計画、自主管理、自主分配という三本柱で成り立っており、社員は若手のうちから自分たちで計画を立て、自分たちで進捗を管理し、自分たちで成果を分配することを行なっています。
研修や仕組み・制度も大切ですが、中小・中堅企業の例に漏れず現場の業務も忙しいため、実践と育成を同時に進める必要があるからです。
それだけに、ヤマチユナイテッドが新入社員研修として実施している「フレッシャーズキャンプ」では、決算表の数字の見方や計画の立て方を学び、実際に新規事業計画を立てて発表するまで、経営の基本を一通り学べるようにしています。
若いうちから経営に参加することで業績の良し悪しが我が事となり、入社2年目の社員が新店舗の店長に任命されるといったようなこともありますね。
ポストを与えられると責任が発生しますから、責任を全うしようと自分の頭で考え、自主的に行動するので成長スピードも飛躍的に高まります。
多角化している、あるいは多角化を目指している企業に対して、学生さんもポストが増えることに期待するでしょうし、やりがいにつながります。
うちのように社員自ら新規事業を興すことを推奨している企業であれば「自分はこの会社でこの事業をやりたい」ということが志望動機にもなるでしょう。
実際にうちに来る学生さんの中にはそこに最も惹きつけられたという人もいます。
採用で苦戦している中小企業は「多角化」で他社と差別化を!
中小・中堅企業が採用活動で苦戦する理由として、資金やマンパワーの不足がよく挙げられますが、そもそも集客ができないと分析のしようもありません。
そのため、中小・中堅企業の採用活動がうまくいかない根本的な理由は、集客できないことだと思うのです。
中小・中堅企業の採用活動の不振が集客不足だといえるなら、多角化をアイキャッチとして利用することを提案します。
採用活動において「多角化している会社です」と発信することは、抽象的な言葉を使うのに比べると事実に基づいていてわかりやすいだけに、ポジティブなイメージで捉えてもらえるでしょう。
学生さんたちには「挑戦的」「多様性を受け入れる風土」「成長できる」「安定している」といった印象を与えることができるのではないでしょうか。
特に自分の軸が定まっていない段階の学生さんたちにとって「多彩な選択肢がある」というところはとても魅力的に映ると思います。
企業側としても、理念に共感してくれる人材の母集団を減らさずに、漏れなく採用できる確率が高まることは大きなメリットとなるでしょう。
「多角化」をキーワードに自社の理念や企業風土を打ち出していくことで、他社と差別化することが可能となり、学生さんに自社の魅力が伝わって、集客にも良い影響を及ぼすはずです。
ヤマチユナイテッドでは、多角化にともなって発生する課題を解決し、楽しく経営を続けるための「連邦・多角化経営実践塾」をはじめ、経営者や幹部の皆さんを対象とする各種研修やセミナーを随時開催しています。
時期によってはフレッシャーズキャンプをテーマにした研修もご用意していますので、ホームページからスケジュールをご確認ください。
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Authorこの記事の著者
株式会社ヤマチマネジメント|経営支援事業部 |カンパニー長
山﨑 舞
人材総合サービス会社の営業部勤務を経て2018年(株)ヤマチマネジメントへ入社。前職では採用広告サービスの販売営業部で戦略スタッフとして企画・販促・アシスタント業務を担当。その際、元々取引先だったヤマチユナイテッドの社風やミッションに惚れ込み、転職を決意。現在は経営支援事業部で企画・運営を担当しつつ、営業推進チームリーダー兼人財開発コンサルタントとして活動。企業の新卒採用・育成を支援している。