新入社員研修では何をする?フレッシャーズキャンプ運営事務局の仕事を大公開!
採用・育成
こんにちは、ヤマチユナイテッドの山崎です。
新卒者を対象とした新入社員研修は、いずれ会社を支えてくれる人材の基盤を形成するという意味でも力を入れたいところ。
しかし、中小中堅企業では新入社員研修専任の担当者を配置することが難しく、どう進めたものかとお悩みの声もよく聞かれます。
ヤマチユナイテッドでは新入社員全員に幹部候補としての期待をかけているため、OJTとは別な観点で構成した独自の研修制度「フレッシャーズキャンプ」を新入社員研修として取り入れています。
継続的に新卒採用をされている、もしくはこれからされたいという企業にとっては、入社後の研修は是非とも内製化したいもの。
当グループが実施している「フレッシャーズキャンプ」は、業種・業態を選ばず導入でき、若手社員を将来的に幹部へ育成したい企業にぴったりの研修です。
その運営事務局の仕事を公開しますので、ぜひ皆さんの参考にしてみてください!
目次
- ヤマチユナイテッドの新入社員研修「フレッシャーズキャンプ」とは何をする?
- 新入社員研修を運営する事務局スタッフを選定!向いているタイプとは?
- 新入社員研修運営事務局の人員構成と必要人数
- 新入社員研修を運営する事務局の仕事と効率化のコツ
- 新入社員研修「フレッシャーズキャンプ」では運営スタッフも一緒に育つ
ヤマチユナイテッドの新入社員研修「フレッシャーズキャンプ」とは何をする?
ヤマチユナイテッドの新入社員研修「フレッシャーズキャンプ」は、新卒採用の新入社員たちを約1年で即戦力の人材へと育てる仕組み。
当グループでは「THE 100VISION」実現のため、積極的に新規事業を立ち上げていますから、各事業のトップとしてリーダーシップを取れる人材が大勢必要です。
新入社員には一日でも早く、その役割を担えるようになってほしい...そんな思いから「フレッシャーズキャンプ」は始まり、年々ブラッシュアップしてきました。
この研修制度の大きなコンセプトは「幹部社員を育てる」ということ。
仕事を覚えるためのOJTやテクニカルスキルの習得を狙った研修とは異なり、コミュニケーションスキルを筆頭とした「ヒューマンスキル」と、物事を概念的に捉える「コンセプチュアルスキル」を中心に伸ばし、自律型人材を育てることを目的としています。
フレッシャーズキャンプ受講生には「超積極参加」「直球&素直」「段取り&時間厳守」という3つのルールを提示。
とにかく自発的に発言する、間違いを恐れない代わり指摘は素直に受け入れる、通常業務と並行して研修に余裕を持って参加できるよう自分で部署内調整をするといったことを意識的に行なってもらうためのルールです。
研修が終了する1年後のゴールイメージは毎年のテーマ感によって微調整しているところもポイント。
うちの採用の傾向としては、代表・山地 章夫の意向や社風に沿い、人好きで素直、人前で話すのに抵抗がないような人が多く集まる傾向があります。
こういった長所を強みとして伸ばすことを継続しつつ、近年はさらに「パッションとロジカルを兼ね備えた自律型人材を育てる」というテーマが加わりました。
「じっくり考えてから発言するタイプだけれど、人前で話すのは苦手だ」という子には、話す度胸が身に着くような既存のプログラムで良いのですが、元々話し好きのタイプのために、構成力や説得力がより増すようロジカルの部分を磨けるプログラムを追加しました。
プログラムには即興スピーチやフレームワークなど、アウトプット型のものを中心に取り入れています。
新入社員研修に対して山地の最終的なオーダーは「入社1年目の社員でも会議で自分の意見を積極的に話せるようになってほしい」というもの。
会議の流れや論点などを整理して、自分の意見をしっかり伝えられる社員に育てるべく、プログラムを毎年見直したり、追加したりしているのです。
研修の最後には自分たちで新規事業計画を立て、みんなの前でプレゼンテーションを行なってもらいます。
これが実際の新規事業に結びついていくこともあり、非常に実践的な新入社員研修制度になっていると自負しています。
新入社員研修のプログラムについては、こちらのコラムもあわせてご確認ください。
新入社員が成長する研修プログラムとは?成功ポイントや事例を紹介
新人社員研修を行うときにもっとも大事なのは「何のために行うか」「受講生にどうなってもらいたいか」この2つにブレが生じないようにすること。
その上で、とにかく手間がかからない方法を模索しながら自社流の研修にしていくのが良いと思います。
ここで負荷がかかってしまうと何をするにも腰が重くなりますが、「いつでもどこでも誰でもできる」という軽さで行えば、専任スタッフを置かずとも成立します。
それで運営スタッフの負担を軽減できるならば、中小中堅企業にも取り入れやすいでしょう。
新入社員研修「フレッシャーズキャンプ」のメリット
企業の新人社員研修はすでに取り入れているところ、取り入れようと思っているところで大きく分かれると思いますが、いずれにしても共通しているのは「運営にはかなりのパワーが必要だよなぁ」と考えている方が多いこと。
特に新しく始めようとしているケースだと、「何から準備すれば...」「どれくらいの人員で...」などと迷うと思います。
うちもそうですが、そもそも中小中堅企業では大手のように新人社員研修専任の担当を置くこと、まして採用担当と研修担当を別々に任命できるほどの体力はありません。
となると、採用を担当する人が研修の運営も兼任することになりがちです。
その点、当グループの「フレッシャーズキャンプ」の運営は「社内委員会(社内プロジェクト)」という形で、あえて各事業部の現場で働く若手社員に任せています。
だからなおさら、運営側の負荷は下げつつ効果的に行いたいという思惑があります。
アウトプット型のプログラムを数多く設けているのもそのためです。
「若手社員に任せて大丈夫かな?」と少々心配になる方もいらっしゃるでしょう。
ですが「フレッシャーズキャンプ」では新入社員だけでなく、運営を担う2〜3年目の若手社員もしっかり育つメリットがあります。
まず、社内調整力が格段にアップします。
「フレッシャーズキャンプ」は社長直轄で、かつ現場社員が社長とやり取りする唯一の企画なのですが、多忙な山地と打ち合わせするための日程調整から資料準備などの根回しまで若手社員が自分たちで行うので、ここは本当に目に見えて伸びていきます。
先輩社員を呼んでスピーチをしてもらうプログラムもありますから、テーマを用意したり、先輩方に根回ししつつ協力を仰いだりと、事務局外の人とのやり取りも経験します。
次に、プログラムの設計力が高められること。
ゴールイメージを定め、研修の流れをどう設計して、新入社員をどう導くか...と、若手に深く思考させる機会を与えることができます。
あとは、後輩の育成を経験させてあげられることも大きいと思っています。
2~3年目の若手社員にとっては役職が付く前のプレ体験ともいえるかもしれません。
自部署にも後輩は入ってきますが、「フレッシャーズキャンプ」は多い時で20人くらいの新入社員を統括しなければならないので、多様な価値観を受容できるようになるところが一番のメリット。
「ああ、こういう子いるよね」というような心の余裕は、実際に経験してみないと培われない感覚です。
ほかにも、新入社員から寄せられる質問にわかりやすく答えられるよう工夫したり、相手のコンディションを見ながらコミュニケーションを図ったりするように気遣いができるようにもなります。
運営側としては「自分だけ学べば良い」という領域から次の段階へ進んだ仕事が求められるので、「フレッシャーズキャンプ」を通じて「視点の変化」が得られることはとても貴重な体験となっているはずです。
「新人教育を丸投げして成功するコツは?先輩社員も一緒に育てる方法」もあわせてご確認ください。
新入社員研修を運営する事務局スタッフを選定!向いているタイプとは?
新入社員研修を始めると決めたとして、どんな人材を事務局に配置するかが次の悩みどころになるでしょう。
当グループの「フレッシャーズキャンプ」は運営事務局のスタッフを任命制としています。
選ぶときの基準は「入社2~3年目の若手」で、「面倒見が良くて責任感がある人」「物事を俯瞰的に見られる人」。
うちの場合、実は「フレッシャーズキャンプ」受講生を次年度、次々年度の事務局スタッフ候補としています。
とはいえ、いきなり「あなたが選ばれました!」と任命するわけではありません。
受講中から「繰り上がり制で事務局スタッフになる可能性がある」ことを匂わせつつニーズを拾っていき、最終回の懇親会などで「どう?やってみたい?」と探りを入れます(笑)。
当然ですが、やる気がある人、新入社員を「お預かりする」意識がある人が大前提で、これがなければどんなに適性があっても任せられません。
そして所属部署の上長への確認も必須です。
実業務と並行して研修を行うので、その兼ね合いも考慮する必要がありますし、もしかしたら次年度は役職が付くかもしれません。
その上で上長が「大丈夫じゃないかな」と判断すれば、本人に意思確認をする流れです。
初めてこういう形式で新人社員研修をしようとすると「現場だって忙しいのに」と、社内の理解を得られにくいケースも考えられます。
最初のうちはトップダウンで「研修の運営も大切な仕事である」ということを社長自ら社内に宣言してもらわないといけません。
ヤマチユナイテッドでは「新入社員の育成も会社運営の上で大事な業務」、だから「フレッシャーズキャンプは社長自身が直接関わる重要な研修」であることが浸透しています。
「フレッシャーズキャンプ」を経験した受講生もすでに相当な人数になっていますから、「研修は大事だよね」という意識がしっかり根付いているように思います。
新入社員研修運営事務局の人員構成と必要人数
新入社員研修の運営事務局のスタッフは、先ほどご説明したように2~3年目の若手社員から選ぶと、受講側、運営側双方が成長するのでおすすめです。
ほかに、社長を筆頭とする経営幹部の方々はマストで入っていただきたいですね。
新入社員研修は会社全体で動かさないといけないのですが、現場の理解が得られないことも考えられます。
社長と幹部が入らず若手だけに運営を任せると社内調整が効かず負荷がかかりすぎますし、経営層と考え方に乖離(かいり)が生まれる可能性もあります。
人員構成の割合としては、監修する立場として幹部が数名、その他を実働する若手社員で構成するというような割合がベストだと思います。
必要人数については受講側の新入社員の数にもよりますが、運営スタッフ1人で新入社員2〜3人を見るくらいがちょうど良いのではないでしょうか。
新入社員研修を運営する事務局の仕事と効率化のコツ
当グループの「フレッシャーズキャンプ」は毎年4月から12月にかけて月1回行なっており、事務局の仕事はプログラムの企画・運営、幹部や現場社員に協力してもらう場合の社内調整など多岐にわたります。
運営側も実業務を抱えている現場社員ですから、なるべくマンパワーがかかり過ぎないよう、それでいて効率的な方法をいろいろと工夫しています。
これから研修を始めようとしている皆さんにもコツをお伝えしましょう。
研修プログラムはアウトプット型中心に、資料をあまり作らない
インプット型のプログラムが多めだと、そのための資料の準備や講義の準備が必要です。
専任の担当者なら良いですが、実業務と兼務となると準備の時間もなかなか取れません。
そこで、ちょっとしたフレームワークを利用するようなワークショップを複数用意しておくことをおすすめします。
例えば、うちでも採用している「ビジネスモデルキャンバス」。
ビジネスモデルを「コスト構造」や「収益の流れ」など9つの項目から分析するフレームワークです。
新入社員でも名前を知っているような有名企業の分析や、サブスクリプション制の音楽配信サービスやフードデリバリーなど、普段の生活になじんでいる業態を分析させると興味を持って取り組んでもらえます。
1回目にレクチャーすれば、2回目以降はお題を変えて何度も繰り返していけるので運営側としてはすごく楽。
受講側も、初めはシートを埋めるのに苦労しますが、回を追うごとにすらすら書けるようになっていくので達成感を味わわせてあげることができます。
おすすめとしては「即興スピーチ」もぜひプログラムに入れていただきたいですね。
準備するのはお題を書いた紙とくじ引きの箱だけ。
受講者には箱から紙を引いて話をしてもらいますが、お題は何でもかまいません。
-
「皆に薦おすすめしたい映画やドラマ」
-
「昨日の晩御飯」
-
「最近感動したこと」
-
「出身地自慢」 など
「出身地自慢」は、札幌市内なら「出身区」でOKです。
「◯◯区はおいしいラーメン屋さんが多くって」など、その人の趣味や価値観を反映した楽しい話が聞けると思います。
「自部署であこがれる先輩社員」も、身近で面白い話題なのでとても盛り上がります。
時にはそんな先輩社員に協力をお願いして「社内講師」として来てもらいましょう。
社内調整は少し大変かもしれませんが、事務局外の人に話をしてもらえると、新入社員にとっても新しい関係性が作れるメリットがあります。
そして、「即興スピーチ」に近いですが、新卒採用の際の合同説明会を模倣した「採用スピーチ」もぜひ試していただきたいですね。
受講生2名に学生役と採用担当者役とをそれぞれ割り振り、合同企業説明会のブースで質疑応答する場面のロールプレイングを行なってもらうのです。
ヤマチユナイテッドでは新卒採用のリクルーターも1~3年目の若手に任せているので、採用スピーチを繰り返し行うとすぐにでも合同企業説明会に連れていけるくらい、自社の情報が頭に入りますし、新卒者にも落ち着いて対応できるようになります。
採用スピーチは準備不要でその場ですぐできるので、本当におすすめです!
これらの新入社員研修プログラムを企画する際には、資料は極力少ない方が良いと思います。
紙を何百枚も印刷して一枚ずつ重ねて綴じて...なんて作業は時間も手間も紙ももったいない。
もし資料を用意するならフレームワーク用のワークシートくらいで十分。
各自にノートパソコンが当たるのであれば、研修時に持ち込んでオンラインでファイル共有するとさらに効率的です。
経営層にしっかり入ってもらう
前項でも書いたように、経営層に「新入社員研修は実業務と同様に重要な仕事である」と明言してもらうことによって、運営スタッフが動きやすくなります。
新入社員研修運営事務局外の人を巻き込む
新入社員研修では運営事務局だけでなく、現場の社員を巻き込めば、実業務と研修の運営を兼務することについて、社内での理解が得られやすくなるでしょう。
社内講師を依頼する場合は社外の人を手配するよりハードルが低いし、準備の手間も少なくて済みます。
さらに、新入社員にとっては自部署以外の先輩社員と触れ合う機会になるので、社内の人間関係が広がるメリットも得られます。
新入社員研修「フレッシャーズキャンプ」では運営スタッフも一緒に育つ
ヤマチユナイテッドの新入社員研修「フレッシャーズキャンプ」は、新卒採用の新入社員たちを約1年で即戦力の人材へと育てる仕組み。
「THE 100VISION」実現のために「幹部社員を育てる」というコンセプトのもと、新規事業のトップを担う人材を短期間で多く確保するために年々ブラッシュアップしています。
フレッシャーズキャンプで主に学ぶのは、コミュニケーションスキルを筆頭としたヒューマンスキルと、物事を概念的に捉えるコンセプチュアルスキル。
アウトプット型のプログラムを多く取り入れながら、研修の最後には自分たちで新規事業計画を立て、みんなの前でプレゼンテーションを行なってもらう流れになっています。
フレッシャーズキャンプの運営を担うのは入社2〜3年目の若手社員。
現場の実業務と兼任になりますが、研修を直轄する社長をはじめ、事務局外の社員に協力を仰ぐこともあるため社内調整力が格段に向上します。
また、プログラムの設計や後輩社員の育成などを通じて、他者の視点から物事を見るということを役職が付く前の早い時点で体験できるので、さまざまな面で運営側も成長する点も「フレッシャーズキャンプ」の大きなメリットの一つです。
スタッフは「フレッシャーズキャンプ」受講生の中から「面倒見が良くて責任感がある人」「物事を俯瞰的に見られる人」といったことを基準に任命されます。
受講中から適性ややる気の度合いを何となく測っておいて、最終的に上長の判断と本人の意思を確認した上で現場の業務と兼任するという形です。
新入社員研修の運営事務局は、こうして選ばれた若手社員と、社長を含むほぼ同数の経営幹部で構成されるのがベストです。
具体的な人数は、新入社員2~3人に対して若手社員を1人つけるといったところでしょう。
マンパワーをあまりかけず、効率良く研修を進めていくためのコツは3つ。
-
研修プログラムはアウトプット型中心に、資料をあまり作らない
-
経営層にしっかり入ってもらう
-
新人社員研修運営事務局外の人を巻き込む
初めて研修を行う場合、まずはトップダウンで社長自ら「新人教育は会社を運営する上で重要な業務の一つである」と社内に周知することで現場の理解が得られやすくなり、運営スタッフの負担を軽減することができます。
また、若手社員に任せることで運営側も育成され、一山越えて一皮むけた社員になってくれますから、「フレッシャーズキャンプ」の手法をどうぞ真似してみてください。
ヤマチユナイテッドでは「フレッシャーズキャンプ」をはじめ、自社グループの成功事例を教材としたセミナーや研究会を随時開催しています。
参加を検討してみたい方は、ホームページでスケジュールをご確認ください。
SHARE! この記事を共有する
Authorこの記事の著者
株式会社ヤマチマネジメント|経営支援事業部 |営業推進チームリーダー・人財開発コンサルタント
山﨑 舞
人材総合サービス会社の営業部勤務を経て2018年(株)ヤマチマネジメントへ入社。前職では採用広告サービスの販売営業部で戦略スタッフとして企画・販促・アシスタント業務を担当。その際、元々取引先だったヤマチユナイテッドの社風やミッションに惚れ込み、転職を決意。現在は経営支援事業部で企画・運営を担当しつつ、営業推進チームリーダー兼人財開発コンサルタントとして活動。企業の新卒採用・育成を支援している。