新卒採用担当の悩みと解決策とは?社内を巻き込む方法を解説

採用・育成

山﨑 舞
山﨑 舞

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こんにちは、ヤマチユナイテッドの山崎です。

新卒採用は経営戦略上でも非常に大切な業務の一つ。

ただでさえ期間が限られていて慌ただしく、かつ多岐にわたる採用活動のなか、社内の問題で担当者が抱え込んでしまう悩みは少なくありません。

今回は、新卒採用担当の悩みにはどんなものがあるのか、その解決策についてもご紹介します。

このコラムが新卒採用担当の皆さんの悩みや負担を、少しでも解消する手助けになれれば幸いです。

目次

  1. 新卒採用担当の悩み「マンパワー不足」の原因とは?
  2. 新卒採用担当の悩みと解決策とは?
  3. 新卒採用担当の悩みを解決するには、採用活動=未来投資と考え全社で取り組もう

新卒採用担当の悩み「マンパワー不足」の原因とは?

私たち中小中堅企業における新卒採用担当の悩みとして、特に大きいと感じられるのが「マンパワー不足」。

採用活動はさまざまな業務を決まった期間でこなさなければいけないためとても忙しいのですが、中堅中小企業では人員を割くどころか専任の担当者を置くこともできず、ほかの業務と兼任させるケースがほとんどです。

日本では一般的に「新卒一括採用」の流れをいまだ踏襲していることが問題の根底にあります。

採用選考をするためスポットで一定期間ものすごく忙しくなるのに加え、インターンシップで学生を集客したり、大手に勝つために早期採用に力を入れたりと、昔に比べて活動期間の早期化・長期化も進んでいます。

また、エリアや職種、企業の強みによって採用に向けての取り組みや注力するポイントが異なるでしょう。

学生の動向、新卒市場といったトレンドも変動しやすく、毎回工夫や変更が必要なので「活動量が非常に多くて、うまく集客できなかった」という話も聞きます。

そして、採用担当は人前で話をする機会が多いイメージがあるかもしれませんが、一方で説明会の準備全般も行います。

例えば、投影スライドの作成、個人情報の管理、学生さんへのこまめな連絡といった地道な作業にも忙殺されているのです。

また、採用活動は本来なら「現場社員を巻き込んで全社で採用活動を行う」という意識で臨むのが大きなポイントなのですが、そういった現場への根回しも採用担当の仕事。

ここに挙げただけでも新卒採用の業務内容は多岐にわたるということがおわかりになると思いますが、とにかくやることが多いというのがマンパワー不足の原因です。

マンパワー不足からさらに引き起こされる悩みもあり、現場との連携がとれていない会社ではまた大変。

現場に頼れない分、採用担当が自ら動かなくてはなりません。

ある程度の集客ができる会社のケースで、すさまじい数の志望者の面接対応をすべて採用担当が引き受けることになっていると聞き、「これはきついだろうな」と思ったこともあります。

マンパワー不足の解消のために「活動期間を短縮して負担を軽減する」という対処の仕方も考えられますが、各社工夫しているとはいえ、蓋を開けてみないとわからないのが採用活動の怖さ。

その年の活動計画がうまくはまらない場合、一括採用の短期決戦でもし時期を逸すると大きな母数を逃してしまうことになります。

ですから、新卒採用計画を一旦出して「ダメだったらすぐ変更をかける」くらいのスピード感も必要なのですが、自分の思うようにいかない業務が多く、市場の動向も自身ではコントロールできないので、結果的にいろいろな業務がかさんでいくことも新卒採用担当の悩みといえます。

新卒採用担当の悩みとして、「孤独であること」も慢性的な悩みでしょう。

一般的な会社の業務と比べると採用担当の業務フローや活動スケジュールはイメージしづらいので、ここに対する理解が得られないと、現場の社員からは「採用担当って普段何してるんだっけ?」と思われて、採用活動の大変さを理解してもらえないケースは多々あると思います。

新卒採用担当の悩みと解決策とは?

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ここからは、新卒採用担当の悩みと解決策をそれぞれ具体的にご紹介いたします。

解決策①現場との連携

前段でも述べたように、「採用担当が日々何をミッションとしているか」「どういう働き方をしているか」「どんな工夫をしているか」が、現場の社員に見えにくいのが新卒採用担当の悩みのひとつです。

そうすると、例えばインターンシップの受け入れや講師役の選出などといった採用に関する業務を、忙しくしている現場の社員にお願いするとなったときになかなか受けてもらえなかったり、円滑に進まないことが多々あります。

採用活動、ことに新卒採用は未来投資で、3年後、5年後、10年後に効いてくる経営戦略の一つなのですが、現場の社員にしてみれば「猫の手も借りたいくらい忙しいのに、未来投資にそこまで時間を割けるか」と思われてしまうんですね。

全社的に視野の拡大、視座の多角化ができていないと、このようになってしまいます。

「採用活動(新卒採用)=未来投資」という、中長期計画を見据える目線が現場の社員の身についていないということですから、数字をオープンにし、それに基づく戦略・計画を共有し、採用担当含めて「どの部署・部門でどんな動きをしているか」がわかるようにしておくことが本来は必要。

「特殊な動き方をする採用担当が何をやっているかわからない」

「何をミッションにしているかわからない」という状況では、互いの理解が不足しているのです。

だから逆に、採用担当が現場を知らない場合にも確執が生まれやすいです。

採用担当にも、「最初から採用担当となるべくして入社する人」と「現場から引き抜かれて人事関連の部門に入る人」の2パターンあると思います。

1企業1職種の会社で現場の人を引き抜くパターンなら問題はないでしょう。

その点、うちのように多角化していて職種がたくさんある場合や初めから採用担当として入社した場合は現場を知らないことがネックになりやすいのです。

例えば、以下のような話をよく耳にします。

  • 年間の繁忙期を把握しておらず、一番忙しい時期に頼み事をしてしまう
  • 説明不足で必要なことが伝わっていない
  • コミュニケーションの不具合が偶発的に発生してゴタゴタしてしまった など

新卒採用担当と現場の連携を促進するための具体的な解決策としては、現場取材に入らせてもらうこと。

ただこれもやはり、採用活動が大切な未来投資であるという意識が浸透していない場合は「取材?なぜ?」と受け入れてもらえないかもしれません。

ヤマチユナイテッドは社員全員参加型のシステム経営を取り入れており、「現場の理解」という点では問題ありません。

現在の採用担当者も現場から上がってきた社員ですが、多角化経営で複数業態・職種を募集しているので、グループ内のあちこちへ取材に行っているようです。

現場の社員にはなるべく閑散期を選んで時間を取ってもらい、社内SNSを通じた取材で業務内容の詳細や働くなかでのモチベーションをヒアリングを行って、情報収集と同時に現場の理解を得るための工夫もしています。

一般的に、採用側の繁忙期は1月〜3月あたりが主流ですが、これが例えば不動産会社のように現場社員の繁忙期と重なる会社だとものすごく大変だそうです。

私の経験からお話しすると、製菓業界もクリスマスやひな祭りといったイベントが重なってくる時期でもあり、現場との連携がなかなか難しいように思います。

こういった場合には、繁忙期に入る前に早くから全社で体制を組んでおくよりほかありません。

解決策②経営者を巻き込む

すべてがそうとは言い切れませんが、採用担当者は現場の社員より立場的に弱くなることが多いようです。

これには「数字を持つ」部門とそうでない部門であるという職種の違いが影響していると思います。

実際には「どちらが偉い」ということではなく、「どちらも大切」なのですが、採用担当はいわゆる間接部門と呼ばれるところに属しているので、会社としては営業のように業績を大きく左右する部署が優先される雰囲気ってありますよね。

このような中で採用担当が自分の言いたいことを言うのはなかなか難しいと思いますので、そんな時は経営者の力を借りましょう。

先ほどもご説明したように、新卒採用は未来投資ですから、「採用活動は通常業務と同じくらい重要」であることをトップ自ら繰り返し発信し、現場を巻き込むための土台作りをしてもらうのです。

当グループ代表の山地章夫は、経営会議でも経営計画発表会でも事あるごとに「新卒採用は大事だよ」と言います。

多角化を進めるなかで「自分がしなければならない仕事」と「権限移譲すべき仕事」を仕分けして、今ではかなりの業務を部下に渡しましたが、新卒採用はいまだ手放さず「自ら関わる業務」としています。

経営者を巻き込むにあたっては、採用担当と経営者が直接顔を合わせ、対等に意見交換ができる場を複数回設けることも大切。

うちでは細かい手法は採用担当が考えますが、未来に投資することに対して経営トップに直接相談できるというメリットは非常に大きいと感じています。

こういった相談ができないと、何かにつけて後手後手になりがち。

採用活動はスピード勝負の一面もありますから、競合他社に勝つためにも必要なことだと思うのです。

例えば、今まで来なかった関東の企業が北海道に支店を作るからと急に採用市場に参入し、道内企業の集客がうまくいかなくなるケース。

「違うアプローチを考えたものの追加予算が必要」だというときに、経営者が決断すれば稟議を待たずしてすぐに行動を起こすことができるのです。

経営者を巻き込むメリットとしてはもう一つあり、トップ自らが採用活動に関わってメッセージを発信すれば、志望者である学生さんにも会社の魅力が伝わりやすいはず。

現在の山地は社長業というよりタレント業のような位置付けの活動がメインになってきています。

集客を意識してInstagramで発信したり、求める人材やメッセージングについて意見出しをしたり、採用担当にトレンドを聞いて学生さんに響く表現を練ったりと、さまざまな形で積極的に採用活動に参加しています。

解決策③トップダウンで採用活動の重要性を伝える

新卒採用担当の悩みと解決策①②と重なる部分もありますが、現場に向けて経営者から「採用活動に力を入れたい」ということをトップダウンで伝えてもらいましょう。

それが、現場の協力を得てマンパワー不足を補うための一番の解決策だと思います。

経営者自身が現場へ向けて発報する場があるかどうかは会社によりますが、メールでも月1回の社内報でも朝会朝礼でも良いですし、権限移譲が進んであまり会社に出てくる機会がないのであれば経営計画発表会や年頭所感のような場でもかまいません。

  • 「採用には力を入れたい」
  • 「採用とは3年後、5年後、10年後に皆さんを支える仲間を迎えるということである」
  • 「3年後、5年後、10年後の皆さんが楽になるための業務の一環でもあるから一枚岩となって頑張ろう」

こういったことをトップダウンで伝えてもらってください。

そしてもう一言。

「採用担当から依頼があったときには温かく受け入れ、一緒に協力してあげてね」

こちらもぜひトップの口から直接伝えてもらいましょう。

うちの経営計画発表会で配布される経営計画書には、山地がまとめた「経営方針」が載りますが、次期に望むことのなかにはたいてい採用や人材育成に関わるものが入っていて、それをきちんと公言します。

また、山地がまだ手放していない業務の一つに「フレッシャーズキャンプ」と呼ばれる新入社員研修があります。

「フレッシャーズキャンプを卒業したら、あとからまたどんどん仲間が入ってくる。卒業する皆さんは現場でももちろん活躍してほしいし、採用の場面でも協力をお願いすることがあるだろうから助けてね」という話を毎度のようにしているので、フレッシャーズキャンプを経験した社員には採用活動の重要性が自然と刷り込まれているはずです(笑)

ちなみに、このコラムで私が言う「トップダウン」とは、言い方を強くするという意味ではなく、経営者として大切にしていることや価値観をしっかり社員に伝えてほしいという意味です。

経営者が積極的に採用活動の重要性を発信してくれることで採用担当も動きやすくなるし、本領を発揮しやすい環境になっていくと考えています。

そうして採用担当と現場の社員がうまく連携できるようになると一番良いマッチングで人材を採れますし、互いに無駄な時間を取られることも少なくなっていくはずです。

もっといえば、徐々に良い流れを作り、それを「型」として毎年後輩に伝えていくのがベスト。

うちのリクルーターは学生さんと年が近い入社1〜4年目くらいの若手現場社員に任せていますが、4年目のやっていることを2年目、3年目に引き継いで翌年につなげてもらうトコロテン方式。

引き継ぎ資料もきちんと作って活用しているので、これだけ多角化していてもけっこううまく回っています。

トップダウンが効いていない企業だと、毎年引き継ぐ「線」でなく年ごとの「点」で採用活動を進めてしまうので、毎回苦労しなければなりません。

「採用活動にはずっと力を入れていくよ」と伝えることで、社員も「これはずっと続く業務なんだ」と認識して工夫するようになるので、「型」ができてくればマンパワー不足や時間不足を軽減することができると思います。

新卒採用を成功させるコツを知りたい方は、こちらのコラムもご確認ください。

新卒採用を成功させる7つのコツ!採用担当の仕事内容や心構えも

新卒採用担当の悩みを解決するには、採用活動=未来投資と考え全社で取り組もう

私たち中小中堅企業において、新卒採用担当の大きな悩みが「マンパワー不足」。

日本が新卒一括採用の流れをいまだ踏襲していることが問題の根底にあり、昔より集中して忙しくなる期間が早く・長くなっていること、変化に対応するために活動量が非常に多いこと、そもそも採用活動には煩雑な業務がたくさんあることなどが原因として挙げられます。

それらに伴って、現場の理解を得られにくいこと、孤独であることも採用担当の悩みだといえます。

採用担当と現場との連携が取れていないと、インターンシップなどの協力をあおぎたい場面でも「忙しいから」と断られてしまうケースは少なくないと聞きます。

コミュニケーションの不具合が原因と考えられますから、互いをよく知り、適切なタイミングで協力を依頼をするのが良いでしょう。

現場取材に入らせてもらうのも有効ですし、採用活動の繁忙期と現場の繁忙期がかぶる場合は早期に体制を整えておくことが大事です。

そして、採用活動に経営者を巻き込むと、採用担当から現場の社員になかなか頼みにくいこともトップの後ろ盾を得ることで堂々とお願いできます。

他にも、プロジェクトチームとして相談できる、追加予算が必要になるなど迅速な対応が求められる事態に直面しても決断が早い、トップ自ら学生さんに発信することで会社の魅力がしっかり伝わるといったメリットも。

さらに、経営者からトップダウンで採用活動の重要性を説いてもらうことにより、全社的に「協力すべきものである」という意識が浸透し、徐々に「型」ができていけばマンパワー不足や時間不足を補うことにつながります。

採用活動は未来投資であり、中長期計画を見据える視点を養うためにも、今回紹介したような取り組みを少しずつ実行していただけると会社全体が良くなっていくと考えています。

会社が成長するためには、社員全員が一緒に成長していかなくてはなりません。

当グループが主催する多角化経営研究会「PEAKS(ピークス)」では、中小中堅企業が多角化で成功するための経営ノウハウをお伝えしており、採用活動や人材育成に役立つテーマも多数ご用意しています。

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