幹部候補育成のポイント!社員全員が成長できるヤマチ流の研修と環境づくり
採用・育成

こんにちは、ヤマチユナイテッドの石崎です。
組織が成熟し、長期的な展望に目を向けられるようになると、会社の未来を支える若手人材の確保と育成が不可欠になります。
「できるだけ早いうちから幹部候補を育てたい」と考える一方で、「知識も経験も浅い若手の中から、どのように適任者を選べば良いのか」と悩む経営者の方も多いでしょう。
ヤマチユナイテッドでは、幹部候補育成に特化した特別な社内研修や外部研修を設けているわけではありません。
それでも、20代・30代の若手社員がすでに幹部となって活躍しています。
みなさんの会社にも、経営陣が想像する以上に幹部候補として成長できる有望な人材が潜在しているかもしれません。
今回は、ヤマチユナイテッドの幹部候補育成の考え方や、幹部候補が備えるべきスキル・マインド、そして幹部候補育成のポイントについて、詳しくお話ししていきます。
目次
- 幹部候補とは?ヤマチ流は新卒全員を幹部候補と考える
- 幹部候補の社員育成で重視すべきスキルやマインド
- 幹部候補育成のポイントは?研修と成長できる環境作りが重要な理由
- ヤマチは社員全員が幹部候補!育成のカギは全員参加型の新卒研修や環境づくりにあり
幹部候補とは?ヤマチ流は新卒全員を幹部候補と考える
「幹部候補」という言葉には、企業によってさまざまな意味があります。
まずは、幹部候補とはどのような立場を指すのか、ヤマチユナイテッドの幹部候補の考え方とともにお伝えします。
幹部候補とは?管理職との違いも確認
そもそも幹部とは、会社や組織全体を広い視野でとらえ、マネジメントや意思決定を担う、組織の中心となる人材のこと。
幹部候補とそうではない社員を明確に区別するのは、私としては難しいと感じています。
一般的には、例えば生命保険会社では、全国の支店を回って経験を積ませる人材を「幹部候補生」として募集する場合もあるでしょう。
また、飲食業界では、店長や本部スタッフとして活躍する人材を「幹部候補」と位置づけるケースもあります。
ヤマチでは「新卒者全員を幹部候補」として期待をかける
ヤマチユナイテッドでは、新卒社員全員を「いずれ幹部になって活躍してもらいたい」という意識で採用しています。
実際、入社時にもそのように伝えています。
いずれはグループを背負って立つ人物として成長してほしい。
そのような思いから、採用した新卒者全員に幹部候補として期待をかけるというのが私たちヤマチユナイテッドの考え方なのです。
なぜ今「幹部候補育成」が必要なのか
企業が持続的な成長を実現するためには、次世代の経営を担う幹部候補を育成することが欠かせません。
経営に必要な知識や判断力は一朝一夕で身につくものではなく、時間をかけた計画的な育成が求められます。
経営人材の世代交代と継承の必要性
現役の幹部層が日々の業務に追われている中、後進の育成に割く時間が限られていることが課題となっています。
しかし、経営の舵取りをスムーズに引き継ぐためには、幹部層の世代交代を計画的に進める必要があります。
将来の経営を担う人材を早期に見極め、計画的に育成していくことは、企業の持続的な成長にとって不可欠といえるでしょう。
若手登用を促す人材戦略の変化
近年、年功序列から実力主義への移行が進み、若手人材にも早期にマネジメントの機会が与えられる傾向があります。
海外では20代や30代で管理職を経験するケースも多く、日本企業もこれに追随し、若手の幹部候補育成に力を入れるようになっているのです。
こうした動きにより、グローバル市場で競争力を保ち、成長を維持するための基盤が整いつつあります。
人材確保競争の激化と内部育成の重要性
少子高齢化による労働力人口の減少に伴い、優秀な人材の確保はますます困難になっています。
外部からの採用だけでは限界があり、社内で幹部候補を計画的に育成する重要性が高まっています。
幹部候補が不在の場合、経営の安定性や柔軟性を保つことが難しくなるため、早期からの人材育成が必要となるでしょう。
次世代経営者育成について知りたい方は、こちらのコラムもあわせてご確認ください。
次世代経営者育成の第一歩とは?「制度構築」よりも「人」を育てよう
幹部候補の育成計画を立てるための具体的なステップ
幹部候補育成を始める際は、まず育成の目的とゴールを明確にすることが重要です。
次のステップで整理するとわかりやすくなります。
- 育成の目的を整理する:経営ビジョンや組織の戦略をもとに、幹部候補を育てる理由と育成の方向性を明確にする
- 必要な要素を定義する:将来の幹部に求められる資質やスキルを整理し、育成のゴールを設定する
- 育成計画に反映する:定めた目的とゴールをもとに、採用から育成まで一貫したプログラムを設計する
目的とゴールをはっきりさせることで、育成プロセス全体が具体的かつ効果的に進められます。
幹部候補の社員育成で重視すべきスキルやマインド

幹部候補に求められるスキルやマインドとはどんなものでしょうか。
特に中小企業においては、営業成績の高い社員が幹部候補になりやすい傾向があります。
しかし、単に成果を上げるだけでは十分とはいえません。
一般的に幹部候補には、組織の課題を見つけ、自ら考え行動し、解決する力が求められます。
変化や困難に柔軟に対応する胆力や回復力、高い視点で戦略的に判断する力も重要です。
ヤマチユナイテッドの幹部候補社員の育成では、これに加えて下記の要素を重視しています。
経営やマネジメントの知識
経営幹部やマネージャークラスには、業績に加えて、経営の知識やマネジメントスキルが求められます。
事業部を横断して俯瞰的に考え、発信できる力も重要です。
こうした能力は、幹部に就任してから急に身につくものではありません。
そのため、若い社員でも日常業務の中で実践できる環境を経営者が整えることが大切です。
コミュニケーション能力
幹部には、さまざまな立場の人と目線を合わせてコミュニケーションを取り、組織力を高める能力が必要です。
営業能力に長けていても、人心掌握が苦手だったり、ビジョンや方針を伝えるのが苦手だったりする人もいます。
新入社員でも、意見を伝え合い、相手の考えを尊重する環境があれば、社内外で幅広い人間関係を築けるようになるでしょう。
自主性・自責性
ヤマチユナイテッドでは若い社員が幹部となることも可能で、実際に20代、30代の幹部もいます。
決して無理に任せているわけではなく、自分から手を挙げた社員がほとんどです。
これは、組織全体を意識して「グループのために動きたい」という主体的な思いの表れです。
仮に実力が十分でなくても、自主性や自責の意識があれば、周囲のサポートを得て成長できるため、若い社員を登用しています。
一方で、会社によっては、「マネジメント研修」や「マネージャー養成講座」などの外部講座(プログラム)を活用して幹部候補を育成するケースもあります。
もちろんそれも有効ですが、私の経験では、年次が上がった社員に「行ってこい」と言って参加させてもあまり身にならないことが多いです。
反対に、自分から行きたいと言って参加した研修のほうが、成果につながっているように感じます。
チームや会社全体を良くしたいという感覚
ヤマチユナイテッドの社員も、最初は目の前の業務に日々取り組み、業績を上げることに集中する時期があります。
しかし、経験を積むうちに視野が広がり、自分の業務だけでなくチームや事業部、さらには会社全体のことを意識するようになります。
そうなると、「自分だけでなく周りも良くしていきたい」という気持ちが、発言や行動に表れてきます。
幹部にふさわしい人物像とは、まさにこのような感覚を持つ人だといえるでしょう。
この感覚が芽生えるタイミングには個人差がありますが、ヤマチユナイテッドでは社員全員がこの意識を持てるよう、さまざまな仕組みを整えています。
会社や仲間に対する愛情
「周りも会社も良くしたい」という感覚は、会社や仲間に対する愛情から生まれます。
幹部にふさわしい人物に求められる要素の一つが、この「愛」です。
会社への愛と仲間への愛、この2つが大切です。
会社を好きでないことを見透かされてしまうと、社員はついてきません。
また、より良い会社にするための行動も起こせません。
「この会社は絶対良くなる、良くしていきたい」という意志を持ち、その可能性を上の人間が信じることが重要です。
一方、仲間への愛とは、部下やスタッフを信頼することです。
「みんな優秀なので、このメンバーなら会社をより良くできる」という信頼の感覚を持てるかどうかが問われます。
「うちはダメなやつばっかりだから」と他責にする姿勢では、組織の成長は止まってしまいます。
この2つの「愛」を持ち、自らも成長し続ける人材は、幹部となった後も組織のために大きく貢献できるでしょう。
幹部候補育成のポイントは?研修と成長できる環境作りが重要な理由

前述のとおり、ヤマチユナイテッドではすべての社員を幹部候補とみなし、教育を行なっています。
そのため、特定の社員にのみ適用される幹部候補育成プログラムは設けていません。
代わりに、社員全員が「会社全体を良くしたい」という感覚を持てるような仕組みや仕掛けを用意しています。
幹部候補育成で重要なのは、他者から与えられる方法論に頼るのではなく、自ら考えながら学べる環境を整えることです。
ここでは、ヤマチユナイテッドが実践している環境作りの中でも、特に有効な取り組みについてご紹介します。
新入社員向け研修「フレッシャーズキャンプ」
ヤマチユナイテッドの「フレッシャーズキャンプ」は、入社1年目の社員を対象とした1年間の研修プログラムです。
OJTで実務スキル・テクニカルスキルを学ぶのとは別に、「人前で話す」「会社の収益構造を理解する」「新規事業計画を立てる」といった課題を通じて、将来の事業責任者や幹部として活躍するための自覚やモチベーションを養います。
この研修は、社員一人ひとりが「自ら考え、行動する力」を身につけるためのスタートラインとして非常に役に立っています。
幹部候補育成を目的とした上層部主導のリーダー研修も一定の効果はありますが、社員が自主的に「参加したい」と思える環境を整えるほうが効果的です。
また、新入社員研修は新人だけでなく、中堅社員の底上げにもつながります。
現場に新しい仲間が加わることで、先輩社員も「後輩の成長を支えたい」という気持ちが芽生え、組織全体のモチベーションが高まります。
新入社員にとっては、経営方針の理解や自主性の基礎を身につける貴重な機会です。
さらに、ヤマチユナイテッドの「フレッシャーズキャンプ」は事業部単位のスキル研修ではなく、グループ全体の理念や価値観を理解し、5年後・10年後を見据えた幹部育成を目的としています。
現場スキルの習得よりも、幹部として必要な思考力や行動力を養うことに重点を置いており、長期的な視点で人材を育てるヤマチユナイテッドの人材戦略を象徴する取り組みです。
中堅社員を幹部へと育成する方法については、「中堅社員を幹部へと育成する方法とは?中小企業においての重要性も確認」でもご紹介していますので、あわせてご覧ください。
フレッシャーズキャンプについてもっと知りたい方は、こちらのコラムで詳しく解説しています。
幹部育成プログラムにおすすめ!新入社員向け研修「フレッシャーズキャンプ」
新入社員が成長する研修プログラムとは?成功ポイントや事例を紹介
新入社員研修では何をする?フレッシャーズキャンプ運営事務局の仕事を大公開!
社員向け研修内製化のポイントは?研修終了後の振り返り方法を解説
全社員参加型の「システム経営」
システム経営は、ヤマチユナイテッドの基本となる経営方式で、「自主計画」「自主管理」「自主分配」の三本柱で成り立っています。
簡単にいえば、「自分たちで経営計画を立て、業績を管理し、成果を分配する」というサイクルを繰り返す方式です。
具体的には、システム経営は次の3つのシステムで構成されています。
- 経営計画システム:目標数値を含む経営計画を現場チームが主体となって作成し、当事者意識を持って実行する仕組み
- 業績管理システム:計画達成に向けて定期的に数字を確認し、必要に応じて対策や軌道修正を行う仕組み
- 成果分配システム:業績に応じた評価や利益分配を自分たちで行う仕組み
これら3本柱は全て連動しており、どれか一つでも欠けると仕組みの効果が薄れてしまうため、ワンセットでの実施が重要です。
システム経営が機能するには、売上から営業利益までの数字が全てオープンであることが必要です。
トップから新入社員まで、全員が経営状況を数字で把握します。
つまり、システム経営とは「全員参加型経営」です。
社員が自ら計画を作り、管理・評価・分配まで自分たちで決める仕組みで、社員の意識と会社の業績が大きく変化します。
システム経営について、詳しくはこちらのコラムもご覧ください。
社員が経営参画できる「システム経営」とは? 《連邦・多角化経営概論》第2回
また、システム経営の3本の柱については、下記のコラムでも詳しくお話しています。
社員の自主性を育てるには?システム経営・自主計画の導入方法とポイント
業績管理とは?業績と売上の違いや売上アップにつなげる方法を解説
効果的なインセンティブの決め方とは?自主分配を導入するメリットも解説
ポストや役割、会議設計が人材育成につながることも
ポストや役割、会議設計そのものが人材育成につながることもあります。
委員会活動
ヤマチユナイテッドの場合、さまざまな視点から会社を活性化させる「委員会活動」でのプレリーダー体験も幹部候補育成の下地となっています。
会社における委員会活動とは、部署の垣根を越えて社員が集まり、日常業務とは異なる視点で会社の課題やテーマに取り組む制度です。
「緊急性は低いものの、将来的に重要なテーマ」に中長期的な視点で関わり、経営への理解を深めながら、組織の改善や仕組みづくりに貢献します。
これにより、社員が主体的に考え、課題解決力やチームマネジメント力を磨くことができます。
委員会活動は、次世代リーダー育成や横のつながりの強化にもつながっており、ヤマチユナイテッドの組織文化を支える重要な要素となっています。
委員会活動については、下記コラムもご覧ください。
会社の委員会活動の実例とは?社内委員会の目的・役割・メリットも確認
委員会活動の立ち上げは社員参加型経営の第一歩!導入のコツを解説
会議への参加
各事業部のリーダーやマネージャーにとっては、他部署を含めた経営数字を扱う会議そのものが教育の場になることもあります。
経営に関わる機会を増やすことで、幹部候補としての意識とスキルが自然に育つでしょう。
ちなみに、ヤマチユナイテッドでは「カンパニー経営会議」「事業部経営会議」「各社経営会議」「HQ会議」といった段階的な会議を設け、社員が経営に触れる環境を体系的に整えています。
こうした会議そのものが、社員の育成に直結しています。
会議については下記コラムでもご紹介していますので、あわせてご覧ください。
会議や会議体の見直し方とは?業績向上につながる会議設計を解説
幹部会議(経営会議)とは?意思疎通を円滑にするヤマチの会議体系も確認
当事者意識とは?社員の自主性を高める仕組み「カンパニー制度」を紹介
経営幹部・幹部候補に「経営者意識」を持ってもらうには?
「経営者意識」とは、経営数字の理解、意思決定への主体的な関与、組織全体を俯瞰する思考を指します。
経営への理解は、日常の業務や会議を通して少しずつ養われるものです。
幹部になるまで経営に触れずに何年も過ごしてしまうのは、もったいないなと感じます。
もし、みなさんの会社が複数部署に分かれているのであれば、縦割りにせず、横串を刺した(部門を横断した)会議設計や委員会活動を取り入れることをおすすめします。
ほかの部門から刺激を受ける経験も得られ、幹部候補育成に効果的だと思います。
社内教育については、下記コラムでご紹介していますので、あわせてご確認ください。
社内教育(社員教育)の方法をご紹介!社員が育つ環境づくりのポイントは?
ヤマチは社員全員が幹部候補!育成のカギは全員参加型の新卒研修や環境づくりにあり
ヤマチユナイテッドにとっての幹部候補は、社員全員です。
新入社員のうちから、経営知識やマネジメント力だけでなく、コミュニケーション能力、自主性・自責性、そして会社や仲間への愛情を持ち、自ら成長し続ける人材を育てています。
こうした社員は、幹部になった後も組織のために大きく貢献できるでしょう。
幹部候補に求められるスキルやマインドを育てるためには、経営陣が学びの環境を整えることが大切です。
ヤマチユナイテッドが実践している幹部候補の育成に有効な取り組みは、次のとおりです。
- 新入社員向けの実践型研修「フレッシャーズキャンプ」
- 全社員参加型の「システム経営」
- 委員会活動
- 会議への参加 など
これらの取り組みを通じて、日常の業務や役割の中で自ら考える力を養い、経営感覚を身につけていける環境を用意しましょう。
その中で「自分だけでなく、周りも会社も良くしたい」と考えられる社員が、幹部候補にふさわしい人材だといえます。
私たちが定期的に開催する「連邦・多角化経営実践塾」では、今回お話した人材の育て方のほか、経営手法などヤマチユナイテッドのノウハウを公開しています。
もしよろしければ、こちらにも目を通してみてください。
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Authorこの記事の著者
株式会社ヤマチマネジメント|取締役 |グループ執行役員
石崎 貴秀
1996年入社。営業課から国際課を経て、総務部チームリーダーへ。その後グループ経営推進会議事務局にて経験を積み、2009年(株)ヤマチマネジメントを設立、移籍。グループ管理本部の統括マネージャーとして采配を振るう。2017年(株)ヤマチマネジメント取締役就任。
連邦・多角化経営実践塾」の開塾にも携わり、2014年以降、第1期~現在までシステム経営のメイン講師として活躍。
入塾した企業約70社にシステム経営を指導してきた。現在はシステム経営のコンサルティングも担当。

