業績と売上の違いとは?社員自身が業績管理を行う方法とポイント《システム経営の3本柱》 第2回:自主管理
組織・給与制度
こんにちは、ヤマチユナイテッドの石崎です。
皆さんの会社では、社員がつくった業績達成計画を、社員自らで管理することができていますか。
たとえば、社員が自分たちでつくった計画を自ら管理し、利益を分配する。
このサイクルがうまく回るようになれば、経営者が逐一業績を管理し、指示を出す必要はなくなります。
幹部も部下も、会社の一人ひとりが自主的に計画の遂行を考えるようになれば、いわゆる「経営者目線」が身に付くのです。
社員が自分たちでつくった計画を、自分たちで達成する遂行責任を果たすためには、社員自身が業績管理のPDCAを回せる環境をつくることが必要です。
毎月売上の数字だけを社員に伝え「あなたの部署は目標未達なので、来月は頑張ってください」といわれても、どう頑張れば良いのかわからない...という社員が多いでしょう。
当社で導入している全員参加型経営の「システム経営」では、幹部や社員が自ら経営計画を作成して業務管理し、評価や成果分配のルールを決めて実施しています。
こうすることで社員の自主性が上がり、業績も驚くほどアップしていきます。
今回は、社員が自分たちでつくった計画を自ら管理する「自主管理」をする方法や、うまくいかないときに実践してほしいポイントなどをお伝えします。
基本の「業績」と「売上」の違いや、業績管理についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
- 「業績」と「売上」の違いは?業績管理とは?
- 業績管理を社員自身で行い売上アップにつなげる方法
- 業績管理がうまくいかない場合に試してほしい2つのこと
- 業績管理の方法やポイントを踏まえて売上アップできる体制へ
1.「業績」と「売上」の違いは?業績管理とは?
まずは「業績」と「売上」の違い、「利益」についても見ていきましょう。
そのうえで、業績管理とは何かを解説します。
業績とは
業績とは、ビジネスの結果として得られる成果のことです。
一般的には「売上高」や「利益」を指します。
売上とは
売上とは、商品などを売って得た代金の総額のこと。
1回の取引で受け取る金額を「売上」、一定期間の売上の合計金額を「売上高」と呼びます。
利益とは
利益とは、売上から仕入れや従業員への給料などのコストを差し引いた金額を指します。
ちなみに利益は、どのコストを差し引くかによって金額や呼び方が異なり、粗利益、営業利益、経常利益、当期純利益といった種類があります。
業績管理とは
業績管理とは、目標として設定した売上高や利益を達成するための計画や業務の進捗を管理することです。
計画通りに進んでいるのかを適宜確認し、必要に応じて軌道修正を図ります。
自ら立てた計画を、自分たちで管理する。
ビジネスでは当然のことだといえます。
計画を立てる際には、目標となる売上高や利益以外にも、KPI(重要業績評価指標:Key Performance Indicator)の成果を上げるポイントとなる指標を設定することも多いでしょう。
KPI指標は日々の業務の中で確認できて、その数字によって最終の業績目標が左右されるような、重要な数値です。
KPIとして設定するものは訪問件数、アポ件数、見積もり件数、リピート率など、業種や業態によってさまざまな指標が考えられます。
たとえば、通常見積もり金額の50%が成約に至るとしたら、見積もり金額がその事業のKPI。
計画の倍の見積もり金額を目指せば、目標を達成できるだろう、という考え方です。
KPIを設定する際の考え方について、詳しくは「KPI設計のポイントとは?KGIとの関係性と効果的な活用方法も」をご参考ください。
2.業績管理を社員自身で行い売上アップにつなげる方法
業績管理を社員が自分たちで行うようになるためには、経営者はただ放置するのではなく、社員が業績管理のPDCAを回せる環境を整えることが不可欠です。
では、PDCAを回せる環境をつくるにはどうしたら良いのか、効果的な会議の方法と目標となる指標の設定方法について解説していきます。
業績管理のための会議を設定する
通常、業績管理は管理職が行うことが多いですが、社員自身が業績管理をするには、チーム全員が目標に対する計画や必要な業務について理解することが大切です。
計画や業務について理解し、進捗を確認し、必要に応じて軌道修正を実行するのは会議の場が中心となるでしょう。
業績管理を社員自らで行うために必要な会議のポイントをご紹介します。
ポイント①計画書を進捗把握しやすいフォーマットで準備する
会議の準備段階で、まず重要なのは計画書が進捗を確認しやすいフォーマットになっているかどうかです。
毎月の営業利益を部門別に明らかにするだけでは不十分。
業種によっては週ごと、日ごとに集計されるようにして、達成・未達成の進捗が分かるフォーマットの計画書を作成することが第一です。
社員はフォーマットを使い進捗確認を繰り返すことで、業績を把握しながら行動できるようになります。
当初の計画に達していなければ、当たり前ですが、対策を考える必要があります。
管理会計だと事業部ごとの営業利益を出せるので、どの事業が稼いでいて、どの事業が稼いでいないのかは明白。
月次だけではなく、週単位でチェック・分析してスピーディーに改善対策を練ることができます。
管理会計についての詳細は「「管理会計」を導入するメリット 〜全員参加型経営の基礎:前編〜」をご覧ください。
ポイント②会議の目的・参加者・頻度を整理してスケジュール化
会議をするうえで、どのような会議にするか設計することも重要です。
何のための会議なのか(目的)、チーム単位・部門単位なのか、参加者は誰で、それぞれどのくらいの頻度で行うかなどを整理してスケジュール化する必要があります。
たとえば、毎週月曜の朝礼で数字を発表し、週に1回は事業部ごとにミーティング、月に1回は全体で業績検討会議など、どの階層の会議で何を扱うかを決めておきましょう。
当社では、会議設計自体は役員レベルで行うことが多いです。
設計したKPIを定期的に見直す
業績目標は、計画策定の段階で決まっています。
ただ、業績の進捗管理にあたって、目標だけでは細かな進捗確認ができません。
そこで多くの企業と同様、当社でもKPIを設定しています。
どのような数値をKPIとして設定すべきか、悩む方も多いと思います。
この指標は、現場で試行錯誤しながら見つけるしかありません。
たとえば売上は、客数 × 客単価なので、客数をどう獲得しているのか、単価はどうやったらアップするのか、自分たちの事業・サービスを細かく分析する必要があります。
その中から、押さえておくことで目標達成の確率が高くなる指標を見つけ出す作業が必要なのです。
もちろん、KPIを設定してもトライ&エラーがあるでしょう。
未達の月が続く場合、目標と指標にズレがあるのでは?と疑ってみることも必要です。
一度設定したKPIを見直すケースも出てきます。
いずれにしても求められるのは科学的な根拠。
「気合いでやれ」と部下にただハッパをかけるのは最悪なパターンです。
3.業績管理がうまくいかない場合に試してほしい2つのこと
業績管理に必要な会議やKPIについてお話ししてきましたが、なかなか社員自らが行う業績管理がうまくいかない、というケースもあるかと思います。
そんな時には次の2つのことを試してみてください。
1年を4クールに分けて事業自体を評価
なかなか目標を達成できない事業の場合、事業自体に将来性がないか、そもそもの狙いが間違ってる可能性も否めません。
そんな時は、現場の業績管理とは別に、グループ全体で1年間を4クールに分けて3ヵ月ごとに事業を評価する機会を設けます。
上方も下方も含めて、計画の修正が1年間に3回できることになります。
組織替えや人事異動などのテコ入れもここで判断します。
一方で事業責任者は、期の半ばになったら年度末の決算予測をし、来期の計画づくりにも着手します。
今年の進捗を管理しながら、来年の種まきも同時進行で進める。
それが事業責任者に課せられた使命です。
常に社員の主体性を重んじながら決定
システム経営は、ことあるごとに会議の場で社員のコンセンサスを求めながら進める経営手法なので、必然的に会議が多くなります。
ただ、会議を通じて若手を教育し、チームワークを強化していくので、これを省略するわけにはいきません。
事業部横断の会議も同じです。
会議の席で業績のふるわない事業部をやり玉にあげて責めるのではなく、どうやってフォローできるかを考えます。
マイナス分をほかの事業でカバーできていて、グループ全体の経営に影響のない段階なら、対策の報告を受けるにとどめて様子をみる。
それでも改善されない場合は、大ナタを振るう必要が出てきます。
その場合もトップダウンで指示するのではなく、みんなでどうしたら良いか考えようというスタンスを忘れてはいけません。
4.業績管理の方法やポイントを踏まえて売上アップできる体制へ
業績とは、売上高や利益といったビジネスで得られる成果のことで、売上とは商品などを売って得た代金の総額のことを指します。
業績管理は、目標として設定した業績を達成するための計画や業務の進捗を適宜確認し、必要に応じて軌道修正をすること。
目標には業績の他、KPIなどの指標も設定されることがあります。
社員が自分たちで業績管理するようになるには、経営者が環境を整えることが大切です。
会議では計画書を進捗把握しやすいフォーマットで作成し、会議の目的・メンバー・頻度を整理してスケジュール化しましょう。
設定するKPIは、自社の商品やサービスをよく分析したうえで施行錯誤しながら見つけることが必要になってきます。
業績管理がうまくいかない場合は、1年を4クールに分けるなどして事業の計画をこまめに修正できるようにしたり、社員の主体性を常に重んじられているか見直してみましょう。
当社が提唱する全員参加型経営「システム経営」では、計画を策定する段階から自分たちが関わるため、そもそも目標達成への意欲が違います。
またオープン経営を前提とするので、売上だけではなく、経費の内訳、利益率などを事業責任者に公開し、それを元に自分たちで打つ手を考えられる環境を用意することができます。
与えられた目標ではなく、自分たちで考えた目標に向かって、自分たちでチェックしながらまい進する。
このごく普通のことを組織として行っていくためには、「管理会計」と「オープン経営」で"事業部ごと"の"経営数値をオープン"にして初めて可能になることを忘れてはなりません。
管理会計やオープン経営については下記のコラムもご覧ください。
管理会計」を導入するメリット 〜全員参加型経営の基礎:前編〜
全員参加型経営に必須の「オープン経営」のメリットと導入のコツ 〜全員参加型経営の基礎:後編〜
シリーズ《システム経営の3本柱》では、ヤマチ流「システム経営」の仕組みを全3回にわたって解説。
ヤマチユナイテッドが実践する全員参加型経営「システム経営」について知りたい方は、ぜひこちらも併せてご覧ください。
第1回:社員の自主性を育てるためには計画づくりに参加させよう!
第2回:業績管理と売上の違いとは?社員自身が業績管理を行う方法とポイント(このコラム)
第3回:効果的なインセンティブとは?社員をやる気にさせる仕組み作り
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Authorこの記事の著者
株式会社ヤマチマネジメント|取締役 |グループ執行役員
石崎 貴秀
1996年入社。営業課から国際課を経て、総務部チームリーダーへ。その後グループ経営推進会議事務局にて経験を積み、2009年(株)ヤマチマネジメントを設立、移籍。グループ管理本部の統括マネージャーとして采配を振るう。2017年(株)ヤマチマネジメント取締役就任。
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「連邦・多角化経営実践塾」の開塾にも携わり、2014年以降、第1期~現在までシステム経営のメイン講師として活躍。
入塾した企業約70社にシステム経営を指導してきた。現在はシステム経営のコンサルティングも担当。