業績管理とは?業績と売上の違いや売上アップにつなげる方法を解説

組織・給与制度

石崎 貴秀
石崎 貴秀

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こんにちは、ヤマチユナイテッドの石崎です。

皆さんの会社では、社員が作成した業績達成計画を、自分たちで管理できていますか?

社員が自分たちで立てた計画を主体的に管理し、利益を分配するというサイクルがうまく回るようになれば、経営者が逐一業績を管理し、指示を出す必要はなくなります。

幹部も部下も含め、会社の一人ひとりが自主的に計画の遂行を考えるようになれば、いわゆる「経営者目線」が身に付くのです。

今回は、「業績管理とは何か?」という基本から、その重要性、業績管理の流れと社員が実践して売上アップにつなげる方法をわかりやすくご紹介します。

社員が作成した計画を自ら管理する「自主管理」の方法や、業績管理がうまくいかない場合に実践してほしいポイントもお伝えします。

また、「業績」「売上」「利益」の違いについても触れていますので、業績管理の全体像を理解したい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 業績管理の重要性は?「業績」「売上」「利益」の違いも確認
  2. 業績管理の流れと社員が実践して売上アップにつなげる方法
  3. 業績管理がうまくいかない場合に試してほしい5つのこと
  4. 業績管理とは目標達成に向けて計画や業務進捗を管理すること

業績管理の重要性は?「業績」「売上」「利益」の違いも確認

まずは、業績管理とは何か、重要性について解説します。

あわせて「業績」「売上」「利益」の違いも確認しましょう。

業績管理とは

業績管理とは、目標として設定した売上高や利益を達成するための計画や業務の進捗を管理することです。

単に売上や利益といった結果を確認するのではなく、計画通りに進んでいるのかを適宜確認し、必要に応じて軌道修正を図ります。

自ら立てた計画を、自分たちで管理することは、ビジネスにおいて重要なポイントです。

この取り組みによって、企業は短期的な実績から長期的な経営方針までを一貫して管理・判断できるようになります。

例えば、月次の売上レポートや週単位の活動報告なども、全て業績管理の一環といえるでしょう。

なお、経営においては、業績分析も重要です。

詳しくは下記コラムでご紹介していますので、あわせてご覧ください。

業績分析は中小企業のリーダー育成に必須!業績把握、分析能力を高める仕組み

業績管理が重要な理由

業績の「見える化」は、経営戦略の実行力を高める上でも非常に重要です。

なぜなら、適切なリソースの再配分や、成果に基づく人事評価、経営上の課題の早期発見と対処を可能にするからです。

例えば、生産が追いつかない現場に人的資源を補う、あるいは頑張って成果を上げている社員を正当に評価するといった対応が、業績管理を通じて実現できます。

業績管理を実践する上で欠かせないKGIとKPI

業績管理を実践する上で欠かせないのが、目標達成度を測るための指標です。

特に重要なのが「KGI」と「KPI」です。

KGI(Key Goal Indicator)

「最終目標達成指標」と呼ばれ、企業が長期的に目指すゴールを数値で表します。

例えば、「年間売上10億円」「市場シェア30%達成」など、企業全体のビジョンや戦略と直結する目標が該当します。

KGIは、企業の方向性を示す羅針盤のような役割を持っており、KGIがなければKPIも意味を持ちません。

KPI(Key Performance Indicator)

「重要業績評価指標」の略で、KGIを達成するために必要な中間的な目標です。

KPI指標は日々の業務の中で確認できて、その数字によって最終の業績目標が左右されるような、重要な数値です。

KPIとして設定するものは訪問件数、アポ件数、見積もり件数、リピート率など、業種や業態によってさまざまな指標が考えられます。

例えば、通常見積もり金額の50%が成約に至るとしたら、見積もり金額がその事業のKPIとなります。

計画の倍の見積もり金額を目指せば、目標達成の確率が高まる、という考え方です。

KPIを設定する際の考え方について、詳しくは「KPIの設定方法と設計のポイントを解説!KGIとの関係性と効果的な活用方法も」をご参考ください。

「業績」「売上」「利益」の違い

業績・売上・利益は、似たような言葉に思えるかもしれませんが、それぞれ異なる意味を持っています。

業績

業績とは、ビジネスの結果として得られる成果のことです。

一般的には「売上高」や「利益」を指します。

業績に興味がない・関心が薄い社員にも意識してもらうには、自分の部署だけでなく、他部署の業績も意識できる仕組みづくりが必要です。

詳しくは下記コラムでご紹介していますので、あわせてご覧ください。

社員が業績に興味がない...業績を意識して仕事に取り組んでもらうには?

売上

売上とは、商品やサービスなどを売って得た代金の総額のこと。

1回の取引で受け取る金額を「売上」、一定期間の売上の合計金額を「売上高」と呼びます。

利益

利益とは、売上から仕入れや従業員への給料などのコストを差し引いた金額を指します。

ちなみに利益は、どのコストを差し引くかによって金額や呼び方が異なり、粗利益、営業利益、経常利益、当期純利益といった種類があります。



業績管理の流れと社員が実践して売上アップにつなげる方法

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では、実際に社員が業績管理を行い、売上アップにつなげるにはどうすれば良いのでしょうか。

業績管理の流れと、実践する手法について見ていきましょう。

業績管理の流れと方法

業績管理は、目標を定めて進捗を追い、結果を評価して改善につなげる一連のプロセスです。

ここでは、主な流れとポイントを整理してご紹介します。

①業績管理のための会議を設定

通常、業績管理は管理職が行うことが多いですが、社員自身が業績管理をするには、チーム全員が目標に対する計画や必要な業務について理解することが大切です。

計画や業務について理解し、進捗を確認し、必要に応じて軌道修正を実行するのは会議の場が中心となるでしょう。

業績管理を社員自らで行うために必要な会議のポイントをご紹介します。

ポイント①計画書を進捗把握しやすいフォーマットで準備する

会議の準備段階で、まず重要なのは計画書が進捗を確認しやすいフォーマットになっているかどうかです。

毎月の営業利益を部門別に明らかにするだけでは不十分。

業種によっては週ごと、日ごとに集計されるようにして、達成・未達成の進捗がわかるフォーマットの計画書を作成することが第一です。

社員はフォーマットを使い進捗確認を繰り返すことで、業績を把握しながら行動できるようになります。

当初の計画に達していなければ、当たり前ですが、対策を考える必要があります。

管理会計だと事業部ごとの営業利益を出せるので、どの事業が稼いでいて、どの事業が稼いでいないのかは明白。

月次だけではなく、週単位でチェック・分析してスピーディーに改善対策を練ることができます。

管理会計についての詳細は「管理会計を導入する目的やメリットは?システム経営の仕組みも確認」をご覧ください。

ポイント②会議の目的・参加者・頻度を整理してスケジュール化する

会議をする上で、どのような会議にするか設計することも重要です。

何のための会議なのか(目的)、チーム単位・部門単位なのか、参加者は誰で、それぞれどのくらいの頻度で行うかなどを整理してスケジュール化する必要があります。

例えば、毎週月曜の朝礼で数字を発表し、週に1回は事業部ごとにミーティング、月に1回は全体で業績検討会議など、どの階層の会議で何を扱うかを決めておきましょう。

ヤマチユナイテッドでは、会議設計自体は役員レベルで行うことが多いです。

②目標と指標の設定

業績目標は、計画策定の段階で決まっています。

ただ、業績の進捗管理にあたって、目標だけでは細かな進捗確認ができません。

まずは、企業全体の方針や達成したい成果(KGI)を明確にし、それに紐づく具体的な行動指標(KPI)を定めます。

ヤマチユナイテッドでもKPIを設定しています。

どのような数値をKPIとして設定すべきか、悩む方も多いと思いますが、この指標は、現場で試行錯誤しながら見つけるしかありません。

例えば売上は、「客数 × 客単価」で決まるので、客数をどう獲得しているのか、単価はどうしたらアップするのか、自分たちの事業・サービスを細かく分析します。

その中から、目標達成の確率が高くなる指標を見つけ出すことが必要です。

もちろん、KPIを設定してもトライ&エラーがあるでしょう。

未達の月が続く場合、目標と指標にズレがあるのでは?と疑ってみることも大切です。

そうなると、一度設定したKPIを見直すケースも出てきます。

「気合いでやれ」と精神論に頼るのではなく、科学的な根拠に基づいた業績管理を心がけましょう。

③進捗の把握と情報の可視化

目標を設定したら、定期的に進捗を確認します。


この際、収集するデータはできるだけリアルタイムで正確なものを用い、チーム全体で共有できるよう「見える化」することが欠かせません。

例えば、KPIの達成度をダッシュボードで表示したり、営業成績を日次・週次で報告したりと、状況を誰もが把握できる仕組みが有効です。

目標に届きそうにない場合は早めに対策を講じ、達成を超える場合はさらに高い目標を再設定する柔軟さも求められます。

④実績評価と原因分析

次に、これまでの取り組みがどれほど成果につながったかを検証します。

数値の達成度だけでなく、その結果が出た理由や背景を深掘りすることがポイントです。

業績管理を社員が自分たちで行うようになるためには、経営者はただ放置するのではなく、社員が業績管理のPDCAサイクルを回せる環境を整えることが不可欠です。

以下のPDCA(計画・実行・検証・改善)サイクルを参考に、評価を行いましょう。

  • Plan(計画):目標と実行計画を立てる
  • Do(実行):計画に沿って行動し、データを記録
  • Check(評価):結果を数値で確認し、課題を分析
  • Act(改善):次に向けた改善策を導入

このサイクルを定期的に回すことで、業績管理の質が高まっていきます。

こちらのコラムもあわせてご確認ください。

PDCAサイクルを効果的に回す、中小企業のためのKPI管理法とは?

⑤次の改善と目標設定に生かす

評価を踏まえた上で、次の目標にどうつなげるかが重要です。


達成できなかった場合はその要因を分析し、実行可能で現実的な目標に調整します。

達成できた場合も「さらに高い成果を狙えるか?」という視点で目標を見直しましょう。


こうした振り返りと再設定を繰り返すことで、業績管理は単なる記録ではなく、企業の持続的な成長を促すサイクルとして機能します。

業績管理を効果的に実践する手法

業績管理を形だけの作業にしないためには、手間をかけず、正確にデータを扱える仕組みづくりが欠かせません。

その具体的な方法を紹介します。

Excelやツールを活用する

業績データの管理手段として、Excelは身近で使いやすいツールです。

日々のデータ入力から自動集計まで行えるため、小規模な業務であれば十分に活用できます。

ただし、入力ミス、ファイルの重さといったリスクもあるため、利用時には正確性とセキュリティへの配慮が求められます。

システム経営を導入する

システム経営とは、いわゆる「全員参加型経営」のことです。

幹部や社員たちが自ら経営計画を作成し、業務管理を自分たちで行い、評価や成果分配も自分たちでルールを決めて実施します。

この全員参加型経営をヤマチ流にシステム化したものを「システム経営」と名付けました。

社員参加型のシステム経営が実現すれば、会社は劇的に変わります。

社員の意識も変わり、業績も驚くほど向上するでしょう。

業績管理でお悩みなら、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

組織の業績アップのポイントについては下記コラムでもご紹介していますので、あわせてご覧ください。

社員が自主的に業績アップを目指す組織風土づくりとは?

​​業績を上げる組織に不可欠な「型化」とは?自律的に成長する企業の作り方も



業績管理がうまくいかない場合に試してほしい5つのこと

業績管理に必要な会議やKPIについてお話ししましたが、「社員自らが行う業績管理がうまくいかない」というケースもあるかと思います。

そんなときには、次のことを試してみてください。

①1年を4クールに分けて事業自体を評価

なかなか目標を達成できない事業の場合、事業自体に将来性がないか、そもそもの狙いが間違ってる可能性も否めません。

そんなときは、現場の業績管理とは別に、グループ全体で1年間を4クールに分けて3カ月ごとに事業を評価する機会を設けます。

上方も下方も含めて、計画の修正が1年間に3回できることになります。

組織替えや人事異動などのテコ入れもここで判断します。

一方で事業責任者は、期の半ばになったら年度末の決算予測をし、来期の計画づくりにも着手します。

今年の進捗を管理しながら、来年の種まきも同時進行で進める。

それが事業責任者に課せられた使命です。

②常に社員の主体性を重んじながら決定

システム経営は、会議の場で社員のコンセンサスを求めながら進める経営手法なので、必然的に会議が多くなります。

ただ、会議を通じて若手を教育し、チームワークを強化していくので、これを省略するわけにはいきません。

事業部横断の会議も同じです。

会議の席で業績のふるわない事業部をやり玉にあげて責めるのではなく、どうやってフォローできるかを考えましょう。

マイナス分をほかの事業でカバーできていて、グループ全体の経営に影響のない段階なら、対策の報告を受けるにとどめて様子をみる。

それでも改善されない場合は、大ナタを振るう必要が出てきます。

その場合もトップダウンで指示するのではなく、みんなでどうしたら良いか考えようというスタンスを忘れてはいけません。

③振り返りの仕組みづくり

業績管理に行き詰まりを感じたら、現在の取り組みを定期的に振り返る仕組みを整えましょう。

目標の達成度や実施内容を確認し、効果を検証する時間をチームで共有することが大切です。

このようなレビューの場を設けることで、課題の早期発見や対策の立案につながります。

④PDCAサイクルで継続的に改善

業績管理は一度きりで終わるものではなく、継続的に改善を重ねていく必要があります。

その際に有効なのが「計画 → 実行 → 評価 → 改善」というPDCAの考え方です。

目標を立てたら、実行後に必ず成果を確認し、課題があれば次の対策に反映させるという流れを意識することで、組織の成長を着実に後押しできます。

⑤KPIは複数の視点から設計

業績の達成度を測るKPIは、複数の視点から設計するのがおすすめです。

多様な指標を用意しておけば、実際に問題が生じたときにその原因を特定しやすくなります。

全ての指標を逐一チェックする必要はありませんが、成果が出ていない指標に絞って分析することで、効率的な改善が可能です。

また、KPIを設定する際は、それぞれの指標が目標達成にどれだけ影響するかを見極め、優先順位を明確にしておくことも重要です。

その優先順位をチーム全体で共有することで、注力すべき施策がブレることなく、組織としてまとまりのある行動が取れるようになります。



業績管理とは目標達成に向けて計画や業務進捗を管理すること

業績管理とは、企業が売上や利益などの目標を達成するために計画と進捗を管理し、必要に応じて修正を行う仕組みです。

成果の「見える化」により、課題の早期発見や適切な人員配置、評価が可能になります。

その実践には、最終目標を示すKGIと、それを支える日々の指標であるKPIの設定が不可欠です。

KPIの進捗をチームで共有し、課題があれば迅速に対応することで、業績の向上につながります。

業績管理の実践には、定期的な会議やリアルタイムのデータ活用、そしてPDCAサイクルによる継続的な改善が有効です。

加えて、社員全員が経営に関わる「システム経営」の導入により、主体性とチーム力が高まり、組織全体の成果が向上します。

業績管理がうまくいかない場合の対策として、1年間を4クールに分けて3カ月ごとに事業を評価する機会を設けたり、定期的な振り返りや目標の見直しを行いながら、KPIを柔軟に設計・改善したりすることなどが挙げられます。

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ご興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。

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