新入社員が成長する研修プログラムとは?成功ポイントや事例を紹介
採用・育成
こんにちは、ヤマチユナイテッドの石崎です。
新入社員研修は会社の理念や社風を浸透させる絶好の機会です。
外部講師や外部研修におまかせでは、非常にもったいない。
当社ではトップが主導する新入社員研修プログラム「フレッシャーズキャンプ」で、独自の教育を行っています。
「新入社員のコミュニケーション能力を高めたい」
「新入社員が一人で悩まないように支えたい」
「若手社員に自発的に仕事に取り組む意識を持ってもらいたい」
「将来の経営幹部を育てたい」
もしも、あなたがこうした思いを持っているなら、当社のプログラムがきっと参考になるはずです。
今回は、新入社員研修の目的や教えるべき内容、研修を成功させるためのポイントについて解説。
具体的なプログラム事例として、当社の「フレッシャーズキャンプ」についても詳しくご紹介します。
目次
- 新入社員研修の目的やプログラムに入れるべき内容とは?
- 新入社員研修プログラムを成功させるポイント
- 新入社員研修プログラムの事例を紹介!当社独自の「フレッシャーズキャンプ」とは?
- 新入社員研修プログラムで会社を活性化させよう
新入社員研修の目的やプログラムに入れるべき内容とは?
まず新入社員研修の目的は、社会人として求められる基礎的なビジネスマナーや会社で働くうえで必要な知識やスキルを身に付けてもらうことです。
プログラムとしては、新卒社員に社会人としての意識やマインドを伝えたり、会社や配属部署への知識や理解を深めたり、ビジネスマナーを習得したりといった内容が考えられます。
また、新入社員研修で同期や先輩社員と交流する機会を作ることで、社内でのコミュニケーションを円滑にする土台を作ることもできるでしょう。
新入社員研修プログラムを作る時は、研修のゴールや目標を決めてから、研修後のフォローも含めた計画を作成し、プログラムを組んでいきます。
さらに、質問しやすい環境や雰囲気を作ることも大切です。
座学だけでなくグループワークやロールプレイング、OJTなどの方法を組み合わせることで、新入社員はさまざまな視点から学ぶことができるでしょう。
新入社員研修プログラムを成功させるポイント
せっかく新入社員研修のプログラムを作っても、研修を受ける新入社員自身や研修を運営するスタッフ、上司を含めた社内の雰囲気や姿勢が整っていないままだと、研修の目的を達成できないことも。
毎年研修の場に参加している私の経験や当社での事例から、新入社員研修を成功させるために大切なポイントをご紹介します。
新入社員にルールを提示して基本姿勢を整える
当社の新入社員には「フレッシャーズキャンプの3カ条」として、次の3つのルールを提示しています。
- 超積極参加
- 直球&素直
- 段取り&時間厳守
それぞれ詳しくご説明しましょう。
1.超積極参加
当社の研修プログラムではアウトプットの機会を数多く設けています。
そこで事前に伝えているのが、「いま聞いた内容を今度は教える立場で話してみてください」と投げかけるときには、全員が手を上げるようにすること。
わからなくても良いからとにかく手を上げて、それから考える。
これが「超」積極参加の姿勢です。
2.直球&素直
新人の間はわからないことばかりで当たり前。
間違いは恐れない。
その代わり指摘されたことは素直に受け入れる。
これができれば、頼りなかった新入社員たちも、ぐんぐんと目に見えて伸びていくはずです。
3.段取り&時間厳守
新入社員は通常業務と並行して「フレッシャーズキャンプ」に参加します。
うまく段取りができないと業務に支障が出たり、残業するはめになったりします。
周囲に協力を求めながら、段取り良く課題を進め、時間通りに着席できる余裕をもつこと。
それが、社会人として身に着けてほしいマナーとさえいえるでしょう。
新入社員研修のプログラム内容はもちろん大切ですが、こうした研修に参加する姿勢をあらかじめルールとして決めておくと、研修中にだれてしまった場合でも軌道修正がしやすくなります。
それ以上に、環境を整えることで発言につながるモチベーションをアップでき、結果として発言者の自信や積極性をさらに増やせるという良い循環を生み出せます。
研修プログラムを作成する場合は、ぜひ取り入れて欲しい仕組みのひとつです。
研修の運営スタッフには責任感のある人材を選ぶ
研修の運営を担う事務局スタッフの人選も重要です。
「フレッシャーズキャンプ」を主催するのは社長ですが、実際に運営を担当するのは若手社員です。
新入社員の2~3年先輩で、面倒見が良く、きちんと後輩の指導ができて、責任を持って関わってあげられる人を事務局スタッフとして指名します。
フレッシャーズキャンプの日は事務局スタッフも1日つきっきりになりますし、それ以外でもレポートの添削をしたり、新人の相談に乗ったりと積極的に関与することになります。
業務上の調整や配慮も必要でしょう。
2年目以降は、「フレッシャーズキャンプ」の卒業生の中から事務局向きの人を推薦して、数人ずつ入れ替えながら引き継いでいくと、運営がスムーズです。
新入社員研修の優先順位の高さを社内で共有する
フレッシャーズキャンプの重要性について社内に周知することも重要です。
忙しい会社や部署では特に、職場を離れて研修に出るのを迷惑と捉える上司がいるかもしれません。
それだと新入社員は研修に参加することが辛くなってしまいます。
ですから当社では、「フレッシャーズキャンプ」を社長が主催する最優先の社員教育と位置づけ、周囲が応援してくれるような環境づくりを徹底しています。
職場によって休日や勤務体制も違うので、グループワークの場合は月に2回、新人が集合できる日を与え、その日は業務を離れてプロジェクトに集中できるよう配慮しています。
新入社員研修プログラムの事例を紹介!当社独自の「フレッシャーズキャンプ」とは?
ヤマチユナイテッドグループには毎年20人前後の新人が入社してくれます。
当社の新入社員研修には、グループ共通の集合研修、配属先での研修、「フレッシャーズキャンプ」などを用意しています。
当社の新入社員研修の流れや「フレッシャーズキャンプ」の目的や特長、プログラム内容、効果などについてご紹介します。
新入社員研修の流れや「フレッシャーズキャンプ」の特徴
4月頭に行われる入社式の10日ほど前から、グループ共通の集合研修がスタート。
入社式のあとはそれぞれの会社に分かれて1週間ほど研修を受けてから、現場に配属。
後ほどご説明する「新規事業計画案作成プログラム」は、2カ月かけて行います。
少しでも早く配属先に慣れてもらい、ゴールデンウィーク前後には戦力になれるよう、現場でのOJTに力を入れています。
「フレッシャーズキャンプ」は、こうした入社時研修とは別に、4月から12月まで毎月一度、全新入社員を集めて行う継続的な研修プログラムです。
OJTとは違い、現場ですぐ役立つようなテクニカルスキルは一切やりません。
「フレッシャーズキャンプ」の目的は、自発的に行動する癖をつけ、将来、事業責任者や幹部として活躍するための自覚とモチベーションを持ってもらうことです。
これは企業として新規事業を複数立ち上げ、多角化経営を成功させるために必要なことなのです。
「フレッシャーズキャンプ」の主なプログラム事例
プログラム内容としては、収益構造のフレームワークからPDCAサイクルまで、比較的高度な内容を教えており、毎回課題も与えます。
ただ作業をさせるだけでは成長しないので、人前で話すトレーニングを数多く用意しているのが特徴です。
ビジネス書や経済新聞を読んでレポートをまとめる場合でも、自分なりの考察をみんなの前で発表してもらうようにしています。
当社独自の「フレッシャーズキャンプ」の目的は、将来の事業責任者や幹部として活躍するための下地を作ることですので、プログラム内容は新入社員の自主性を育てるユニークなものです。
その一部をご紹介しましょう。
新規事業計画案作成プログラム
「新規事業計画案作成プログラム」とは、2カ月かけて行うユニークなプログラムです。
数人のグループで新しい事業をプランニングするのです。
顧客となるターゲットから、売り上げ予測、原価、経費、営業利益、何年で黒字に転換するかまで考えて発表します。
もちろん新人ですからプランは甘いのが当たり前。
プレゼンでは社長や幹部から「こんな人数でできるの?」「利益率が低すぎる」など、厳しい意見を投げかけられて、ビジネスの難しさを痛感することになります。
でも、その経験が良いのです。
新規事業を作ることの大変さや楽しさを体験すると同時に、ビジネスの視点や自信を深めていくことができます。
思わぬアイデアに出会うこともあり、私たち幹部にとっても良い学びの機会となっています。
人前で堂々と話すトレーニング
研修の最後の12月には、1人15分間、自由なテーマでプレゼンをする「UNITED TALK(ユナイテッドトーク)」を行います。
スーパープレゼンテーション「TED」のようにワイヤレスマイクをつけ、それっぽく歩きながらプレゼンしてもらいます。
聴衆を「なるほど!」と思わせる納得レベル、「聞いて良かった〜」と思わせる感動レベル、「これは自分もやってみたい」と行動を促すレベル、という基準で審査して投票し、優秀者を決めます。
フレッシャーズキャンプの卒業課題でもあるので、プレゼンテーションの本番には部署の先輩たちも応援に来たりして、盛り上がります。
このスピーチとは別に、フレッシャーズキャンプ全体を通して一番成長した人を「MVF(Most Valuable Fresher)」として選出し表彰します。
記念の盾は1年間、配属先の部署に飾られるほか、受賞者には新年度のキックオフでスピーチの機会が与えられます。
数百人もの社員の前で話すのですから、話すのが苦手な人には罰ゲームのように受け取られそうです。
ですが、「フレッシャーズキャンプ」の経験者はなぜか「やってみたい」「みんなに覚えてもらえる」「かっこいい」と思えるくらい、みんな自信がみなぎっているのです。
これは「フレッシャーズキャンプ」で人前で話すことを最重視してトレーニングしているからでしょう。
もちろん最初はしどろもどろになったり、声が震えてしまったりする人もいますが、回数を重ねるうちにみんな堂々としていきます。
要するに、場数を踏めば慣れる。
自分の考えを声に出して相手に伝える訓練は、そのまま主体性を養うことにも直結しているのだと思います。
他にも新入社員を育てるコツについては「新人教育を丸投げして成功するコツは?先輩社員も一緒に育てる方法」でも詳しくご紹介しています。
こちらもあわせてご覧ください。
「フレッシャーズキャンプ」の効果
日常的な業務の合間に、所属の違うメンバーでプロジェクトを進めるわけですから、新人にはとても負担が大きい。
学ぶ内容もすべてが日々の仕事にすぐに役立つとは限りません。
けれど、こうしてビジネスのフレームワークを体感することで、自分が事業全体のどの部分の業務を担っているのかが分かるようになってきます。
自分の働きが全体の数字や計画にどう影響するのかを理解できれば、「もっとこうしたら良いんじゃないか」と、自発的に動けるようになります。
入社1年目の新人のうちから「経営感覚」を身に付けられれば、いずれリーダーや事業責任者となったときに、言われたことだけをこなしてきた人とは圧倒的な差が出てきます。
また、グループワークで協力し合うことで、同期の結束が強まるということが、「フレッシャーズキャンプ」を進めるうちにわかってきたのです。
配属の会社や部署はバラバラでもLINEなどで連絡を取り合い、励ましあったりしている様子が見受けられます。
毎月一度顔を合わせることで、社長と新入社員の距離が近くなるのもメリットです。
新人の一人ひとりの個性を把握できるだけではなく、新入社員に社長自らビジョンや価値観を注入することが可能に。
早期離職の防止にもつながります。
さらに「フレッシャーズキャンプ」は、採用活動にも良い影響を与えています。
当社では若手社員をリクルーターに任命していますが、自分たちが受けた研修の魅力を「すごく勉強になるから」「1年目から事業計画を作成させてもらえるよ」と、学生たちに力説してくれるようです。
なかには「フレッシャーズキャンプ」を受けたくてうちの会社を志望する学生もいるほど。
やる気のある学生が集まるフックのひとつになっています。
若手社員に新卒採用や入社後の育成・サポートに関わってもらう仕組みについては、こちらもあわせてご覧ください。
メンター制度の成功事例を紹介!メリットやメンター選定のポイント
新入社員研修プログラムで会社を活性化させよう
新入社員研修プログラムの目的は、一般的にはビジネスマナーや働くうえで必要な知識・スキルを身に付けてもらうことでしょう。
当社ではそれらに加えて、自発的に行動し、将来の事業責任者や幹部として活躍するための土台を作ることを研修の目的としています。
新入社員研修プログラムを作ることも大切ですが、新入社員や研修運営スタッフ、社内の雰囲気作りにも意識を向け、積極的に研修に参加できる環境を整えることがポイントです。
今回は、新入社員研修プログラムの事例として、当社独自の「フレッシャーズキャンプ」の内容や効果について詳しくご紹介しました。
しかし、当社では採用活動から内定者研修、入社時研修、「フレッシャーズキャンプ」までを一貫した新人教育と捉えています。
即戦力となるキャリア採用ももちろん大切ですが、新卒入社の若者にはボトムアップで会社を盛り上げてくれる突き上げ効果が期待できます。
若手が一生懸命だと、先輩社員も上司もやる気を出さざるを得ませんよね。
組織が活性化する大きなきっかけになってくれるはずです。
当社では、若手社員を育てるノウハウや多角化事業に関するセミナーやワークショップを実施しています。
興味がある方はぜひご参加ください。
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Authorこの記事の著者
株式会社ヤマチマネジメント|取締役 |グループ執行役員
石崎 貴秀
1996年入社。営業課から国際課を経て、総務部チームリーダーへ。その後グループ経営推進会議事務局にて経験を積み、2009年(株)ヤマチマネジメントを設立、移籍。グループ管理本部の統括マネージャーとして采配を振るう。2017年(株)ヤマチマネジメント取締役就任。
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「連邦・多角化経営実践塾」の開塾にも携わり、2014年以降、第1期~現在までシステム経営のメイン講師として活躍。
入塾した企業約70社にシステム経営を指導してきた。現在はシステム経営のコンサルティングも担当。