社員教育の4つの方法。社員が育つ環境づくりのポイントは?
採用・育成
こんにちは、川田です。
「社員が楽しくいきいきと働く」ことを社風としている当社。
僕自身も社員たちには、仕事を通じて体験しうる辛さや苦しさよりも、楽しさややりがいを糧に成長してほしいと願っています。
社員教育のために日々の指導やさまざまな取り組みに力を入れている経営者の方も多いと思いますが、上手くいかないお悩みの原因は上司が「やらない」ことが重要なポイントだったり...!?
今回は社員教育の導入方法や考え方、社員が育つために必要な社内環境づくりのお話です。
ちなみに、社員教育というと新入社員向けのビジネスマナーだったり、社会人の心得だったり、そんなプログラムを思い浮かべる方が多いと思いますが、今回お話するのは既にバリバリ活躍している社員や管理職の成長も考えた内容になっています。
新入社員の育成については「新卒の新入社員を1年で一人前に育てる「フレッシャーズキャンプ」」でご紹介していますので、興味のある方はこちらも合わせてご覧ください。
目次
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川田流・社員教育4つの方法
ステップ1・問う
ステップ2・考えさせる
ステップ3・自由を与える
ステップ4・やらせてみる -
社員教育で大切なポイントは「何でも言い合える」環境づくり
何でも言い合える環境は業務効率アップや売り場活性になる
お互いを理解することでチーム全体のモチベーションが上がる
後ろ向きな会話ではなく前向きな会話を!
その社員教育の方法、本当に社員は育ってますか?
基本的に社員教育についてはよくOJTとOff-JTの観点から語られますが、Off-JTで人が育っているのをあまり見たことがないなぁというのが僕の印象です。
こちらの思い入れが強すぎるせいかもしれませんが、予算を割いてさまざまな自社研修会や外部研修に行かせたり実施したりしても、本人たちは時間が経つと「そういえばそんなのありましたね」という感じで拍子抜けしたことがあります。
研修では知識やスキルをたくさん学ぶことができますが、それらが自分の習得したいものに直結していない場合は、せっかくの能力を活用することができないケースも少なくないのではないでしょうか。
こうなってしまうと残念ながら社員教育は成功したとは言い難く、社員の成長どころかモチベーションの低下にもつながりかねません。
社員教育による成長の素は日々にあり現場にある
そもそも組織の中で人が成長するってどういうことでしょう。
僕が定義するなら、自分に合ったポジションで、自分の業務やほかの社員の仕事あるいは会社の事業がより良くなるための行動がいろいろとできるようになることかな、と考えています。
業務上の目標を達成することが成長に大きく影響するとしたら、外部の研修よりも「どうやったら良くなるか」「どうなりたいか」を情報交換しながら常に話し合える職場環境の方が向上心も育ちますし有益だと思いませんか?
その中で、自分の発言が周りを良くするきっかけとなり、部署や会社、ひいてはお客様からの評価や業績まで、広義な「良くする」に影響を及ぼせる人間にまでなったとしたら、これは大きな成長です。
「何が問題か」「その問題をどう解決するか」「対策を施してみてどうか」「より効果的な方法を見つけられるか」。
いわゆるPDCAサイクルを、うちの社員は職場での日々の会話を通じて自然に実践しています。
僕が口や手を出さずとも、彼らだけで十分業務が回っているのを見ると「育ってるなぁ」と感じるのです。
川田流・社員教育4つの方法
僕が常務取締役を務めるジョンソンホームズは、住宅販売事業のほかにインテリアショップの経営も手がけています。
こちらを例に、川田流・社員教育の4つの方法をステップごとにご紹介しましょう。
ステップ1・問う
住宅販売の現場には僕自身十数年いましたが、実はインテリアショップについてはいまだにわからないことが多いんですよ。
だから問題点を見つけたら「こういう時ってどうするものなの?」とショップの社員に聞いちゃいます(笑)
ここが成長のポイントなんです。
住宅販売の場合、僕はわかっているので口を出してしまうし、言われた社員も聞き入れてしまう。
聞き入れてしまうと、それって他人の案なので、成長という意味では結果が出ないんですよね。
ステップ2・考えさせる
課題を発見した時、マネージャーなど指示する側の人間がまず「どうしたらいいだろう?」と問いかけるのが第一歩。
問えば相手も考えます。
例えば、今月の売上目標を達成するには何をすべきかという場面。
じっくり考えてみると、先月の頑張りがベースになって今月はもう8割ほど決まっていることに気が付いて「今月はあと2割を頑張ればいい」と結論が出ます。
もしそれがちょっと厳しい数字であれば「ほかに何ができる?」と再び問う。
「接客面でできることは?」「見積もりを高確率で成約に持っていくためには?」「オーナー様たちが満足して口コミやリピートしてくれるようにするためには?」などなど。
Q.「○○するためには何をすればいい?」A.「こういう行動」という問いと答えを繰り返しながら、今の自分たちができることを具体的に考えさせるのが目的です。
ステップ3・自由を与える
当社のインテリアショップでは、一人一人に考える習慣が身についたころ「じゃあこれをみんなでやっていけばいいんじゃないの」という意識が生まれました。
その中で彼らは「君は日割り予算の数字を追う係」「君はイベントの計画を立てる係」などと自主的に役割を決めていきました。
この日割り予算の係になるとインテリアショップ経営の全体像が把握でき、ものすごく成長するんです。
プロパー時期かセール時期かを見極めながらそれぞれにクロージングポイントを設定し、顧客心理も絡めつつ...というように、全部ストーリー立てて作っていくので、「役割を与えられると人ってめちゃめちゃ育つんだな」と感心したものです。
ステップ4・やらせてみる
「考えさせる」ということは、課題を自分ごととして捉える視点を持たせるということ。
上から「やれ」と言われたことをこなすだけでは部分的なことしか見えてこないので、「会社は何もやってくれない」「これをやれと言ったのに何をやっているんだ」と互いに不満を抱きがちです。
上司がやり方を提示するのをある意味「放棄」すると人は育ちます。
どうせ放棄するなら上司のせいにすらさせないように「君はどうやったらいいと思う?」と問いかけて、許せる限り自由にやらせてみてください。
その代わり、結果が出なくても責めないこと。
できなかったら「何を変えたらできるだろう?」とまた考えさせるのです。
社員教育で大切なポイントは「何でも言い合える」環境づくり
川田流・社員教育4つの方法についてお話しましたが、実は社員教育の要は社員同士、上司や部下関係なく「何でも言い合える」環境を作ることです。
当社のインテリアショップであった実際の経験をもとに、何でも言い合える環境づくりがなぜ大切なのか、メリットをご紹介しましょう。
何でも言い合える環境は業務効率アップや売り場活性になる
チームを組んで業務に当たる時、たいていはリーダーという肩書を持つ人がいるでしょう。
今回のお話に出てくるインテリアショップの社員の話ですが、以前、リーダーに任命された途端に店頭に立たなくなり、奥にこもってパソコンをカチャカチャやりだすようになった人がいました。
「リーダーだから」本社との連絡業務や事務作業が忙しいとかそういう理由なんでしょうけれど、僕が現場のリーダーに求めたいのはチームスタッフの話を聞きまくること。
リーダーを中心に会話量が増えると「何でも言っていいんだな」という空気が生まれます。
「このレイアウトでは売れないんじゃないですか」「あそこの売り場の商品は動いていないですよ」
そんなふうにみんなが気兼ねせず意見を言える環境になると改善に着手するのも早く、対応も効率化し、売り場も活性化します。
お互いを理解することでチーム全体のモチベーションが上がる
またある時は、月間の売り上げ目標達成の見通しが厳しく、リーダーが落ち込み気味に。
人間ですから日によってモチベーションが上下するのは人として当たり前のことです。
「これは無理じゃない?」と月初から弱音を吐く彼に「いや大丈夫ですよ、いけます!」とサブリーダー。
中盤になるとサブリーダーが不安になり始めますが、今度は違うスタッフが「いや、僕ががんばります!」と言うのです。
普段の会話量が多いからこそ、お互いの気持ちを理解できますし、誰かの気持ちが下がっていても別な誰かが「大丈夫」「できる」と言い続けられる。
僕はモチベーションって個人個人のものだと思っていたのですが、意外とチームのものと言っていいのかもしれません。
モチベーションの高い人が低い人を引っ張ったり補ったりして、総和を高く維持することもできるのだなぁと気が付いた一件です。
後ろ向きな会話ではなく前向きな会話を!
インテリアショップって、数字にとらわれるとすごく業績が下がるし、逆にお客様の暮らしをこんなふうにとか楽しい方向に目が向くとすごく業績が上がるんです。
だからリーダーが振る話題の方向付けというのもとても大事になってくるわけですね。
いくら会話量が多くても「売り上げが少ないのは商品が悪い」「営業が悪い」「環境が悪い」「うちらは悪くないから仕方ない」という方向ではダメ。
「どうやったら目標を達成できるだろう」「楽しく働くために達成したいね」「きっとできる」と話し合い、励まし合って、根拠がなくてもモチベーションを上げておきましょう。
そうすると最終日に高額商品を購入するお客様が突然現れる、なんて奇跡が起こったりするから不思議です。
社員教育は自力で成長した社員を温かく見守る喜びでもある
これまで書いたように、うちでは多くのことを社員それぞれに任せているので、一人前に成長した社員に対して、自分が育てたという変な気負いもないし、大丈夫かなという不安もまったくありません。
社員教育にあたって、当社のようなやり方だと「俺が育てた」と言いたいタイプの人はその栄誉を放棄しなければならないし、口出しも手出しも我慢しなければならないという点でけっこう大変かもしれませんね。
時には僕だって「俺のおかげだよね」と言いたい時はあります(笑)
経営者側はそんなエゴを満たしたい気持ちを抑えることも大事ですよ。
他方、自負や栄誉の代わりに何が得られるかというと、「みんな自分たちで育ったね」と心が温かく満たされること、これが僕のやりがいにつながっています。
それぞれの社員が人生の目的や役割を見つけ、誰かのために貢献し始めるという自己実現の集合体みたいなものが成長の結果として見られるのがうれしく、微笑ましいと感じています。
ヤマチユナイテッドでは他にも「社員が育つノウハウ」で様々なコラムを掲載しています。
社員教育の方法でお悩みの方は、ぜひご参考ください。
【川田が講師を務めるセミナー】
【東京開催】ミッションで顧客や社員から支持される会社をつくる「ミッション作成ワークショップ」
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Authorこの記事の著者
株式会社ジョンソンホームズ|常務取締役|グループ常務
川田 新平
ジョンソンホームズを陣頭指揮。企業ミッションの明文化、共有・浸透を図るとともに社員が輝き主体的に経営参加する組織づくりを通して、新たな成長軌道に導く。現在はグループで展開する多様な事業にコミット。社員皆をよくするために、毎月500名の社員の話を聴くことを自ら実行している。