社員が業績に興味がない...業績を意識して仕事に取り組んでもらうには?

業績管理・経営計画

山﨑 舞
山﨑 舞

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こんにちは、ヤマチユナイテッドの山崎です。

サラリーマンが「給料が上がらない...」「ボーナスが出ない...」と愚痴をこぼす場面が世間ではよくあるのかもしれません。

しかし、それを「会社のせい」「社長のせい」と言ってしまうのはちょっと違うなと思います。

また、「仕事はちゃんとやってるのに」「うちの部署は利益を上げているのに」と不満を言う社員も中にはいますが、そもそも会社全体の業績は上がっているのでしょうか?

社員が自社の業績に興味関心を持つか持たないかによって、日々の仕事の取り組み方はもちろん、業績そのものにも大きな差が生まれます。

今回は、社員が業績に興味がないと感じるのはなぜか、その原因からご紹介。

社員一人ひとり、自分の部署だけでなく他部署の業績も意識して働いてくれるような仕組みづくりについてお話ししていきます。

目次

  1. 社員はなぜ業績に興味がないのか?
  2. 社員に業績に興味関心を持たせるための教育とは?
  3. 社員に他部署の業績も意識して働いてもらうには?
  4. 社員間で利益管理や目標管理を当たり前とする組織づくりのポイント
  5. 社員が業績に興味がないなら、情報開示と成果分配で社員の意欲を刺激しよう

社員はなぜ業績に興味がないのか?

「うちの社員は業績に興味がない」と考えている経営者は多いのかもしれません。

でも、当グループの研修やコンサルティングを利用してくださっている企業の幹部の方々とお話ししていると、「仕事に対して本当にやる気のない人」「責任感が極端に欠如している人」は実際はそこまでいないのではないかと、私自身は感じます。

では、なぜ経営層は「社員が業績に興味がない」と感じるのか。

上層部の方々は全社的に広く多角的な視点で物事を見ていますが、それと比較してしまうと一般社員は「興味がない」ように見えるのかな、と。

つまり、業績に「興味がない」というよりは「興味を持てない」に近い状態なのではないかと考えています。

全社・各部署の状況を把握してさまざまな観点から会社の状況を捉えるためには、与えられている情報があまりにも少なく「興味を持つまでの環境にない」のではないかと思うのです。

正しい情報を得ることができなければ、正しい現状認識や正しい判断はできないもの。

正しい情報とはすなわち、会社経営に関わる数字です。

一般社員が経営層と同レベルの情報を得られるようにするのは難しいかもしれませんが、少なくとも粗利益、可能なら営業利益までアクセスできるようになると議論が進みますし、建設的な意見交換もできるはず。

経営層の皆さんが一般社員に対して「業績に興味がない」と判断しがちなシーンとしては、例えば月末あるいは決算期までに数字を追い切れていないなと感じる場面。

「数字を意識していない」「業績に興味がないから」「やる気がないのでは」...こんな風に思ったことはありませんか?

また、課題解決の頻度やアイデアを見て「レベルが低い...」と感じたことは?

一般社員の視点で考えると、数字をはじめとした情報や多角的な視野が不足しているため、課題解決のためにどのラインまでお金を使えるかわからないし、どんなスケールで対策を立てて良いかもわからない状況です。

そのため案も縮こまりがちで、自分たちの手元でどうにかできるような策を採用してしまうことが多いのではないでしょうか。

企業コンサルティングの経験を通じて見てみると、こういうことが経営層には「意欲が薄い」と見えてしまっているのではと感じます。

社員に業績に興味関心を持たせるための教育とは?

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一般社員が業績に興味関心を持っていないと感じるなら、まずはスタートラインを整えましょう。

社員の意欲を刺激し、給与・報酬の源泉を正しく知ってもらうことが第一歩となります。

「生産性が上がらないと自分たちの給料も上がらない」という、すごくシンプルな理屈に納得できている人がどれくらいいるでしょう?

言葉で聞けば誰もが「そうだよね」と言いますが、会社組織に属している以上、自分たちの給与・報酬の源泉は会社の営業利益であることを本当の意味で理解してもらう。

会社が給料を上げてくれるのではなく、「これだけの報酬を得るためには自分たちがここまでやらなければ」という自助努力の意識が社内で当たり前となる環境を作りましょう。

これらができていないと、社員は会社にぶら下がっているだけで、何をしても同じです。

経営層の方々は十分な情報開示ができていると考えていらっしゃるかもしれませんが、一般社員にとって、こういう考え方は案外腑に落ちていないものだったりします。

大手企業だと内部留保がたくさんあったり、資金力があったり、株主がいたりする背景があるため「会社がどうにかしてくれる」という考え方になりがちですが、これは情報があまりに膨大で下の階層まで浸透しないがゆえに、やむを得ない部分もあると思います。

対して私たち中小中堅企業になると、情報開示は必須です。

経営上の数字を全社に開示することに抵抗を感じる経営者の方は多いですが、科目・費目の見せるところ、見せないところをしっかり社内で合議して出すこと。

そうすると一般社員の目線が一段上がり、「経営層と近いレベルで話ができる=業績に興味関心を持つ教育につながる」のではないかと考えています。

また、数字をオープンにする以上、その数字を読むための基礎教育も絶対に必要です。

読み方がわからない人にいきなり「賃借対照表(BS)」や「損益計算書(PL)」を見せると、無用な誤解を招くことが非常に多いためです。

例えば、不動産会社や工場を必要とする製造業になると初期投資はどうしても大きくなりますが、それはそのようなビジネスモデル。

でも、知識がない人が経営上の数字を見ると「すごい額の借金がある...」とそこだけに注目してしまいがちですが、これは見方が誤っていますよね。

ですから、数字の開示と基礎教育はセットで行っていただきたいです。

実際に読者の皆さんが既存の社員に対して基礎教育を今からやろうと考えるのであれば、上位者から順にBS、PLの理解を進め、決算書の読み方を学んでいく。

さらに、上層部と一緒に年間計画を立てて推移を見ながらBS、PLの変化や経年分析を見て推移的な管理を実地で身につけていくのが良いと思います。

新入社員に対しては、うちの場合だと新入社員研修にあたる「フレッシャーズキャンプ」で決算書の教育をしています。

フレッシャーズキャンプについては「新入社員が成長する研修プログラムとは?成功ポイントや事例を紹介」で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。

新人には新人用のプログラムを用意することによって、既存社員と並行して教育を進めていくと、いずれ社員全員がBS、PLなどの数字を読めるようになります。

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社員に他部署の業績も意識して働いてもらうには?

「他部署」といっても、営業部1課2課のような分け方だったり、あるいはうちのように多角化していて業種業態が違う部門がいくつもあったり、グループ会社があったりと、会社によって異なるでしょう。

ヤマチユナイテッドで行っている、他部署を意識してもらうための工夫を一部ご紹介します。

グループオールの業績目標

「他部署」の範囲に違いはあれど、そもそもグループオールの目標を立てていないと、よその業績に意識を向けることはなかなかないのではないかなと思います。

一般社員に他部署の業績も意識して働いてもらうには、まずグループオールの業績目標を立てることが第一。

ヤマチユナイテッドの場合は、期末に向けて半年前から次期のグループオールの年間営業利益を決める作業に入ります。

また、毎月の経営会議の前に、現時点での決算予測を提出します。

すでに確定している利益を最小値、年間目標数値に対し、営業戦略を反映させた上で想定される利益を最大値として算出することで、期初の段階からグループオールでどれくらい積みあがっているのか、最終決算でどのくらいの利益が出せそうかを見ています。

だから、事業部長クラスの社員はそれらの数字から「隣の部署の環境や市場が厳しくてグループオールで決めた目標に届かないかもしれない」と見ると、自分たちの部署が頑張るしかないという判断になるので、どうしても隣の業績を気にせざるを得ない。

この判断はもちろん各部署の一般社員にも共有されます。

時間はかかりますが「隣がダメだったら自部署が頑張る」というような意識づけができるようトップが発信していき、会社の体質として定着させていく必要があると思います。

ほかに具体的な取り組みとしては、他部署のビジネスモデル分析をやってみるのも良いのではないでしょうか。

フレッシャーズキャンプ

先述の「フレッシャーズキャンプ」は新入社員研修という形を取っていますが、実質的には事業責任者創出のための研修ですので、分析を通じてさまざまなビジネスモデルを知っていこうとする教育を行っています。

そして、うちは多角化しているので、隣の部署のビジネスモデル分析に加えて業績共有ワークも採用しています。

毎月の研修時に、自部署のビジネスモデルと戦略、その中で自分が貢献したことをまとめて各部署と共有することで、1年目から隣の部署の利益感覚も身に着くのです。

そうすると「うちは在庫を持たないビジネスモデルだから利益率90%だけど、他部署では数%...数をこなさないといけないから大変だな」というような感覚で他部署の事情を慮ることができるようにもなりますよね。

新人の頃からやっておくと意識がより定着しやすいのもメリットです。

オンライン朝会

このほかに、うちでやっていることでは「オンライン朝会」が有効。

導入当初は週1回30分程度、幹部による動画配信を通じて各部署の業績などグループ内の情報を共有する機会を設けており、現在は内容を精査し、月1回の開催としています。

これを見ればおのずと「この部署は厳しいな」「ここは好調だな」と何かしら感じるものがあるはずなので、興味関心を持ってもらうための仕組みとしては非常におすすめです。

朝礼はあっても、意外とこうして「グループ業績ダイジェスト」を発表する企業は少ないのではないでしょうか。

大手企業だと社内コミュニケーションを促進する部署みたいなものがあって専門の人たちがいたりしますが、中小中堅企業だと「いいけど、この発表って誰がやるの」という話にもなると思います。

それならば「社内委員会」という形で各部署から1人ずつ出してもらって、それぞれ朝会のトピックを集め、持ち回りで発表するやり方でも良いでしょう。

このような情報発信があるだけで、他部署の業績に対する社員の興味関心の持ち方はだいぶ変わっていくと思います。

ちなみに、私たちのアドバイスを採用してくださったお客様の声から感じるのが、「他部署への興味関心が向上すると社内のコミュニケーションがスムーズになる」ということ。

人の動きがわかってくると、ちょっと頼み事をするときにも良いタイミングを図れるようになります。

そして、グループオールの目標があるので、他部署は「ライバル」ではなく「助け合う仲間」という意識で業務に当たれるようになるのもメリットです。

社員が自主的に業績アップを目指すようになる組織風土づくりについては、「社員が自主的に業績アップを目指す組織風土づくりとは?」でご紹介しています。

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社員間で利益管理や目標管理を当たり前とする組織づくりのポイント

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利益管理、目標管理を定着させるためには、先ほど「スタートラインを整える」というところでもご紹介したように、利益ベースで話をするのを当たり前にしていくことがまず一つ。

もう一つ、利益ファーストで考える際には一人当たりの営業利益目標、一人当たりの生産性といったところを重視していくことがポイントです。

一人当たりの営業利益で考えていくと「自分だけやっていればいい」とはならず、部署単位で考えてもいけるようになります。

自分にも他人にも厳しくはなるかもしれませんが、利益ベースで話をすることを当たり前とするならば「一人当たりの生産性」、言い換えれば「一人ひとりの責任」は明確にしておくべき。

逆にそこが明確であれば、自部署が目標を下回っているときは「自分の努力ないしメンバー活用がうまく回っていない」いう話にもなるし、「それなら組織の仕組み自体にメスを入れ、強みに磨きをかけていく努力もしなければ」という結論が導かれます。

仕組みづくりでいえば、成果分配はやはり大きなモチベーションになりますね。

うちでは「一人当たりの営業利益が100万円を超えたら成果分配をしましょう」というルールを全社で共有しているので、まずは皆そこを目指します。

それが自分の給与額を引き上げることや昇進にもつながりますから、会社の業績と個人の利益を結びつけて考えやすく、手前みそではありますが、うまく仕組みが機能していると思っています。

この仕組みの肝は、一人当たりの売上ではなく営業利益がバーになっていること。

それだけにいつも営業利益を意識して仕事に取り組んでいますし、市場や環境の変化があったとしても、それを補う努力や工夫を積み重ねていけます。

だから、うちの社員同士は会話していても「給料上がらないな」って話にはならないんですよね。

結局自分たちが頑張らないと給与が上がらないことがわかっているし、仮に不満を漏らしたとして「こういう仕組みでしょ」と言われたらそれで話はおしまい。

営業利益をベースに考えることが社員一人ひとりの身に着き、そこがブレなければどの社員でも業績管理責任者になれると思います。

業績と売上の違いについて詳しく知りたい方は、こちらのコラムもあわせてご確認ください。

業績と売上の違いとは?社員自身が業績管理を行う方法とポイント《システム経営の3本柱》 第2回:自主管理

社員が業績に興味がないなら、情報開示と成果分配で社員の意欲を刺激しよう

「社員が業績に興味を持たない」と感じる原因は、経営層と一般社員の視野・視点の違いにあると思います。

全社・各部署の状況を把握してさまざまな観点から会社の状況を捉えるためには、与えられている情報があまりにも少なく「興味を持つまでの環境にない」ということなのではないでしょうか。

会社の経営状況をオープンにしない限り、一般社員が経営層のように会社全体の業績に思いを巡らせるのは難しいことであるはずです。

一般社員が業績に興味関心を持っていないと感じるなら、まずはスタートラインを整えましょう。

社員の意欲を刺激し、給与・報酬の源泉を正しく知ってもらうことが第一歩となります。

科目・費目の見せるところ、見せないところをしっかり社内で合議して経営上の数字を全社に開示し、同時にその数字を読むための基礎教育を施すことから始めましょう。

次の段階として、他部署や他部門、他のグループ会社へ目を向けてもらうためにはグループオールの目標設定をしましょう。

自分の部署・部門・会社だけでなく、みんなでグループ目標の達成を目指すようになると、自然と「隣が厳しいなら自分のところが頑張らなければ」という意識も生まれます。

他部署のビジネスモデル分析や、部署同士の業績共有ワークによって理解を深めていくのもおすすめ。

また、情報共有の手段としては各部署から業績に関わる事柄を中心に情報収集し、オンラインで発信を行うのが有効です。

利益管理、目標管理を定着させるためには、利益ベースで話をするのを当たり前にしていくこと、そして利益ファーストで考える際には一人当たりの営業利益目標、一人当たりの生産性を重視するのがポイントです。

一人当たりの営業利益をバーとして成果分配の仕組みを整えれば、会社の業績と社員個人の利益の関係性もわかりやすく、業績管理責任者育成のための仕掛けにもなります。



当グループは社員全員参加型の「システム経営」を採用しており、新入社員であっても計画立案から進捗管理、成果分配まで自分たちの手で進められるようにするため、グループ全体の業績に関わる数字をオープンにしています。

システム経営についてもっと詳しく知りたい方には、中小中堅企業の幹部の方々を対象に一つひとつのメソッドを学んでいただける研修プログラム「連邦・多角化経営実践塾」をご用意していますので、ホームページでご確認ください。

また、今回のテーマにも関わる自主業績管理につきましては、専門講座「KATAKA」で、導入のためのノウハウを実践的に学んでいただけます。

成果分配の仕組みをおのおのが理解して働くための環境づくりは、皆さんの会社の一般社員の方々にとっても良い効果をもたらすと思いますので、参加をご検討いただければ幸いです。

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