委員会活動の立ち上げは社員参加型経営の第一歩!導入のコツを解説
採用・育成
こんにちは、ヤマチユナイテッドの山﨑です。
これから社員参加型経営を取り入れたいという中堅・中小企業の皆さんに、最初におすすめしたいのが委員会活動。
システムを導入したり、特別な費用を投下するなど、大がかりな準備をせずとも社員を巻き込んでいくことができ、かつ経営課題の解決につながるという点でとても効率の良い方法だと思います。
これまでのコラムでも委員会活動のメリットなどを紹介してきたのですが、最近、ヤマチユナイテッドが主宰する「連邦・多角化経営実践塾」を受講するお客様から委員会活動の具体的な立ち上げ方について、質問を頂戴する機会が増えてきました。
そこで今回は、「会社の委員会活動をどう立ち上げるか」にフォーカスしてご紹介。
読者の皆さんがすぐに着手できるような方法やコツをご説明します。
目次
- 社員の経営参加を劇的に進める「委員会」とは?活動の目的も確認
- 【実録】ヤマチ式委員会立ち上げステップを解説!
- 失敗しない委員会制度導入のコツは?成功事例も確認
- 委員会の立ち上げステップや導入のコツを知り、社員参加型経営を進めよう
社員の経営参加を劇的に進める「委員会」とは?活動の目的も確認
まずは、ヤマチユナイテッドでいう「委員会」がどのような制度かご説明します。
私たちは、委員会活動を社員が経営に参加するための重要な仕組みの一つと捉えています。
さまざまな仕組みの中で、社員一人ひとりが通常業務とは別に会社経営の一部分を担い、自主的に問題解決を図ることのできる組織風土を醸成するための制度が委員会。
つまり、経営課題の一つを社員に任せるという認識です。
どんな会社においても大小さまざまな経営課題があり、難易度が低いものから高いものまで多種多様。
その中で委員会が扱う課題は難易度が低く、緊急度も低い課題です。
「重要ではあるけれど、今すぐ着手しないと会社に何かが起こる」というような課題ではありません。
それでも、着手しておくと確実に会社経営が円滑に進むようなものをテーマとして社員に課する形です。
委員会活動を行うことは社員教育にもつながり、幹部人材を育てる仕組みの一つにもなっています。
「連邦・多角化経営実践塾」のお客様からは「任意参加で良いのだろうか」というお問い合わせをしばしばいただくのですが、任意参加ではダメだとお伝えしています。
委員会活動は通常業務とは違いますが「参加自由の課外活動」ではなく、会社の業務の一環であり「仕事」という位置づけだからです。
委員会活動の役割やメリットについては、こちらのコラムでご紹介しています。
会社での委員会の役割。社内で委員会活動を行う3つのメリットとは?
委員会活動の7つの目的
委員会活動の仕組みを踏まえて、委員会活動の目的は7つあると考えています。
委員会活動の目的が適切に達成されると、会社にとって非常に大きなメリットとなりますので、ぜひご確認ください。
1.経営参加の意識を醸成
経営課題の一つを委員会活動のテーマとして任せることにより、社員一人ひとりが「経営に参加している」という意識を持つことができます。
「会社全体のために何かを行うこと=自分ごと」と捉えることができるようになっていくので、自助努力の体質化も促進します。
2.幹部人材の育成
委員会では通常業務とは異なる仕事をしてもらうため、社員の経験値が上がります。
また、社員が自分たちでプロジェクトを推し進めていくので、ある程度の権限委譲も行われており、ここが能力開発につながり、幹部人材の育成が促進されます。
3.マトリックス組織構成によるコミュニケーションの強化
グループ内で、部署や法人を超えてメンバー選定を行うことにより、横串のコミュニケーションが取れるようになります。
普段の業務では関わりのない人たちと一緒に課題解決に取り組むことを通じて、社内の人脈や知り合いが増えます。
通常業務で隣の部署と連携することになっても、すでに人脈ができているため、連携することが自然な状態になるでしょう。
4.間接部門の肥大化防止
会社が大きくなればなるほど間接業務は増えていくものですが、それに合わせて人員を増やしていくと収支バランスが悪化する恐れがあります。
そういった間接業務を委員会に担ってもらうことによって、間接部門の肥大化を防ぐことができます。
5.管理者業務の軽減
間接部門の肥大化防止と似たような話になりますが、中小・中堅企業においては、いわゆる「プレイングマネージャー」として現場に出ながらマネジメントも手がけ、戦略も立てて...というように、役職者があれもこれもやっているところが少なくありません。
役職者が本人でなければできない業務を進めることができるように、管理者業務の一端を委員会に任せ、負担を軽減するのです。
6.恒常的な経営改善活動
どこの会社でもそうですが、いくつも抱えている経営課題の解決を図る際には優先順位を付けて、緊急度が高く重要なものから着手していっているはず。
そうすると、着手したほうが間違いなく良いけれども緊急度が低い課題は残りがちになってしまうんですね。
でも、そこにメスを入れることで「会社の経営が良くなるかどうか」もきっと変わるでしょう。
当グループ代表の山地 章夫もよく言うのですが、経営者は自分で全部解決しようと思わず、人材育成にもなると考えて社員に一緒にやってもらうこと。
これが定着すると、常に課題をクリアしていける体質になっていくのです。
7.全体の経営改善を全員の当然業務とする認識の定着
自主的遵法精神の定着ともいえますが、委員会活動に携わっていると、例えば稟議の手順のように、通常業務では触れることのない会社のルールに沿って行わなければならないことが出てきます。
「予算をつけてもらい、その予算の範囲内できちんと計画を立て、経営会議に上げて稟議を通す」というような体験もするので、「自社がどのような組織構成になっているのか」「どのように意思決定をするのか」といったことを知るきっかけになるでしょう。
この辺がわかってくると、「委員会活動=経営改善活動であり社員一人ひとりの当然業務である」と認識することができ、経営に参加しているという実感も高まると思います。
【実録】ヤマチ式委員会立ち上げステップを解説!
まずは、ヤマチユナイテッドが実際に行なっている委員会立ち上げステップの図をご覧ください。
各ステップのポイントをそれぞれ解説していきます。
1.設置委員会の決定
最初に、どのようなテーマの委員会を設置するか決めます。
活動テーマの設定にあたっては、緊急度はそれほど高くなくても重要な課題を任せること。
身近なテーマからスタートして、徐々に難易度を上げていくのが良いと思います。
初めから難しいことにチャレンジすると成功体験を積むことができず、せっかく委員会制度を導入しても頓挫する可能性が高いからです。
取り組みやすい活動テーマの例として、以下のような委員会はいかがでしょう。
社員満足(ES)委員会
社員の満足度を向上させるために活動する委員会が「社員満足(ES)委員会」。
社員同士のコミュニケーションを良くする目的で、社内向けのレクリエーションやイベントを企画します。
人材育成委員会
中小・中堅企業では専門部署を設置しにくい「人事部門」に代わって、社内勉強会など学びの機会を提供する「人材育成委員会」もおすすめです。
あまりハードルを上げず、自分たちが学びたいことを中心に、予算などは会社と相談しながら進めます。
OJTレベルでも良いので、各部署で先輩方が同じことを同じように指導しているのであれば、「みんなで勉強会を開催して1回で済ませよう」と声かけや根回しをしてもらうのも効果的です。
うちでは定期的に本読みを実施していた時期もありました。
美化委員会
美化委員会は、社内の清掃活動やオフィスの整理整頓を促します。
一般的には上司や総務部長などが指導するところが多いと思われますが、上から命じられるのではなく、社員同士で注意し合うことで自主的に職場環境を整えることができるようになることを目指します。
経費削減委員会
経費削減委員会は、備品購入費や固定費の無駄を減らすような取り組みを計画・実行します。
例えば、うちではオフィスの照明をすべてLEDに替えた事例があります。
計画を着実に進めたことによって確実に経費を減らすことができ、会社の評価も高かったそうです。
顧客満足(CS)委員会
グループ内で住宅関連事業を手がける「ジョンソンホームズ」が特に力を入れているのが「顧客満足(CS)委員会」。
新築を購入したオーナー様にサービス向上のためのアンケートを取り、その内容をしっかりサービス体系に反映させています。
委員会活動のテーマ設定のポイント
委員会活動のテーマ設定のポイントとしては、取り組みやすいからといって何でもやらせて良いわけでありません。
あくまで「経営課題の中から抽出したものを委員会に任せる」ということを忘れないでいただきたいと思います。
連邦・多角化経営実践塾のお客様から「社員に自由に考えさせて良いですか」と質問をいただくこともありますが、委員会活動とは会社を良くするための業務であり、経営課題の中でも浮きがちで着手が遅れてしまうものを、権限移譲することによって社員に解決してもらうための取り組みです。
テーマは必ず経営課題に紐づいていなくてはならないので、経営会議に出席している経営層から提示するようにしてください。
委員会活動の参加対象者
委員会活動の参加対象者は全社員が理想的です。
いくつか委員会を立ち上げて、そのいずれかに全員が所属することを私たちとしては推奨します。
できればパートやアルバイトの従業員も委員会に入ってもらうとベストですが、就業時間が正社員と異なるので、会社の事情次第で臨機応変に入れる・入れないを判断しても良いでしょう。
活動内容の社内報や議事録を共有するという巻き込み方でも構いません。
委員会活動のルール
委員会活動のルールとしては、各委員会の構成人数と活動期間を定めるほか、会議との紐づけ方が非常に重要です。
つまり、「どれくらいの頻度で活動し、進捗状況をどの場で報告するのか」といったルールがないと、活動もなあなあになってしまい、委員会を立ち上げた意味がありません。
2.テーマ別メンバー編成
初回は挙手制ではなく、経営層が委員長を指名し、メンバーの選定も経営層が行うのが良いと思います。
社内コミュニケーションの促進を図る意味でも、部署や法人を超えてメンバーを集めるのですが、テーマに適性のありそうな人を配置していくようにしましょう。
逆に言えば、どうしてもその課題を解決できないような人を入れると進みません。
顧問、担当幹部決定
顧問、担当幹部決定も、結構大事なポイントです。
委員会活動は幹部育成も兼ねているので、基本的に若手社員を中心に動いてもらうことになります。
何か決め事をしたり、稟議を通したりする時に、根回しできる人がいないとなかなかうまくいきませんし、相談先がなくて活動が進まなければ、委員会は自然解体していくでしょう。
そこで、経営層から1人、担当顧問としてついて橋渡し役となってほしいのです。
ただし、あくまでオブザーバーという立ち位置で、活動に対して過度な口出しは厳禁。
「委員会の会議に顔を出す」「議事録をチェックする」「定期的に委員長と打ち合わせの時間を作って困り事や上の会議で通しておいてほしいことを確認する」といった形で、優しく見守ってあげてください。
3.委員会役割分担の決定
委員会メンバーの中で、委員長、副委員長、幹事、書記といった役割を決めます。
4.委員会名の決定
委員会の名前は、わかりやすくキャッチーな名称が良いでしょう。
5.活動計画の作成
ヤマチユナイテッドの委員会活動は、だいたい1年間の任期としています。
毎年の経営課題と連動するので、委員会の活動計画も1年後を見据えて立てるのが基本。
ただし、1年で解決できない課題については委員長引き継ぎで数年ほどかけて活動することもあります。
活動計画を立てる時には、会社から提示された課題の解決に向けて1年後にどういうゴール設定をするか、どういう状態までもっていくかということを決め、予算を立てて、その中でどのくらいのことができるのかを委員会のメンバーで話し合います。
そして、その中から実行すべきことを計画書に盛り込み、経営会議に提出。
経営層の承認を得て計画の実施へと移行します。
活動のための予算を立てる際の費用感も、連邦・多角化経営実践塾のお客様から質問をいただくことが多いです。
かかる費用は経営課題によって異なるため一概にはいえませんが、最初は経営層が「この金額内で考えてみて」と指示をして、何年かして委員会活動が定着してきたら「どのくらいかかるか調べて提出して」というように、徐々にウェイトを増やしていくようなやり方が良いと思います。
委員会活動の社内での定着度や社員の慣れにもよるので、様子をよく見て判断してあげてください。
うちでは委員会制度が定着してかなり時間が経っているため、基本的には前年の予算を踏襲することが多いのですが、市場の変化もありますから、「委員会のメンバーがあらかじめ相場を調べた上で必要と思われる金額を計上し、経営層の承認を得る」という流れにしています。
6.活動計画の実施
1年間のロードマップに基づいてそれぞれの課題解決に取り組みつつ、だいたい月1回の頻度で委員会の会議が行われます。
ヤマチユナイテッドが委員会を立ち上げたばかりの頃は、各委員長が毎月行われるグループ経営会議に出席し、10分から15分程度の持ち時間で進捗状況を報告することになっていました。
委員長は現場の業務も担う一般社員ですから、毎月の進捗報告のために出席する時間が取れなければ進捗管理表と報告書をオブザーバー役の顧問や担当幹部に預け、代わりに発表してもらうのでも良いと思います。
7.中間報告・見直し
各委員会活動の進捗は毎月の経営会議でも報告が行われていますが、中間報告ではこの時点での目標達成ができたかできないかを発表し、できていなければ計画の見直しが促されます。
委員長が毎月の報告の場である経営会議に出るのは難しい場合でも、キックオフと中間報告、1年間の活動の締めくくりとなる成果報告には自ら発表できるように調整してもらいましょう。
8.活動成果の反省・成果報告
現在は委員会の運営を各法人に任せているのでありませんが、委員会立ち上げ初期のヤマチユナイテッドでは、毎年のグループ経営計画発表会のあとに各委員会の活動報告を行なっていました。
1年間で経営課題が解決されれば委員会はそこで解散です。
とはいえ、会社の規模が大きくなればまた新たな経営課題が出てくるもので、経営課題の数に応じて委員会の数も増減します。
まして皆さんが初めて委員会活動に取り組もうとしているのであれば、おそらく委員会の数は多めになるでしょう。
ある程度続けていくと課題は減っていくはずなので、状況を見て委員会の数を減らしたり、うちのように各社に任せるようにしていっても良いと思いますよ。
9.次年度委員会への引き継ぎ
1年で解決しきれなかった課題については計画書を次年度のメンバーへ引き継ぎ、「経営層から『次の1年はこういうことを目指してほしい』と言われると思うのでよろしくお願いします」と、現在の委員長から次年度の委員長へ申し送りします。
以上が委員会立ち上げの一連の流れです。
ヤマチの委員会活動をご紹介
現在のヤマチユナイテッドはグループとしての規模が大きくなったため、大半の委員会活動が法人単位で行われるようになりましたが、複数法人が連携して活動するケースもあります。
例えば、全社員が参加する大運動会。
しばらくコロナ禍で休止していますが、このイベントは「ヤマチコーポレーション」の各事業部のメンバーを中心に組織した委員会が企画・運営を担当し、終了後の全社懇親会は「ジョンソンホームズ」の委員会が取り仕切ることになっています。
また、当グループで最も規模の大きい委員会は「ジョンソンホームズ」のオーナー感謝祭実行委員会。
住宅を購入したオーナー様方を招いて行う大規模イベントですから委員長になる人は毎年大変そうですが、やり遂げた時の充実感とメンバーの成長度合いは計り知れません。
ヤマチで2024年に発足した委員会活動
2024年は久しぶりに全社委員会が3つ立ち上がりました。
1つ目は、ビジョン浸透委員会。
ヤマチユナイテッドが65周年を迎えたのをきっかけとして、グループの理念体系を一新したので、これを社内に浸透させることが目的です。
2つ目は、動画活用委員会。
実業務の質向上や社員教育に活かすため、動画の活用法を研究しています。
3つ目は、業務最先端委員会。
どの委員会もそうですが、さまざまな法人や事業部、部署からメンバーを抽出しているので、それぞれの法人、事業部、部署が携わる分野の最先端をいく競合他社を研究しようというのが活動の主旨。
ここには予算を多めにつけて、会社視察をしてきても良いと経営層も承諾しています。
BtoB、BtoCといったターゲットとする顧客も異なれば、メンバーによっては自社が関連しない競合もあるのですが、研究を通じてトレンドをつかんだり、事業部間で連携したりと、どちらかというとアンテナをより高く立てることが狙い。
ですから、構成メンバーは役職者や戦略立案に寄与しているような人が中心です。
この3つの委員会は2024年6月に発足し、3カ月に1回集まって活動することになっています。
通常の委員会はテーマ1つに対して委員長1人としていますが、現在のヤマチユナイテッドはいくつもの階層に分かれているため、各事業部から1人ずつ委員長を出してもらっています。
社員の数が多く、委員長それぞれが自分の事業部内で推進の責任を持つという形にしないと活動の成果が出にくいと考えたからです。
委員長は、それぞれのテーマに沿って自分の所属する事業部内での活動方針書や計画書を作成し、グループの常務取締役に提出。
常務取締役の承認を得られたら、その計画に沿って各事業部で推進を図り、3カ月に1回の全社委員会会議で進捗報告する流れになっています。
失敗しない委員会制度導入のコツは?成功事例も確認
初めて委員会制度を導入する際は、失敗を避けるために以下のような進め方を推奨します。
前の項目と重複する部分もありますが、いま一度確認してください。
1.経営者からトップダウンで導入宣言をする
最初に、経営者から社員の皆さんへ委員会活動の目的をきちんと宣言してください。
宣言のポイントは、課外活動ではなく業務の一つであること、だから任意ではなく全員参加が求められること、委員会活動を通じて経営課題を解決しようとしているので確実に進める必要があること。
この3つは必ずブレることなく伝えていただきたいです。
2.経営計画全体および組織計画と一緒に委員会活動を考える
委員会のテーマは必ず経営計画に紐づいていなくてはいけません。
委員会活動には社員全員参加型の経営を体質化する狙いもあるのです。
オブザーバーとして幹部社員に入ってもらったり、委員会の構成メンバーを選んだりする必要もあるので組織計画もあわせて考えましょう。
3.会社の公式な制度として管理する
委員会活動は、経営課題解決のために運用される公式な制度として運用します。
課外活動ではないので、任意ではなく全員参加が条件です。
4.委員長の任命と担当役員の選出
オブザーバーがいないと委員会活動が停滞したり、頓挫したりする恐れがあります。
経営層から1人選び、委員長が相談しやすい環境を作ってあげてください。
委員会制度を導入するポイント
委員会制度を導入する際のポイントもご紹介します。
ポイント①目的の理解
経営者の宣言で伝えられたことを、委員長やメンバーはもとより社員全員がきちんと理解できるようにしましょう。
社員の理解が進むと、現場の責任者は委員会活動の時間を作れるように部下の業務を調整したり、一般社員も委員会が推進する行動に積極的に取り組んだりと、活動に協力的な環境が整います。
ポイント②活動テーマの明確化
経営課題から抽出したテーマを設定するためには、経営層から下ろしていただきたいです。
ポイント③委員会編成メンバーは数人程度
ヤマチユナイテッドの全社委員会だと数十人規模になるものもありますが、1つの委員会の編成メンバーは5人~10人が目安。
何かを決めていく時にあまり人数が多いと統制するのが難しくなりますし、一人ひとりが責任感を持って活動を進めていくにはこれくらいの人数がベストだと思います。
ポイント④担当顧問・オブザーバーをつける
稟議を通す時などの橋渡し役、困ったり迷ったりした時の相談役として幹部社員をつけましょう。
ポイント⑤活動の進捗管理の徹底
進捗報告は経営会議と紐づけるのが一番良いです。
委員会制度を導入するにあたって「稟議をいつ通せば良いのか」と迷う方も多いのですが、経営会議と紐づけておけば稟議もそこで通していけます。
報告の場と稟議の場はセットにしてしまいましょう。
ポイント⑥活動内容を評価・承認、権威づけをする
やりがいや活動の意義を実感してもらうためにも、フィードバックは大切です。
「よくやってくれたね」と感謝することもお忘れないよう、お願いします。
委員会の立ち上げを成功させた事例
当グループで推進している、社員が経営に参加するシステム経営を導入したいという企業様のために用意しているのが「連邦・多角化経営実践塾」。
受講するお客様方に、最初の宿題として提示するのが委員会の立ち上げです。
経営幹部の皆さんで経営課題を整理し、その中で重要だが緊急でない課題を抽出するところから始めてもらいます。
実際に委員会制度を導入したお客様の中には、「社員を経営に参加させる取り組みを一度もしたことがない」という経営者の方もいらっしゃいます。
ある企業様では、初めての試みとして委員会の立ち上げに取り組まれましたが、委員会活動を続けていくうちに、社員から「女子社員の制服の選択肢にスラックスも入れてみたい」といった意見やアイデアが活発に出てくるようになったそうです。
それからはテーマと予算を社長が決めて社員がアイデアを出し、社長が承認して実行に移す、そして課題が解消される流れでうまく進めることができたようです。
すると社員たちの気持ちに変化が現れました。
成功体験を重ねていくことで「自分たちで会社を変えているのだ」という実感が湧いたと同時に「経営の一端を任せてもらえた」と気持ちが上がったらしく、経営参加を前向きに捉えてくれるようになったと、そのお客様は喜んでいらっしゃいました。
委員会の立ち上げステップや導入のコツを知り、社員参加型経営を進めよう
委員会活動は、社員が経営に参加するための重要な仕組みの一つ。
緊急ではないが重要な課題の解決を社員に任せることによって、課題そのものの解消はもちろん、経営参加の意識の醸成、幹部人材の育成をはじめとしたさまざまな目的が達成されるため、会社が得られるメリットも非常に多いと実感しています。
社員は全員、基本的に1年の任期で各種委員会のいずれかに所属してもらい、自主的に計画を立てて経営課題の解決に当たります。
実際に動くまでには経営層でテーマやルールを設定し、メンバーを選出するといった準備が必要です。
さらに、初めて委員会制度を導入する際には「課外活動ではなく業務の一つであること、だから任意ではなく全員参加が求められること、委員会活動を通じて経営課題を解決しようとしているので確実に進める必要があること」を経営者から全社員にしっかり伝え、理解してもらうことが必須となります。
社員参加型の経営を始めようと思ったら、権限委譲の第一歩として最も着手しやすいのが委員会活動だと思うのですが、連邦・多角化経営実践塾のお客様にお聞きすると、立ち上げには案外勇気がいるという声もいただきました。
実業務以外の仕事を社員に取り組ませたことがない会社にとっては、確かにハードルが高いと感じることもあるでしょう。
しかし、社員へ委員会活動の目的をしっかり伝え、全員で取り組むことを理解してもらってスタートすれば、莫大な費用も特別なスキルもいらないので取り組みやすいのではないでしょうか。
全社員で続けていくことで「経営に参加するのは当たり前」という空気が徐々にできてくるはずです。
そうなると経営層の方々も「次は数字をオープンにしたり利益管理を任せたりしても良いのかな」と思えるようになり、最終的には成果分配に至るまで社員が自主的に責任を持って実施する、いわゆる「システム経営」が実現するのです。
皆さんもまずは実行に移し、それでもうまくいかないと感じる場合は、ヤマチユナイテッドが主宰する「連邦・多角化経営実践塾」への参加をご検討ください。
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Authorこの記事の著者
株式会社ヤマチマネジメント|経営支援事業部 |営業推進チームリーダー・人財開発コンサルタント
山﨑 舞
人材総合サービス会社の営業部勤務を経て2018年(株)ヤマチマネジメントへ入社。前職では採用広告サービスの販売営業部で戦略スタッフとして企画・販促・アシスタント業務を担当。その際、元々取引先だったヤマチユナイテッドの社風やミッションに惚れ込み、転職を決意。現在は経営支援事業部で企画・運営を担当しつつ、営業推進チームリーダー兼人財開発コンサルタントとして活動。企業の新卒採用・育成を支援している。