1人当たり生産性を高めるために大切なたったひとつのこと

組織運営ノウハウ

山地 章夫
山地 章夫

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こんにちは、山地です。

今さら言うまでもありませんが、どの会社にとっても「生産性」は経営の重要課題のひとつ。それは、多角化経営についても同じです。

しかし、多角化を進めていくと、それぞれの事業間で重複する仕事が発生することで、経営効率が下がり、生産性が落ちていくという事態になりがちです。

たとえば、それぞれの事業部門に経理や人事などの管理部門を設ければ、その分人件費が高くつく結果となります。

これをどう解決すればいいのでしょう?

今回は「1人当たり生産性」を高める工夫について説明しましょう。

目次

  1. 生産性アップの取り組みは現場からスタートすべし
  2. 少なくても1人100万円以上稼げる会社を目指そう
  3. コスト削減ではなく粗利を増やすのが近道
  4. 生産性を切り口に、現場を改善しよう
    (1)プラン提案の事例
    (2)本図面設計の事例
    (3)コーディネート過程の事例
  5. 生産性向上のために大切にすべきこと
  6. まとめ

 

1.生産性アップへの取り組みは現場からスタートすべし

当社では、ボーナスや昇給、採用などの原資はすべて生産性アップに左右されますから、「生産性を上げよう」というのが社内の合言葉になっています。

それこそ新入社員にも、フレッシャーズキャンプなどの研修の場で、生産性の大切さを頭に叩き込んでもらいます。

グループ全体でも、1事業につき1人の経理担当者を張りつけるのではなく、複数事業を1人に兼任させたり、生産性に寄与するようなシステムに投資したり・・・。各事業で生産性アップに効果的だったアイデアや情報は、グループ内で開示・共有するなどの工夫は当然行ってきました。

特に、管理などの間接部門、採用や仕入れ、ブランディングは、グループ全体で一括して進めたほうが生産性アップに寄与します。

しかし、グループ全体でできることには限界があります。

社長もスーパーマンではありませんから、各現場の生産性アップの秘訣まではなかなか閃かない・・・。生産性アップのヒントは常に現場にあるからです。

ですから、生産性アップは各事業の現場のメンバーに知恵を絞ってもらうというのが私の基本スタンスです。

2.少なくても1人100万円以上稼げる会社目指そう

当社の給与制度は、通常のボーナスとは別に、期末に「成果分配」という決算賞与がプラスされるのが特徴です。

したがって、事業部の「利益」に比例して大きな差が生じ、個人レベルでも年収で何百万円も差がつくことがあります。

ここで言う「利益」とは、正確には生産性のことで、「1人当たり生産性(営業利益)」を基準としています。

したがって、少人数でたくさんの利益を出していれば、配分が多くなるというわけです。

世の中の一般的な1人当たり生産性の基準は「100万円」とされているので、当社では「少なくとも1人100万円より稼げる会社(事業)を目指す」のを原則としています。

100万円以上稼げなければ、成果分配が少なくなってしまうので、社員は自然とどうしたら1人当たり生産性を上げられるかを考えます。

3.コスト削減ではなく、粗利を増やすのが近道

「生産性を上げよう」というとき、一般的には粗利を上げるよりも、コストを下げるほうにベクトルが向きがちです。

例えば「コピーの裏紙を使う」「電気をこまめに消す」というように・・・。

しかし、この程度のコスト削減をしても、生産性への影響はごくわずかです。

それよりも粗利を1%上げたほうが、はるかに生産性向上に寄与するインパクトは大きいでしょう。

したがって、現場のメンバーには「どうやって粗利を上げるか」を、普段から考えてもらうことが重要です。

当社の場合、各会社や事業部で、毎週、現場の幹部会議やチーム会議が行われていますが、こうした会議の場でも「どうしたら生産性をアップできるか?」を題材にみんなで議論し、知恵を絞っています。

「生産性を上げるには、粗利を上げるのが一番。では、粗利が上がらないのはなぜか?」と分析していくと、自ずと答えが見えてくるものです。

4.生産性を切り口に、逆算で現場を改善しよう

「生産性アップ」を考えることは、現場の改善にも直結しています。

(1)プラン提案の事例

住宅の建築事業を例に説明しましょう。

これまではお客さまの要望に合わせて、とりあえず設計部をつくり、プランを出していました。

イチから設計すれば当然コストがかかります。

そのプランが採用される確率が3割程度しかなければ、7割の作業がムダに終わることになり、当然、生産性は下がります。

反対に「7割のムダを減らせば生産性は上がる」ということが分かります。

たとえば、7割のムダのうち、お客さまとプランを決定したものの、そのあと銀行の融資が通らず、結果としてプランが台なしになるケースが多かったとします。

この場合、プランを作成する前に融資の事前申請を行うよう営業プロセスを変えれば、ムダな作業を避けることができます。

また、お客さまが銀行からいくら借りられるかも事前に分かるので、その融資額に見合ったプランを作成でき、さらにムダはなくなります。

(2)本図面作成の事例

同様に、図面の作成も改善の余地がありました。

注文住宅の場合、お客さまはいろいろとリクエストしたくなりますし、営業担当もそれに応えようと新しい図面をイチから作成しがちでした。

しかし、初めての図面で家を建てれば、小さな不具合やミスが発生し、どうしてもコストが上がります。

なんでもかんでもイチから図面を描いていたら、生産性は下がるのです。

そこで、ほとんどのお客さまが満足するような図面の"王道プラン"を用意して、選んでもらうことにしました。

そうすれば、新しい図面を作成する手間が省けて、別のお客さまにリソースを向けることができるからです。

(3)コーディネート過程の事例

もうひとつ例を紹介しましょう。

当社の住宅建築の事業部門にはインテリアコーディネーターが在籍し、お客さまの要望を踏まえ、打ち合わせを重ねながら家の内装を決めていくため、お客さまから大変喜ばれていました。

問題なのは、時間のかかることです。

自宅の内装にこだわりたいというお客さまは多いので、1回2時間の打ち合わせを10回ほど重ねるケースがあり、ときには内装の決定に計30時間も費やすことがありました。

お客さま満足も大切ですが、生産性の面からいえば問題があったのです。

そこで現場のメンバーは、生産性にフォーカスして「これまで平均5回打ち合わせをしていたが、平均3回で完了させるにはどうすればいいか?」と知恵を絞っていきました。

すると「1回目の打ち合わせでは、必ずこういう提案をしよう」「お客さまの喜ぶツボは外さないようにする一方で、それ以外の部分は短縮しよう」「迷っているお客さまには、こういうトークをすると決心してくれるので、その文言をメンバーで共有しよう」などのアイデアが上がってきました。

このように、打ち合わせの時間を短くすると同時に、なおかつお客さまの満足度が上がる方法を日々研究していったのです。

こうした小さなイノベーションの積み重ねの結果、粗利は22%から30%に上昇しました。

20%の販管費を使ったときに、2%しか利益が残らない場合と、10%も利益が出る場合とでは、天と地ほどの差があります。

「生産性アップ」にフォーカスし、そこから逆算すると、仕事のプロセスを改善せざるをえないので、結果的に生産性はアップしていくのです。

5.生産性向上のために大切にすべきこと

社員の1人当たり生産性が上がった結果、ボーナス支給額も多くなり、社員満足度も向上します。

1人当たり生産性をアップさせるために大切なのは「ああしろ、こうしろ」と社長が指示を出すのではなく、現場の社員やメンバーに考えさせることです。

社長が「他の会社ではこんなことやっていたぞ」と情報を出したとしても、効果はたかが知れています。

それよりも、社員が自主的にセミナーに出たり、書籍を読んだりして、積極的に情報を取りにいき、自社の現場に当てはめて考えるといったプロセスのほうがずっと効果的でしょう。

現場のメンバーに自分で考えさせるために「ワークショップ形式」の会議をして、生産性アップをテーマに話し合ってもらってもいいでしょう。

生産性向上のためにコンサルタントを入れる場合も、いっそのこと「丸投げ」したほうが生産性は上がります。

コンサルタントからアドバイスを受けた社長が、「こんな方法でやればいい」と指示を出しても、社員は言われたとおりに動くだけで、その場しのぎの対応になります。

それよりも、コンサルタントに現場に入ってもらい、直接社員が質問したり、相談したりできるような環境をつくれば、社員は率先して動くはずです。

6.まとめ。

「1人当たり生産性」を切り口に作業のムダを見つけ、改善していけば、ボーナス支給額が増え、社員満足度もアップする。そんな好循環をつくりだせます。

ポイントは指示を出さないこと。

社長が存在感を消さないと、現場の社員は自分の頭を使って考えません。

「うちの社長は何もアイデアを持っていない」と、社員から陰口を言われるくらいのほうが、現場の生産性は向上していくはずです。

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