当事者意識とは?社員の自主性を高める仕組み「カンパニー制度」を紹介

組織・給与制度

山﨑 舞
山﨑 舞

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こんにちは、ヤマチユナイテッドの山崎です。

「上司の指示や指摘を他人事のように受け止めている感じがする」

「不備を注意しても他責にする傾向がある」

現場の中堅社員から、自部署のメンバーに対してこんな声が聞こえてくることはないでしょうか。

会社の成長にとって自律型人材の育成は欠かせませんが「社員の当事者意識が低い...」とお悩みであればそれ以前の問題です。

今回は、当事者意識が低いと思われる社員の姿勢の背景に何があるのか、改善を図るにはどうしたら良いかについて解説します。

また、さらにそのもう一歩先を考えている皆さんに向けて、ヤマチユナイテッドで2023年度にスタートした「カンパニー制度」をご紹介します。

目次

  1. 当事者意識とは?
  2. 当事者意識が低くなる原因とは?社員の自主性を高める環境づくりを考える
  3. 100の事業、100人の経営者を創出する「THE 100VISION」
  4. 経営者人材をスピード感高く育成する仕組み「ヤマチ流・カンパニー制度」
  5. 当事者意識が高い社員を育成するには「任せる」ことが大切!

当事者意識とは?

まずは「当事者意識」について再確認してみましょう。

仕事をする上での「当事者意識」を考えると、自分が従事する実業務に対してはもちろんですが、「帰属している会社の社員として、社内で起こるすべてを我が事として捉える感覚のこと」だと思います。

当グループでいえば、多角化経営をするにあたって各事業を任せられる経営者人材を育てていくことにつながっていきますから、一経営者、一事業責任者として売り上げから経費管理、利益管理まですべて自分の事として考えることを当事者意識としています。

さらに言えば、ビジネスパーソンとしての当事者意識とは、「生産性高く利益を出していく」というようなゴールを目指す中で、関わってくることすべてに対して我が事として考えることであるといえるでしょう。

当事者意識が低くなる原因とは?社員の自主性を高める環境づくりを考える

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そもそも、なぜ「当事者意識が低い」社員になってしまうのでしょうか。

結論から言ってしまうと、考えることを求められずに「言う通りにやってくれ」と指示されてばかりの環境化が、社員から自主性を奪ってしまう要因だと思います。

メンタル面でもモチベーションが下がりますし、「上から下ろされた仕事だけやればいい」という感覚が身についてしまうと自主的に何かしようとは思わなくなり、必然的に当事者意識も低くなるでしょう。

その結果、成果が上がらず叱責を受けても「自分で考えてやったことではない」「やれと言われた通りにやっただけ」と感じるでしょうから、我が事になるわけがないですよね。

当事者意識をもって業務に向き合う社員を育てたいのなら、社員に自分で考えさせ、さらに考えたことを試すことができるというところまで含めた環境づくり、体制づくりを行うべき。

同時に責任も負わせることで、「自分で考えた」「自分が実行した」ことによって生じる結果を受け止める覚悟もおのずと決まってくるはずです。

社員の自主性を高める環境づくりの起点として、うちでは「事業計画の立案を任せる」ということをやっています。

「目標を決める、計画を立てる、それを実行する」という一連の業務をすべて任せることで、自分たちの考えを反映した計画によって業務が進むことにやりがいを見いだし、「任せてもらっている」という自信と責任感を持ってほしいというのが狙いです。

リーダーやマネージャーなどのようなポストを与えるのも一つの方法です。

一般的には、ポストに見合うような実力が身に付いている人を任命するという考え方が大半かもしれませんが、うちの場合は「ポストを与えて育てていく」という感覚が強いように思います。

もちろんお膳立てはしっかりと、手順を踏んで任せていくようにした上での話ですが、「このポストに見合うように成長してね」と期待をかけていることが伝わると本人もうれしいでしょうし、実際に自分のやりたいように思考を巡らせ、周囲の期待以上の成長を遂げてくれるケースも少なくありません。

もちろん、先述のように責任感もセットになっていますから、結果を自分で受け止め、責任を負うという覚悟も身に付いていきます。

結局のところ、上層部が「あれをやれ、これをやれ」「とにかく言われたとおりにやればいい」という姿勢でいる限り、「当事者意識ないよね」と言われた側はキツイだけ。

環境を任せることを委譲することで作ってしまうことが やはり自主性を高めるきっかけ、環境になるのではないかなと思います。

「自ら考えて実行する」という権限を委譲し、責任を負わせることこそ、社員の自主性を高めるきっかけになるのではと私は考えます。

ちなみに...任された側の実体験として、私の話を少しご紹介しますね。

あとで出てくる「カンパニー制度」に関係するのですが、今年度から私が任せてもらえる仕事の幅が広がったんです。

これまで事業部長(当グループではゼネラルマネージャーと呼んでいます)がやっていた仕事、それこそ単年から3年後までの事業計画立案に始まって、組織づくりのビジョン、採用や利益構成、商品開発の方針づくりなどに携わることになり、経営により深く参加できるようになりました。

やっぱり仕事の幅が広がるのは楽しいですし、自分で考えて実行することで経営に参加していると実感できることもとてもうれしいですね。

一方で、自分で考え、自分の好きにやらせてもらっているからこそ、生産性高く進めなければいけないし、「逃げられないな」と責任の重さも身をもって感じています。


上層部からすると丸ごと任せるのはちょっと怖いと感じるかもしれませんが、任せてもらった私のリアルな感想としては、プレッシャーよりも楽しさとやりがいのほうが大きいと感じるんです。

失敗すれば自分のせい、常に利益を上げていこうとすると忙しさが増すばかりなので業務の効率化も図らなければいけない、営業利益を上げるために売り上げとコストのバランスも考えなければ...など、課題もたくさんあります。

でも、これらの課題を乗り越えるためにもっと勉強したい!という意欲が湧き上がってくるんです。

ポストを与えられるということは、責任を負う半面、個人のスキルアップや成功実感にもつながるのだなということを実体験として強く感じることができました。

コラムをお読みの経営者の皆さんにも、思い切って社員に「任せる」ことを実行していただけたら良いなと思います。

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100の事業、100人の経営者を創出する「THE 100VISION」

当グループ、ヤマチユナイテッドのビジョンは「THE 100VISION」。

100の事業を創出し、それを担ってくれる100人の経営者を育て、100年続く企業にしようというグループ代表・山地章夫の思いが、ここに込められています。

このビジョンを定めた時、山地はあえて実現までの期限を設けなかったといいます。

理由を尋ねたところ「『100』が目的になるのがちょっと嫌だったからかな」。

つまり「100」という数字にこだわりがあるわけでなく、単に「たくさん」という意味で使ったのだと。

当グループのミッションは「世の中に、幸せをばらまく」。

こちらは「いろいろな方に、いろいろな事業を通して、いろいろな領域で幸せをお届けする」ということを使命感をもって働くという意味合いです。

これを叶えるためにはたくさんの事業がないとできないし、たくさんの事業を作るためにはそれぞれの事業を任せられる人がたくさんいないと実現不可能です。

そういう意味での「たくさん」を表したのが「100」であり、いつか「100VISION」を実現するために自主的に動いてくれる社員=経営者人材をたくさん育てていくことを非常に重要視してきました。

うちで採用している「システム経営」は、まさに経営者人材の育成に効果を発揮する経営手法です。

システム経営の特徴を一言で説明するなら「社員全員参加型の経営」。

現場の社員が自分たちで事業計画を立てる「自主計画」、同じく自分たちで業務の進捗を管理する「自主管理」、結果を受け止めて自分たちで利益を分配する「自主分配」が、システム経営の三本柱。

これらを通じて社員たちが会社経営に対する意識を高め、思考を深め、さまざまなことを学び、事業責任者の素養を身に付けていくことを狙いとしています。

そして、システム経営を進めていくためには全社員に数字をオープンにし、情報を共有するオープン経営と管理会計も必要です。

情報を与えずして「自分で考えよう」と言っても無理な話ですから、システム経営とオープン経営、管理会計はセットで取り入れるべきもの。

その前提として、当グループでは新入社員の頃から数字の読み方を身に付けさせるなどして、経営者人材として成長してもらうための下地づくりをしています。

こうして「THE 100VISION」を実現するためにいろいろな取り組みをしてきた当グループですが、創業65周年の節目でもある2023年度、ついに「2030年までに100の事業を達成しよう」と期限を決めることにしました。

そのために始まった新たな「カンパニー制度」について、次の項目でご紹介したいと思います。

経営者人材をスピード感高く育成する仕組み「ヤマチ流・カンパニー制度」

「カンパニー制度」とは、当グループ各法人の中にある複数の事業部の一つひとつを「カンパニー」と位置付け、各事業部トップの一つ下にいる社員を「カンパニー長」に任命して業績計画を立てさせ、利益責任も負わせるという仕組み。

要は次の世代へ権限移譲を行い、ステージチェンジしたということですね。

上の項目でも説明した「ポストを与える」ということでもあります。

例えば、グループ内で住宅販売を手がける会社「ジョンソンホームズ」の中には、新築事業部だけでも6つブランドがあります。

カンパニー制度導入後は、新築事業部を「新築事業本部」としてこれまでのゼネラルマネージャーを「事業本部長」に、それぞれのブランドのリーダー職(マネージャー)を「カンパニー長」に任命。

これまではゼネラルマネージャーが業績計画を立て、利益責任を負っていたところを、今後はカンパニー長が担っていくということです。

先述した通り「THE 100VISION」には、元々達成の期限を決めていませんでした。

山地の思いもよく理解している幹部たちから「今の自分たちなら近いうちに達成できるのでは?」という声が上がり、「2030年までに」と期限を決めたのが今年度(2023年度)です。

カンパニー制度は、現在うちが手がける50ほどの事業をあと7年で100まで増やすべく、スピード感を高め、ゼネラルマネージャーの次席にいたリーダーたちにより広い裁量権と責任を与えるために考えられた仕組みです。

これと並行して当グループで手がける「事業」の定義も整理し、事業とは「営業利益を算出できる組織であること」「兼任ではない組織のトップがいること」を満たし、さらに将来的に確実な利益をもたらす事業を「1事業」と数えることにしました。

実務面では、事業本部長が事業部全体を統括することには変わりありませんが、2030年までに100の事業を達成するためには既存事業の利益を伸ばして新規事業を下支えする必要がありますし、定期的に新規事業案も出していかないといけません。

事業本部長の役割としては自分の事業部のカンパニーの統括とカンパニー長の育成、そして新規事業を生み出すことが求められています。

カンパニー長はかつてのゼネラルマネージャーの仕事が一段降りてきた形になり、自分が所属するカンパニーの業績に対して利益責任を負う立場に。

部門方針書の作成も大切な仕事で、具体的には、「カンパニーが今はどんな状態で、課題があるなら原因は何で、その原因を潰すための課題はこれこれで、今期は対策としてこういうことをやっていきます」ということをA4サイズの紙1枚にまとめるのです。

そして、カンパニーごとのミッション、パーパス(企業の存在意義)をベースとして進捗状況の振り返りを行い、その結果を社内SNSで毎週発報し、他部署とも情報共有するという流れ。

さらに自分のカンパニーの事業内容とシナジー効果のあるような新規事業案を出すという仕事も加わっています。

会議の流れも少し変わって、各カンパニーでは月1回、カンパニー経営会議を行うことになりました。

カンパニー経営会議の次は事業本部経営会議、各社経営会議と続き、その次が各事業部の事業本部長が集まる「HQ(ヘッドクォーター)会議」となり、HQ会議で採択された計画や方針が役員会へ上がるという構造になっています。

カンパニー経営会議では固定アジェンダとして「新規事業案を出す」ことになっており、出てきた案を議事録としてクラウドに保存することで新規事業案のエントリー完了です。

上層部の会議で揉まれて「これいいんじゃない」となれば、プレゼンテーションの準備をしていきます。

最終的に「世の中に、幸せをばらまく」ため、使命感をもってこの幸せを一つでも多く増やすために社員全員が経営についてより多く学べ、体感できる環境にしたいと導入したカンパニー制度。

実は私もカンパニー長となったうちの一人です。

やることが増えて責任も重くなりましたが、2030年までに「THE 100VISION」達成という具体的な目標に向かって、グループ全体がスピード感をもって動き出したことを実感しています。

カンパニー長自身も自分の業務を下へ移譲することが進むので、社員たちの成長が促進され、当事者意識をより高めた経営者人材が育っていくことも期待できそうです。

当事者意識が高い社員を育成するには「任せる」ことが大切!

「当事者意識」とは、従事する実業務はもちろんのこと、帰属している会社の社員として社内で起こるすべてを我が事として捉える感覚のこと。

「当事者意識が低い社員がいる」と感じるのであれば、上層部が「あれをやれ」「これをやれ」「言われた通りにすればいい」という指示の出し方をしていないか、振り返ってみてください。

「上から下ろされた仕事だけやればいい」という感覚が身についてしまうと自主的に何かしようとは思わなくなり成果が上がらず、叱責を受けても「自分で考えてやったことではない」「やれと言われた通りにやっただけ」と感じるでしょうから、当事者意識が下がるのも当然です。

当事者意識をもって業務に向き合う社員を育てたいのなら、社員に自分で考えさせ、さらに考えたことを試すことができるというところまで含めた環境づくり、体制づくりを行うべき。

リーダーやマネージャーなどのようなポストを与えるのも効果的です。

当グループでは100の事業を創出し、100人の経営者人材を育てる「THE 100VISION」というビジョン達成のため、2023年度から「カンパニー制度」を導入しました。

マネージャークラスの社員に「カンパニー長」のポストを与えて裁量権を拡大し、利益責任も負わせるという仕組みです。

当グループでは現在50ほどの事業を手がけていますが、創業65周年の節目でもある2023年を迎え、7年後の2030年までに100事業を達成することに決めました。

カンパニー制度は、事業拡大と人材育成のスピード感を高めるための仕掛けとして、今後はうちのシステム経営のメソッドの一つとして組み込んでいくつもりです。

ある時、グループ代表の山地に「社員に任せてしまうのは怖いと思わないんですか」と聞いてみたことがあります。

山地は「性格的にそんなに気にならないよ」と答えてくれましたが、私だったら気になっちゃう...と思ったものです。

でも、なぜ任せられるかと考えてみると、山地は会議をとても大事にしていて、そこできちんと報告が上がってくるので、何かが決まるまでのプロセスも早い段階から何となく耳に入っている、だから安心していられるということのようなんですよね。

今、「THE 100VISION」を7年後に達成するために会社全体が動き出したことで、山地が一番楽しそうにしています。

当グループでは、カンパニー制度を加えたシステム経営やリスクに備えた新規事業の発案方法、自律型人材の育成など、多角化経営を目指す皆さんに役立つ各種セミナーや、集中講座「連邦・多角化経営実践塾」もご用意しています。

開催日程などはホームページでご案内していますので、ぜひご覧ください。

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