会社の意思決定。人や組織が動くのはトップダウンよりボトムアップ?
組織・給与制度
こんにちは、川田です。
組織における意思決定の方式として、トップダウンとボトムアップがよくいわれます。
一般的には、社員の主体性の発揮やモチベーションの維持などといった点からもボトムアップ式のほうが良いとされているようですが、そうともいえないと感じます。
とはいえ、上層からの一方的な価値観の押し付けや指示命令では上手く回っていきません。
今回は意思決定をテーマに実践事例からお話しします。
目次
- 会社の意思決定は「トップダウン」と「ボトムアップ」の2つ
- 会社の意思決定はボトムアップだけでもトップダウンだけでも上手くいかない
- 意思決定は社員の参加意識を高めながら、組織のトップが行う
- 意思決定はミッションが支える。業績を伸ばす事業部のケース
- 会社の意思決定は積み重ねが重要
1.会社の意思決定は「トップダウン」と「ボトムアップ」の2つ
実践ケースをお話しする前に、トップダウンとボトムアップについて簡単にお話しておきましょう。
企業経営の意思決定の方法は「トップダウン経営」と「ボトムアップ経営」の2種類があります。
「トップダウン経営」とは、日本語では「上意下達」と言い、経営者や経営幹部など、組織の上層部の意思決定した内容に基づいて下層部の従業員が行動する経営のことです。
「ボトムアップ経営」とは、日本語では「下意上達」と言い、下層部の現場従業員などから上がってきた提案を基に意思決定していく経営のことです。
トップダウンには、経営者からの意思を従業員にストレートに伝えられるというメリットがありますが、上層部からの一方的な指示になってしまうと従業員のモチベーションが低下し反発が生まれやすいといったデメリットがあります。
ボトムアップには、現場で働く従業員しかわからないような意見を上げることで、本当に改善しなければならない課題や問題点をすくい上げやすくなるというメリットがある一方、すくい上げが上手くいかなかったり、実際にどう改善していくか方向性をはっきりさせないと上手く機能させることができないといったデメリットがあるのです。
このように、どちらにもメリット・デメリットが存在するため、一概に「トップダウンがいい」「ボトムアップがいい」と言えないわけですね。
2.会社の意思決定はボトムアップだけでもトップダウンだけでも上手くいかない
例えば、物事を決めようとするとき、意見やアイデアを持ち寄り合議するやり方がありますが、合議では「あれもこれもしなくては」となりがちです。そもそも物事は決まらないように思えます。
さらにいえば、ボトムアップだけで進めると、新たな取り組みや大きな投資を伴うようなプロジェクトの場合は特に、世の中にインパクトを与える意思決定は難しいものです。
話し合っているうちに、アイデアなり企画なりの角が取れていくのはよくあるパターンです。
他方、トップダウンではどうでしょうか。意思決定の判断材料となる情報は、現場の社員のほうが多くもっているはずです。
そこを欠いて決定すると、的外れなものになってしまうことが往々にしてあります。
ボトムアップ任せでは強さが足りず、かといって経営層だけで決めた計画や戦略が良いものとは限りません。
どちらかだけでは、上手くいかないと感じています。
3.意思決定は社員の参加意識を高めながら、組織のトップが行う
では、組織で何かを決断し、それを社員がノリ良く取り組み、みんなで成果を出すためには...?
意思決定を行うのは組織のトップ。ただし決めてやらせるのではなく、まんべんなく社員の話を聞いて決めます。
とことん聞いた上で経営視点から取捨選択をし、良いと思う意見や視点は取り入れる。
そうすることで、角を尖らせたまま、かつ社員の「自分たちも意見を出して意思決定に加わった」という参加意識を高めつつ決めることができると実感しています。
どうすればバランス感をもって、組織全体にとってより良い意思決定ができるかは、私の課題でもありました。
そこで模索していくなかで達した結論は、社員からあがる様々な意見について、真剣に悩むという過程を踏みさえすれば、決定事項に対して社員は理解をもって動いてくれるということです。
ワーク型会議を取り入れたののもそのためでした。
(ワーク型会議については「会議で意見が出ない原因。意見を引き出す「ワーク型経営会議」とは?」をご覧ください。)
何にせよ社員の話を聞くことが必要で、逆にいうと聞かずして経営判断はできないと常々感じています。
十分に話を聞いた上で、どう決めるかが肝要だろうと思います。
4.意思決定はミッションが支える。業績を伸ばす事業部のケース
業績を伸ばし続けている事業部をみると、マネージャーがとにかくスタッフの話をよく聞いています。
一方的に指示を出すのではなく、スタッフ個々の役割を明確にし、日々コミュニケーションを密に取りながら、状況や課題や目標を共有し合う。
一人ひとりの意見なり考えなりを聞くことで共感をつくり、全員一丸となって目標達成に向かう情熱チームにまとめあげているのです。
自分一人で考えても上手くはいかないので意見を求め、チームで話し合い、マネージャーが方針を決めてみんなで実践していく。
スタッフを輝かせ、業績をつくる彼らに驚かされています。
以前「ミッションは浸透してこそ組織の原動力となる」のコラムで企業ミッションの重要性について書きましたが、ミッションが腹落ちできていれば、それがコトの大小に関わらず意思決定の指針となり、ぶれずに走っていけるものだと感じています。
以前は私自身の判断でしかありませんでした。ですが、ミッションマネジメントに移行したことによって、同じ観点で物事を語れたり、自分で判断できたり、使命感をもって事業を推し進めながら、みんなを、そして会社を良くしていこうとする組織の長が育っていく。ここが育つことで、また次のマネジメント人材が育っていきやすくなると考えています。
5.会社の意思決定は積み重ねが重要
経営は意思決定の連続です。組織運営や事業活動に大きな影響を及ぼすような場面では特に、広く多数から意見や視点を集めた上で、組織のトップによる決断が必要です。
また当然ながら、組織の各階層で意思決定は必要になります。
当社では企業ミッションが考え方や判断の基準として生きているおかげで、マネジメント層が相応の判断ができるような人材に育ち、結束の強い事業部・チームが出来てきています。
トップによる決断が重要なことはもとより、日々の事業活動の中で成される一つひとつの決定と実行の積み重ねが、組織・会社のその先の成長に大きく関わってくるものだと実感しています。
ヤマチユナイテッドでは会社経営のノウハウやミッションの導入方法などワークショップやセミナーなどのイベントを随時開催していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
【川田が講師を務めるセミナー】
【東京開催】ミッションで顧客や社員から支持される会社をつくる「ミッション作成ワークショップ」
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Authorこの記事の著者
株式会社ジョンソンホームズ|常務取締役|グループ常務
川田 新平
ジョンソンホームズを陣頭指揮。企業ミッションの明文化、共有・浸透を図るとともに社員が輝き主体的に経営参加する組織づくりを通して、新たな成長軌道に導く。現在はグループで展開する多様な事業にコミット。社員皆をよくするために、毎月500名の社員の話を聴くことを自ら実行している。