人材開発の役割とは?HRD部門がつくる未来の組織と手法について

採用・育成

山﨑 舞
山﨑 舞

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今回は「グループ横断型の人材開発」がテーマです。

当社はグループ採用をしているにもかかわらず、これまでフレッシャーズキャンプ以降の教育は配属先の会社におまかせで、グループをまたいだ研修機会は全くありませんでした。

そこで、グループ横断で社員の能力開発を担当する部署がほしいと今年から新設されたのがHRD(Human Resource Development)です。

HRDのミッションを一言でいうと、組織間の人の流れをよくして活性化させること。

多角化経営だからこそ、いろんな事業があって、いろんな働きかたができる。

そのメリットを最大限に活用し、社員一人ひとりのライフステージや家庭環境にあわせた仕事を用意することが目標です。

今回は人材開発の役割と、HRDという組織について詳しくお話していきます。

目次

  1. 人材開発の役割は社員の知識、能力、スキルを向上させること
    人材開発と人材育成の違いとは?
  2. 人材開発の役割を担う、HRDチームの仕事とは?
    (1)海外研修
    (2)事業責任者登録制度
    (3)FA制度
  3. 人材開発に求められること、今後の展開と課題
  4. 人材開発の役割はまだまだ開発の余地あり!

1.人材開発の役割は社員の知識、能力、スキルを向上させること

まずは簡単に人材開発の役割について触れておきましょう。

人材開発とは企業が社員の知識や能力、スキルなどを向上させる取組みやこのような考え方のことを言います。

そして、これを役割として社内に設置されるのが人材開発部署です。

人材開発部署の仕事は、一般的に、OJTや実習、社内研修や外部研セミナーや講習などを通して、より実践的な技術を学べる場を提供し社員の成長を促すことです。


人材開発が上手く機能すると、社員の能力やモチベーションが向上するだけではなく、企業の業績アップにもつながります。

社員と会社が共に成長するという相乗効果が期待でき、良いサイクルが生まれるわけです。

人材開発と人材育成の違いとは?

人材開発と同じような役割を持つものとして「人材育成」があります。

実はこの2つ、似ているようで異なるものなのです。

人材開発が社員の能力やスキルを向上・実用化させることに対して、人材育成は社員に自社にマッチした能力やスキルを身に付けさせることを目的としています。

わかりやすく言えば、人材育成により業務に必要な社員の能力を身に付けさせ、さらに人材開発により組織の中でより実践的に活用できる能力、課題解決のためのスキル向上を実現させる、といったフローになるわけですね。


人材育成については既に多くの企業が推進している施策のため、人事部の業務とみなす企業が多いようです。

また、人材育成は採用されたばかりの新入社員や若手社員に対して、より積極的に行われることが多いですが、人材開発は全社員を対象として行われることが一般的です。


人材育成についてはこちらでもお話していますので、ぜひ併せてご覧ください。

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2.人材開発の役割を担う、HRDチームの仕事とは?

HRD(Human Resource Development)は2018年3月に立ち上がったばかりの新しいチームです。

新卒採用と内定者研修、新入社員研修、フレッシャーズキャンプの企画・運営を担当するほか、グループ横断型の「人材開発」を目的に次のような新しい取り組みを始めました。

(1)海外研修

(2)事業責任者登録制度

(3)FA制度

それぞれくわしくご紹介しましょう。

(1)海外研修

IMG_2891.jpg2016年、ポートランド視察にて。

当社の事業は、社長の山地が学生時代にアメリカの豊かなライフスタイルを体験してカルチャーショックを受け、日本へ提案したいと思ったことに端を発します。

同じように、社員にも海外体験をしてもらい、視野を広げ、新しい事業のヒントを見つけてほしい...という狙いで、今年から海外研修をスタートすることになりました。

対象となるのは、これまで会社負担で海外研修や視察をしたことのない社員。

社内SNSを通じて公募したところ、50名弱から応募があり、抽選で10名を決定しました。

グループ会社も含め、各社の社員がまんべんなく参加できるようにしたほか、男女比や年齢構成などのバランスにも配慮。

会社の枠を越えた交流にも期待しています。


2018年は10月中旬にアメリカのシアトルとポートランドに行き、アマゾンやスターバックスなどミッショナリー・カンパニーなどを視察。

10月が繁忙期で応募したくてもできないという社員が多かったので、次は時期を変えて実施。全社員が海外経験できるまで続ける計画です。

海外研修については「海外研修の目的とは?メリットや成功のポイントを当社の事例をもとに紹介」で詳しく解説しています。

ぜひ参考にしてください。

(2)事業責任者登録制度

当社が掲げる「100Vision」の実現には、休むことなく新規事業を立ち上げていく必要があります。

これまでは新規事業のプランが固まり、さて誰に任せるか、という順序で事業責任者を選んできましたが、そうではなく、あらかじめ事業責任者になりたい人、やってみたいことを登録しておいて、そこから事業化を考えようというのが「事業責任者登録制度」です。

これも社内SNSで告知して、応募のあった社員を登録。
HRD部署と役員で一人ずつ面談をしました。

既存事業でリーダーになりたい人、新たな事業のアイデアのある人など、希望をくわしくヒアリングして、幹部の会議で報告。

今後、新規事業の立ち上げ時や事業の再編時は、マッチングの手がかりにする予定です。

(3)FA制度

部署を移りたい、今の仕事が合わないなど、くすぶっている社員を救うために考えたのが、FA制度」です。

プロ野球と同じく、自己申告で他部署への異動を可能にします。

社内SNSで制度を告知し、レスポンスのあった社員には、HRDチームが内密に面談し、希望を聞き取ります。

緊急度の高いものは急いで幹部に報告して対応を協議しますし、将来的な異動願いは組織編成のときに考慮します。

これまでは「モラール・サーベイ」という意識調査のときに、異動希望を記入するくらいしか方法がありませんでしたが、社員にとって実際に聞いてもらえう窓口ができたのは大きな変化。

「会社内で転職できる」のは多角化経営の大きなメリットなので、気持ちよくグループ間異動ができるようになれば、働きやすさはもっと高まると考えています。

3.人材開発に求められること、今後の展開と課題

IMG_0765.JPGHRD部門の仕事スペースです。デスクの美は心の美、を心がけています。

人材開発部署としてHRDがこれから着手するのは、キャリアパスの構築です。

また、フレッシャーズ以降の研修制度の充実も検討中です。

3年次研修など年次で切ったもの、リーダー研修などポジションで切ったもの、さまざまな角度から段階的に整備して、外部研修などへも積極的に斡旋していく計画です。

さらに、今後は社内の組織編成にも加わっていきます。

これまではヘッドクオーターと呼ばれる幹部だけで人事異動が決定されてきましたが、今後はHRDが介入して社員の意向を上層部に伝える役目を果たします。

そのためにはまず全社員を把握しなければなりません。

これまで各社でそれぞれ管理されていた社員情報をデータベース化し、一人ひとりの入社年、経歴、スキルなどの情報を更新するのが直近の課題です。

4.人材開発の役割はまだまだ開発の余地あり!

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当社にはグループ全体で約700名の社員がいますが、なぜか人事部がありません。

人事部があると「あいつらと仲良くしておけば得する」みたいな権力構造が生まれたり、派閥ができたりしてしまいがち。

そういう面倒を避けるために、あえてつくっていないと上層部から聞きました。

HRDチームのメンバーが入社1年目から4年目の若手だけなのも、同じ理由です。

権力はない代わりに相談しやすいのが特徴。

部署ができてバタバタと新規の取り組みを始めましたが、正直、走りながら考えている部分が多々あります。

今後、取り組みの成果を検証して、あらためて結果をご報告したいと思います。


当社では、人材開発や人材育成のヒントが見つかる企業視察やワークショップなどのイベントを開催しています。

社員を育てるノウハウに興味のある方はぜひ参加してみてください。

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