新しいことに挑戦する会社にするには?変化を受け入れられる社風を作る
多角化・新規事業
こんにちは、ヤマチユナイテッドの山崎です。
会社をこれから大きくしていこうとする時、あるいは業績が停滞している時、取るべき手段の一つとして新規事業開発が挙げられます。
ただ、経営者が新規事業に乗り気でも、長く単一事業だった場合には「それで本当にやっていけるのか」と懸念の声が上がったり、これまで会社を盛り立ててきた社員から反対されたりして、なかなか決断に踏み切れない場合もあると伺います。
例え既存事業が好調であろうとも、リスクマネジメントとして事業の柱を増やすことは考えておきたい一手なのではないでしょうか。
そこで社風の改革が必要になってくるのですが、今回のコラムでは新人教育の観点から新しいことに挑戦する会社づくりの秘訣について説明していきます。
ヤマチユナイテッドの若手社員教育についてもご紹介しますので、ぜひご確認ください!
目次
- 変化に強く、新しいことに挑戦する会社(社風)にするには?
- 若手社員教育からスタートする社風改革!ヤマチの教育制度も確認
- 入社1年目の社員が挑戦するヤマチ流「新規事業開発コンテスト」
- 入社時から「新しいことに挑戦する社員」を育てる仕組みを整えましょう
変化に強く、新しいことに挑戦する会社(社風)にするには?
私たちヤマチユナイテッドは今でこそ「連邦・多角化経営」を推し進めていますが、元々は単一事業をコツコツと続けてきた小さな建材卸会社でした。
現代表の山地 章夫自身が新しいものを作ること、挑戦することが好きだという素地はあったものの、不確実性が高く、失敗の恐れもある新規事業を始めるにあたっては社内から懸念の声も上がり、徐々に慣らしながら少しずつ進めていかなければならない苦労があったといいます。
まして、新しいことに挑戦する素地のない状態で新規事業開発に着手しようとしている経営者にとっては、「やってみよう」と社員に呼びかけること自体ハードルが高い場合もあるのではないでしょうか。
新規事業開発は会社を大きくしようと考えるならほぼ確実に通らなければならない道ですし、昨今の社会情勢を見ても、環境の変化を乗り切るためには事業の柱を複数持っておくことがリスクマネジメントにつながることは私たちの会社も身をもって感じています。
それでもなお「うちの社員は新規事業開発を前向きに考えてくれない」と嘆く経営者からのお話は良く耳にします。
社員が新規事業開発に前向きではない理由とは?
障壁になっていると思われることをいくつか挙げてみます。
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資金調達が難しい
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市場のシェアを獲得することが難しい
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競争が激しい
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新しいことを始めるための技術・知識・経験が不足している など
どれもすぐにはクリアできない問題です。
社員側は「安定性を求めたい」「失敗したらどうするのか」といった不安から初めの一歩を踏み出せない心情なのかもしれません。
その気持ちは理解できますが、少しずつでもここを変えていかないと前に進めません。
変化に強く新しいことに挑戦する会社づくりをするには、そしてそのような社風を醸成していくには、まず「何のために新規事業をやるのか」というビジョンの共有が出発点になります。
ヤマチが新しいことに挑戦する会社になった背景
ヤマチユナイテッドの場合、当時、建材卸業で利益率を伸ばしにくいことから家庭用品のレンタル事業にフランチャイズという形で参入したのが多角化経営の始まりでした。
2024年5月現在は「北海道から色んな世界を変えていく」というパーパスのもと「2030年までに100の事業、100の経営者人材を生み出して、100年続く企業になる」=「THE 100VISION」というミッションを掲げ、これらをグループの共通ビジョンとして、これまでよりいっそう人材育成と新規事業開発に取り組んでいます。
ビジョンの共有ができていない状態で「新しいことに挑戦しよう」と言っても、元々積極的でない社員には響きません。
また、実際に現場で動く人たちも巻き込まなければならないので、失敗を許容することをあらかじめ風土として作っておかないと尻込みしてしまいます。
「まずやってみて、ダメだったらここで切ろう」といったように心理的負担を軽くしてあげることも必要です。
技術、知識、経験の不足に関しては、外部に依頼したり、フレームワークを学んだりして教育とトレーニングを重ねていくのが良いでしょう。
ある程度身についてきた段階で、主体となって動かす幹部社員には下の社員たちの先導役としてリーダーシップも学んでもらわなければいけません。
幹部社員が社長と一緒になって新規事業を進めるのだという姿勢を見せることも狙いです。
それもできてきたら成功事例の共有を早めに行い、次々と回していくことで、新規事業開発に対して徐々に前向きな会社になっていくと思います。
新規事業は社長が1人で進めるというやり方もありますが、どんなに優れた経営者でも時間には限りがあります。
外部のコンサルタントを壁打ち相手にしても良いのですが、やはり社内でディスカッションし、社員を巻き込みながら進めていくのがベストだと弊社は考えています。
若手社員教育からスタートする社風改革!ヤマチの教育制度も確認
変化に強く、新しいことに挑戦する会社づくりを進めていくために根本的な社風改革を行うなら、若手社員教育が絶好の機会となります。
特に新卒の子たちがまっさらな状態で入ってくる時こそ、社風や風土を変えるチャンス。
「これからこの会社はこうしていきたい」という方向性を新入社員にしっかり伝えることで彼らにそのような社風を作ってもらい、それが既存の社員にも影響を与えます。
もちろん一朝一夕には変わりませんが、毎年の新人教育の機会を利用して徐々に社風を変えていく、徐々に新しい風土を作っていくところが重要です。
ヤマチユナイテッドの若手社員教育
ヤマチユナイテッドは「THE 100VISON」実現を目指し、新入社員すべてを経営者人材に育てるつもりで採用・教育しています。
新入社員研修として自社で開発した「フレッシャーズキャンプ」は、そのための取り組みの代表格といっても良い教育制度です。
グループ代表直轄の研修で、スタート時には代表の山地自ら「君たちにはこんなことを期待している」というメッセージを伝えています。
それに加え、「戦略の一つとして連邦・多角化を進めていること」「新しいことにも前向きかつスピーディーにやってほしい」ことなども直接伝えています。
「フレッシャーズキャンプ」は月1回、およそ1年間にわたって開催。
ビジョンの共有に始まって、数字の読み方からビジネスモデル分析などのフレームワークまで、多彩かつ実践的なプログラムを通じて1年目から経営感覚を養うものとなっています。
「フレッシャーズキャンプ」について詳しく知りたい方は、こちらのコラムもあわせてご確認ください。
新入社員研修では何をする?フレッシャーズキャンプ運営事務局の仕事を大公開!
「フレッシャーズキャンプ」のプログラムの中で非常に有効なのが「新規事業開発コンテスト」です。
具体的な内容は次の項目で紹介しますが、このプログラムに取り組むことで新規事業開発に対するネガティブなイメージが払拭され、新しいことへ前向きに挑戦する社員へと育っていきます。
のちのち役職が付いた時や幹部になろうとする時にも、ここでの経験が大いに役立っているようです。
入社1年目の社員が挑戦するヤマチ流「新規事業開発コンテスト」
ヤマチユナイテッドの新人研修「フレッシャーズキャンプ」のプログラムの一つ、「新規事業開発コンテスト」について詳しくご紹介していきます。
そもそもフレッシャーズキャンプには、前の項目で「新しいことに挑戦する会社づくり」に必要とされるものとして挙げた「ビジョンの共有」をはじめ、失敗の許容、リーダーシップ教育、成功事例の共有といったことがすべて入っています。
フレッシャーズキャンプはチームで取り組むプログラムも多いため、仲間と協働・協調する経験を積むこともできます。
ビジネスモデル分析をはじめとする、視座を変えて多角的な目線から物事を考えるようなプログラムを通じて発想力を鍛えるところがポイント。
さらに、新しいことをやる場合に周りを巻き込むためのプレゼン能力、決算書を読んで数字で経営を考えるための計数力を高めるコンテンツも用意しています。
こうして4月からコツコツと積み重ねていくのはすべて、研修の後半に実施する新規事業開発コンテストのため。
新規事業開発コンテストは9月から計画立案が始まり、11月にいったん中間発表を経て、月内に最終発表をする流れで進めていきます。
新入社員たちは5人くらいでチームを作り、今までやってきたことを総動員して中間発表までに1チーム3つずつの新規事業案を作成します。
最初に代表の山地から新規事業の発想法を教わり、次に各チームがある程度同じ条件で進められるよう、運営事務局からお題やルールが提示されます。
フレッシャーズキャンプでの課題例
例えば、お題は「現在のヤマチユナイテッドで実現可能な事業」。
3カ年の事業計画も自分たちで立ててもらうので、ルールとして「スタッフ1人当たりの人件費は400万円で見ること」「1年目、2年目は赤字でも良いけれど3年目からは黒字化すること」「ペルソナ(顧客対象の具体的イメージ)やコンセプトなど事務局指定の要素をプレゼン内容に盛り込むこと」などが共有されます。
このほか運営側は、各業界の平均利益率が見られるなど情報収集に役立つウェブサイトを紹介するというように、ちょっとしたサポートも行なっています。
9月の段階では収支計画まではまだ要求せず、3つの事業案それぞれのペルソナ、ターゲット、コンセプト、ビジネスモデルをプレゼン。
山地から講評とアドバイスをもらい、ブラッシュアップしたものに今度は収支の見込みも加え、中間発表に臨みます。
ここでは利益率のチェックも入るので、山地の講評もよりシビアになってきます。
もちろん頭ごなしに叱ったり、ものすごく厳しいことを言ったりするわけではありません。
「これは本当にスケールするのかな」「頑張って考えているけれども、この人数を使って年間100万円の利益では気持ちが続かないのでは」と、自身でやってきたからこそ身についた感覚と経験に基づいた講評が聞けるので、社会人としても経験の浅い新入社員にはとても参考になると思います。
さらに、生産性を高めるためにもう一段階上を目指して「どのようなビジネスモデルにしたら良いのか」というようなアドバイスと、ちょっとしたヒントを与え、新入社員には再度考えてもらうようにします。
そうして迎える最終発表が、このプログラムの集大成。
最終発表では当初3案用意したビジネスモデルを1案に絞り、収支計画も含めてプレゼンを行なってもらいます。
過去のプレゼン資料の一部を見ていただきましょう。
新規事業開発案①
1つ目は日本茶をメインにした当社直営のカフェダイニング「JOHNSON'S TEA LOUNGE」の営業時間外の有効活用法を考えた事業案です。
新規事業開発案②
2つ目は、建築端材のアップサイクルをテーマとした事業案です。
いずれも自社の既存事業から発展させた新規事業案となっており、粗削りなところもありますが、ビジネスモデルやコンセプトも自分たちで考え、フレッシャーズキャンプで学んだことをきちんと役立ててくれているなと感じます。
ここ最近は当社直営のインテリアショップから毎月雑貨や花が送られてくるようなサブスクリプションのビジネスモデルを取り入れた事業案や、サウナ、コインランドリーといった流行りものに目を付けた事業案なども出てきていて、見ている側としてもとても興味深いです。
新入社員の段階から新規事業開発を学ぶメリット
新入社員の段階から新規事業開発を学んでおくと、新しいことへの挑戦に対して必要以上に否定的になることがなくなり、むしろ「新規事業によって会社や社会へ貢献したい」という意識が芽生えてきます。
また、このように育った若手が年々増えていけば、先輩社員たちも「自分たちも彼ら以上に頑張らなければ」と発奮するきっかけになりますし、社風も自然と変わっていくと思うのです。
年単位の時間はかかりますが、新人教育は社風改革の機会であると捉え、新規事業開発コンテストを活用することをおすすめいたします。
こちらのコラムもあわせてご確認ください。
入社時から「新しいことに挑戦する社員」を育てる仕組みを整えましょう
変化に強く新しいことに挑戦する会社づくり・社風を醸成していくには、まず「何のために新規事業をやるのか」というビジョンの共有、失敗を許容する風土、外部のノウハウやフレームワークを取り入れた教育とトレーニングが必要です。
根本的な社風改革を行うなら、若手社員教育が絶好の機会となります。
会社の方向性を新入社員にしっかり伝え、新入社員に社風を作ってもらうことで、既存の社員にも影響を与えるでしょう。
ヤマチユナイテッドの新入社員研修「フレッシャーズキャンプ」では、ビジョンの共有に始まって数字の読み方からビジネスモデル分析などのフレームワークといった、多彩かつ実践的なプログラムを通じて1年目から経営感覚を養います。
さらに、学んだことを最大限に発揮する場として「新規事業開発コンテスト」を用意しています。
このように新入社員の段階から新規事業開発を学んでおくと、新しいことへの挑戦に対して必要以上に否定的になることがなくなり、むしろ「新規事業によって会社や社会へ貢献したい」という意識が芽生えてくるでしょう。
また、このように育った若手が年々増えていけば、先輩社員たちも「自分たちも彼ら以上に頑張らなければ」と発奮するきっかけになりますし、社風も自然と変わっていくと思うのです。
新人教育は社風改革の機会であると捉え、新入社員研修のプログラムに是非、新規事業開発コンテストも加えてみてください。
時間は掛かりますが、入社1年目の時間を有効活用し、様々なフレームワークや知識を学ぶことで、多角的な視野を持てるようになり、新規事業に対しても前向きに捉えてくれるようになります。
2024年は新規事業開発コンテストの初期段階である9月にフレッシャーズキャンプの視察会を予定しています。
現在、お申し込みを受け付けていますので、興味のある方は下記ページから詳細をご確認ください。
【1泊2日でまるわかり!】-会社を進化させる採用・育成戦略を学ぶ-新卒向け研修「フレッシャーズキャンプ視察会」
※先着順です
※2024年9月コースお申し込み締め切り:2024年8月30日(金)17時
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Authorこの記事の著者
株式会社ヤマチマネジメント|経営支援事業部 |営業推進チームリーダー・人財開発コンサルタント
山﨑 舞
人材総合サービス会社の営業部勤務を経て2018年(株)ヤマチマネジメントへ入社。前職では採用広告サービスの販売営業部で戦略スタッフとして企画・販促・アシスタント業務を担当。その際、元々取引先だったヤマチユナイテッドの社風やミッションに惚れ込み、転職を決意。現在は経営支援事業部で企画・運営を担当しつつ、営業推進チームリーダー兼人財開発コンサルタントとして活動。企業の新卒採用・育成を支援している。