社内起業の成功例とは?従業員主導の革新を促すヤマチの事例を紹介
多角化・新規事業
こんにちは、ヤマチユナイテッド代表の山地です。
私たち中小・中堅企業にとって新規事業開発は、会社規模拡大の推進力として、そして環境変化に対するリスクヘッジとして重要な戦略の一つといえます。
経営者自身が事業の発想をふくらませるのはもちろん、外部からコンサルタントを入れて開発を進めるのも一つの手段です。
しかし、社員から現場の肌感覚を生かした事業案が上がってくるのであれば、これほど心強いことはありません。
既存事業を強化する意味でも、社員が主体となって新たな事業を立ち上げる「社内起業」には積極的に取り組むべきです。
社内起業にはさまざまな形がありますが、社内に新たな事業体を立ち上げる「社内ベンチャー」もその一つといえるでしょう。
これまで私たちヤマチユナイテッドは多角化を進めてきましたが、現在はその事業数とスピードをより増すべく、仕組みや制度の見直しなどを進めています。
今回は、ヤマチユナイテッドの事例とともに、社内起業を成功につなげるための仕組みやポイントをご紹介します。
目次
社内起業を実行するには?新規事業開発の段階を解説
社内起業を進めていきたいと考えている経営陣のみなさん、今から新規事業開発をするとしたら、自社が下記のどの段階にあるか、まずはチェックしてみてください。
社長が発想し、社長自身が着手する
社長が発想し、社長命令で幹部以下の社員が着手する
社長が発想し、社長と幹部で相談して着手する
幹部や社員が発想し、社長に相談して着手する
初めて新規事業開発に着手する場合、1ができたら2、2ができたら3と段階的に進めてもらってかまわないのですが、1から3までの段階は全て社長の発想が起点です。
4が会社の風土として定着すれば社長はとても楽になり、経営者としての仕事ができる時間も増えますが、今までトップダウンで進めてきた会社なら、いきなりこの段階から始めるのは難しいと思います。
1から順次取り組んでいって最終的に4をクリアできるようになると、社長が発想した事業案であろうと社員が発想した事業案であろうと、発想の段階で幹部や社員に相談しやすくなるでしょう。
誰にどのような形で事業を任せるかも具体的に考えやすくなり、事業の立ち上がりのスピードも上がり、成功につながる可能性も高まるでしょう。
新規事業や多角化に取り組む意義について、詳しくはこちらのコラムでも解説しています。
事業多角化する理由とは?ヤマチの新規事業事例や組織定着の4段階を紹介
社長が新規事業を発想するメリット・社員が新規事業を発想するメリット
社長が新規事業を発想するケース、幹部や社員が新規事業を発想するケースのどちらにもメリットはあります。
社長が新規事業を発想するメリット
社長はビジネススキル、センス、知識など、全てにおいて社員と比較すると突出しています。
これまでの経験を生かし、社員とは異なる視点から新規事業を発想できる強みがあるのです。
目線もアンテナも高く、日々の交流、旅、本などを通じて公私にわたり幅広く情報を集めているため、発想の自由度が高く、スピーディに事業開発を進めやすい点がメリットといえます。
初期段階で外部の専門家にアドバイスを求めるとしても、社長がやるのであればその場ですぐに決裁できますし、そういった外部からの提案も受けやすいでしょう。
私、山地 章夫がこれまでに発想した事業を挙げると、以下があります
建材貿易
輸入住宅ビルダー
インテリア事業(輸入販売、ライフスタイルショップ&ショールームの開設)
住宅事業
住宅フランチャイズ
デイサービス事業(通所介護)
デイサービスフランチャイズ
経営支援
教育事業
国内外の企業のM&A など
ヤマチユナイテッドのこれまでの事業を振り返ってみると、既存事業の周辺事業というよりは、業界を問わず幅広い着想のもとに展開してきたものが多いと感じます。
社員が新規事業を発想するメリット
対して社員が新規事業を発想するケースでは、日々現場でつかんだお客様のニーズを生かすことができるのが最大の強みです。
ヤマチユナイテッドグループのジョンソンホームズであれば、新築住宅事業においてまさに顧客層のニーズに合わせた住宅ブランドを次々と展開しています。
さらに、その周辺事業として「中古リノベーション事業(中古住宅リフォーム・マンションリノベーション)」「中古住宅専門店」「不動産事業(建売住宅、規格住宅)」や、インテリア事業から派生した飲食事業などもあります。
また、ヤマチコーポレーションのイベント事業部「アンカー」はレンタル事業から始まり、今では企画・会場設営・現場運営までワンストップ対応するイベント事業として、幅広く対応しています。
このように、既存事業の中で得られたお客様の声をしっかりプロダクトに落とし込んでいくことに関しては、やはり現場の社員ならではの発想が生きています。
また、社員の発想から生まれた事業は彼ら自身の思い入れも深く、取り組みの姿勢もより積極的、主体的になるでしょう。
特に中小・中堅企業が多角化を考えるのであれば、小さく始めて大きくしていくという流れが理想的です。
「幹部や社員が新規事業を発想し、社長の決裁を得た上で社内起業し、自分たちで事業を進めていく」という4つ目の段階までいきたいところ。
そのためには、自主的に新規事業を提案しやすい風土や仕組みを整えておくことが重要です。
新規事業のアイデアをどのように生み出すかについては、こちらのコラムで具体的な発想法やヤマチユナイテッドの事例を紹介しています。
新規事業のアイデア発想法とは?ヤマチの成功事例・決断のポイントも
現場から社内起業の発想が上がってくる体制を構築~ヤマチユナイテッドの成功事例~
ヤマチユナイテッドは2024年度から「北海道から色んな世界を変えていく」というグループパーパスと、これを実現するための「THE 100VISION」というグループミッション、そして行動指針となる14項目のグループコアバリューを定め、この3つを合わせてグループビジョンとしました。
この中で掲げている「THE 100VISION」を具体的にご説明すると、「パーパスを実現する100の事業を創出し、魅力あふれる100人の経営者を育て、100年以上続く良い会社を創る」というもの。
実は「THE 100VISION」はこれまで達成期限を定めない「ビジョン」という位置付けでしたが、これを機に「2030年までにTHE 100VISIONを達成する」ことをグループ全体の目標に掲げ、新規事業の数を増やすこと、それをさらにスピード感をもって行うことが急務となっています。
元々社員全員参加型の「システム経営」を採用しているヤマチユナイテッドですから、新規事業開発から社内起業までのフローは従来の稟議体制に乗せて運用していました。
ですが、「2030年までに100事業を目指す」からには、起案をよりスピーディーに進められるフローに作り変えなければなりません。
そこで、現場からの起案を「待つ」だけでなく「促進する」体制を改めて作りました。
現場から社内起業の発想が上がってくる体制にするためには、以下の4つの条件をクリアする必要があると考えました。
①「なぜ社内起業を推進していくのか」を提言する
いきなり「社員のみなさんから新規事業開発の案がほしい」「社内起業を推進する」と宣言したところで、「社長の気まぐれ」と受け取られては本来の意図が伝わりません。
「なぜ社内起業を推進するのか」「何を目指しているのか」「それによって私たちはどうなりたいのか」というように、社内起業推進の背景や今後の展望、経営者としての思いを社員にしっかり伝えましょう。
ヤマチユナイテッドでいうと、例えば新しく設定した「北海道から色んな世界を変えていく」というパーパスについて、2024年度のキックオフミーティングで私はとても丁寧に説明しました。
「世界を変える」とは、お客様のライフスタイルを変えることでも、地域の生活を変えることでも、業界の常識を変えることでも良い。
北海道発でいろいろなことに挑戦し、それらの「世界」に属する人たちを幸せにしていこう、そのためにヤマチユナイテッドの事業を増やし、会社の規模を大きくすることで世の中への影響力を高めたい。
こうして「ビジョンの提言」を行うことで、社員にも「ただ闇雲に新規事業を始めるのではない」ことが伝わり、「今後新たにどのような商品・サービスを提供すれば世の中に貢献できるのか」と自分なりに思考することを促します。
言ってしまえば、ここをきちんとクリアすることがもっとも大事だといえます。
社内起業の意義が腑に落ちないままでは、どんな仕組みや制度を入れても、社員の行動変容にはつながりにくいでしょう。
②現場社員に事業開発に必要な知識をインプットする
社員が何も知識を持たないままで事業開発に臨むことはできません。
具体的には、収益構造を理解するためのビジネスモデル分析、決算書の読み方、資金調達の仕方などを学ばせる必要があります。
ヤマチユナイテッドでは、新入社員に向けた「フレッシャーズキャンプ」という研修制度でこれらの教育を行い、総仕上げとして自分たちで新規事業計画を立ててもらうプログラムを実施しています。
また、中途採用を含めた既存社員に対しては、社員全員参加型の「システム経営」にのっとり、誰もが事業計画の策定に関われる仕組みを整えています。
システム経営では、数字をオープンにし、部門別に利益を把握できるようにすることが前提です。
その上で、社員自身が「自主計画」「自主管理」「自主分配」という3大自主システムを回し、経営者の哲学や理念と結びつけながら事業運営に関わっていきます。
こうした仕組みを通じて、社員自ら経営計画書をベースに「中期経営計画」や「単年度経営計画」を作成し、ビジネスモデル分析・業績評価・対策立案などを実践的に学べるようになっているのです。
もちろん、人材は一朝一夕に育つものではありません。
研修で知識を身につけるだけでなく、実際の事業計画や数字に継続的に関わることで、会社の業績を自分事として捉え、自ら考えて行動できる人材を育てていくことが重要です。
③新規事業案をどのようなフローで起案するのかを明確にする
社員が発想した新規事業案がどのような手順で社長決裁まで行きつくかということを明確にして全社員に周知します。
せっかく良いアイデアを持っていても、どのように取りまとめ、どこへ提出し、どんな流れで事業化されるかが不明瞭では、提案しづらくなってしまいます。
ヤマチユナイテッドでは、部門ごとに取りまとめた新規事業案を上の階層へ順次上げていくこと、そして各階層の会議のアジェンダに新規事業計画の検討を設定することで、提案の促進と数の増加、決裁までのプロセスの加速を図りました。
次の段落で詳しく説明しますが、ヤマチユナイテッドの場合、現場から上がってきた新規事業案は以下の段階の会議を経て、社長決裁へと進みます。
カンパニー経営会議
事業部経営会議/事業本部経営会議
各社経営会議
HQ会議(ヘッドクォーター会議)
グループ役員会議
これらの会議は毎月設定されているので、スムーズにいけば最速1カ月で社長の決裁が下りることになります。
④起案後の進捗・結果の情報共有を過不足なく実施する
「現場の社員が新規事業案を上げたのは良いけれど、その後どうなったのか音沙汰がない」
「社長決裁は下りたようだが、ほかの部門の人間には計画が進んでいるかどうかもわからない」
世間ではそのようなことが結構あるようです。
情報共有が不足すると、新規事業開発がブラックボックス化する原因にもなります。
当事者だけが進捗状況をわかっていて、動いていれば良いというものではありません。
ヤマチユナイテッドの場合は特に多角化のスピードアップを目指しているので、いろいろな人が提案できる体制を整え、提案数も増やしていきたいという意図のもと、月1回の「オンライン朝会」で起案の進捗状況を全社員に発報しています。
このようなことがないと、社員たちにも「自分たちも案を出して良いんだ」「ほかの部門からこんな提案が出ているから、うちも頑張らないと」という意識が生まれないのではないでしょうか。
ある月のオンライン朝会では、「アイデアベースで新規事業案が112案出ています」「仮プレゼンまで進んだのはそのうち3つ」「事業化したのは2つ」のように進捗と結果が共有されました。
112案というとずいぶん多いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、なかには「本当に事業に関係あるの?」と思うようなユニークな案も出てきたりして、これがヤマチユナイテッドらしいところ。
基本的にどんな案でも否定されないという社風があるため、社員が安心して提案しやすい環境につながっています。
こうして情報共有することにより、社員は「隣の部門のあの人が頑張っている」と発奮し、通った案件の数や内容を知ったことで会社の方針に沿うより良い提案をしようと考え、事業計画の精度も高まります。
ヤマチユナイテッドのオンライン朝会については、グループ内の情報共有や連携を促す仕組みとして、こちらのコラムで詳しく解説しています。
縦横斜めの連携がシナジーを生む!オンライン朝会がグループ経営の連携を強化
また、ヤマチユナイテッドの新規事業「inZONE(インゾーネ)」事業の成功例については下記コラムで詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。
新規事業の成功例を紹介!偶然の出会いから生まれたinZONE事業の軌跡
社内起業の起案フローとルールについて解説!ヤマチの「カンパニー制度」をご紹介
それでは、社内起業の起案フローとルールについて、ヤマチユナイテッドの事例に基づいて説明していきますが、その前にヤマチユナイテッドの「カンパニー制度」について紹介します。
ヤマチユナイテッドの「カンパニー制度」について
ヤマチユナイテッドでは、2023年秋に「2030年 THE 100VISION達成」と決めたことにより、事業責任者の高速育成と、新規事業を生み出し続けられる体制づくりが課題となりました。
そのうち事業責任者の高速育成を図るための新体制として2023年度に導入されたのが「カンパニー制度」です。
ヤマチユナイテッドでいう「カンパニー」とは、グループ各法人内の各事業部の中にある、一つひとつの部門・ブランドを指します。
住宅事業を展開する「ジョンソンホームズ」を例に挙げると、ジョンソンホームズという法人の中に新築住宅事業部があります。
その中の「COZY」「インゾーネの家」「ナチュリエ」「アメカジ工務店」「アーバンアウトドアハウス(URBAN Outdoor HOUSE)」といった部門(ブランド)のそれぞれが「カンパニー」という位置付けです。
カンパニー制度で事業責任を現場へ移譲
これまでは、各部門のトップである「GM(ゼネラルマネージャー)」が経営の主体となっていました。
制度導入後は、GMが担っていた役割を「事業本部長」に改める一方、各ブランドのリーダー職であるマネージャーを「カンパニー長」に任命しました。
これにより、これまでGMが担っていた業績計画の策定や利益責任をカンパニー長へ移譲し、カンパニー単位で事業を運営する体制へと変更しています。
ヤマチユナイテッドのカンパニー制度について、その目的や社員の当事者意識を高める仕組みをさらに詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
当事者意識とは?社員の自主性を高める仕組み「カンパニー制度」を紹介
ヤマチユナイテッドの起業フロー(新事業創出フロー)・ルールの整備
新規事業を生み出し続ける体制をつくるため、ヤマチユナイテッドでは新規事業創出のフローとルールも改めて整備しました。
新規事業創出については、各階層の経営会議のアジェンダに組み込み、毎月の議題として新規事業について話し合う仕組みとしています。
そのほかにも、アイデア出しの手順にはじまり、事業化から承認へと至るフローを明確にして、新規事業開発に必要な制度・ルール全般を整え、事業も再定義することに。
事業の再定義は「THE 100VISION」の達成基準を示すための第一歩で、「営業利益を算出できる組織であること」「兼任ではない組織のトップがいること」という2つを掲げました。
ヤマチユナイテッドの起業フロー(新事業創出フロー)
ヤマチユナイテッドの起業フローは、以下のような順序としています。
これらをまとめた新規事業計画案は、下の図のように5つの段階を経て、問題がなければ社長決裁へと至ります。
新規事業の発案(事業アイデア出し)するのは誰でもかまいません。
上がってきた事業案に「カンパニー経営会議」でアイデアをプラスし、素案を作って「事業部経営会議」で簡易プレゼン。
そこで事業化の可能性が見込まれる発案は、会社へ正式にエントリーできるものとなります。
本プレゼンはさまざまな角度から分析したデータを加えて資料に厚みを持たせ、「事業本部経営会議」と「各社経営会議」へ。
ここも通過すると、次は社長や役員、各事業部の事業本部長が集まる「HQ会議(ヘッドクォーター会議)」で最終プレゼンが行われ、最終的に「グループ役員会議」で了承を得ることで社長決裁へと至ります。
各階層の会議を通じて事業案を検討・共有することは、グループ内の連携やシナジーを生み出す上でも重要です。
会議設計や連携の考え方については、こちらのコラムで詳しく解説しています。
シナジー効果を生み出す多角化企業の成長戦略!効果的なグループ連携会議の設計と運営方法
また、新規事業計画を作成する際の具体的なポイントや、決裁をスムーズに進めるための計画書については、こちらもあわせてご覧ください。
実例に学ぶ!決裁が早まる新規事業計画書の作り方・テンプレートをご紹介
社内起業の事例から見る!ヤマチユナイテッドの事業プレゼン資料をご紹介
社内起業や新規事業を進めるにあたって、「どのくらいのクオリティで資料を準備すれば良いのか」と気になる方もいらっしゃるでしょう。
ヤマチユナイテッドでは、フレッシャーズキャンプで新入社員に新規事業計画を立案をしてもらう際も、事細かな指示をしているわけではありません。
その代わり、よりわかりやすく、より決裁につながりやすい資料を作れるよう、プレゼン用のテンプレートを用意しています。
<事業プレゼン資料のイメージ>
<事業プレゼン資料>
主な項目は、以下の通りです。
| 事業ミッション・ビジネスモデル概要 |
何のためにその事業をやるのか 既存事業とのシナジー効果や関連性を加味して示す |
| 市場分析 | 自社の資源や強み、差別化のポイント 顧客ターゲット競合となりうる会社などを分析する |
| マインドフロー | 認知→興味→行動...と、顧客が購買・成約に至るまでのフローを SNS、動画、店舗、商品といった訴求手段とかけ合わせて表にする |
| ポジショニング | 特徴や顧客層、価格などの点において、競合他社と自社を比較し どのようなポジションを取るか可視化する |
| マーケティングプラン(施策) | どのような施策をどのくらいの予算をかけて実行するか KPIに何を置くかを決める |
| マーケティング計画 | マーケティングプランのスケジュールを示す |
| 初期投資 | 物件をリフォームするのか、新築するのか、工事費はどれくらいか 設備投資や減価償却費はどの程度かなど、初年度のイニシャルコストを算出する |
| 収益構造 | 商材の原価、粗利益を算出し、回収スキームを示す |
| 事業リスクと考えられる対策 | 予測されるリスクと、その対策をあわせて考える |
| 人員計画 | 開業時の人員に加え、事業が軌道に乗ってからの適正人員を検討する |
| 組織図 | どのような役割の人が何人いるかなど、その事業部自体の組織図を作成する |
| 事業化ロードマップ | メニュー開発やマーケティング施策、店舗施工の工事期間など 開業までの流れを落とし込む |
| 3カ年計画 | 初年度から3年間の売上・粗利益・経費(人件費+そのほかの経費)を算出し 営業利益の予測を立てる |
| 今後の目標 | 3カ年先を見据えた上で、定量・定性の両面から目標を定める |
ヤマチユナイテッドでは、このテンプレートを社内サーバで管理し、一般社員も確認できるようにしています。
このようなテンプレートがあれば、新規事業のアイデアを持っている社員が「ちょっと挑戦してみたいな」と思ったときにも、具体的な行動へ移しやすくなります。
新規事業開発は既存事業の成長にもつながる
ヤマチユナイテッドでは「2030年 THE 100VISION達成」に向けて体制づくりを整えてきましたが、新規事業開発には、既存事業を支える役割もあると考えています。
商況や環境の変化によって、現場が頑張っていても成果が出にくくなる事業もあるでしょう。
そんなとき、その周辺で新たな事業を立ち上げて付加価値を生み出すことで、既存事業をより収益性の高い事業へと変えていける可能性があります。
「このようなことができたら良いな」「ぜひ実現してみたい」という思いは、もしかすると経営陣よりも、日々お客様と接している現場の社員のほうが強く持っているかもしれません。
既存の事業や資源だけで戦うのが苦しくなってきたときにも、自分たちで新しい事業を起案し、現在取り組んでいる事業に新たな価値を加えることができる。
なおかつ、お客様のニーズにも応えられ、自分たち自身も強い思い入れを持って業務に取り組むことができます。
こうした点も、現場の社員が主体となって新規事業を考えるメリットの一つではないでしょうか。
社内起業を促すには「仕組みづくり」と「人づくり」が重要
ただし、こうした経験を積むためには、「会社の業績を自分事として捉える目線」と「利益を得るためには何が必要なのか」を常に考える姿勢が欠かせません。
仕組みづくりと人づくりは、会社を成長させるための両輪です。
どんなに上等な包丁を持っていたとしても、良い料理人がいなければ、その切れ味を十分に発揮することはできません。
仕組みづくりと人づくりの関係も、それと同じだと考えています。
時間はかかりますが、社員が自律的に事業を動かせる人材へと育ってくれれば、その後、会社や事業をどのように伸ばしていくかはあなた次第です。
社員が自律的に事業を動かせる人材へと成長するための育成や環境づくりについては、こちらのコラムでも詳しく紹介しています。
幹部候補育成のポイント!社員全員が成長できるヤマチ流の研修と環境づくり
社内起業を促す仕組みづくりと成功例を確認しよう!「人づくり」にも注力を
新規事業開発、そして社内起業を進めるにあたっては、次の4つの段階があります。
社長が発想し、社長自身が着手する
社長が発想し、社長命令で幹部以下の社員が着手する
社長が発想し、社長と幹部で相談して着手する
幹部や社員が発想し、社長に相談して着手する
1から段階を踏み、最終的に幹部や社員から新規事業のアイデアが生まれ、実行を任せられる状態を目指すのが理想です。
また、現場から社内起業の発想が上がってくる体制をつくるためには、次の4つが重要です。
「なぜ社内起業を推進していくのか」を提言する
現場社員に事業開発に必要な知識をインプットする
新規事業案をどのようなフローで起案するのかを明確にする
起案後の進捗・結果の情報共有を過不足なく実施する
この取り組みによって現場の社員の心理的ハードルを下げ、より多くの事業案、よりスピーディな事業化を実現することができるでしょう。
ヤマチユナイテッドでは、新規事業創出の起案フローやルールを整備し、事業プレゼン用のテンプレートを用意することで、社員が新規事業を提案しやすい環境づくりを進めています。
一方、仕組みを整えるだけでは社内起業は進みません。
社員が会社の業績を自分事として捉え、自ら考えて行動できるよう、「人づくり」もあわせて進めていかなければ片手落ちとなってしまうでしょう。
ヤマチユナイテッドでは、数字のオープン化や部門別の利益管理をする管理会計などを取り入れた「システム経営」を通じて、自律的に事業を動かせる人材と組織づくりに取り組んでいます。
システム経営は新規事業開発および社内起業においても、自律的な人材づくりを可能とする全員参加型の経営手法といえます。
中小・中堅企業の皆様にもこの経営手法を取り入れることで、より良い会社づくりに取り組んでいただきたいと考えています。
今回ご紹介した取り組みは、ヤマチユナイテッドが実際の経営の中で積み重ねてきた経験に基づくものです。
自社ではどのような仕組みから取り入れられそうか、ぜひ考えてみてください。
ヤマチユナイテッドでは、システム経営の手法がワークショップ形式で身につく「連邦多角化経営実践塾」を主宰し、ノウハウを余さずご紹介しています。
ヤマチユナイテッドが得意とする多角化の仕組みをさらに詳しく知りたい方は、会員制の多角化経営研究会「PEAKS」や、セミナー・イベントをホームページでチェックしてください。
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Authorこの記事の著者
ヤマチ連邦多角化経営実践塾 塾長
山地 章夫
ヤマチユナイテッド代表。経営を楽しみ、社員820名、50事業・年商258億円の企業グループの舵を取る。本業を中心に事業を次々と立ち上げ、売上げを積み増す「連邦多角化経営」を実践。経営の安定化と人材育成を両立する独自の経営手法が、多くの中小企業経営者の注目を集める。








