社内起業の成功事例とは?従業員主導の革新を促すヤマチユナイテッドの事例を紹介

多角化・新規事業

山地 章夫
山地 章夫

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こんにちは、ヤマチユナイテッド代表の山地です。

私たち中小・中堅企業にとって新規事業開発は、会社規模拡大の推進力として、そして環境変化に対するリスクヘッジとして重要な戦略の一つといえます。

経営者自身が事業の発想をふくらませるのはもちろん、外部からコンサルタントを入れて開発を進めるのも一つの手段ですが、社員から現場の肌感覚を生かした事業案が上がってくるとすれば、これほど心強いことはありません。

既存事業を強化する意味でも、社内起業には積極的に取り組むべき。

これまで私たちヤマチユナイテッドは多角化を進めてきましたが、現在はその事業数とスピードをより増すべく仕組みや制度の見直しなどを進めています。

そんなごく最近の事例とともに、社内起業を成功させるための秘訣を紹介していきます。

目次

  1. 社内起業を実行するには?新規事業開発の段階を解説
  2. 現場から社内起業の発想が上がってくる体制を構築~ヤマチユナイテッドの成功事例~
  3. 社内起業の起案フローとルールについて解説
  4. 【ヤマチユナイテッド】事業プレゼン資料をご紹介
  5. 社内起業を促す仕組みづくりと成功例を確認しよう!「人づくり」にも注力を

社内起業を実行するには?新規事業開発の段階を解説

社内起業を進めていきたいと考えている経営陣のみなさん、今から新規事業開発をするとしたら、自社が下記のどの段階にあるか、まずはチェックしてみてください。

  1. 社長が発想し、自分でやる
  2. 社長が発想し、社長命令でやる
  3. 社長が発想し、幹部と相談してやる
  4. 幹部や社員が発想し、社長に相談してやる

初めて新規事業開発に着手する場合、1ができたら2、2ができたら3と段階的に進めてもらってかまわないのですが、1から3までの段階はすべて社長の発想が起点。

4が会社の風土として定着すれば社長はとても楽になり、経営者としての仕事ができる時間も増えますが、今までトップダウンでやってきた会社なら、いきなりこの段階から始めるのは難しいと思います。

1から順次取り組んでいって4をクリアできるようになると、社長が発想した事業案であろうと社員が発想した事業案であろうと発想の段階で幹部や社員に相談できますし、誰にどうやって事業を任せるかと具体的に考えやすくなっているはず。

事業の立ち上がりのスピードも早くなりますし、成功率も上がるでしょう。

社長が新規事業を発想するメリット・社員が新規事業を発想するメリット

社長が新規事業を発想するケース、幹部や社員が新規事業を発想するケースのどちらにもメリットはあります。

社長が新規事業を発想するメリット

社長はビジネススキル、センス、知識すべてにおいて社員と比較すると突出していますし、目線もアンテナも高いものです。

情報収集の範囲も日々の交流であったり、旅であったり、本であったりと公私ともに広いので、発想の自由度が高く、スピーディに事業開発を進められるという点で優れていることが多いのではないでしょうか。

もし初期段階で外部の専門家にアドバイスを請うとしても、社長がやるのであればそこですぐに決裁できますし、そういった外部からの提案も舞い込みやすいですね。

私、山地 章夫が発想した事業を挙げると、建材貿易、輸入住宅ビルダー、インテリア輸入販売およびライフスタイルショップ&ショールームの開設、住宅、フランチャイズ、通所介護、国内外の企業のM&A、経営支援、幼児教育などがあります。

当グループのこれまでの事業を振り返ってみると、既存事業の周辺事業というよりは、業界を問わず幅広い着想のもとに展開してきたものが多いと感じます。

社員が新規事業を発想するメリット

対して社員が新規事業を発想するケースだと、日々現場でつかんだお客様のニーズを生かすことができるのが最大の強みです。

当グループであれば、新築住宅事業においてまさに顧客層のニーズに合わせた住宅ブランドを次々と展開していますし、その周辺事業としてマンションリノベーション、中古住宅専門店、分譲住宅、インテリア事業から派生した飲食業、イベント事業の一環として始めた大型テント代理店などの事例もあります。

既存事業の中で得られたお客様の声をしっかりプロダクトに落とし込んでいくことに関しては、やはり現場の社員ならではの発想が生きています。

また、社員の発想から生まれた事業は彼ら自身の思い入れも深く、取り組みの姿勢もより積極的になるでしょう。

特に中小・中堅企業が多角化を考えるのであれば、小さく始めて大きくしていくという流れが理想的。

そのためには「幹部や社員が新規事業を発想し、社長の決裁をもらった上で社内起業して自分たちで事業を進めていく」という4つ目の段階までいきたいところですが、そもそも自主的に新規事業を提案しやすい風土や仕組みがないとなかなか難しいものです。



次の項目では、そういった風土や仕組みを作るためのコツ、現場から社内起業の発想が上がってくる体制の作り方を事例とともに解説します。

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現場から社内起業の発想が上がってくる体制を構築~ヤマチユナイテッドの成功事例~

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ヤマチユナイテッドは2024年度から新たに「北海道から色んな世界を変えていく」というパーパスと、これを実現するための「THE 100VISION」というミッション、そして行動指針となる14項目のコアバリューを定め、この3つを合わせてグループビジョンとしました。

この中で掲げている「THE 100VISION」を具体的にご説明すると、パーパスを実現する100の事業を創出し、魅力あふれる100人の経営者を育て、100事業×利益1億円=100億円の高収益を上げ、100年続く持続可能な良い会社を創る、というもの。

実は「THE 100VISION」はこれまで達成期限を定めない「ビジョン」という位置付けでしたが、これを機に「2030年までにTHE 100VISIONを達成する」ことをグループ全体の目標に掲げ、新規事業の数を増やすこと、それをさらにスピード感をもって行うことが急務となっています。

元々社員全員参加型の「システム経営」を採用している当グループですから、新規事業開発から社内起業までのフローは従来の稟議体制に乗せて運用していました。

ですが、「2030年までに100事業を目指す」からには、起案の体制も高速で上げていけるようなフローに作り変えなければなりません。

そこで、現場からの起案を「待つ」だけでなく「促進する」体制を改めて作りました。

現場から社内起業の発想が上がってくる体制にするためには、4つの条件をクリアする必要があると考えています。

①「なぜ社内起業を推進していくのか」を提言する

いきなり「社員のみなさんから新規事業開発の案がほしい」「社内起業を推進する」と宣言したところで、「社長の気まぐれ」と受け取られては本来の意図が伝わりません。

「なぜ社内起業を推進するのか」「何を目指しているのか」「それによって私たちはどうなりたいのか」というように、社内起業推進の背景や今後の展望、経営者としての思いを社員にしっかり伝えましょう。

うちでいうと、例えば新しく設定した「北海道から色んな世界を変えていく」というパーパスについて、今年度(2024年)のキックオフミーティングで私はとても丁寧に説明しました。

「世界を変える」とは、お客様のライフスタイルを変えることでも、地域の生活を変えることでも、業界の常識を変えることでも良い。

北海道発でいろいろなことに挑戦し、それらの「世界」に属する人たちを幸せにしていこう、そのためにヤマチユナイテッドの事業を増やし、会社の規模を大きくすることで世の中への影響力を高めたい。

こうして「ビジョンの提言」を行うことで、社員にも「ただ闇雲に新規事業を始めるのではない」ことが伝わり、「今後新たにどのような商品・サービスを提供すれば世の中に貢献できるのか」と自分なりに思考することを促します。

言ってしまえば、ここをきちんとクリアすることがもっとも大事だといえます。

社内起業の意義が腑に落ちないままでは、どんな仕組みや制度を入れても社員たちは変わりません。

②現場社員に事業開発に必要な知識をインプットする

当然、社員が何も知識を持たないままで事業開発に臨むことはできません。

具体的には、収益構造を理解するためのビジネスモデル分析や決算書の読み方、資金調達の仕方などを学ばせる必要があります。

ヤマチユナイテッドでは、新入社員に向けた「フレッシャーズキャンプ」という研修制度でこれらの教育を行い、総仕上げとして自分たちで新規事業計画を立ててもらうプログラムを実施しています。

また、中途採用を含めた既存社員に対しては、社員全員参加のシステム経営にのっとって事業計画の策定に誰もが関わるような仕組みを整えています。

前提として、数字をオープンにすること、部門別に利益を見られるようにしておくことがシステム経営の必須条件です。

こうすることによって、社員自ら経営計画書をベースに中期経営計画、単年度経営計画を作成することが可能となり、ビジネスモデル分析や業績評価、対策立案といったことを実践的に学べるようになっているのです。

③新規事業案をどのようなフローで起案するのかを明確にする

社員が発想した新規事業案がどのような手順で社長決裁まで行きつくかということを明確にして全社員に周知します。

せっかく良いアイデアを持っていても、どのように取りまとめ、どこへ提出し、どんな流れで事業化されるかが不明瞭だとなかなか言い出しにくいもの。

ヤマチユナイテッドでは、部門ごとに取りまとめた新規事業案を上の階層へ順次上げていくこと、そして各階層の会議のアジェンダに新規事業計画の検討を設定することで提案の促進と数の増加、決裁までのプロセスの加速を図りました。

次の段落で詳しく説明しますが、うちの場合、現場から上がってきた新規事業案は「カンパニー経営会議」「事業部経営会議」「各社経営会議」「HQ(ヘッドクォーター)会議」「グループ役員会議」という5段階の会議を経て、社長決裁へと進みます。

これらの会議は毎月設定されているので、スムーズにいけば最速1カ月で社長の決裁が下りることになります。

④起案後の進捗・結果の情報共有を過不足なく実施する

「現場の社員が新規事業案を上げたのは良いけれど、その後どうなったのか音沙汰がない」

「社長決裁は下りたようだが、ほかの部門の人間には計画が進んでいるかどうかもわからない」

世間ではそのようなことがけっこうあるようで、情報共有の不足こそ新規事業開発がブラックボックス化する原因です。

当事者だけが進捗状況をわかっていて、動いていれば良いというものではありません。

うちの場合は特に多角化のスピードアップを目指しているので、いろいろな人が提案できる体制を整え、提案数も増やしていきたいという意図のもと、月1回の「オンライン朝会」で起案の進捗状況を全社員に発報しています。

このようなことがないと、社員たちにも「自分たちも案を出して良いんだ」「ほかの部門からこんな提案が出ているから、うちも頑張らないと」という意識が生まれないのではないでしょうか。

ある月のオンライン朝会では、「アイデアベースで新規事業案が112案出ています」「仮プレゼンまで進んだのはそのうち3つ」「事業化したのは2つ」のように進捗と結果が共有されました。

112案というとずいぶん多いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、なかには「本当に事業に関係あるの?」と思うようなユニークな案も出てきたりして、これがヤマチユナイテッドらしいところ。

基本的にどんな案でも否定されない、そのような社風であると社員はわかっているので、心理的安全性が保証されているのです。

こうして情報共有することにより、社員は「隣の部門のあの人が頑張っている」と発奮し、通った案件の数や内容を知ったことで会社の方針に沿うより良い提案をしようと考え、事業計画の精度も高まります。

社内起業の起案フローとルールについて解説

それでは、社内起業の起案フローとルールについて、ヤマチユナイテッドの事例に基づいて説明していきますが、その前に当グループの「カンパニー制」について紹介します。

ヤマチユナイテッドの「カンパニー制」について

ヤマチユナイテッドでは、2023年秋に「2030年 THE 100VISION達成」と決めたことにより、事業責任者の高速育成と、新規事業を生み出し続けられる体制づくりが課題となりました。

そのうち事業責任者の高速育成を図るための新体制として導入されたのが「カンパニー制」です。

2024年現在のヤマチユナイテッドでいう「カンパニー」とは、グループ各法人内の各事業部、さらにその中にある一つ一つの部門のことを指します。

住宅事業を展開する「ジョンソンホームズ」を例に挙げると、ジョンソンホームズという法人の中にある新築事業部、その中の「アメカジ工務店」「インターデコハウス」「インゾーネの家(iZONE DESIGN LABO)」「ナチュリエ」「COZY」「さっぽろガーデンライフ」といった部門(ブランド)のそれぞれが「カンパニー」という位置付けになっています。

これまでは、各部門のトップである「GM(ゼネラルマネージャー:現体制では「事業本部長」)」が経営の主体となっていましたが、これを「MG(マネージャー:現体制では「カンパニー長」)」へと一段下ろして「カンパニー」を経営の主体とし、営業利益管理はカンパニーごとの独立採算制。

そして、これらカンパニーを統合したものが事業部であるという建て付けになっています。

カンパニー制の導入について、図でもご説明いたします。

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新規事業を生み出し続ける体制をつくるためには、改めて新規事業創出フローとルールを整備しました。

先ほども少し触れましたが、新規事業創出に関しては各階層の経営会議アジェンダに組み込み、毎月の議題として新規事業について話し合うことを決めました。

そのほかにも、アイデア出しの手順にはじまり、事業化から承認へと至るフローを明確にして、新規事業開発に必要な制度・ルール全般を整え、事業も再定義することに。

事業の再定義は「THE 100VISION」の達成基準を示すための第一歩で、「営業利益を算出できる組織であること」「兼任ではない組織のトップがいること」という2つを掲げました。

ヤマチユナイテッドの起業フロー(新事業創出フロー)・ルールの整備

うちの起業フローは、以下のような順序で考えていくこととしています。

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これらをまとめた新規事業計画案は、下の図のように5つの段階を経て、問題がなければ社長決裁へと至ります。

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新規事業の発案(事業アイデア出し)するのは誰でもかまいません。

上がってきた事業案にカンパニー経営会議でアイデアをプラスし、素案を作って事業本部会議で簡易プレゼン。

そこで事業化の可能性が見込まれる発案は会社へ正式にエントリーできるものとなります。

本プレゼンはさまざまな角度から分析したデータを加えて資料に厚みを持たせ、事業部経営会議と各社経営会議へ。

ここも通過すると、次は社長や役員、事業本部長が集まる「HQ会議」で最終プレゼンが行われ、最終的にグループ役員会議で了承を得ることで社長決裁へと至ります。

【ヤマチユナイテッド】事業プレゼン資料をご紹介

みなさんが気になるところとして、「どのくらいのクオリティで資料を準備するのか」があるかと思います。

フレッシャーズキャンプで新入社員に新規事業計画立案をしてもらう際にも「これとこれとこれを入れて」というような事細かな指示をしているわけではありません。

よりわかりやすく、より通りやすくなることを意識して、プレゼン用のテンプレートをそれぞれ作ってあります。

ここでは、事業プレゼン資料のイメージをお見せします。

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事業プレゼン資料の項目としては以下の通りです。

事業ミッション・ビジネスモデル概要

何のためにその事業をやるのか、既存事業とのシナジー効果や関連性を加味して示します。

市場分析

自社の資源や強み、差別化のポイント、顧客ターゲット、競合となりうる会社などを分析します。

マインドフロー

認知→興味→行動...と、顧客が購買・成約に至るまでのフローをSNS/動画、店舗、商品といった訴求の手段とかけ合わせて表にします。

ポジショニング

特徴や顧客層、価格などの点において、競合他社と自社を比較し、どんなポジションを取るか可視化します。

マーケティングプラン(施策)

どのような施策をどのくらいの予算をかけて実行するか、KPIに何を置くかを決めていきます。

マーケティング計画

マーケティングプランのスケジュールを示します。

初期投資



物件をリフォームするのか新築するのか、工事費はどれくらいか、設備投資や減価償却費は...などと、初年度のイニシャルコストを算出します。

収益構造

商材の原価、粗利益を算出し、回収スキームを示します。

事業リスクと考えられる対策

予測されるリスクと対策をあわせて考えておきます。

人員計画

開業時の人員に加え、事業が軌道に乗ってからの適正人員を検討します。

組織図

どのような役割の人が何人いるかなど、その事業部自体の組織図を作成します。

事業化ロードマップ

メニュー開発やマーケティング施策、店舗施工の工事期間など、開業までの流れを落とし込みます。

3カ年計画

初年度から3年間の売上・粗利益・経費(人件費+そのほかの経費)を算出し、営業利益の予測を立てます。

今後の目標

3カ年先を見据えた上で、定量、定性両面で目標を定めます。

ちなみに、ヤマチユナイテッドでは、このテンプレートを社内サーバで管理し、一般社員も確認できるようにしてあります。

このようなテンプレートがあれば、新規事業のアイデアを持っていて「ちょっとやってみたいな」と思っている社員が利用しやすいでしょう。

新規事業開発の役割も確認

当グループでは「2030年 THE 100VISION達成」に向けて体制づくりを整えてきたわけですが、新規事業開発は既存事業を助ける役割もあると考えています。

商況や環境の変化によって、現場は頑張っていても成果が出にくくなる事業もあるでしょう。

そんな時にその周辺で1つ事業を立ち上げて付加価値を作ることによって、高収益事業に変えていくこともできるはず。

このようなことができたら良いな、ぜひやりたいという思いは、もしかしたら経営陣よりも現場の社員のほうが強いかもしれません。

手持ちのものだけで戦うのが苦しくなってきたとき、自分たちで起案できて自分たちがやっていることを高収益事業に変えることができる。

なおかつお客様のニーズにも応えられるし、思い入れ強く業務に取り組むことができる。

このようなことを考えていくと、やはり現場の社員はうれしいのではないかなと思います。

ただ、こういった経験は「会社の業績を自分事として捉える目線」と、「利益を得るためにはどのようなことが必要なのか」と常に考える姿勢がないと得ることができません。

仕組みづくりと人づくりは会社を成長させるための両輪です。

どんなに上等な包丁を持っていたとしても、良い料理人がいなければその切れ味を発揮できない。

仕組みづくりと人づくりの関係性は、このように例えても良いと思います。

ある程度の時間はかかりますが、社員が自律的な人材へと育ってくれれば、そのあと何をどう伸ばしていくかはあなた次第です。

社内起業を促す仕組みづくりと成功例を確認しよう!「人づくり」にも注力を

新規事業開発、そして社内起業を進めていくにあたっては、以下の4つの段階があると思います。

  1. 社長が発想し、自分でやる
  2. 社長が発想し、社長命令でやる
  3. 社長が発想し、幹部と相談してやる
  4. 幹部や社員が発想し、社長に相談してやる

これから新規事業開発に取り組んでいこうと考えているのであれば1から順に段階を踏んでいき、4段階まで至れば経営者が非常に楽になるでしょう。

発想の段階で幹部に相談したり、社員に任せることで自身の仕事に取り組む時間を作ったりといったことが可能となります。

現場から社内起業の発想が上がってくる体制にするためには、4つの条件をクリアする必要があると考えています。

①「なぜ社内起業を推進していくのか」を提言する

②現場社員に事業開発に必要な知識をインプットする

③新規事業案をどのようなフローで起案するのかを明確にする

④起案後の進捗・結果の情報共有を過不足なく実施する

特に③については、「新規事業案を提案する際に使用するテンプレートを作る」「起案フローとルールを整備する」といった取り組みによって現場の社員の心理的ハードルを下げ、より多くの事業案、よりスピーディな事業化を実現することができるでしょう。

こうした仕組みづくりは重要ですが、同時に「人づくり」も進めていかなければ片手落ちとなってしまいます。

ヤマチユナイテッドが採用する「システム経営」は、新規事業開発および社内起業においても、自律的な人材づくりを可能とする全員参加型の経営手法です。

中小・中堅企業の皆様にもこの経営手法を取り入れることでより良い会社づくりに取り組んでいただきたいと考えています。

とはいえ「じゃあ明日からシステム経営を始めよう」としたところで、人は一朝一夕には育ちません。

数字をオープンにする、部門別に利益管理をする管理会計をする、社員自身による「自主計画」「自主管理」「自主分配」という3大自主システムを回す。

これに経営者の哲学や理念を紐づけることで自主性の高い組織になります。

ヤマチユナイテッドでは、システム経営の手法がワークショップ形式で身につく「連邦・多角化経営実践塾」を主宰し、ノウハウを余さずご紹介しています。

当グループが得意とする多角化の仕組みをもっとお知りになりたい方は、会員制の多角化経営研究会「PEAKS」や各種セミナーやイベントをホームページでチェックしてください。

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