成果につながる「社内委員会」設計のポイントって?
KATAKA
こんにちは、川田です。
当グループの委員会制度は、多角化していく中で事業を担う人材を育てるため緊急度は低いが重要な社内の仕事を現場社員中心に運営していくというものです。
委員会を初めて10年ほどになりますが、今まで色々な委員会を立ち上げてきました。
上手く活動が続いている委員会もあれば、運営が難しかった委員会があるのも事実です。
そのため現在は、委員会の活動のレベルアップを図っているところです。
今回のコラムでは、委員会の活動内容の見直しとブラッシュアップについて当グループの事例をご紹介できればと思います。
目次
1.最大の課題は委員会の活動の継続性
委員会を運営していく中で、徐々に課題として見えてきたのが「急ぎではないが重要な問題を解決する」という委員会の特性にあります。
立ち上げ当初こそ盛り上がりを見せるものの、委員会の扱うテーマによっては年数が経つにつれ委員会の活動が形骸化していってしまったのです。
現場社員が主体となって活動することで、メンバーを束ねながら会議を運営するという経験自体は、リーダーシップを醸成することは可能かもしれません。
しかしそれは形だけのリーダーシップ。人を束ねるだけではなく、最終的に結果にコミットさせ、成果を生み出するところまでもっていけなければ、幹部候補としての本当の成長とは言えません。
委員会の発足から10年近くがたち、一度グループ内の委員会の活動内容を見直す必要があると感じました。
2.重要かつ、緊急性の高い事項を委員会に任せる
形だけではない、正しいリーダーシップを育てるためには、当人が"現実を変えるべく試行錯誤する経験"が必要不可欠です。
そこで考えたのは、いっそのこと緊急性が高く、かつ重要で経営にもダイレクトに影響のある事項を現場社員に任せてしまおう、ということです。
自分たちの業務に直結する内容であればどうでしょう。
あるいは、委員会の活動に成果指標がついたらどうでしょう。
活動の成否が如実に見えてきます。
説明のために少しだけ補足すると、当グループでは「オンライン朝会」というものを実施しています。
週2回、朝9時から30分の間でオンライン配信をし、進捗状況を全社員に共有するというものです。
主な共有内容は社員ごとの営業ランキングや週次のKPIの達成度合い、週間MVPなどです。
ちょうどジョンソンホームズでは、受注までのフローを見直し、KPIを設置しなおしたところでしたので、このKPI数値の進捗管理を委員会に任せてみてはどうかと思いつきました。
こうして2021年から発足したのが、「案件化率向上委員会」です。
案件化というのは「特に受注の可能性が高い商談案件」のことを指す社内用語です。
委員会メンバーは、オンライン朝会で共有された帳票とにらめっこしながら、全体の案件化率を高めるためには何が足りないのかを話し合い、そのために必要な行動を社員に促す動画ツールを作成するのが主な活動になっています。
例えば、1度商談をしたものの、次につながらなかった顧客への継続したアクションが不足していることが課題として挙がった際には、お客様とのやりとりの工夫を促すような「LINEでのやりとりのコツ」という動画を作って共有する...などです。
委員会は営業チームから1名ずつメンバーを選出し構成されていますので、チームごとのKPI達成状況を把握・管理できる点も強みです。
このようにして、社員も巻き込みながら全社でKPI向上に向けてコミットする体制を作り出すことができました。
3. 委員会の活動内容を見直すことで、階層ごとの役割が変化した
KPIの進捗管理といったような、ダイレクトに業績に関わる仕事は、これまでミドル層にいるマネージャーたちの仕事でした。
それを現場社員が中心となる委員会に任せてしまったことで、様々な良い影響が生まれました。
1つ目に、委員会の中核メンバーが本業務での実力をメキメキと伸ばし始めたことです。
ジョンソンホームズでは、全営業マンが年間12棟の目標を掲げていますが、委員会に入る前までは良くても年間4、5棟だったメンバーたちが軒並み10棟以上の売り上げを達成するようになったのです。
全体のKPI数値を良くしようと試行錯誤するうちに、自分の本業務にも好影響がもたらされた見本となりました。
このことを知ったときには、私も本当に驚いたものです。
また、組織全体の役割構造が大きく変化しました。
かつてはマネージャーが担っていたKPI進捗の管理・徹底を現場社員が担っていましたが、チーム全体の商談の質、行動量、問題解決もプレイヤーが管理する体制になったことで、マネージャーの仕事はその活動が正常に動いているかをチェックするだけになりました。
そうすることで彼らも商品設計や戦略の見直しに多くの時間を割くことができるようになりました。
マネージャー中心に戦略を立て、現場がKPI管理を徹底する。
そのような中で、経営トップである私の役割も変化しました。
今の私の役割は「全体の動きを加速させること」です。
オンライン朝会で、委員会や、個々のメンバーの成功を褒めて、全社に広めるのです。
「Aさんは顧客管理のアクションを頑張っていたから、数字になって表れてきている」
「最近出たBさんの動画はこういう部分が参考になるから、他の皆もぜひ見習ってみて」...などなど。
褒めた本人がテンション良く仕事をするようになるのはもちろんですが、面白いことにその社員の周りの社員が「自分も負けていられない」とシャカリキで頑張ってくれるようになります。(このコラムを読んでいる経営トップの方は、だまされたと思ってぜひ1度やってみてほしいものです)
委員会の動きと便乗して、全社員がますますKPIの目標達成に走り出してくれるようになりました。
現場、ミドル、それぞれが各々のやり方で業績に向かって試行錯誤し、全力で考えてくれるようになったおかげで、このコロナ禍でも士気の下がることなく期を終えることができました。
ここでご紹介した委員会の立ち上げや、KPIの設置、オンライン朝会を実施するにいたった背景や詳細の内容は、すべて他のコラムでもご紹介しています。
すでに自社で行っている委員会をブラッシュアップしたい、 これから委員会を立ち上げるが、どんなテーマで立ち上げたら良いか迷っている...等々 お悩みの企業様は、ぜひそちらもご覧くださいね。
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Authorこの記事の著者
株式会社ジョンソンホームズ|常務取締役|グループ常務
川田 新平
ジョンソンホームズを陣頭指揮。企業ミッションの明文化、共有・浸透を図るとともに社員が輝き主体的に経営参加する組織づくりを通して、新たな成長軌道に導く。現在はグループで展開する多様な事業にコミット。社員皆をよくするために、毎月500名の社員の話を聴くことを自ら実行している。