ヤマチ流デジタルトランスフォーメーションを公開 〜社内での動画活用〜
KATAKA

こんにちは、川田です。
前回のコラムでは、オンライン朝会でのランキング発表について紹介しました。
ランキングを発表する中で、「上位者はどんな工夫をしているのか」「上位と下位の違いは何か」に着目をするようになりましたが、今回はその疑問が元になって始動した「社内での動画活用 」についてお話したいと思います。
動画活用の事例は2つ、「ノウハウ動画」と「ロープレ動画」があります。
それぞれを始めた経緯からお話しようと思います。
目次
1.事例① 社員の学びの形を変えた「ノウハウ動画」
当グループでは毎週オンライン朝会で各部門の売上棟数や受注利益のランキングを発表しているわけですが、そのランキングを見ながら「ランキングの上位者には売れるための秘訣があるのか?」と気になっていました。
コツは直接本人たちに聞くのが早いと思い、せっかくなら上位者が話す様子を動画に撮って、みんなに見てもらおうとなりました。
これが「ノウハウ動画」が始動した経緯です。
ご時世的に社員を集めての集合研修はできないので、ノウハウ動画をyoutubeにアップし、社員限定のURLを共有することとなりました。
ノウハウ動画は社内で結成した数名のプロジェクトによって運営されました。
上位者へのインタビューと撮影を進め、動画を共有しました。
最初はジョンソンホームズの新築営業部から始まり、他の事業部へと展開していきました。
実際にアップされたジョンソンホームズのノウハウ動画のひとつに「管理アクションへのこだわり(LINE)」というものがあります。
これはLINEを使って好成績を残していた営業マンに、取材者役の営業マンから
「なぜLINEで営業を始めたのか」「メッセージのやりとりで意識していることは何か」
といった質問をインタビューし、そのやりとりを動画に撮ったものです。
10分ほどの動画ですが、その営業マンがLINEでの営業活動を始めた経緯から、実際のやり方、メッセージを送るコツが聞けるようになっています。
取材者が同じ営業マンであることもミソで、同じ営業マンの目線から気になっているポイント、やり方を質問していることが学びに繋がるのです。
このようなノウハウ動画を、月に数本のペースで共有していきました。
ノウハウを動画にして残すことで、有益なノウハウを、いつでも、どこでも、何度でも見ることができるというデジタルの便利性に気づくことができました。
これは従来の営業研修では叶わなかったことです。
2.事例② ボトルネック改善のヒントが出てきた「ロープレ動画」
ノウハウ動画の共有で「上位者による売れるためのコツ」は共有されていったわけですが、私はどうしても各事業部のランキング上位と下位の「差」に納得ができず、何が両者の差を作り出しているのかということもとても気になっていました。
そんなときに、ジョンソンホームズの2020年の年間営業ランキングで1位だった営業マンが「アプローチブックのおかげで達成することができた」と言っていたことを思い出しました。
アプローチブックとは、ジョンソンホームズの営業マンが商談の際に使う自身の自己紹介や住宅標品の特徴、会社の想いなどをまとめた顧客案内用の資料です。
ジョンソンホームズでは10年以上も前から商談の際にはこのアプローチブックを使用することになっていますが、いったい何人の営業マンがこれを使いこなせているのか?営業マンたちは、各々のアプローチブックをどうやって使いこなしているのか?といったことが気になったので、動画で撮ってみようと思いました。
こうして、ジョンソンホームズの新築住宅6ブランドの営業マン約50人のロープレを動画で撮影し、見比べることになりました。
さっそく全員分のロープレを撮影したわけですが、その動画を見て本当にびっくりしました。
どの営業マンの商談を見ても、伝え方、説明する順番、資料の使い方・・・全てがバラバラだったのです。
同じブランド、同じ商品でも、伝わり方が全く違いました。
うちの会社は社員の仲が良好で、会議も多い。
コミュニケーションの量は多い会社だと自負していましたが、普段の会話の中ではお互いの商談の様子は全く共有されていないことがわかりました。
話の内容が不ぞろいであることと、組織の人数や業種・職種は関係ないこともわかりました。
ヤマチコーポレーションのイベント事業部は営業マンが4人ですが、同じようにロープレ動画を撮影したところ、やはり伝え方がみんなバラバラでした。
本人たちも、違いを目の当たりにして驚いていました。
FC展開をしているライフサポート事業部でも、加盟店担当から4人を選出しロープレ動画を撮影しましたが、やはり結果は同じでした。
内容や相手に関わらず、伝えること、伝え方、伝える順番というのは個性がでてしまうこと、今までの指導や研修、同行を行っているだけでは揃わないものなのだと実感ました。
さらに興味深かったことは、ジョンソンホームズで全営業マンのロープレ動画を視聴したという住宅FC事業部の社員が「業績ランキングを見たら、話の良さと売ってる棟数の順位がそのまま同じですね」と言っていたことです。
この一言は私にとって本当に衝撃的でした。
それまでの私は、営業成績というものは商談での話の内容以外にも、行動量や、その時の運だったり、色々な要因によって決まるものだと考えていたからです。
しかし、客観的に見ると"勘どころをおさえて伝えられているかどうか"がそのまま営業成績に直結するのだとわかりました。
「伝え方」こそ、ランキング上位と下位の違いだったのです。
このことに気づいたとき、「伝え方なんて、いくらでも変えられるじゃん!」と率直に思いました。
このことは、組織の問題を改善する転機となったのです。
3.社内の動画活用を経ての気づき
このように、社内で動画を活用してみて、多くの気づきがありました。
「ノウハウ動画」を共有したことで、デジタルツールの有用性に気づくことができました。
「ロープレ動画」の共有で、営業マンの商談のやり方、流れ、伝え方が全員バラバラだったことがわかりました。
営業成績と話す内容の良さは比例することも明らかになりました。
今まで営業マンは、同行や研修という限られた機会でしか「良いやり方」を見る機会がありませんでしたが、動画を残すことでいつでも繰り返し良いやり方を学ぶことができるようになりました。
こうした一連の出来事から、「ランキング下位の人は「売れるやり方」を知らないだけで、それを動画でインプットできればどんどん売上棟数を上げられるようになるのでは?」と考えるようになりました。
社内改善として商談での伝え方を統一することの必要性に気づくことができましたし、私の中での育成についての概念も大きく変わると思いました。
次回以降のコラムでは、伝え方の統一とこれからの育成について、私の経験をお話できればと思います。
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【コラム】ヤマチ流デジタルトランスフォーメーションを公開 は毎週金曜日に連載中!
ヤマチでの変容を時系列に沿って知りたい方は、こちらのシリーズをご覧ください。
第1話:オンライン朝会① DXって、このこと?!
第2話:オンライン朝会② 共有情報の中身
第3話:オンライン朝会③ 週間MVP発表 社員成長の2つの法則
第4話:オンライン朝会④ 週間MVP発表がもたらす波及効果
第5話:オンライン朝会⑤ ランキング発表
第6話:社内での動画活用(この記事)
第7話:部下育成は「自社流DX」で効果爆上がり
第8話:全社員を自主的に行動させる「行動量」の重要性
第9話:型化① 型づくりの経緯
第10話:型化② 3種類の型
第11話:型化③ トップとしての重荷が軽くなった!? 型づくりのメリットについて
第12話(最終回):9億円の赤字を回避し、業績2倍を実現した「3つの取り組み」とは
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Authorこの記事の著者

株式会社ジョンソンホームズ|常務取締役|グループ常務
川田 新平
ジョンソンホームズを陣頭指揮。企業ミッションの明文化、共有・浸透を図るとともに社員が輝き主体的に経営参加する組織づくりを通して、新たな成長軌道に導く。現在はグループで展開する多様な事業にコミット。社員皆をよくするために、毎月500名の社員の話を聴くことを自ら実行している。