ヤマチ流デジタルトランスフォーメーションを公開 〜全社員を自主的に行動させる「行動量」の重要性〜
KATAKA

こんにちは、川田です。
今回は業務の「量」の重要性についてのお話です。
私はあることがきっかけで「行動量」の重要性に気が付き、それにより業績ダウンの危機を回避することができました。
今回は、グループで一番最初の事例であるジョンソンホームズの営業部門の話をご紹介します。
目次
1.顧客アプローチ量の実情を見てみたら...やってない!
2020年からのコロナショックはいくつかの波があったように思いますが、第一波、第二波あたりまではオープンハウスやモデルハウスへの来場予約もあり、ありがたいことに集客面に影響はあまりありませんでした。
その間にジョンソンホームズでは動画活用を進め、各々の商談の質の向上に取り組むことができました。
しかし、コロナ第三波と呼ばれた2021年のゴールデンウィークあたりを境に、一気に来場予約が無くなってしまいました。
いよいよコロナショックの影響が集客にまで及んだことを実感し、このまま動画の活用で接客の質を上げているだけでは業績目標も達成できないと考え、リスト顧客へのアプローチの強化を決めました。
弊社ではこれを「管理アクション」と呼んでおり、以前商談をしたがご成約に至らなかった方へ向けての電話掛けをし、再度来場してもらうための行動を指します。
これが営業活動の「量」に目を向けるようになったきっかけです。
2.行動量の計測と共有で、その重要性に気がついた
当時は営業マンがそれぞれどのくらい管理アクションを行っているのかを把握できていなかったため、「営業マンが各々リストを持っているお客様に月1回は必ず接触をする」というルールを定め、その達成率を報告してもらいました。
報告された行動量はオンライン朝会で私が全社共有するという流れです。
※AC、IDHはチーム名※
「さて、どのくらいやっているかな。9割くらい達成していてくれていたらいいかな」と思って報告された数字を見てみると、愕然としました。
今まで「やっています」とだけ聞いていた管理アクションの行動量が、実際には目標比4割にも達していない営業マンがほとんどだったからです。
どうやら、成約となりそうな顧客がいればそちらに集中し、「今月は目標達成が厳しいかも」と感じたら慌てて管理アクションに取り組む...といった動き方をしている人が多いようでした。
しかし一方で、面白いこともわかりました。
行動量の数字が群を抜いて高い営業マンは、月ごとの売上棟数ランキングで上位の人たちと同じ顔ぶれだったのです。
「売っている人=行動量の多い人」という仮説が立ちました。
話を聞くと、私が「話が上手だから家が売れるだろう」とばかり思っていた営業マンも、かなり計画的に管理アクションに取り組んでいたことがわかりました。
保有している顧客全員の状況を把握し、50~80名ほど抱えている顧客すべてに次は何を案内するかを決めたうえで、月の早いうちからひたすらアクションしているとのことでした。
そのため、仮に現状で話が進んでいるお客様との契約がなくなってしまっても管理顧客の中から新たな商談の機会が生まれるため、常に契約が取れている状態を生み出すことができているのだそうです。
さらに、ずっと毎月連続で目標を達成しているチームは、チーム全体での行動量が多いことも見えてきました。
こうした事実を集めると、目標達成のためのポイントは商談の「質」の向上に加え、決められた「量」をきっちりこなすことの2つが重要だとわかりました。
3.MVP発表との相乗効果で、全員が行動量アップに走り出した
そこで、全社員の目を行動量に向けるべく、オンライン朝会のMVP発表の際に行動量の多い社員を取り上げるようにしました。
そうすると、他の社員も行動量を上げようと動き方が変わってきました。
ここでは、行動量の管理とMVP発表の相乗効果がとても良い結果を生み出してくれたように思います。
特に印象的だったのは、その年の新入社員をMVPに選出したときのこと。
建売ブランドの新入社員の電話掛け量が、先輩と比べても目に見えて多かったのでMVPとして発表したところ、それを聞いた他の新入社員が「自分も負けていられない!」と、がぜん管理アクションに励むようになりました。
入社数か月の新入社員でも、自分のやること・その基準量さえ明確になればこれほどまでに行動してくれるのかと、私もとても嬉しくなりました。
結果、全体の行動量達成率も上がり、ついには第三波の影響を受けたジョンソンホームズの集客量も無事、回復させることができました。
4.大切なことは、行動量の決定と徹底
今までは管理アクションの量もチームごとのマネージャーの管理に一任していました。
行動する量の定義も基準もない中で「自分は何を、どのくらいやればよいのか」が曖昧なまま営業活動にあたっている社員が多かったことでしょう。
しかし、全社で「やることとその量」を定め、実際のアクション量を全社に公開したことで、チームメンバーは他の社員と比較し自主的に行動する仕組みを作り出すことができました。
集客量確保のために始めた管理アクションの量への言及が、まさかここまでの成果を生み出してくれるとは思ってもみませんでした。
この経験をふまえて営業の質だけではなく行動量も全体で決めたものを徹底していく必要性を実感することができました。
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ヤマチでの変容を時系列に沿って知りたい方は、こちらのシリーズをご覧ください。
第1話:オンライン朝会① DXって、このこと?!
第2話:オンライン朝会② 共有情報の中身
第3話:オンライン朝会③ 週間MVP発表 社員成長の2つの法則
第4話:オンライン朝会④ 週間MVP発表がもたらす波及効果
第5話:オンライン朝会⑤ ランキング発表
第6話:社内での動画活用
第7話:部下育成は「自社流DX」で効果爆上がり
第8話:全社員を自主的に行動させる「行動量」の重要性(この記事)
第9話:型化① 型づくりの経緯
第10話:型化② 3種類の型
第11話:型化③ トップとしての重荷が軽くなった!? 型づくりのメリットについて
第12話(最終回):9億円の赤字を回避し、業績2倍を実現した「3つの取り組み」とは
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Authorこの記事の著者

株式会社ジョンソンホームズ|常務取締役|グループ常務
川田 新平
ジョンソンホームズを陣頭指揮。企業ミッションの明文化、共有・浸透を図るとともに社員が輝き主体的に経営参加する組織づくりを通して、新たな成長軌道に導く。現在はグループで展開する多様な事業にコミット。社員皆をよくするために、毎月500名の社員の話を聴くことを自ら実行している。