メンター制度の成功事例を紹介!メリットやメンター選定のポイント

採用・育成

山﨑 舞
山﨑 舞

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こんにちは、ヤマチユナイテッドの山崎です。

人材育成と新卒採用を重要視する当グループでは、新入社員のフォローも大切な仕事の一つです。

学生から社会人へ、環境も立場も大きく変化した新入社員の1年間は、毎日が刺激に満ちている半面、人知れず悩みを抱えたり壁にぶち当たったりする時期でもあります。

新入社員の彼ら・彼女らの支えとなり得るのが「メンター制度」です。

今回は、当社のメンター制度「フレッシャーズサポート制度」の事例も交えながら、みなさんにそのメリットやデメリット、導入する際のポイントや成功事例などをお伝えしたいと思います。

目次

  1. メンター制度の特徴とは?OJT、エルダー制度との違いも解説
  2. メンター制度のメリット・デメリットは?
  3. メンター制度を導入する際のポイント
  4. 当社のメンター制度「フレッシャーズサポート制度」の成功事例を紹介!
  5. メンター制度の成功事例から運用のコツや新入社員のサポート体制を学ぼう

メンター制度の特徴とは?OJT、エルダー制度との違いも解説

まずは、メンター制度とはどのような制度なのか、OJTやエルダー制度との違いは何なのか、確認しましょう。

メンター制度とは

メンター制度は、メンター・メンティー制度、あるいはメンタリングなどと呼ばれることもあります。

「メンター」とは指導者、助言者を意味する英語で、「メンティー」はその指導や助言を受ける者を指します。

企業では、年齢の近い先輩社員が新入社員などの若手の相談相手となり、会社になじみやすいよう導く制度として近年広まってきています。

メンター制度の特徴は、若手が悩みを相談しやすいように職種や部署が違う先輩社員とマッチングすることと、先輩社員は業務以外、例えば人間関係の悩みやメンタル面の悩みも聞くこと。

自部署内の人が相手だと仕事の悩みはなかなか口に出しづらいものなので、業務の指示命令が及ぶところから切り離すために、あえて他部署の先輩を選ぶのがポイントです。

OJTやエルダー制度との違い

OJT(On the Job Training)とは、自部署の先輩によって行われる実務指導のこと。

業務に直結するテクニカルスキル習得が目的となります。

エルダー制度とは

エルダー制度は「ブラザー・シスター制度」ともよばれます。

先輩社員が業務上、生活上の相談相手になるという点ではメンター制度とよく似ていますが、こちらでは自部署の先輩がつき、実務指導も行うのが特徴です。

入社後の新入社員をサポートする取り組みについては「新入社員が成長する研修プログラムとは?成功ポイントや事例を紹介」でも詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。

メンター制度のメリット・デメリットは?

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当グループでは、メンター制度を「フレッシャーズサポート制度」という名で採用しています。

メンター制度を取り入れるメリットやデメリットについてお伝えします。

メリット①新入社員が業務以外のことを相談しやすい

当社のフレッシャーズサポート制度の考え方と照らし合わせると、メンター制度のメリットは新入社員が業務以外のことでも相談しやすい環境を得られるということ。

当社ではもともと面談制度がたくさんあって、例えば定期的な上長面談なら業務指示や成長促進を目的としています。

ですが、ちょっとした不満や不安、悩みを相談できるような場ではありません。

フレッシャーズサポート制度では月1回は面談するよう定めています。

特に悩みがなくても気にかけてくれる先輩がいることで会社になじみやすくなる、相談相手がいる安心感が得られるといったメリットもあります。

メリット②先輩社員の成長につながる

メンターとなる先輩社員にとってもメリットがあります。

それは、新入社員と関わることで自発性や責任感が高まり、成長につながること。

いずれ管理職に就いたときにはこの経験を生かせるでしょう。

デメリット①メンターに業務的・心理的な負荷がかかる

先輩社員は通常業務のほかにメンターとしての役割を果たすための時間を取らなければならないので、その分業務的な負荷がかかるというデメリットがあります。

また、当社ではメンターだけでは処理しきれない案件が出てきたということが一度ありました。

メンターである先輩社員とメンティである面談対象社員の信頼関係が深まった頃、メンティが打ち明けた悩みがなかなか深刻で人事に関わる話になりそうだと...。

メンティは「上長に報告しないでほしい」と言うし、それでもメンターである先輩社員はなんとかしてやりたいと思うので心理的負担もかかります。

このときにメンターが正式なルートではない手段で変に動くと社内の混乱のもととなりますが、「こういう案件はすべてHRD(人材の育成・能力開発を担う部署)に内密に教えて」と事前に説明しておくことで解決できることなんです。

みなさんの会社でも、メンターの手に余る案件が出てきた場合に対応できるよう、きちんと道筋を示しておき、心理的な負荷をかけないようにすることをおすすめいたします。

デメリット②メンターとメンティーの相性で満足度が左右される

メンティー側のデメリットとしては、メンターとの相性によっては信頼関係を築くのに時間がかかることが挙げられます。

同期のメンターが魅力的であるという話を聞けば、自分と比べたときに不公平だと感じる場合もあるでしょう。

ですが、これらはメンターの選定を慎重に行えば避けることができます。

ここは重要なポイントなので次項で詳しく説明します。

メンター制度を導入する際のポイント

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メンター制度の流れは下記の通りです。

  1. メンティに合わせてメンターを選定
  2. 面談(当社の場合は月1回、4月〜翌年2月の約1年間)
  3. 報告書提出
  4. 次回の日程調整

メンター制度をうまく運用するには、メンターの選定が非常に重要なポイントとなってきます。

メンター候補者にどのように依頼すると良いかなど、メンター制度を成功させるためのコツについても解説します。

どんな人をメンターに選定すべき?メンターの選出方法も確認

メンターの理想像は、「良いところを伸ばしながらも締めるところは締め、指導教育ができる人」。

なおかつ「優しくて共感能力の高い人」「面談の報告書などの記入・提出をこまめにやってくれる人」などと、すべてを備えた人を選び出すのはなかなか大変なんです。

メンターとメンティーを他部署の社員にすることは前述の通りですが、当社のように事業の幅が広い場合は相手の業務内容すらよくわからないような「遠すぎる」関係だと逆効果。

せめて、普段どんな業務をしていてどんなことで悩んでいそうか察知できる範囲内の社員を選びましょう。

同じ事業部内の違う部署あたりが適していると思います。

そして、会社の規模が大きければ大きいほど、メンターの選出方法もきちんと決めておくべきです。

当社の場合、以前はHRDの採用担当者が信頼の置ける人に相談し、意見を聞いてメンターとなってもらう人を決めていたようです。

当社の新卒者はグループ全体で毎年10〜20名ほど採用します。

新卒者と同じ人数のメンターをHRDの採用担当者だけで選定していた頃は、事業部長クラスや役職についている人たちが「HRDで管轄しているから大丈夫だろ」と、フレッシャーズサポート制度に興味関心を持たなくなっていきました。

本来なら自事業部内からメンターを選び出すことをきっかけに、メンティとなる新入社員にも関心を持ってもらいたいですよね。

「この子こういうタイプみたいだから誰をつけよう」とメンターを検討しながら、新入社員の今後の成長についても初期段階から考える良いタイミングにもなるはず。

そのことから、各事業部にメンター選定を依頼する書類を作っていますので、次で詳しくご説明します。

メンター候補にはどうやって依頼する?

各事業部(各部署)にメンターの選定を依頼する書類を作る際は、「こんな人にメンターになってほしい」という条件を提示することがポイントです。

まずは、新入社員の成長促進を目的とし、「業務上またはその他の疑問や不安を解決する場を作りたい」ということを説明しましょう。

当社のフレッシャーズサポート制度の場合は、「メンティと性格や考え方が似ていて、年次が少し離れている」といったメンターの選出基準、メンターの業務として面談の実施や報告などをお願いしたいことなどをA4用紙1枚にまとめています。

ほかの企業さんだと、メンター制度の運用は年次のかなり高い人が仕切るところもあるようです。

メンターとなる人にもまたいろいろとお願いをしなくてはいけないのですが、コツは相手によって手法を変えることでしょうか。

詳細まで詰めてからお知らせしたほうが良い人には、具体的な内容を示した書類を作ってガチガチに固めます。

逆にトークベースで疑問を解消しながら進めたほうが良い人には、個別にメッセージで何度かやり取りしてから「資料作ったので見てください」と後出しにすることも。

社内で誰がどのように日々働いていて、社内でどのような立場でどんな性格なのかがわかっていないと難しい仕事だと思います。

社内調整の役割が一番大変ですから、もしみなさんがフレッシャーズサポート制度(メンター制度)を導入するなら、中立的な立場で社内全体を見渡せる人を仕切り役にするのが賢明です。

書類に関しては、面談後に提出する報告書も事前に用意すると良いと思います。

報告書には毎月必ず聞くべきことをいくつか準備しておきます。

そうでないと、だんだん話すことがなくなってきてせっかくのメンター制度上の関係も希薄になっていきます。

当社の報告書には、メンティーに対して以下のような質問項目を記載しています。

  • 先月の振り返り
  • 先月の仕事で一番頑張ったこと・もっと頑張りたいと思っていること
  • 仕事に対するやりがいは感じているか(現状のモチベーション)
  • 研修と実業務の両立について(キャパオーバーになっていないか) など

ほかは何を話してもかまいませんので、せっかくの場ですから、メンターは悩みを聞いたりする以外にも話が広がりそうなトピックを用意して臨んでもらっています。

当社のメンター制度「フレッシャーズサポート制度」の成功事例を紹介!

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当社のメンター制度「フレッシャーズサポート制度」では、慎重にメンターを選び、候補者への依頼方法も工夫することで、新入社員へのサポートに成功しています。

フレッシャーズサポート制度を担当する中で、制度を導入してよかったと思う事例がありましたのでご紹介します。

以前のペアで、メンティがメンターに「面談ってなんでやるんですか?意味ありますか?」と聞いたのだそうです。

メンティーは頭が切れるタイプで、毎回30分から1時間も取られて面談して、悩みもないのに毎回悩みがないか聞かれるのがうっとうしいと思ったのでしょう。

でも、メンター期間が終わるとき、彼は「やっぱりこの面談があって良かったです」と言っていたようです。

実は、メンターがメンティを社内で見かけたときに「業務のことで悩んでいるのでは?」と察知して、その社員にいろいろと聞いてアドバイスしたことがプラスになったと感じたとのことでした。

若手社員は壁にぶち当たらないと、フレッシャーズサポート制度(メンター制度)の良さを感じないと思います。

しかし、たいていは実業務が忙しくなる8月辺りに息詰まる子は多くて、そんなときに自部署の先輩以外の人が気にかけてくれているということがわかると心にゆとりが生まれます。

子本人には言わなくても、メンターがメンティの部署のメンバーに「なんかへこんでるらしいからみんなでバックアップしてあげて」と助言してくれたりしたらうれしいですよね。

部署が違うので一緒に仕事をすることはなくても、その後も関係が続いていくパターンは多いみたいですよ。

メンター制度の成功事例から運用のコツや新入社員のサポート体制を学ぼう

メンター制度とは、年齢が近い先輩社員が新入社員の相談相手となり、会社になじめるよう導くもの。

新人研修やOJTで仕事の能力やスキルを向上させることも大切ですが、メンター制度によって上司や同僚とは別に、気軽に相談できる相手をつくることができます。

メンター制度がなければ、職場では同期とその事業部の先輩というつながりしかないため、業務以外のことを相談しにくいこともあるでしょう。

メンター制度によって事業部を超えた範囲まで人脈が広がっていくメリットがありますし、最後の砦として相談できる相手がいるだけで新入社員の心の持ちようも全然違います。

また、メンターとなる先輩社員の成長につながるというメリットもあります。

誰をメンターに選ぶか、どのようにお願いするかなど、事前の準備は本当に大変ですが、それでもメンター制度を導入する価値はあるはずですよ。

メンター制度の成功事例も参考にして、新入社員のサポート制度として活用してみてはいかがでしょうか。

今回ご紹介したメンター制度(フレッシャーズサポート制度)を運用するHRDのお仕事は「人材開発の役割とは?HRD部門がつくる未来の組織と手法について」でも詳しくお話しています。

こちらも参考にしてみてくださいね!

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