当事者意識がない部下をゼロに!社員の当事者意識を上げるポイント
KATAKA
こんにちは、ヤマチユナイテッドの川田です。
「仕事が自分事ではなく他人事になっている」「部下がやらされ感で仕事をしている」と嘆いている経営者や管理職の方も多いと思います。
当事者意識を持った社員は企業の発展や組織強化に必要不可欠です。
しかし「当事者意識を持て」と言われたところで、当事者意識が高くなる社員はあまりいないのではないでしょうか。
今回は、当事者意識がない部下の意識を上げるポイントをご紹介。
社員の当事者意識を高め、強い組織を作って行く方法について、ヤマチユナイテッドの事例とあわせてお話しします。
目次
- 当事者意識とは?当事者意識がない人の原因
- 当事者意識がない部下の意識をアップさせる2つのポイント
- 【ヤマチの事例】部下の当事者意識を最大限引き出す「ビジョン・パーパス研修」
- 当事者意識がない部下には、主体的に仕事について考える機会を与えよう
当事者意識とは?当事者意識がない人の原因
当事者意識とは、自分が関わる仕事や物事を「自分のもの」ととらえて取り組む姿勢を指します。
「仕事は与えられるもの、自分の仕事ではない」と思っている人や、「自分は手伝っている、所詮自分は関係ない」という考えの人は当事者意識がないということです。
一方で、当事者意識が高い人は「上司にこう言われたからやっている」ではなくて、「上司にこう言われて、自分はこのように感じて、こうしたいと思った、だからやる」と自分で感じて、考えて、行動することができます。
このような社員は自分が主体なので、おのずとやる気や責任感も高くなります。
当事者意識がない人の原因
当事者意識がない人は、先ほどもお伝えしたとおり「言われたことだけをやっている」「目先の仕事だけをただこなしている」という状態であることが多いです。
その仕事が何につながり、どのようなことを期待して任されているのかまで考えられていないのです。
そのため、任された仕事が終われば自分の仕事は終わり、と考えます。
難しいのが、それを「当事者意識がない」とは考えていない可能性があることです。
自分に振られた仕事はきっちりこなしているため、本人としては「当事者意識を持っているつもり」になっている可能性も高いのです。
あなたが部下に当事者意識を持ってもらいたいと思うのであれば、その当事者意識とはどのようなことなのかを、お互いにすり合わせ、教えていく必要があります。
当事者意識がない部下の意識をアップさせる2つのポイント
部下の当事者意識をアップするには以下の2つが重要だと考えています。
ジョンソンホームズの事例も交えてご紹介します。
ポイント①社員一人ひとりが考える機会を意識的に作り出す
一番重要なのは「社員一人ひとりが考える機会を作り出す」ことです。
部下に改善してほしい点が多いあまりに、部下の行動に注文を付けたり、持論を展開してしまったりすることはよくあることかと思います。
しかし、それでは社員は育ちません。
というのも、言っている内容が正論であっても、それを上司が話し過ぎてしまっては、部下が自分で考える機会を失ってしまいます。
人は自分で考えたことしか、本当の意味で身につかない、つまり主体的に考え判断できるようにはなりません。
ヤマチの事例:ペア会議
当社のジョンソンホームズ(住宅事業部)はコロナ禍になる少し前からやや不振で、私自身が介入したり、営業担当者たちとさまざまな対策を講じたりと努力しましたが、一向に成果が上がりませんでした。
その中で私が感じたのは「チームリーダーの言った通りにできているか」に意識が置かれていたことです。
裏を返せば、社員それぞれに「自分がどうしたいか、どう思うか」という視点が抜けているということ。
そこで「ペア会議制度」を取り入れることにしました。
- 住宅営業の社員で役職関係なくペアをつくる
- 課題や対策、目標達成までにすべきことなどを話し合う
- ペアは週ごとに変更する
その結果、業績は徐々に上がっていきました。
なにより、社員みんながイキイキとしているのが目に見えてきました。
これまでは私たちが「これで良いだろう」と判断した業務を的確にこなすことが仕事でした。
しかし、ペア会議制度によって、自分たちが熟慮した案を実行することに楽しさを見出し、結果も出るように。
上司が意識的に考える主体を部下にしないと、過去に上手くいった人やそのやり方に頼ってしまうような組織の癖がついてしまいます。
仕事を部下に渡し、上司はさらにみんなの役に立つ新しい仕事を模索することで、組織がどんどん大きく成長するように感じています。
ポイント②常に情報を公開して社員目線を揃える
当社では以前から会議内でワークを行うなど、社員一人ひとりが考える機会を意識的に設けていました。
これによって、社員に「主体性」や「経営に参加しているという意識」を持ってもらうことはできていたのですが、思うように成果や業績につながっているようには感じられませんでした。
今振り返ると社員によって、「何のために考えるのか」「目指すべきゴールはどこなのか」という考える軸や方向性に差があったのだと思います。
ただ考える機会を与えるだけだと、各々が自由に考え出してしまい、「結果につながらない当事者意識」が形成されてしまうのだと痛感しました。
ヤマチの事例:オンライン朝会
コロナ禍をきっかけに「オンライン朝会」というオンラインでの情報共有を始めました。
週に1~2回、全社員に向けて、各部署の業績進捗やKPI進捗、社員ランキングや今週のMVPなど、さまざまな情報を30分間配信しています。
こういった情報をリアルタイムで共有することはもちろん大事ですが、ここでさらに重要になってくるのが「トップメッセージ」です。
ただ情報を流すだけではなく、私、つまり会社としての解釈をあわせて伝えることで、社員への情報の伝わり方が格段にアップします。
この情報は、言わば、考えて判断するための軸となります。
オンライン朝会での情報共有で、全社員が現状や会社としての方向性を理解することができるようになりました。
また、経営層や管理職、一般社員が同じ情報を共有・理解した上で、考える機会を設けることで、必然的に業績につながる施策やアイデアが出やすくなると感じています。
情報共有では、ビジネスの基本のキ「業務報告」が重要です。
業務報告がうまくいかない原因や、業務報告を徹底するためのポイントについては「報告しない部下へのルール作りとは?報連相を過不足なく実行できる業務報告の仕組み」で詳しく解説しています。
【ヤマチの事例】部下の当事者意識を最大限引き出す「ビジョン・パーパス研修」
当社では、社員が自分で考える機会を作るためにさまざまな取り組みをしています。
今回はその中でも、モチベーションややる気といった、仕事をする上で根幹の部分となってくる、自分の会社の価値や仕事の意義を考えてもらう「ビジョン・パーパス研修」についてご紹介します。
ビジョンとは「どのようになりたいのか」というような将来ありたい姿や目標のことで、パーパスとは「どうあるべきか」という存在意義のことです。
このような会社のビジョンは、経営者や経営トップが考えて社員に発信することが多いと思いますが、ビジョンやパーパスを作る過程、つまり考えるという作業を社員自身にやってもらうことが重要だと考えています。
「そもそも何のために働くのか?」という部分をしっかり理解してこそ、仕事は楽しくなるし、「自分がやらねば!」という当事者意識にもつながってくるのではないでしょうか。
ビジョン・パーパス研修では、以下のような項目について社員一人ひとりに考えてもらいます。
<過去から流れを捉えて今求められていることを把握する>
- 過去の流れから、今求められていることって何?
- 今にどんな意味がある?
- 乗り越えたい課題って何?
<今年起こったことを把握する>
- 今年事業に起こった変化を事象として捉えると、どんなことが挙げられる?
- その変化にどんな意味がある?
- 事業部の提供している価値について
- 事業部の顧客ターゲットってどんな人・会社? など
まずは、社員一人ひとりに、このような約30個の質問に対してじっくり考えてもらいます。
そして、社員同士お互いの回答を見た上で、ディスカッションをしてもらいながら、会社や事業部のビジョンやパーパスについて理解を深めてもらっています。
この研修によって、「○○だからこの仕事は意味があるんだ!」「△△だから自分がやる意味がある!」といった仕事の意義や自分の意義を本当の意味で理解し、納得することができ、当事者意識を高めることができます。
当事者意識がない部下には、主体的に仕事について考える機会を与えよう
当事者意識とは、「ただ上司に言われたことをこなす」だけではなく、その仕事にどんな意味があるのか、次にどのように動けば良いかなど、自分自身で考えられる姿勢のことです。
ただし、本人は「当事者意識がない人」とは考えていない可能性も。
与えられた仕事をこなしてさえいれば、「当事者意識を持って仕事をしている」と思い込んでいることも考えられます。
社員の当事者意識アップに必要なのは、「社員一人ひとりが考える機会を意識的に作る」「常に情報を公開して社員目線を揃える」の2つです。
社員が自分自身で考え、経営層や管理職、一般社員が同じレベルで意思決定や情報を共有すること。
自分たちが考えた施策や運用を実際に実行し現場で肌で感じることは、モチベーションと当事者意識の向上につながります。
ヤマチユナイテッドでは、社員教育に関してさまざまな角度からの取り組みや経営セミナー・イベントをご紹介しています。
スケジュールはホームページでチェックしてみてくださいね。
SHARE! この記事を共有する
Authorこの記事の著者
株式会社ジョンソンホームズ|常務取締役|グループ常務
川田 新平
ジョンソンホームズを陣頭指揮。企業ミッションの明文化、共有・浸透を図るとともに社員が輝き主体的に経営参加する組織づくりを通して、新たな成長軌道に導く。現在はグループで展開する多様な事業にコミット。社員皆をよくするために、毎月500名の社員の話を聴くことを自ら実行している。