経営者の孤独の原因とは?社員が自発的に動き出す組織になるまで

組織・給与制度

川田 新平
川田 新平

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こんにちは、ヤマチユナイテッドの川田です。

「経営者は孤独である」よく耳にする言葉です。

会社において孤立無援で孤軍奮闘しているという意味であれば、私にも経験があります。

理想と情熱をもって組織を運営しているのに、社員が一向についてこない、思ったとおりに動いてくれない、会社としてのまとまりがないなど、いら立つ日々がありました。

現在は、当時と同じようないら立ちや悩みはありません。

社員数がはるかに増えたにもかかわらずです。

上手くいった要因は、ミッションの力が大きいと、私は確信しています。

今回は、経営者が孤独を感じる原因や、それを解決するためのミッションについて、私の体験をもとにお話します。

目次

  1. 経営者が孤独を感じる原因から確認
  2. 経営者の孤独を解消するミッションとは?ジョンソンホームズの事例をご紹介
  3. ジョンソンホームズがミッションを掲げてから得られた効果
  4. 経営者の孤独は熱い想いを言語化したミッションで解消できる!

経営者が孤独を感じる原因から確認

経営者が孤独を感じる原因としては、主に以下のようなものがあります。

  • 最終決定をゆだねられる立場である
  • 社員とは異なる価値観を持っている
  • 相談できる相手がいない

それぞれ解説します。

最終決定をゆだねられる立場である

経営者は、会社という大きな組織の経営権を持つ特別な存在です。

ゆえに、最終決定は経営者にすべてゆだねられます。

決定権があるということは、別の見方をすれば自由であることなので、良い面もあります。

しかし、例えばそれがリストラといったネガティブな決定である場合、経営者の孤独は計り知れないものになることは、想像に難くないでしょう。

2009年頃のことです。

ヤマチユナイテッドの住宅関連事業を展開する「ジョンソンホームズ」の受注棟数は年間100棟を超え、さらにはインテリアショップをオープンさせて、事業は好調でした。

しかし、急成長による弊害も発生。

人材の育成や部下への権限委譲が追いつかず、組織は混乱していたのです。

さらに追い打ちをかけたのが、リーマンショックです。

そのあおりと吸収合併した会社の負債を抱えて、はじめて赤字を出してしまいます。

その体験は、私に経営者としての孤独を追体験させるには十分でした。

社員とは異なる価値観を持っている

経営者と社員では責任の重さも異なるため、価値観がずれていってしまうことがあります。

経営者は、社員やその家族の生活を守るという重大な任務も課せられています。

「会社を守る」と言うと、わかりやすいでしょう。

「では社員は?」と考えると、キャリアアップや営業成績を上げることが目的となっているケースも多いのではないでしょうか。

それ自体が悪いわけではありませんが、一口に「会社のために」と言っても、それは経営者のものとは価値観が大きく異なるのです。

相談できる相手がいない

経営者は重大な責任がある以上、相談したくても、それが安易に人に話せる内容ではないケースは多いです。

また、たとえそれが人に話しても問題のない、些細な悩みだったとしても、周囲にわかってくれる人がいないことも多いのです。

例えば、学生時代の気の置けない友人との語らいの際、仕事や会社の愚痴をこぼすこともあるでしょう。

社員の立場の友人からの愚痴を聞くと「そんなことで悩んでいるの?」や「自分も社員のために良かれと思って同じことを考えていたが、そんな風に思われているなんて」などと、大きなギャップを抱えてしまうことは多いです。

相談できる相手がいないと「自分の考えをわかってくれる人がいない」と思い、孤独を感じやすくなります。

経営者の孤独を解消するミッションとは?ジョンソンホームズの事例をご紹介

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経営の壁にぶち当たっていた私は、それまでの価値観や考え方を完全に捨てきって、セミナーや講演、書籍を通して、さまざまな人の話に耳を傾けるようになりました。

「ジョンソンホームズはどんな会社でありたいのか」

「社員とお客さまにとって何ができるのか」

心の奥から湧き出る自分の想いを言葉にしていきました。

また、それとは別に社員の想いを聞くようにしました。

その過程で生まれたのが、ジョンソンホームズのミッションです。

いつまでも続く、自分らしい幸せな暮らしを提供します

難しい言葉もカッコイイ言葉もありません。

でも、私にとっても社員にとってもしっくりくる言葉です。

私を含めた社員それぞれの心の中にあったけれど、共有できていなかった想いがミッションとして明文化されたことによって、バラバラだった会社がまとまりました。

ミッションとは、会社の存在意義を表すものです。

いろいろな考えがあり、いろいろなやり方があって良い。

その軸にミッションがあれば、経営者も社員もぶれません。

日々の業務のなかで迷うことがあっても、判断を誤ることはないはずです。

ミッションの正体は、経営者の想いと社員の想いの集合体です。

会社に関わる者の総意といっても良いでしょう。

もとをたどれば、個々人のなかにある「仕事で大事にしていること」であり、それに基づいた「行動」です。

それを言語化し、共通する要素を抽出すると、それはミッションとなります。

ミッションは、はじめから現場にある想いと行動を言語化したもの。

もともと皆の熱い想いでできているから、誰もが共感できて、すんなりと判断基準や行動原理となりえます。

ジョンソンホームズがミッションを掲げてから得られた効果

ジョンソンホームズはミッションを掲げ、会社全体がまとまりました。

次に起こったのが、業績の変化です。

まず、驚くほど業績が上がりました。

そうなると、離職率は下がり、会社が安定してきました。

また、逆に求人への応募者数がどんどん増えたのです。

実は、私はもともとはミッションに懐疑的でした。

しかし、作ってみると期待以上の効果が得られたのです。

そんなミッションの効果について、さらに詳しくご紹介しましょう。

効果①自発的に動ける社員に成長した

2018年9月、北海道胆振東部地震が発生したときのことです。

私はまず「社員の安全を確認し、次は顧客の確認を」と思っていました。

そんな私への社員からの第一報は、「ジョンソンホームズで建てた家とお客さまの安全確認はすべて済ませた」というもの。

私からの指示は一切ありません。

これは、ミッションにしたがって社員たちが自主的に動いた結果です。

効果②ミッションをもとに仕事のブレを修正できるようになった

ミッションは掲げるものではなく、使うもの。

日々の業務に活用してこそ、効果を発揮します。

インテリア事業部のゼネラルマネージャーは、原点に立ち返るとき、ミッションを使っています。

売上目標が達成できない、客足が遠のいたなど、目の前に困難や不安が立ちはだかると心に余裕がなくなり、仕事の意味を見失いがちです。

それでは、幸せな暮らしは提供できません。

そんなときは、スタッフを集めて、ミッションを腹に落としなおすというのです。

住宅事業部のあるマネージャーは、組織を再編成するためにミッションを使いました。

それまでの体制では自分たちの能力を生かしきれない、それはミッションに背くことになると、体制のほうを変える決断をしたのです。

いずれも、社員が自発的に動けるようになったことで得られた成果です。

ジョンソンホームズのミッションが、社員たちの判断と行動の指針になった証だと考えています。

効果③ミッションに共鳴する社員が入社するようになった

会社の立てなおしのためにつくったミッションでしたが、ホームページで発信してみました。

すると、新卒・中途ともに求人への応募が増えたのです。

ミッションに共感して応募する人ばかりだから、方向性の違いで決裂ということはまずありません。

社員が定着して、離職率は驚くほど減りました。

新卒の場合、「ミッションを理解しきれていないのだろうなぁ」と感じることもあります。

しかし、新卒社員は人生経験がまだ浅いからしかたない。

「自分らしいってどういう状態だろう?」「幸せって具体的には?」と質問を投げかけて、その答えに対して「それはほんと?」とさらに深く考えさせるようにしています。

そのように、自分の頭で考えて、行動してみて、実感するしかないと思うのです。

中途社員の場合だと、ほかの会社や業種を経験して「こうしたいけれど、いまの会社ではできない」というなにかしらの苦い思いを抱えて、「こんな会社があったら良いな」と期待して、転職活動をします。

そこで、自分の想いと合致する会社にめぐりあったら、ものすごくドライブがかかるわけです。

情熱をもって仕事に打ち込んでいますよ。

ミッションに惹かれて、優秀な人材が向こうからやってくることになろうとは、ミッションを作ったときには想像していませんでした。

これはうれしい効果ですね。

ミッションは正しく社員に浸透すれば、会社にも大きな効果をもたらすもの。

ミッションの大切さや浸透のさせ方については「インナーブランディングの進め方を実例で紹介!目的や効果も確認」も参考にしてくださいね。

効果④経営者の孤独を解消した

売上や利益が伸びない、社員が定着しない、人材育成ができないなど、経営者の悩みはつきません。

全てではないですが、その多くはミッションで解決すると、私は確信しています。

実は、ジョンソンホームズにミッションができて、最も変わったのは私です。

まず、説明することをやめました。

「自分は説明した、相手は頷いた、よって相手は理解した」以前はそう考えていました。

でも、人は相手が伝えたいことを理解するのではなく、自分が理解したいように理解するのだと、認識を改めたのです。

そこで、説明の代わりに、どのように理解したのかを教えてほしいと質問をするようにしました。

ミッションについても業務についてもなんでも、自分の頭で考えさせるようにしたのです。そのとき、軸に据えたのはミッションでした。

人は移ろいやすいものです。

確固たる意志をもっているつもりでも、状況に流されてしまいがち。

普段は「お客さまのために」と言っていても、決算になると収益が気になって、お客さまの幸せが後回しになる。

心当たりがあるのではないでしょうか。

つきつめると、お客さまの幸せと収益は対立するものではなく、私は次のように考えています。

  1. お客さまの幸せがあるから収益が出る

  2. 収益が社員に還元されるから社員は幸せになる

  3. 社員が幸せになるからお客さまの幸せを考えられる

お客さまの幸せと収益は相反するものではなく、相互に作用しています。

その意味では、「お客さまのために」と「収益は大事である」は同義語と言えるでしょう。

もし、同義語とは思えないのであれば、それは同義語だと定義していないからです。

ジョンソンホームズでは、「お客さまのために」「自分たちのために」「収益は大事である」はすべて同じ意味であり、同等の価値があると、誰もが理解しています。

それを可能にしたのがミッションです。

ミッションがないと、上司の指示がぶれているように聞こえたり、部下の行動がぶれているように見えたりすることでしょう。

本当は、同じ想いで同じゴールを目指しているのにもかかわらず。

ここに経営者の悩みの原因があると、私は睨んでいます。

お互いに理解し合えれば、好循環が生まれて、組織はうまく回りはじめます。

そうなる頃には、経営者を悩ませていた問題はことごとく解消されているはずです。

経営者が孤独にならないためには、社員全員が経営参画する必要性があります。

社員の経営参画については、下記のコラムをご参考ください。

社員が経営参画できる「システム経営」とは? 《連邦・多角化経営概論》第2回

KATAKA

経営者の孤独は熱い想いを言語化したミッションで解消できる!

経営者が孤独を感じる原因は、最終決定をゆだねられる立場にあることや、社員とは異なる価値観を持つこと。

そのような状態なので、相談できる相手もおらず、孤独を感じやすくなります。

例に漏れず私もそのような経験をし、さまざまな取り組みをするなかで出会ったのがミッションです。

私を含めたすべての社員の熱い想いを言語化した、ジョンソンホームズのミッション。

ミッションを掲げたことにより、社員が自発的に動けるようになり、仕事にブレが生じたときも社員自らが修正できるようになりました。

また、ミッションに共鳴した社員が入社するようになり、経営が安定。

「なぜわかってくれないの?」という経営者の悩みは、ミッションを軸に解消することができました。

同じ想いで団結した組織は強い。

ジョンソンホームズがミッションで大化けした真相です。

ヤマチユナイテッドでは、良い社風作りのノウハウや企業経営に役立つ企業視察やワークショップなどのイベントを随時開催していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

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