顧客ロイヤリティとは?ブランドへの影響力や高め方を解説します!
ブランディング

こんにちは、山地です。
ただブランディングが大切といわれても、よく分からないと思う人が多いのかもしれません。
トヨタやホンダのようなメーカーもブランド、プリウスやフィットのような商品もブランド。
私たちのように、多角化を目指す中小企業の経営者は、ブランディングのなにから取り組んで、どこを目指せばいいのでしょうか。
今回はブランド戦略のカギとなるマーケティング手法「顧客ロイヤリティ」の向上について、高めるメリットや高め方など、事例と共にご紹介します!
目次
1.顧客ロイヤリティとは?
顧客ロイヤリティとは、企業や商品のブランドに対して、顧客が抱く愛着や信頼のことを指します。
ブランドには「企業ブランド※」や「商品・サービスブランド※」がありますが、顧客のそれらに対する愛着や信頼を高めることで、ブランドの価値を向上させることができます。
まずは顧客ロイヤリティを理解するための分類とその測り方について見ていきましょう。
顧客ロイヤリティの分類
顧客ロイヤリティには、「心理ロイヤリティ」と「行動ロイヤリティ」に分けられます。
心理ロイヤリティは、顧客のブランドに対する愛着や信頼など、好意的な感情を指します。
心理ロイヤリティは、そのブランドを使っていない人でも高まることがあります。
例えば、まだブランドは使っていないけど、憧れのブランドだから使ってみたい!という感情も心理ロイヤリティの一つと言えます。
ハーレーダビッドソンクラブに入りたいからハーレーのバイクを買う人がいるように、「ジョンソンホームズのコミュニティに入りたいから住宅を買う」という好循環を生むことにもつながります。
一方で、行動ロイヤリティとは、その企業やブランドに対しての実際の行動のことを指します。
口コミでブランドを広げる、そのブランドの商品を継続的に購入する、他社製品やサービスへの乗り換えをためらうなども、行動ロイヤリティと言えます。
心理ロイヤリティは、行動ロイヤリティに大きく影響し、一般的には心理ロイヤリティが高まると行動ロイヤリティにつながりやすくなるとされています。
たとえば、アメリカのオートバイメーカー「ハーレーダビッドソン」。
会社の名前であり、商品の名前でもありますが、愛好家によって組織された「ハーレーダビッドソンクラブ」には熱烈なファンが集まっています。
同じく自動車のミニクーパーも、世界中に愛好家によるクラブが組織され、さまざまなファンイベントが開催され、多くのファンが参加しています。
このようなファンクラブへの入会やファンイベントへの参加も、そのブランドへの心理的なロイヤリティがあるからこそ発生する行動ロイヤリティの一つと言えるでしょう。
※企業ブランド
ソニーやANAなど、社名そのものがブランドになっているケースです。
当社でいえば「ジョンソンホームズ」や「ヤマチユナイテッド」が該当します。
こうした企業ブランドが広く認知されていると、採用活動をするときに有利です。
※商品・サービスブランド
iPhone(アップルコンピュータ)、ユニクロ(ファーストリテイリング)などがこれに当たります。
当社の例でいえば、訓練型デイサービスの「きたえるーむ」、コンパクト住宅の「COZY」などが該当します。
多角化経営を進めていくときは、この「商品・サービスブランド」を新たに立ち上げて増やしていくことになります。
多角化経営での新規事業立ち上げについては「新規事業の立ち上げ。そのプロセスと心構えについて」をご参考ください。
顧客ロイヤリティの測り方
顧客ロイヤリティを測る指標として導入されているのが「NPS」というもの。
「NPS」とは、顧客に対して「この製品を家族や友人に勧める可能性はどのくらいあるか」という質問でアンケート調査を行い、その答えを集計・分析して数値化したものです。
製品やアプリなどのレビューで、このような問いかけを見たことがあるという方も多いのではないでしょうか?
問いかけに対しては0から10までの11段階で答えてもらい、9以上の高い評価をした人を推奨者、7から8を中立者、6以下の低い評価をした人を批判者とします。
推奨者の割合から、批判者の割合を引いた数字がNPSとなります。
計測方法が簡単なことや、スコアの出し方が共通で競合他社との比較が可能というメリットもあり、多くの企業で活用されています。
2、顧客ロイヤリティを高めるメリット
顧客ロイヤリティを高めると、次のようなメリットが期待できます。
リピート率の向上
お客さまがブランドに愛着や信頼を抱いてくれると、新しい商品やサービスを高頻度で購入してくれます。
製品に愛着を抱いていれば、他社の製品やサービスに乗り換えることをためらい、継続してそのブランドを購入したりしてくれるのです。
逆にブランドがおかしな方向に変わろうとしていれば「高くても私たちが買うから今のままでいてくれ」とブランドを応援してくれることもあります。
顧客単価のアップ
ブランドを気に入ってもらうことができれば「このブランドの他の製品も買ってみようかな?」「今まで他のサービスも使っていたけど、こっちだけにしようかな」という行動が考えられます。
結果的に、顧客一人あたりがそのブランドに使ってくれる金額が大きくなり、売上アップが期待できます。
また企業そのものに対しても好意的な感情を抱いていることが多いため、企業の新製品などにも興味を持ってもらえる可能性が高くなります。
口コミでの拡散
顧客が企業ブランドや商品ブランドに対して信頼を抱いていると、SNSの口コミなどで良い評価を拡散してくれることがあります。
実際に使っている人の口コミや親しい人からの口コミは、まだそのブランドを使っていない人への検討材料として大きな役割を果たします。
既存顧客のリピート率の向上だけでなく、コストをかけずに新規顧客の獲得を目指せます。
3.顧客ロイヤリティを向上させるには?
顧客ロイヤリティを高めるには具体的にどのような手法が用いられるのでしょうか?
ここでは2つ、事例と共に紹介しましょう。
顧客の声に耳を傾ける
顧客の声に耳を傾け、顧客のニーズやウォンツを探ることは、顧客ロイヤリティを高めるという点でとても重要です。
たとえば、新潟市三条市に本社を置く「スノーピーク」という会社。
スノーピークは、ファンの心をつかんでいるアウトドア総合メーカーで、お客さまが商品開発のアイデアをどんどん出してくれるといいます。
というものも、社長が年間60日、ユーザーと一緒にキャンプをして、酒を酌み交わしながら商品の評価を聞いたり、要望を求めたりしているからだそう。
顧客の声にしっかりと耳を傾け日々商品の改善や開発に取り組むことは、正しく顧客の求めるものを提供するためには必要なことです。
何よりその姿勢は顧客の信頼を得ることにつながりますし、顧客も自分の欲しいものを提供してくれるブランドからは離れようとはしません。
アップルコンピュータにしても無印良品にしてもそうですが、このように意見くれるフリークともいえるお客さまを大切にすることで強烈なブランドになり、強固な事業を築くことができます。
カスタマーサービスの質を向上させる
顧客ロイヤリティを高めるためには、カスタマーサービスで顧客満足度を高めることも大切です。
商品を買うまでのカスタマーサービスの質を高めることはもちろん、買ったあとのサポートも顧客の心理ロイヤリティに大きく影響します。
当社でいえば、中高級路線のインテリアショップ「インゾーネ・ウィズ・アクタス」が、ファンに支えられているブランドの一つです。
「インゾーネの商品だから買う」「あの店員さんだから買う」と言ってくださるお客さまが少なくありません。
インゾーネの店舗をパーティー会場にして、商品を購入してくださった顧客の皆さんを無料で招待する「インゾーネナイト」というイベントを開催したときは、多くのファンの方々が集まってくれました。
また、2017年にインゾーネ宮の森をリニューアルオープンしたときも、10年前にオープンした時から来てくれているお客さまが駆けつけてくれるなど、長く顧客との関係が続いています。
当社の住宅会社「ジョンソンホームズ」も、住宅を新築されたお客さまやリフォームをしてくれたお客さまを対象に、毎年夏祭りを開催しています。
社員が企画して、無料で焼き肉などを振る舞ったり、縁日を開いたりと盛りだくさんの内容で、1900人ものお客さまが一堂に会します。
このような体験を通じて「ジョンソンホームズっていいよね」というお客さまがコミュニティーをつくり、口コミや紹介で新たなお客さまを連れてきてくれるのです。
これも顧客ロイヤリティの向上が成功している一例と言えるでしょう。
顧客がブランドのコミュニティに参加したり、口コミで良い評価を拡散してくれたりという行動は、ブランドへの信頼や愛着を獲得し、顧客ロイヤリティが高まった証拠でもあるのです。
イベントなどの開催は、買ってからのお客さまだけでなく、買う前のお客さまに対しても「そこのコミュニティに入りたいから買う」という行動を起こさせるきっかけにもなります。
4.顧客ロイヤリティを高めてさらに価値のあるブランドへ!
これからは顧客ロイヤリティを高めてブランドを伸ばしていく時代です。
顧客ロイヤリティを高めていくことで、リピーターや新規顧客の増加で利益向上が期待できたり、口コミで良い評価をしてくれたりと大きなメリットが生まれます。
顧客ロイヤリティの向上を実現するには、顧客の意見をしっかり聞くことや、イベントなどの体験などを通して顧客の満足度を高めることが大切です。
もちろん、顧客ロイヤリティの向上は、すべての業種に有効な方法ではないかもしれません。
ですがB to C(一般消費者向け)のビジネスをしている会社のブランド戦略としては、おすすめの方法といえるでしょう。
自社ブランドのさらなる成長戦略として「顧客ロイヤリティ」の向上も検討してみてください。
ヤマチユナイテッドでは、ブランド戦略や多角化経営など、みなさまの経営に役立つセミナーも開催しております。
興味があるイベントがありましたら、ぜひご参加ください!
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Authorこの記事の著者

ヤマチ連邦多角化経営実践塾 塾長
山地 章夫
ヤマチユナイテッド代表。経営を楽しみ、社員620名、50事業・年商160億円の企業グループの舵を取る。本業を中心に事業を次々と立ち上げ、売上げを積み増す「連邦多角化経営」を実践。経営の安定化と人材育成を両立する独自の経営手法が、多くの中小企業経営者の注目を集める。