「顧客ブランド」をつくろう!
ブランディング

こんにちは、山地です。
ただブランディングといわれても、よく分からないと思う人が多いのかもしれません。
トヨタやホンダのようなメーカーもブランド、プリウスやフィットのような商品もブランド。
私たちのように、多角化を目指す中小企業の経営者は、なにから取り組んで、どこを目指せばいいのでしょうか。
混乱しないように、まずは「ブランド」の整理から始めてみましょう。
目次
1.ブランドの3つの種類とは?
ひとくちにブランドといっても、大きく分けて3つの種類があると考えています。
「企業ブランド」「商品・サービスブランド」「顧客ブランド」の3つです。
(1)企業ブランド
ソニーやANAなど、社名そのものがブランドになっているケースです。
当社でいえば「ジョンソンホームズ」や「ヤマチユナイテッド」が該当します。
こうした企業ブランドが広く認知されていると、採用活動をするときに有利です。
(2)商品・サービスブランド
iPhone(アップルコンピュータ)、ユニクロ(ファーストリテイリング)などがこれに当たります。
当社の例でいえば、訓練型デイサービスの「きたえるーむ」、コンパクト住宅の「COZY」などが該当します。
多角化経営を進めていくときは、この「商品・サービスブランド」を新たに立ち上げて増やしていくことになります。
(3)顧客ブランド
あまり聞き慣れない言葉だと思いますが、これは熱烈なファンであるお客さまと一緒に歩んでいくブランドのことです。
たとえば、アメリカのオートバイメーカー「ハーレーダビッドソン」は、会社の名前であり、商品の名前でもありますが、愛好家によって組織された「ハーレーダビッドソンクラブ」は熱烈なファンが集まり、ブランド化されています。
同じく自動車のミニクーパーも、世界中に愛好家によるクラブが組織され、さまざまなファンイベントが開催されています。
これらは商品やサービスを利用していること自体が誇らしい、つまりお客さまのためのブランドになっているのです。
お客さまが「自分たちのブランドだ」と思ってくれているので、新しい商品やサービスを高頻度で購入してくれますし、逆にブランドがおかしな方向に変わろうとしていれば「高くても私たちが買うから今のままでいてくれ」とブランドを応援してくれます。
新潟市三条市に本社を置く「スノーピーク」という会社も、ファンの心をつかんでいるアウトドア総合メーカーで、お客さまが商品開発のアイデアをどんどん出してくれるといいます。
というものも、社長が年間60日、ユーザーと一緒にキャンプをして、酒を酌み交わしながら商品の評価を聞いたり、要望を求めたりしているからだそう。
アップルコンピュータにしても無印良品にしてもそうですが、このようなフリークともいえるお客さまがいると強烈なブランドになり、強固な事業を築くことができます。
私たちが目指している方向性のひとつが、こうした「顧客ブランド」の構築です。
2.私たちが目指す、顧客ブランド
当社でいえば、中高級路線のインテリアショップ「インゾーネ・ウィズ・アクタス」が、ファンに支えられているブランドの一つです。
「インゾーネの商品だから買う」「あの店員さんだから買う」と言ってくださるお客さまが少なくありません。
インゾーネの店舗をパーティー会場にして、顧客の皆さんを無料で招待する「インゾーネナイト」というイベントを開催したときは、多くのファンの方々が集まってくれました。
また、2017年にインゾーネ宮の森をリニューアルオープンしたときも、10年前にオープンした時から来てくれているお客様が駆けつけてくれるなど、長く顧客との関係が続いています。
当社の住宅会社「ジョンソンホームズ」も、住宅を新築されたお客さまやリフォームをしてくれたお客さまを対象に、毎年夏祭りを開催しています。
社員が企画して、無料で焼き肉などを振る舞ったり、縁日を開いたりと盛りだくさんの内容で、1900人ものお客さまが一堂に会します。
このようなイベントを通じて「ジョンソンホームズっていいよね」というお客さまがコミュニティーをつくり、クチコミや紹介で新たなお客さまを連れてきてくれるのです。これも顧客ブランドとして成功している一例でしょう。
3.まとめ
これからは顧客ブランドの時代です。
ハーレーダビッドソンクラブに入りたいからハーレーのバイクを買う人がいるように、「ジョンソンホームズのコミュニティに入りたいから住宅を買う」という好循環が生まれています。
もちろん、すべての業種に有効な方法ではないかもしれませんが、B to C(一般消費者向け)のビジネスをしている会社には、顧客ブランドの形成はおすすめの方法といえるでしょう。
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Authorこの記事の著者

ヤマチ連邦多角化経営実践塾 塾長
山地 章夫
ヤマチユナイテッド代表。経営を楽しみ、社員620名、50事業・年商160億円の企業グループの舵を取る。本業を中心に事業を次々と立ち上げ、売上げを積み増す「連邦多角化経営」を実践。経営の安定化と人材育成を両立する独自の経営手法が、多くの中小企業経営者の注目を集める。