会社のいまに違和感を覚えたら、ミッションの見直しどき
組織・給与制度

こんにちは、川田です。
ミッションを日々の業務で活用し、ミッションの恩恵を受け、ミッションは会社に必要不可欠であると実感しています。
いまやミッションを活用しない日はないと言っても過言ではないですが、かつては必要性をあまり感じていませんでした。
急激な成長とリーマンショックのあおりでガタガタになったジョンソンホームズを立てなおすためにもがいていたら、ミッションが完成した。
使ってみたら、驚くべき効果があったというのが正直なところです。
ビジネスの世界ではかなり普及しているので、ミッションを示していない会社は少ないかもしれません。
たとえミッションはなくても、「企業理念」「社是」「モットー」「クレド」など、会社の基本指針となるものはなにかしらあるでしょう。
もし、ミッションとそれに類するものに心の底から共感できなかったとしたら、それは再考する時期にきています。
あるいは、情熱を傾けて会社の運営に注力しているのに、いつも空回りしていると感じているなら、やはりミッションについて考えてみるべきときです。
ミッションを見直すことで、会社への違和感や経営の悩みのほとんどは解消することでしょう。
目次
1.よく効くミッションと効かないミッション
ミッションには、いいミッションと悪いミッションがあります。
壮大な理想を掲げたものやパワフルな言葉で記されたものがよくて、平凡そうに見えるものやシンプルな言葉が並ぶものが悪い。
ところが、それほど単純ではないのです。
端的にいえば、いいミッションはよく機能して、悪いミッションはほとんど機能しません。
ミッションが機能している状態とは、経営者がきりきり舞いしなくても、会社がうまくいっている状態です。
ジョンソンホームズを例にとってみましょう。
ミッションは「いつまでも続く、自分らしい幸せな暮らしを提供します」です。
お客さまらしい幸せな暮らしを提供できて収益が上がり、収益が社員に還元されるから社員は幸せになり、
社員が幸せになるからお客さまの幸せを考えられる----そんな好循環が生まれた状態をいいます。
悪いミッションは、好循環を生みません。
むしろ、負のループから抜け出せない状態です。組織にまとまりがなく、目的がわからないまま仕事をひたすらこなすだけ。
誰もやりがいを見出せず、成果や明るい未来を想像できない。
虚しいですね。もし、会社のいまがこの状態だったら、すぐにミッションを見直してみるべきです。
2.自社のミッションを点検してみる
さて、さっそくミッションあるいはそれに類するものを見直しましょう。
......といっても、ちょっと戸惑ってしまいますね。なにから手をつければいいのかと。
まずは、次の2点をチェックすることからはじめてみてください。
(1)自社のミッションを熱く語れるか
あなたは自分の会社のミッションを熱く語れるでしょうか。
ミッションをつくった人が先代や創業者である場合、そこまで熱くは語れないかもしれません。
しかし、自らつくったミッションを熱く語れない状態は、あまり良い状態とは言えません。
ジョンソンホームズのミッションをつくったとき、ちょっと恥ずかしかったのを覚えています。
急にミッションとか言い出して、社員たちに失笑されないだろうか......。
でも、選んだ言葉の一つひとつまで説明できる自信はありました。
ミッションが誕生した背景、その言葉を選んだ理由を語れるかどうか、確認してみてください。
私の思い入れがない言葉を並べたミッションだったら、誰にも共感されず、社員たちが自発的に行動するようにはならなかったと思います。
(2)自社のミッションを自分が活用しているか
あなたは自分の会社のミッションを活用しているでしょうか。
経営判断をするとき、社員たちと個人面談するとき、叱咤激励するとき、どんなときも、ミッションを判断基準としているかどうか。
もしできていないとしたら、それは問題です。
ミッションは活用しなければ、言葉の羅列にすぎません。行動と紐づいてこそ、機能するものです。
ミッションは暗記しても意味がない。腹に落ちて行動できるようになるには、考えることが大事だと思っています。
だから、「わが社のミッションは、<いつまでも続く、自分らしい幸せな暮らしを提供します>である」......なんてことは言いません。
その代わり、「いつまでも続くって、どういうことだろう?」「わざわざ<自分らしい>と入れた意味はなんだと思う?」「そもそも<自分らしい>って具体的には?」と、考えさせる質問をどんどん投げかけます。
仕事のなかでも、「うちの会社で家を建てる意味とは?」「こんなに少ない情報で、お客さまの幸せな暮らしをイメージできるの?」と、ミッションに絡めて質問していきます。
逆に、私が社員たちに試されていると感じることもあります。
それは、社員たちがミッションをほのめかして私に判断を求めてくるとき。
お客さまを不幸にするような選択は絶対にできません。その選択によって私の本気が伝わり、それがいくつも積み重なって、信用は築かれていると感じます。
いつもミッションに基づいた行動をしているかどうか、確認してみてください。
私が自らつくったミッションを蔑ろにしていたら、社員たちにミッションは浸透しなかったと思います。
ミッションを浸透する大切さについては「インナーブランディングとは?ミッション浸透の効果や進め方を解説!」でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
3.ミッションに必要なのは自分たちらしさ
もし、自社のミッションを熱く語れず、活用もしていないとしたら、そのミッションには欠けているものがありそうです。
それは、自分たちらしさ。
例えば、「自社の強みによって社会に貢献する」というミッションがあったとしましょう。
意味はわかります。でも、なんだか他人事のように感じませんか。
それは、「社会」「貢献」という言葉が大きすぎるせいかもしれないですね。
どう貢献するのか、貢献できた状態とはなにを指すのか、そもそも貢献とはなにか......と、言葉を分解してみてください。
そこをつきつめて行くと、「ああ、なるほど! これが貢献ということか」と実感できる言葉が最後に残るはず。
それは、自分たちらしいミッションになる可能性を秘めている言葉です。
自分たちらしさは、理想のなかにはありません。あくまでの現状のなかに見つけてください。
現状とは、自分たちのやりたいことの集合体だからです。
自分たちにはない「自分たちらしさ」をミッションに盛り込もうとしたら、その時点でアウト。
機能しないミッションが完成してしまいます。現状を見つめると、見たくないことを見るはめになるかもしれません。
それでも、まずは会社や自分の現状と向き合うべきなのです。
そうやって見つかった悪いものは捨てて、いいものだけを取り上げていけばいいと思います。
4.自分たちらしいミッションは一生もの
ジョンソンホームズのミッションをつくったのは、10年ほど前のことです。
それから現在までの間に、業績は伸び、社員数は増え、「自分らしい幸せな暮らし」から展開して住宅以外の分野にも進出しました。
しかし、ミッションを変えようと思ったことは一回もありません。
なにかを付け足そうと思ったことも一回もないです。むしろ、よくここまで考えたなあと我ながら感心します。
ミッションをつくったとき、バリューもつくりました。これは社員の価値観です。ミッションの実現を支えます。
----私たちが大切にする7つのこと
1 幸せな暮らしを増やすこと
2 自分らしく生きること
3 あなた想いであること
4 人とのつながりを大切にすること
5 常識にとらわれない自由な発想
6 やりがいを持って楽しく働くこと
7 社員みんなで会社を育てること
バリューもミッションと同じく、社員たちが言葉にこそしていないけれど、大切にしていたことです。
ないものをつくったのではなく、もともとあるものを言語化したにすぎません。
こちらも、この文言を入れておいてよかったなあと自画自賛することが多いですね。
偽りのない本心から生まれたミッションとバリューは、会社に大きな実りをもたらします。
しかも、一生もののツールです。
当社では、よい社風づくりのノウハウや企業経営に役立つ企業視察やワークショップなどのイベントを随時開催していますので、
気になる方はぜひチェックしてみてください。
【川田が講師を務めるセミナー】
【東京開催】ミッションで顧客や社員から支持される会社をつくる「ミッション作成ワークショップ」
SHARE! この記事を共有する
Authorこの記事の著者

株式会社ジョンソンホームズ|常務取締役|グループ常務
川田 新平
ジョンソンホームズを陣頭指揮。企業ミッションの明文化、共有・浸透を図るとともに社員が輝き主体的に経営参加する組織づくりを通して、新たな成長軌道に導く。現在はグループで展開する多様な事業にコミット。社員皆をよくするために、毎月500名の社員の話を聴くことを自ら実行している。