会社に違和感を覚える原因は?対策にはミッションの見直しを
組織・給与制度
こんにちは、ヤマチユナイテッドの川田です。
会社経営の上で欠かせない考え方であるミッション。
ビジネスの世界ではかなり普及しているので、ミッションを示していない会社は少ないかもしれません。
もし、ミッションとそれに類するものに心の底から共感できず、会社に対してなんらかの違和感を抱いているとしたら、そのミッションは再考する時期にきています。
あるいは、情熱を傾けて会社の運営に注力しているのに、いつも空回りしていると感じているなら、やはりミッションについて考えてみるべきです。
今回は、会社に違和感を覚えたときにやるべき、ミッションの見直しについて解説します。
ミッションを見直すことで、会社への違和感や経営の悩みのほとんどは解消するでしょう。
目次
会社に違和感を覚える原因
会社に違和感を覚える原因はさまざまです。
違和感の原因としてよく挙げられるのは、次のようなことです。
- 会社の方向性が合わないと感じる
- 適正な評価を受けられていないと感じる
- 上司のやり方に不信感を抱くようになった
- 日々の業務をこなすのに精一杯になり目標が見い出せない など
以上のような原因のほか、「なんだかよくわからないけどモヤモヤする」といったものもあります。
いずれも、仕事や会社のやり方に納得感がなく、やりたいことや目標とすべきことがブレているのが原因と言えるのではないでしょうか。
また、頭の中でごちゃごちゃと考えてまとまらず、言語化できていないということもあるでしょう。
そんな状態に陥ったときに見直してほしいのが、会社のミッションです。
会社におけるミッションとは?
ミッションとは、ビジネス、特に会社経営においては「企業が果たしたい役割」のことです。
会社を経営する上で、大切な基礎となる部分です。
たとえミッションはなくても、「企業理念」「社是」「モットー」「クレド」など、会社の基本指針となるものは何かしらあるでしょう。
ミッションを日々の業務で活用し、ミッションの恩恵を受け、ミッションは会社に必要不可欠であると実感しています。
いまやミッションを活用しない日はないと言っても過言ではないですが、かつては必要性をあまり感じていませんでした。
ジョンソンホームズの場合は、急激な成長とリーマンショックのあおりでガタガタになったジョンソンホームズを立て直すためにもがいていたら、ミッションが完成。
使ってみたら驚くべき効果があった、というのが正直なところです。
良いミッション・悪いミッションとは?
ミッションには、良いミッションと悪いミッションがあります。
端的に言えば、良いミッションはよく機能して、悪いミッションはほとんど機能しません。
壮大な理想を掲げたものやパワフルな言葉で記されたものが良いミッション、平凡そうに見えるものやシンプルな言葉が並ぶものが悪いミッション、というわけではないのです。
ミッションが機能している状態とは、経営者がきりきり舞いしなくても、会社がうまくいっている状態です。
ジョンソンホームズを例にとってみましょう。
ジョンソンホームズのミッションは「いつまでも続く、自分らしい幸せな暮らしを提供します」。
お客さまらしい幸せな暮らしを提供できて収益が上がり、収益が社員に還元されるから社員は幸せになり、社員が幸せになるからお客さまの幸せを考えられる。
そんな好循環が生まれていれば、それは良いミッションと言えるでしょう。
悪いミッションは、好循環を生みません。
むしろ、負のループから抜け出せない状態です。
組織にまとまりがなく、目的がわからないまま仕事をひたすらこなすだけ。
誰もやりがいを見出せず、成果や明るい未来を想像できない...となると、虚しいですね。
もし、会社のいまがこの状態だったら、すぐにミッションを見直してみるべきです。
会社に違和感を覚えたときのミッションの見直しポイント
さっそくミッションあるいはそれに類するものを見直しましょう。
何から手をつければ良いのかわからない場合、まずは、次の4つをチェックすることからはじめてみてください。
チェックポイント①自社のミッションを熱く語れるか
あなたは自分の会社のミッションを熱く語れるでしょうか。
ミッションを作った人が先代や創業者である場合、そこまで熱くは語れないかもしれません。
しかし、自ら作ったミッションを熱く語れない状態は、あまり良い状態とは言えません。
ジョンソンホームズのミッションを作ったとき、ちょっと恥ずかしかったのを覚えています。
急にミッションとか言い出して、社員たちに失笑されないだろうかといった不安もありました。
でも、選んだ言葉の一つひとつまで説明できる自信はありました。
ミッションが誕生した背景や、その言葉を選んだ理由を語れるかどうか、確認してみてください。
私の思い入れがない言葉を並べたミッションだったら、誰にも共感されず、社員たちが自発的に行動するようにはならなかったと思います。
チェックポイント②自社のミッションを経営者自身が活用しているか
あなたは自分の会社のミッションを活用しているでしょうか。
経営判断をするとき、社員たちと個人面談するとき、叱咤激励するときなど、どんなときもミッションを判断基準としているかどうか。
もしできていないとしたら、それは問題です。
ミッションは社員全員に浸透させ、活用しなければ、言葉の羅列にすぎません。
行動と紐づいてこそ、機能するものです。
ミッションは暗記しても意味がない。
腹に落ちて行動できるようになるには、考えることが大事だと思っています。
だから、「わが社のミッションは"いつまでも続く、自分らしい幸せな暮らしを提供します"である」なんてことは言いません。
その代わり、「いつまでも続くって、どういうことだろう?」「わざわざ"自分らしい"と入れた意味はなんだと思う?」「そもそも"自分らしい"って具体的には?」と、考えさせる質問をどんどん投げかけます。
仕事の中でも、「うちの会社で家を建てる意味とは?」「こんなに少ない情報で、お客さまの幸せな暮らしをイメージできるの?」と、ミッションに絡めて質問していきます。
逆に、私が社員たちに試されていると感じることもあります。
それは、社員たちがミッションをほのめかして私に判断を求めてくるとき。
お客さまを不幸にするような選択は絶対にできません。
その選択によって私の本気が伝わり、それがいくつも積み重なって、信用は築かれていると感じます。
いつもミッションに基づいた行動をしているかどうか、確認してみてください。
私が自ら作ったミッションを蔑ろにしていたら、社員たちにミッションは浸透しなかったと思います。
ミッションを浸透させる大切さについては「会社におけるミッションの意味とは?ミッションは浸透させることが重要」「インナーブランディングの進め方を実例で紹介!目的や効果も」でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
チェックポイント③自分たちらしいミッションになっているか
もし、自社のミッションを熱く語れず、活用もしていないとしたら、そのミッションには欠けているものがありそうです。
それは、自分たちらしさ。
例えば、「自社の強みによって社会に貢献する」というミッションがあったとしましょう。
意味はわかります。
でも、なんだか他人事のように感じませんか。
「社会」「貢献」という言葉が大きすぎるせいかもしれません。
どう貢献するのか、貢献できた状態とは何を指すのか、そもそも貢献とは何か、言葉を分解してみてください。
そこをつきつめて行くと、「ああ、なるほど! これが貢献ということか」と実感できる言葉が最後に残るはずです。
自分たちらしさは、理想の中にはありません。
あくまでの現状の中に見つけてください。
現状とは、自分たちのやりたいことの集合体だからです。
自分たちにはない「自分たちらしさ」をミッションに盛り込もうとしたら、その時点でアウト。
機能しない「悪いミッション」が完成してしまいます。
現状を見つめると、見たくないことを見ることになるかもしれません。
それでも、まずは会社や自分の現状と向き合うべきなのです。
チェックポイント④想いが言語化されているか
ジョンソンホームズのミッションを作ったのは、2010年前後のことです。
それから現在までの間に業績は伸び、社員数は増え、「自分らしい幸せな暮らし」から展開して住宅以外の分野にも進出しました。
しかし、ミッションを変えようと思ったことは一度もありません。
何かを付け足そうと思ったことも一回もないです。
むしろ、よくここまで考えたなあと我ながら感心します。
ミッションを作ったとき、バリューも作りました。
これは社員の価値観であり、ミッションの実現を支えるものになります。
<私たちが大切にする7つのこと>
- 幸せな暮らしを増やすこと
- 自分らしく生きること
- あなた想いであること
- 人とのつながりを大切にすること
- 常識にとらわれない自由な発想
- やりがいを持って楽しく働くこと
- 社員みんなで会社を育てること
バリューもミッションと同じく、社員たちが言葉にこそしていないけれど、大切にしていたことです。
ないものを作ったのではなく、もともとあるものを言語化したにすぎません。
こちらも、この文言を入れておいて良かったなぁと自画自賛することが多いですね。
偽りのない本心から生まれたミッションとバリューは、会社に大きな実りをもたらします。
しかも、一生もののツールです。
会社への違和感はミッションの見直しで払拭!
会社への違和感の原因は、会社との方向性の違いを感じていたり、適正な評価がなされていないと感じたりするなど、納得感が得られていないことがほとんど。
具体化できないモヤモヤした違和感があるなら、ミッションを見直しましょう。
想いを明文化している良いミッションがあれば、会社の経営が好循環で回り始めます。
ミッションの見直しでは「自社のミッションを熱く語れるか」「自社のミッションを経営者自身が活用しているか」「自分たちらしいミッションになっているか」「想いが言語化されているか」をチェックしましょう。
しっかりとしたミッションになっていれば、それは会社の財産になります。
ヤマチユナイテッドでは、良い社風づくりのノウハウや企業経営に役立つ企業視察や経営セミナー、ワークショップなどのイベントを随時開催していますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
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Authorこの記事の著者
株式会社ジョンソンホームズ|常務取締役|グループ常務
川田 新平
ジョンソンホームズを陣頭指揮。企業ミッションの明文化、共有・浸透を図るとともに社員が輝き主体的に経営参加する組織づくりを通して、新たな成長軌道に導く。現在はグループで展開する多様な事業にコミット。社員皆をよくするために、毎月500名の社員の話を聴くことを自ら実行している。