社内コミュニケーションを活性化させるグループウェア活用法をご紹介
組織・給与制度
こんにちは、ヤマチユナイテッドの石崎です。
自社の成長を図るとともに環境変化に強い屋台骨を作るべく、昨今は中小・中堅企業の皆さんも事業の多角化に積極的に取り組んでいますね。
一方、事業が増え、同時に社員数も増えてくると新たな課題になるのが社内コミュニケーションの停滞。
部署内、チーム内ではこれまで通りツーカーであったとしても、事業部間、法人間では他の法人で行われていることがわからなくなったという状態になっていないでしょうか。
今回は、そのような悩みを効果的に解消する手段の一つとして、社内コミュニケーションを活性化させる「グループウェア」を活用することを提案したいと思います。
目次
- グループウェアとは?社内活用のメリットをヤマチの事例とともに解説
- フラットでオープンな社風を創る!社内コミュニケーションを活性化する戦略とは?
- やってはいけない!グループウェア導入時のよくある失敗例
- グループウェアを活用して、社内コミュニケーションの活性化を!
グループウェアとは?社内活用のメリットをヤマチの事例とともに解説
グループウェアとは、企業内のコミュニケーションを活性化させるために用いるツールのことです。
グループウェアには、業務を円滑に行うための機能を搭載しています。
<コミュニケーション・社内情報伝達>
- メール
- ビジネスチャット
- 掲示板
<スケジュール管理・予約管理>
- スケジュール管理
- タスク管理
- プロジェクト管理
- 設備(施設)予約機能
<社内情報共有>
- 文書管理
- ファイル共有
<稟議・申請・承認・報告>
- ワークフロー機能
グループウェアの例として「Google Workspace」「Microsoft 365」「サイボウズ Office」「GRIDY グループウェア」「NI Collabo 360」などが挙げられます。
グループウェアを使う目的
グループウェアを使う目的としては、以下のようなことが挙げられます。
- 情報の共有...通達事項や指示・命令を社内に周知する
- ナレッジの共有...ノウハウや知見を会社の財産として蓄積する
- 社内コミュニケーション活性化...電話やメールより気軽なやり取りにより社員同士の交流を促す
- 緊急時の連絡...社員への発信を迅速かつ確実に行う仕組みを整える
これらは他の手段によっても叶えられるかもしれませんが、グループウェアを使う最大のメリットはそれぞれを効率良く行えることです。
グループウェアを使うきっかけ
社員数が少ないうちは必要ないかもしれませんが、事業が成長し、社員数も増え、場合によっては、多角化も進んで30人、40人という規模になってくるとグループウェアの利用を検討しても良い頃合いといえるでしょう。
ヤマチユナイテッドで最初に使い始めたグループウェアは、スケジュールの管理と共有を主な機能とする「desknet's(デスクネッツ)」でした。
上司と部下の間で相互の予定を確認できるようなソフトでしたが、一番使われていたのは設備予約。
会議室、車両、駐車場といった設備をいつ誰が使うのか、希望の時間に先約が入っているかどうかが一目でわかるので、それまで確認に時間がかかっていたのがスムーズになり、業務効率化に大きく貢献したと思います。
そのうち「社内SNSがほしい」といった声が出てきて、「Wow Talk(ワウトーク)」というチャットツールも導入し、社内コミュニケーションの円滑化に役立ちました。
その後は業務の進行によってさまざまなグループウェアやツールを併用したり入れ替えたり、その時々の目的に応じて必要な物を導入してきたという経緯があります。
グループウェアなどを利用し、社内コミュニケーションがうまく取れるようになったことで、事業部同士が連携しやすくなったり、書類のフォーマットを共有して効率的に仕事を進められるようになったりと、メリットは大きいと感じています。
フラットでオープンな社風を創る!社内コミュニケーションを活性化する戦略とは?
現在ヤマチユナイテッドでは、3つのグループウェアを導入しています。
理想をいえば、1つですべてをまかなえるグループウェアがあると良いのですが、用途や目的を考慮して選んでいくと、今の時点では3つということになりました。
他にもトライしているものがあるので過渡期ともいえますが、これ以上は増やしたくないですね。
うちでは、オープンでコミュニケーションが容易に取れる環境を作ること、業務効率化、情報共有、連絡事項の周知徹底といったことを目的にグループウェアを活用しています。
具体的な名称を挙げると、「TUNAG(ツナグ)」「Microsoft Share Point Online」「Microsoft Teams」の3つ。
この中で特にコミュニケーションツールとして、ヤマチユナイテッドの社員同士の交流促進に一役買っているのが「TUNAG」です。
当グループの設定としてどのような項目立てをして「TUNAG」を使っているか、参考までご紹介します。
代表メッセージ
グループ代表・山地 章夫が自身の気づきや周知したいこと、共有したいことなど、自由な内容で都度投稿します。
グループにとって大きな出来事があったときは、その背景や代表としての思い、プロセスなどを発信する場にもなっています。
例えば、2024年夏に行われた「FM NORTH WAVE」のM&Aに際しても、「このような考えで、このような期待を込めて合併に至った」という説明がなされました。
社員数が増えてくるとどうしても経営者と社員との間に距離ができてしまうし、特に事務所が離れれば経営者自身の声を聞くことが難しくなるので、この場を借りて山地が社員との接点を作っているようなイメージです。
年末年始の挨拶も、以前は山地自身がグループ内の各社へ年末年始の挨拶に回っていましたが、法人が増えて物理的、時間的に難しくなってきたこともあり、現在はここで発信しています。
TQC(Total Quality Control)
ヤマチユナイテッドでは、部門ごとに事業計画に即した評価メジャーとしてKPI(Key Performance Indicator)、KDI(Key Do Indicator)を設定し、週に1️回、それらの進捗状況を報告することになっています。
発信者は各部門のチームリーダーあるいはカンパニー長、場合によっては事業本部長。
各チーム、各事業部の取り組み状況、KPIおよびKDIの内容と達成率、達成に向けての対策といったようなことを、グループ全社へ向けて報告・共有することがルール化されているのです。
各事業部の上位者は全体把握のために当然目を通すでしょうし、一般社員でも他の事業部の報告内容を見ることによって参考になったり、刺激になったりすると望ましいという考えのもと設けた項目であり、ルールです。
投稿者は他の事業部の人たちに自分たちのやっていることをわかりやすく整理して伝えないといけないので、報告を行うことが自主管理の一環にもなっている点でも、とても役に立っていると思っています。
取り組み&気付き報告
普段行なっている対策や行動の中で、良い成果や効果が出たこと、気づきを得られたことについて、社員誰もが発信できる項目です。
ナレッジの共有・蓄積がここで実現しています。
なんでも発信ボックス
投稿者、発信内容および投稿のタイミング、すべて自由。
文字通り「何でもOK」の項目です。
例えば「イベントを開催します」「備品が余っているので必要な方に差し上げます」「事務所の模様替えをしました」というように、社内に発信したいトピックを気軽に投稿できます。
イベント事業部はほぼ週1のペースで、実際に担当した現場のレポートを写真と簡単なコメントで発信してくれているので、面白いな、こんな仕事もしているんだと思いながら、いつも楽しく見ています。
会社からのお知らせ
グループ全体、あるいは法人ごとに分けることもできますが、通達事項がここで周知されます。
必読機能がついていて、投稿を開いて確認するまで各人のタイムラインの一番上に表示されるようになっているので、他の投稿に紛れて見逃すことなく確実に各社員に伝わるようになっています。
「TUNAG」には経営計画書やキックオフミーティングで各事業責任者が発表した資料などを格納する機能もあり、ポータル的な役割も一部持たせています。
また、うちでは会社支給の携帯またはパソコンを持っている社員全員にアカウントを付与しているので、組織検索の機能を使えば事業部や法人を超えて連絡を取り、チャット機能で気軽にやり取りができるのが便利ですね。
組織検索では各社員の名前、所属部署、所属会社、メールアドレスが一覧でき、ちょっと面白いのはエニアグラム診断のタイプものせているところ。
エニアグラムは性格診断の一種で、どの社員も入社時に必ず受けてもらっています。
これが判断基準になるかといったらそうでもないのですが、他の人と連携して何かやりたいときに参考になればといったくらいの気持ちでのせています。
中でも特に、チャット機能は全社的にもっとも使われている機能です。
1対1はもちろんグループチャットも可能で、チャットルームの設定も社員自身で自由に作ったり削除したりできます。
例えば、近日予定の飲み会の参加者だけでチャットルームを作り、会が済んだら消すことは日常的に行われています。
後ほどまた触れますが、チャット機能で重視したのはやり取りの中身が管理者側からは見えないようになっていること。
別に悪いことはしていなくても、見られていると思うとちょっと嫌な気がするのではないでしょうか。
そこで使いにくさを感じさせてしまうと、本来の目的としている社内コミュニケーションの活発化が進まないと思うのです。
この他のグループウェアについても少し説明しておきます。
先述の通り、「TUNAG」は資料を格納・共有することはできますが、大容量のデータを保管するのには向いていません。
そこで、グループ内のポータルとしては大容量かつセキュアなクラウド環境を評価して「Microsoft Share Point Online」を利用しています。
グループオールの連絡事項の他、各種研修動画や、就業規則をはじめとしたルール系の資料、会議資料などさまざまなデータを格納してあり、スムーズにアクセスできるのが便利です。
「TUNAG」のチャットでは重要なトピックもどんどん上に流れていってしまいますから、チーム内でより細やかかつ深いコミュニケーションを取りたい場合は「Microsoft Teams」で。
「Microsoft Teams」の資料共有機能は、業務の中で使用頻度の高い書類が見やすく整理しやすい点で優れており、チーム内で資料やデータを絡めたやり取りをするならこちらを使うケースが多いです。
「Microsoft Share Point Online」「Microsoft Teams」はいずれも「Microsoft 365」のビジネスプランを拡張する形で導入することができるので、「Word」「Excel」「PowerPoint」といったアプリをすでに使っていれば容易に社内共通のツールとして機能させることができるでしょう。
組織体として複数の事業、複数の法人があったとしても、グループウェアという共通のツールを使うことによって、情報共有やコミュニケーションをシームレスに行える環境を整備することが可能となります。
やってはいけない!グループウェア導入時のよくある失敗例
「グループウェアを導入してみようか」と思われるのなら、注意すべきことも念頭に置いておいてください。
導入コストはもはや「かかって然るべき」ものであると考える
中小・中堅企業においては、もしかしたらまだ会社支給のパソコンや携帯電話がなく、少し手当を付けて個人所有のものを業務にも使っている場合があるかもしれません。
個人所有のものに「会社指定のアプリを入れてくれ」と言ったところでインストール自体に抵抗を感じる社員もいるでしょうし、会社側としても管理ができないのでセキュリティ面に不安が生じます。
確かに、社員全員に業務上のパソコンやスマホを支給するのは膨大なコストがかかります。
「だから営業部のメンバーにだけ支給しよう」などとするのはよくあることかもしれません。
ですが、グループウェア導入の目的が事業部同士、社員同士のコミュニケーション活性化、情報伝達・情報共有の円滑化であるならば、全社員に支給できるよう用立てしないといけません。
かかるコストと得られる効果とのバランスをしっかり考えて導入しましょう。
得られる効果は数字で表せるものではないので比較するのは難しいですが、日進月歩で良いグループウェアがどんどん出てきています。
グループウェアが世間に浸透すればするほどコストが下がり、開発側の競争も激しくなるので、導入のハードルは下がってきているはず。
加えて、これだけDX化が叫ばれている時代ともなれば導入しない手はないのではないでしょうか。
私としては、経営判断としてそのハードルを乗り越えていくべきだと考えています。
社員が気軽に使えるグループウェアを選ぶ
考え方は様々あると思いますが、「社員同士のコミュニケーションを促したいが中身は管理したい、統制したい、監視したい」という経営者側の「裏の目的」があり、それが強すぎると社員はグループウェアを使いにくくなると当グループでは考えています。
先ほど「うちではチャットのやり取りの中身が管理者側に見えなくなっているところを重視した」とご説明したのは、このことを懸念したからです。
せっかくチャットツールがライトでフランクなコミュニケーションを可能としているのに、管理者や上層部にやり取りが見えるとなると、使う側は非常に気を使います。
また、うちの場合はメッセージに既読・未読の表示がつかないこともチャットツール選定の際の一つの要因となりました。
読む側に心理的なプレッシャーを与えたくないので、確認したら自分のタイミングでメッセージなり、イラストなり、「いいね」なりでリアクションすれば良いと思うのです。
経験上、管理・監視を強めれば強めるほど本来の目的であるコミュニケーション活性化は達成しにくくなると思っています。
リアルな交流の場も設定する
「グループウェアを導入すれば社内コミュニケーションが円滑になり、社員同士の交流が深まるか」といったら、それだけでは解決しないのも事実です。
直接顔を合わせて話すことも、とても大事です。
コロナ禍以降、みんなが集まるような社内行事はなかなか開催しにくく、打ち合わせもグループウェアを使って行なっていた時期がありましたが、オンラインでは相手の温度感が伝わってこないことを実感した人も多いのではないでしょうか。
ですから、社員全員が全員と話すのは難しくても、懇親会や運動会といった社内行事やリアルな交流の場を設けるのでも良いと思います。
うちの場合は、グループ全体の事業計画発表会、キックオフミーティングは全社員を集めて行なっています。
グループ内の他の会社、他の事業部の人同士で集まる機会があれば、ちょっと挨拶を交わす程度でも相手の表情や声音を間近で見聞きし、その人となりを何となく把握することができます。
その後、オンラインでコミュニケーションを取るときの声のかけやすさ、相談のしやすさが全く変わることは確実です。
そのため、可能であればオンラインツールだけでなくリアルな交流の機会もセットにして提供してあげましょう。
個人レベルの交流がより進み、思わぬところからシナジー効果が得られるなど、会社にとってもプラスの変化につながるはずです。
適度なルール化で利用を促す
「社内SNSに慣れるまでは発信しづらいだろう」と、初めは幹部陣が積極的に投稿するようにしていたら、いつの間にか一般社員が使いにくい雰囲気になってしまった...ということがよくあるようです。
むしろ最初は現場に近い社員に「隔週で良いから何か発信して」とルール化したり、会議で「今週、何かネタある?」と問いかけてみたり、当番制で投稿するようにしてみたりと、ボトムアップでハードルを下げる工夫をすることも必要かもしれません。
ただ、あまりルールを強調してしまうと、今度はやらされ感が出てきてしまうので難しいところですが、トップダウンとボトムアップをうまくミックスして導いていけると良いと思います。
社内のコミュニケーション活性化だけでなく、会議の活性化を図りたいと考えている場合は、こちらのコラムもあわせてご確認ください。
会議をより活性化させるには?マンネリ化した会議を改善する方法を紹介
グループウェアを活用して、社内コミュニケーションの活性化を!
グループウェアは、情報の共有、ナレッジの共有、.社内コミュニケーション活性化、緊急時の連絡といったことを目的として使用されており、それぞれを効率良く行えることが最大のメリットといえます。
うちではオープンでコミュニケーションが容易に取れる環境を作ること、業務効率化、情報共有、連絡事項の周知徹底といったことを目的に「TUNAG」「Microsoft Share Point Online」「Microsoft Teams」といったグループウェアを活用しています(2024年9月時点)。
グループウェアを戦略的に使うためには、導入前に目的や用途を明確にしておくことが重要です。
その上で、自社に合ったグループウェアを選んでください。
導入後は「入れたから使ってね」と漫然と運用するのではなく、例えばコミュニケーションツールなら項目ごとに投稿内容やどのような時に発信するかをしっかり決めて、「このように使ってほしい」と社員に示してあげましょう。
グループウェアを使うパソコンやスマホといった端末は、セキュリティ面を考えてもぜひ会社から支給してあげてほしいものですが、過干渉はいけません。
また、グループウェアだけに頼るのではなく、リアルな交流の機会を設けることによって、コミュニケーションの円滑化はさらに進みます。
グループウェアを利用する際の一番の狙いは、グループ内の法人間、事業部間の連携によって生まれるシナジー効果です。
ですから、グループウェアの選び方から運用ルールの設定、社員へ利用を呼びかける際の案内方法まで、自社の目的からぶれないようにきちんと検討した上で、上手に運用していただきたいと思います。
ヤマチユナイテッドでは、社内のコミュニケーションを活性化するためのノウハウや、企業経営に役立つワークショップやセミナーなどのイベントを随時開催しています。
気になる方はぜひチェックしてみてください。
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Authorこの記事の著者
株式会社ヤマチマネジメント|取締役 |グループ執行役員
石崎 貴秀
1996年入社。営業課から国際課を経て、総務部チームリーダーへ。その後グループ経営推進会議事務局にて経験を積み、2009年(株)ヤマチマネジメントを設立、移籍。グループ管理本部の統括マネージャーとして采配を振るう。2017年(株)ヤマチマネジメント取締役就任。
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「連邦・多角化経営実践塾」の開塾にも携わり、2014年以降、第1期~現在までシステム経営のメイン講師として活躍。
入塾した企業約70社にシステム経営を指導してきた。現在はシステム経営のコンサルティングも担当。