経営情報は社員に全公開で"不満がやる気に"
KATAKA
こんにちは、川田です。
タイトルにもあるように、経営に関する様々な数字は可能な限り全て公開するべき、というのが私の経験から言えることです。
今回は経営情報の公開における私の想いについてお話しいたします。
目次
1.なぜ社員からの不満・文句が絶えないのか?
「給料全然上がらないよね」
「今年のボーナス少なくない?」
「残業ばかりで、全然帰れない...」
等、社員から不満や文句が...というのはよく起こる問題なのではないでしょうか。
このような問題が起こるほとんどの原因は「社員が会社の本当の状況をよく知らないから」だと思います。(全てがそうとは限りませんが)
例えば、A社では売り上げは昨年に比べ120%、利益は90%だったとします。
この会社で売り上げしか公開されていなかった場合、「なんで売上はUPしているのに、ボーナスは少ないんだ?」という不満がでてしまうのは当然のことです。
2.経営情報公開で不満がやる気に
経営情報をオープンにする一番の理由は、"社員の自主性"が芽生えるからです。
当社も10数年前は、細かな経営情報はトップ層(社長~各事業部長)のみに共有しているという状況でした。
当時、私は住宅事業であるジョンソンホームズを見ていたのですが、ジョンソンホームズ内で全ての経営情報を知っているのは私だけでしたので、数字が悪くなっても「一人で背負うしかない!自分がなんとかしなければ!」と孤独で辛い状況の中で戦っていました。
ただ、一人で全て解決するのはやはり難しく、「自分でもどう改善したらよいか分からない」と手立てが無くなったときに、思い切って経営情報を社員に公開することに決めたのです。
すると徐々に、
「この数字が悪いから、こう改善してみよう」
「ここが課題点だと思うから、これをやってみよう」
と社員が自分なりにこの状況をどうしたら打開できるのかを真剣に考えるようになってくれました。
さらにトップが言わなくても気づいた人がプロジェクトを立上げて速攻で改善に動いてくれたりなんていうことも起こりました。
その結果、社員の動きによって改善していき、さらに一人で抱えて辛かった想いからも解放されて、とても気が楽になりました。
最近、特にそれを実感したエピソードがあります。
それは、新型コロナウイルスが流行り始めた、2020年春でした。
当社には主に、住宅・建材・介護・イベントの事業部があるのですが、どの事業部も影響を受け、2020年4月時点で赤字予測はグループ全体で9億円に。
誰も経験したことの無い事態で、どうにもならないと諦めてしまってもおかしくない状況でした。
しかし、弊社の事業部長は誰一人として、社長や常務である私を頼らず、自分たちでどうにかしようと一生懸命になってくれ、さらに事業部を越えて協力し助け合ってくれました。
この姿には非常に感心しましたし、本当に頼もしいなと思いました。
3. 個人ごとの数字もオープンに
個人ごとの結果数値とプロセス数値(KPI)も公開すべきだと考えています。
これに関しては、抵抗のある経営者や社員の方も多くいるかもしれません。
しかし、ここの事実の把握・共有をブラックボックス化してしまうと、改善や創意工夫が止まってしまうので、あえて行っています。
ただ、できていない人を問い詰めるものではなく、あくまで全員でより良くしていくための情報として扱うことが重要です。
事実としっかり向き合って、うまくいっている人に聞いてみて、創意工夫しながら成長していくことを楽しんで欲しい。
長期的には創意工夫して現実をより良くできる人になって欲しい。
組織的にもこのような人材を多数抱えている組織は、どんなことがあってもなんとかできる組織になると信じています。
この公開は私としては、問題意識や考える力を育てる、人材育成的目的が強いです。
強い人が育つ社風を手に入れたいと思っています。
4.まとめ
トップと社員とのどこに差があるかといったら、それは情報量だけの差だなあとつくづく感じます。
社員よりもトップの方が優秀に見えるのは情報量が多いだけです。
それを「分かってない部下」「できない社員」などというのはお門違いなのではないでしょうか。
「由らしむべし、知らしむべからず」という言葉にもあるように、 トップから指示を出して強制的に社員を動かすことはできるかもしれませんが、 情報を公開しないとどんなに「危機感を持って」とか「なんとかせい!」といってみても、そもそも情報の少ない社員にしてみれば動きようがないんですよね。
「情報格差」をできるだけなくし、社員に同じ情報さえ渡せば、答えはさほど変りなく、また、彼らからいろいろな対策アイデアが出てくる。
このことも大きな気づきでした。
社員が経営者感覚を持つことはそうそうできるものではありませんが、やる気を起こさせる、主体的に経営に参加するというところで、情報を共有することはとても有効だなあと実感しています。
今後は、経営数字の情報だけでなく、全社員の良い取り組みや気づき、全チームやプロジェクトの取り組みや進捗情報等、様々な情報を社員公開・共有したいと考えています。
社内の良い取り組みや大きな成果は、部署や事業部、会社を越えて共有すべきだと思います。
モチベーションアップにも繋がりますし、思わぬところで新しい気づきなども生まれ、より一層社員の自主性がアップすることを期待しています。
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Authorこの記事の著者
株式会社ジョンソンホームズ|常務取締役|グループ常務
川田 新平
ジョンソンホームズを陣頭指揮。企業ミッションの明文化、共有・浸透を図るとともに社員が輝き主体的に経営参加する組織づくりを通して、新たな成長軌道に導く。現在はグループで展開する多様な事業にコミット。社員皆をよくするために、毎月500名の社員の話を聴くことを自ら実行している。