知らないからこそ上手く行く!?多角化企業の人材育成マネジメント
KATAKA
こんにちは、川田です。
「事業を多角化しているが、自分の専門外の事業をどうマネジメントして良くしたら良いのか...」
多角化をしている企業の経営者なら一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。
実際に私自身もこの悩みを抱えていたのですが、とある方法でこの悩みが解消され、「多角化の方が人が育ってラクかも!」とまで感じています。
今回は私の実体験を元に多角化企業の人材育成のポイントについてお話しいたします。
目次
1.知らないからこその視点が業績アップのポイント!?
私の経歴を少しお話しすると、新卒でヤマチユナイテッドの住宅事業部であるジョンソンホームズに入社し、住宅営業として働き始めました。
その後、ジョンソンホームズの経営の部分を任され、長年ジョンソンホームズを見てきました。
そんな住宅業界で過ごしてきた私ですが、2017年にグループ常務に就任し、住宅以外の、建材や介護、イベント事業部などの経営も見ることになったのです。
この時に「住宅業界の事しか知らないのに、それ以外の事業の業績を上げるためにはどうしたら良いのだろう...」という、今回のコラムテーマである悩みを抱えるようになりました。
自分の中で考えても答えは出てこないので、先ずはそれぞれ現在の状況や、課題だと感じている点、今後の方針などについて話を聞いてみることにしました。
その話を聞く中で、素人目線で気になる点について聞いてみたり、逆にすごいなと思う点は素直に伝えてみたりしたところ、業績の改善にまでつながったのです。
なぜ話を聞くだけで業績の改善にまでつながったのか、介護事業部の事例を元にご紹介します。
2.【事例】介護事業部の事例
当社の介護事業は、直営店とフランチャイズの店舗が複数ある事業です。
介護事業の話を聞いてみると、様々な問題点がある状態でした。
しかし、細かな話を聞いても、なぜそうなっているのか分からない部分が多かった為「まずは収益が上がるまでの全体像を教えて欲しい」という風に聞いてみました。
その話を聞く中で、「そもそも事業をビジネス的に構造化するとこうじゃない?」という客観的な視点で意見を伝えたり、「じゃあ、この悪い状況を改善するためにはどうしたらいいかな?」という風に相談をしてみたりしたところ、なんとか答えを出そうと社員が自分たちで考え始めてくれたのです。
後日、自分たちで考えた結果、KPIを「一人当たりの利用回数」「加算(基本のプラン+α)の量」に定めたと報告があり、実際にこのKPIで運用してみたところ、大当たり。
みるみると業績が改善されていったのです。
この時、私の重要な役割は答えを与える事ではなく、第三者的な目線で気づきを与える事なのだと気づきました。
疑問に思ったことを問いかけることで、自然と社員に考える機会を与え、気づきを与えることができていたのです。
さらに言うと知らないからこそ、上からの押し付け感をあまり感じさせず、あくまで「自分たちで考え納得し行動したことが結果につながった」と思ってもらうことができたのだと思います。
3.客観的視点で意見する時に押さえるべきポイント
第三者目線で話を聞いて意見する時の注意すべきポイントについてお話しします。
◎まずは「事業の全体像」「売り上げのスタートからゴールまでのフロー」を改めて説明してもらう
一つ目は、まずは「事業の全体像」と「売り上げのスタートからゴールまでのフロー」を説明してもらうことです。
自分の専門外の事業をマネジメントすることになった時、ただ社員から現状や課題に思っていることを聞いても、事業の全体像や売り上げが上がるまでの細かなフローが見えていないので、根本の原因が見えてきません。
事業の全体像を聞くことで、自分自身が事業を理解することにも繋がりますが、 その事業部の社員も「説明をする」ことによって、改めて業務の全体を整理する事ができます。
これによって、社員自身が課題の根本的な原因に気づきやすくなるという効果が得られます。
◎自分が良くしてあげよう、解決してあげようという気持ちは捨てる
二つ目は「自分が良くしてあげよう、解決してあげよう」という気持ちは捨てることです。
この気持ちがあると、話を聞いていくうちに自分の中で「こうしたら良いのでは?」という解決策を考え、その考えを押し付けてしまうことに繋がります。
あくまでも第三者的立場で「この悪い状況をどうしたら良いと思う?」という風に相談することで、社員が自分自身で考える力を引き出すことができるのだと思います。
◎過去の自分の成功体験は押し付けない
三つ目は「過去の自分の成功体験は押し付けないこと」です。 自分の専門外の事業であっても、自分の経験から「こうしたほうが良いのではないか」という考えが出てくるのはごく自然なことだと思います。
ただ、たとえこの考えが正解だったとしても、考えを押し付けてしまうと上手く行きません。
ここはぐっと我慢して、社員の気づきを与えることを徹底するのが、上手く行くコツなのではないかなと思います。
◎素直に褒める
四つ目は「素直に褒めること」です。
自分が詳しい業界と違って、知らないからこそ素直にすごいと思ったことは褒める事ができます。
弊社では、褒めることによって、社員は自信が付き、自信がついたことによってより行動してくれるようになるという、良いサイクルが生まれました。
4.まとめ
最後に今回のコラムのポイントをまとめると以下のようになります。
事業の全体像を説明してもらう
→相談する
→社員が考える
→社員の話を聞く
→客観的視点で意見をする(この意見は命令ではなく、あくまで気づきを与えるきっかけ)
→結果が出たら素直に褒める→社員に自信が付く
→より行動するように
今回のコラムはいかがでしたでしょうか。
多角化企業の人材育成にお悩みを抱える皆様に、少しでもお役立ていただけますと幸いです。
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Authorこの記事の著者
株式会社ジョンソンホームズ|常務取締役|グループ常務
川田 新平
ジョンソンホームズを陣頭指揮。企業ミッションの明文化、共有・浸透を図るとともに社員が輝き主体的に経営参加する組織づくりを通して、新たな成長軌道に導く。現在はグループで展開する多様な事業にコミット。社員皆をよくするために、毎月500名の社員の話を聴くことを自ら実行している。