2人で会議する「ペア会議制度」を取り入れたら 全社員を育成する環境づくりができちゃった話

KATAKA

川田 新平
川田 新平

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組織に貢献するような社員とは、どのような人材でしょうか。

私が20年間住宅メーカーで組織をマネジメントする中で、大きな結果を残したり、組織に貢献する活躍ぶりを見せてくれた社員は皆、自分で考え行動する社員でした。

言葉にすると簡単に聞こえるかもしれませんが、今まで見てきた社員が全員、そうではありませんでした。

組織の拡大とともにスキルの属人化が顕著になり、どうにか個々のスキルに頼ることなく全社員を組織に貢献できるような人材に育てる方法はないだろうか?と考えていました。

研修、外部視察など、できることは全てやってきましたが、それでも成長するのは一部の意欲がある、センスのある社員だけ。

今回はそんな個人の意欲やセンスに頼らない、全社員のための育成環境づくりについて、 私の20年間の実体験からお話しできればと思います。

目次

  1. ボトルネックになっていた「伸び悩んでいる社員」の存在
  2. いくら教えても、育つのは一部の社員だけ... 私の育成失敗談
  3. 成果を上げる社員育成の環境整備
  4. まとめ

1.ボトルネックになっていた「伸び悩んでいる社員」の存在

改めまして、川田と申します。
ヤマチユナイテッドという企業グループの常務として、従業員700人規模の組織をマネジメントしています。

私はグループ内にある住宅メーカー「ジョンソンホームズ」に1995年に入社し、2001年からは営業部門のマネージャーとして組織をまとめてきました。

今回はジョンソンホームズ時代に培ったマネジメントの経験をメインに、お話しできればと思います。

冒頭から持論を展開させていただきましたが、結果を出す社員なんて私も最初から上手く育成できていたわけではありません。
マネージャーになってから現在までの20年は毎月のように営業研修を行ってきましたが、ようやく「これだ」というものに出会えたのは、コロナショックが起こった2020年のことです。

発端はこれから紹介するジョンソンホームズでの取り組みですが、今ではグループ内の様々な業種・職種に応用している方法になりますので、住宅メーカーでも、それ以外での業種でも、マネジメントをされている皆さんの参考になればと思います。

「2:6:2の法則」は様々な場面で用いられますね。
会社で言うと、2割が優秀社員、6割が普通の社員、残りの2割は...といったところでしょうか。

あまり胸を張って言える話ではありませんが、組織全体を見ていると出来ない社員、伸び悩む社員が一定数生まれてしまうように思います。

この課題は、会社で新卒採用を本格化して以来ずっと課題として私の頭の片隅にありました。
片隅に、というのは、最初から問題視していたわけではないからです。
採用した社員たちは皆頑張ってくれているし、成果を上げてくれる社員も沢山いたからです。

ジョンソンホームズは組織が大きくなるにつれ業績もぐんぐん伸び、ついには売上100億円を突破する企業へと成長しました。
ただ、近頃この「伸び悩む社員」の存在が顕著になってきました。

新卒採用では毎年5名前後を営業として採用していますし、加えて中途社員も入社してくる中で十分な育成環境が作れていないために営業成績が伸び悩む社員が増え続け、生産性が上がらずに業績が横ばいになっている現状が続いたからです。

営業の仕事が合わないからと、他の職種へ異動したり、離職してしまった社員もいました。

この状況には自分自身の力不足を感じずにはいられませんでした。

この伸び悩んでいる社員がボトルネック化している状況をどうにか変えなければ、と大きな課題感を抱いていたのがコロナショック前のことです。

2.いくら教えても、育つのは一部の社員だけ... 私の育成失敗談

当社で実施していた研修は、「営業研修」と呼ばれる、全営業マンを集めた集合研修です。
営業研修ということで、「こうすれば売れるようになる」「このやり方が良い」というノウハウを私が熱弁するものです。

理屈を話すことで、社員たちに売れるコツを掴んでもらえると思ったからです。

とにかく話して「わかってもらえた」と感じても、それは人と人とのコミュニケーション。
私と感度が合って伝わる社員もいれば、そうでない社員もいました。

それが判明したのは、ジョンソンホームズでお世話になっているコンサルタントから社員へのアドバイスがあったことです。

先日の研修で私と全く同じ意図のことを伝えていたにもかかわらず、
「初めて聞きました!大変ためになります!」
と社員が目からウロコを落としている場面に出くわし、

「私が伝えたことはなんだったのか?!あのうなずきは?!」
と大きなショックを受けたものです。

外の世界を見ることで社員に刺激を与えようと考えたこともありますが、いずれも上手くはいきませんでした。

研修会社が主催する高額の研修も、社員と一緒に受けに行きました。
研修が終わった後に意見交換をしてみると自分と同じくらいのインパクトを受けている社員がいなかったように思えて、研修参加の意味があったのかわからなくなってしまいました。

外部視察に行ったこともありますが、どうも一緒に行った社員からは、私が期待したほど学ぼうとする姿勢が感じられませんでした。

「結局、うちが一番ですね」なんて言い出す社員の発言を聞いたときにはがっかりでした。

しかし、ジョンソンホームズでは育成の環境を整えきれずに売れない社員を増産させてしまい、業績停滞を生み出すボトルネックと化してしまったのです。

このように色々と試行錯誤は重ねてたどり着いた結論は、コロナショックが起こる前も後もセンスや成長意欲がある人は自分で勝手に行動できるが、そうではない社員の方が圧倒的に多いということです。
そして、どれだけ研修や外部視察といった学ぶ場を与えても社員が自分で動き出そうとしなければ全く意味がないということです。

3. 成果を上げる社員育成には「現状把握×自己解決」の環境整備

①自分の現状を把握させる機会を与える

成長するきっかけには、組織の中での自分の立ち位置を踏まえて「現状を打開しなければ」という衝撃が一番です。

ジョンソンホームズでは営業ランキング発表や、社員別KPIの達成度合いを公開することで自分の立ち位置(=現状)を全社員が見えるよう、オンライン朝会であえて公開するようにしています。

売れている社員はそのままで大丈夫。

ここで大切なことは、それ以外の社員に現状を自覚してもらい、這い上がるためのモチベーションをつけることなのです。

ジョンソンホームズでは、「社員全員に自分の状況を理解してもらおう」と考え、少し手荒ながらも営業マン全員のランキングを発表することにしました。

公開されたランキングを見ることで、特に中間~下位層にいる社員たちには自分の立ち位置を知り「このままだとまずい」と実感してもらえたら、と思ってのことです。

②自分の現状を他者と比較し、考える

自分の業務のやり方と、他の営業マンのやり方を比較することで具体的な改善点も見えてきます。
動画は特に有効で、好きなタイミングで繰り返し再生しながらピンポイントで改善点を探すことが出来るのでおすすめです。

ジョンソンホームズでは、2種類の動画を共有しており、1つが「ロープレ動画」
これは全営業マンのロープレ風景を撮影した動画です。

私自身動画を見て驚きましたが、これにより営業マンによってトークのレベルが違うことが明確になりましたし、心に響いたトークの営業マンほどランキングで上位にいることも明らかになりました。

営業マンが自分のトークと他の営業マンのトークを比較するにはうってつけの手段になりました。

ロープレ動画と同時並行で、「ノウハウ動画」の撮影も発足させました。
これは"最近調子のよい営業マン"から、各々が上手くいった要因と考えている「営業のコツ」を話してもらうというものです。

「営業活動ではLINEを使う」「お客様に見せる資料こそ一番力を入れるべき」など、営業マンによってコツは様々です。

営業マンは自分のやり方やポイントと比較しながら、やり方を模索することができます。

上記2つの施策は、今の状況を踏まえてもベストなやり方だと自負していますが、まだ社員ごとの意欲やセンスに頼っている部分も多いと思っています。

そこで、全社員が確実に動き出すことのできる仕組みを作る必要がありました。

それが、自分自身でPDCAをまわす「ペア会議制度」です。

人は「自分がどうにかしなければいけない」と責任を感じているときに実力以上の力を発揮するものです。

この「ペア会議制度」は、営業マンにペアを組んでもらい、週2回の商談会議を行ってもらうというものです。

会議の中では、固定のKPIの達成状況を見ながら、何が足りないか、改善するにはどうすれば良いか...を実際に考えながら週次でPlan➡Do➡Check➡Actionを繰り返してもらうものです。

2人しかいない環境の中では、自分が考え、発言せざるを得ません。

これまでは、チームを束ねるマネージャーから指示を受け、現場社員はそれを実行するだけです。
しかし、人からやれと言われてやるよりも、「君が考えてね」と丸投げされるくらいの強制力があれば、人はおのずと考え出すだろうと思い、この「ペア会議制度」を実行するに至りました。

この制度はペアでやることに大きな意味があり、マンツーマンの最小単位で会議をすることで自らが考え発言しなければいけない環境を作り出します。

自分ひとりでは解決できない障害も、色々な社員との会議を通じて視点や知見も共有しあいながら策を生み出していって欲しいと考えています。

伸び悩んでいる人が、センスの良い人と一緒に取り組むもので勘どころを掴んでいってもらうには、これが一番良いやり方ではないかと考えています。

そのためペアは、年次やキャリアに関係なく、なるべく色々なペアで組んでもらうようにしています。

まとめ

さて、いかがでしたでしょうか。今回は自分で考え行動する社員の育成環境づくりについてお話させて頂きました。

まとめとして、重要なポイントは

一つ目に、自分の現状を把握させる機会を与えること。

二つ目に、自分の現状を他者と比較し、考えること。

それが、自分自身でPDCAをまわす「ペア会議制度」です。

途中紹介のあった自分の現状を把握させる機会となった「ランキングの発表」、営業トークを比較する「動画の活用」やについては別立てのコラムがありますので、そちらもチェックしてくださいね。

▼ランキング発表・動画の活用についてもっと知る▼
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